2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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矢澤麻里子氏(以下、矢澤):お三方は最初から起業しようというよりは、どちらかというと現状の課題や、やりたいこととかユーザーの声とか。そういったところからのスタートになっているのかもしれないのですが。
最近、私が見ている女性の起業家もそうですし、男性の起業家もそうですし、わりと起業したいという方が増えてきている印象があります。
それに対して「なかなかいいアイデアが見つからない」という人たちもいるんですが、そういった人たちにアドバイスというか、どう考えればいいのかなと思って、ちょっと意見を聞きたいなと思います。では、奥田さん。
奥田浩美氏(以下、奥田):それは、ど真ん中の話ですよね。私はまさに、社会課題を企業につなげるということで全国をとびまわって講演をしてるんですけど。
私は「端と端の経験」と呼んでるんですけど、私の場合ITのど真ん中、コミュニティにいるとすれば、翌日はそこから一番遠いところに足を運ぼうと日々考えています。
明日は神戸、明後日は沖縄に行くんですけど。つまり、ITの伝道師として行くんじゃなくて、「これがこのコミュニティにもたらされたら、どういうサービスが起きるんだろう? 必要とされるんだろう?」ということを日々考えていると。先ほどお聞きしたエニタイムズのアイデアというのも、昔あったらいいなと思いました。
私の父親は車いすに乗ってるんですけど、車いすから落ちると80歳の母親は起こすことができないので、次にヘルパーさんがやってくる(までの)2時間落ちたまま過ごすんですね。
その状況を知ると、なぜこんなに人がつながっていろんなことがあるのに、ITでも救えないのか……となったときに、ITで人がつながってると、「500円で起こしてあげましょう」みたいな人が。そういうアイデアが、もう次々と浮かんでくるわけです。
なので、フィールドをたくさん見ると。東京でレストランやゲーム、SNSとか。最先端を作る人はもういっぱいいるから、そうじゃないところに目を向ければ、別にニーズなんて見えなくても生み出せるものはたくさんあると思うんです。
ただ、日々暮らしていくなかに、自分の持っているツール、ITがあれば「これもサービスになる」と思えるので、そこにこそたくさんのニーズがあると思っています。
もう1つだけ、おもしろい話なんですが。私はこの夏、神戸で500 Startupsのアクセラレーションプログラムをやるんですけど、500 Startups USから20人のメンターが来て神戸でやるというのは、もうシリコンバレーだけでは新しいサービスを作るネタが尽きてきてるんじゃないかと思うわけですよ。
つまり、いろんな国、いろんなフィールドに行くみたいなところで、どんどんサービスを拾い上げていきたい、そこに投資していきたいというのがあるので、そういう人たちまでもが世界中のフィールドに来る時代になってます。そういう意味では、もっとすごい波が起きていると思います。
矢澤:知らないこと、自分が行ったことがないところにも気付きを増やすということですね。
奥田:そうですね。そのへん、さっき角田さんがいろんなところに行くとおっしゃっていたので。
矢澤:なるほど。では、その流れで角田さんに。
角田千佳氏(以下、角田):いろんなところに行くというのもあるんですけども、もう1つあるなと思うのが、自分自身のもっと内側を見てみるというところです。
自分自身が「朝起きて夜寝るまでの間でなにか不便なところないかな?」とか、そういうことを深堀りして考えていくと、いろんなところにニーズはあるなと思っていて。
実際に自分が不便に思って便利屋さんに毎回依頼したけれども、それはあんまり効率的じゃなくて。もっと安く、そこから新しいつながりが生まれるような仕組みができるかもしれないという気付きがあったり。
すでにあるものでも、それをIT化したらもっと便利になったり、生活が楽になったり、そういうことがたくさんあると思っています。
それを自分から始めて、それが自分の親だったり自分のおじいちゃんおばあちゃんだったとり、そういうところを見ていくだけでもたくさんのニーズがあり、解決していないことはたくさんあるんだと思います。
矢澤:いかに自分の不便さを解決したいかという深堀りですね。ありがとうございます。じゃあ、山田さん。どうでしょう?
山田メユミ氏(以下、山田):経営者というか、起業家になりたいという方に対してですよね? 私は経営者というのは役割でしかないと思っています。
なにかを成し遂げるためのプロセスのなかで、経営しなきゃいけない人もいれば、現場を支えなきゃいけない人もいるというだけです。あくまで役割の1つでしかないので、偉い・偉くないじゃないと常々思っているんです。
だから、「なにを成し遂げるために起業家になりたいのか?」と突き詰めたときに答えがないと、途中で折れちゃうんじゃないかなと思いますし、周りの方たちもついていけないんじゃないかなと。それが一番周りの方たちにとって迷惑だと思うので。
もし答えがないのであれば、やるべきじゃないんじゃないかなと思っています。
矢澤:そうですね。じゃあ実際にアイデアが沸いたとしても、結局強い思いがないとそこでぶち当たるケースはたくさんありますよね。
山田:そうですね。逆に私の場合は、もともと起業家や経営者になりたいと思っていたわけではなかったので、経営者としての役割に自分をフィットさせるのが大変でした。
いつか自分がこの会社での役割を終えたというか、自分じゃない人がやったほうがいいなと感じたときは、いさぎよく抜けるべきだと思っています。
矢澤:ありがとうございます。次のクエスチョンにいきたいと思います。私がすごく聞きたいと思っていたところなんですが、起業したことによってやりがいとか醍醐味とか、大変だったことということで。
起業家ならではのエピソードをみなさんお持ちかなと思っていて。じゃあ、角田さんからいきますか。
角田:起業家というか、自分がやっている事業がCtoCで個人と個人をつなげるサービスなので生じてくるエピソードかもしれないんですけど。
さっきも話したとおり、ユーザーさんと直接会う機会がすごく多くて、むしろユーザーさんと会わない日はないくらいの事業です。それを心がけているのもありますが。そうすると、一人ひとりの声がすごくうれしくて。
先日とあるユーザーさんとお話をしていて「なんでこのサービスを使ってくれてるんですか? 使ってみてどうですか?」と話を聞いてみたら、その方は60代の専業主婦の方だったんですけど。もともと専業主婦なので、お金に困っているような方ではなくて。
(エニタイムズを)やっている理由というのが、家で掃除だったり料理をしても、むしろ家族に「料理まずい」と言われたり、お子さんに「なんで部屋片づけるんだ」と怒られたりしてしまうと。
でも、このサービスを使うともちろんお小遣いをもらってうれしいけれども、それよりも感謝される。それがすごいうれしいと言われて。
それを聞いたときにとてもうれしかったのと、そういうところにニーズがあったんだというのを考えて。こういった気づきから、常にそれを事業への反映や発展につなげて、さらに多くの人のニーズに応えられるようになる。それをより早いスピードでできるというのが、事業を始めてよかったなと思うところです。
矢澤:ユーザーの声や感謝を生で感じると、なんて言うんですかね? 来るものがあるということでしょうか?
角田:そうですね(笑)。自分が始めた事業じゃなかったら、たぶんそこまで思いがいかなかったかもしれないです。
こう目指してやってきて、それが実際に思ったとおりにいいなと言ってくれる人たちが出てきてくれたり、それで生活や働き方が変わった人を見ると、「誰かの役に立てたんだ、うれしいな」と思います。
矢澤:ありがとうございます。奥田さん、どうでしょう?
奥田:いろいろあるんですけど、短いエピソードで。私は起業家としての活動が常々あるというか。
家庭のなかもだいたい1つのカンパニーとして考えてしまって。なにか起きたときに、「そもそも私たちが目指してるのは何なんだ?」「ソリューションはなんだ?」みたいな発想があり、家庭のなかでも向き不向きが男女関係なくあるだろうというのが、私たちの家庭での信条なんですね(笑)。
というような発想をしていくと、家庭で揉めごとが起こることがなくなります。私たちの家庭はこっちの幸せを目指していくべきで、なにを次の世代に残していくべきか、みたいな感覚になるので。
そうすると、とても家庭が平和かつ建設的になるということが、まあ起業家ならではのエピソードかなと(笑)。このへん、細かく聞きたければ後でお知らせします(笑)。
矢澤:やはり物事を進めるというところはうまくなりますか? いかに説明するかとか?
奥田:横に夫がいるとすると、こう向き合って文句を言うよりは私たちは一体としてこっちを(前を)向くべきだと(笑)。
矢澤:楽しそうに散歩できますよね。ありがとうございます。では、メユミさん。
山田:エピソードはなにを言ったらいいかわからないくらい、たくさん浮かぶんですけど。
今、思うのはこういう役割でなかったら出会えなかった人たちと出会って、つながって、協業させていただいたり、助けていただいたり。
人とのご縁をサラリーマンをしてたときよりはダイレクトに感じられていますし、それを形にする自由度も起業したからこそあったのかなと思っています。
本当に人とのご縁を感謝する機会が多かったですし、自分たちは最初、資金調達が難しくて、潰れてもおかしくない。立ち上がり1年くらいずっとなんですけど、なかなか資金が調達できなかったときに、いろいろなかたちでサポートしてくれる方との出会いがあって、今の私たちがあると思ってます。
そういう出会いを、なかなか企業の中にいたら体感できていないかもしれないですし、社会の厳しさも温かさも本当にいろいろ感じてこれたなと思います。
矢澤:中途半端に起業すると、周りに迷惑をかけてしまうとかもあったんですけど、今までの人とのやりとりで、感動する出会いや衝撃的な出会いはありましたか?
山田:窮地に陥ったときに、本当にいろんな方に助けていただいて、この方に足を向けて寝られないという方が複数いらっしゃるんですけど。
真っ先に思い浮かべるのは、創業時に助けていただいたエンジェル投資家です。本当にまだ自分たちが事業計画しか持ってなくて、ぜんぜんビジネスの形もできてないときに、若造の私たちに1億円の小切手をその場で書いていただきまして。
矢澤:1億ですか?
山田:そのとき、12時間プレゼンしたんですね。
矢澤:12時間?
山田:はい、お昼から夜中まで。最終的には「わかった」ということで小切手をいただいて応援をしてくださった。
今の自分たちがいろいろやってきたなかで、そのときのようなことを「次の若手にできるだろうか?」と常に意識しています。なので、その方との出会いは最も大きかった。
矢澤:今、振り返ってもすごいことだったんだなと?
山田:ネットなんて本当にこれからどうなるかわかんないというのが当時の状況ですから、どこの馬の骨かわかんない若造に1億なんて出せないですよね(笑)。
矢澤:出せないですね(笑)。
山田:感謝していますし、その方にはきっといろんなものが見えてらっしゃったんだろうなと思いますね。
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