2024.10.10
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林信行氏(以下、林):これから2日目の最終セッションということで、デジタル×ファッションということで75分間パネルディスカッションをやろうと思います。
森田さんという方、今回IVS初参加なんですけれども、非常にすごいテクノロジーを持っているので、そのテクノロジーとあとB2i(Business to Individual)という話をしてもらえればと思います。森田さん、よろしくお願いします。
森田修史氏(以下、森田):デジタルファッションの森田でございます。よろしくお願いします。
私の会社は、もともと東洋紡の研究所から始まった会社で、布と三次元をずっと追求してる研究所でございました。今から15年前に独立してできた会社でございます。
今ご覧いただいているムービーのようなものを最初に完成品として出していく。これは三次元で人体、マネキンを入力しまして、それに対してモーションキャプチャですね。本当のモデルの動きを入れてます。
この服ですけども、実際に型紙データから三次元状態で縫製をして着せ付けてると。そのときにこの布の物性、データを入れてます。
あとこれ光のデータ、光学の情報も入れてます。いわゆる光がどう入って出るかというようなことも素材にとったら異方性というものがございますので、そういった表現をしたかたちで行っているムービーでございます。
これがデジタルファッションショーということでございますけど、これにいたる過程はいろんな形がございます。
今、林さんから紹介いただきましたけども、B2iというところのご説明を始めたいと思います。
そもそもファッション業界、つまりオーダーメイドというところでございますが、今は回帰してる状態にあるんじゃないかなと思ってます。
ただ、服作りをしてる若い子はなかなかいなくて。それをデジタルが補ってある程度自分がオーダーメイドしてるようなかたちになっていくんじゃないかなと考えてます。
そもそもB2Cという言葉が出てきて大分になるんですけど。つまり、コンシューマですね。実際に大量生産、大量消費という時代が長く続いてきたと思っています。
それが本当に人間にとっていいことなのか、実際、自分の要望を叶えているのかというようなことですね。
そもそも人間、みなさん違うということでございます。体型も違う、考え方も違うわけですよね。こういったもので1つの服を合わせるというのは、無理があるんじゃないかと考えています。
つまり、インディビジュアルですよね。個人に対してモノづくりが行われなければいけないんじゃないかと。
これは先週行ってきた縫製工場なんですけど。これはただ単にバラバラに置いてるわけではなくて、これをこのあと一気に縫うんですね。いわゆる柄違い、デザイン違い、サイズ違いをすべて異なってるわけですけど、一気に縫うラインができてる。
なぜかと言うと、デジタル上で最後は合成して最終的な商流につなげていくというようなラインがもうでき上がってるからですね。
今までの既製服という概念。これで大量生産をしてるわけですけども、こういったものがもうデザイナーが考えて生産施設に行き、店舗あるいはWebで販売し消費者に渡るという当たり前の流れですね。
いろんな問題があります。在庫切れであるとかコーディネーション不足とかサイズが合わない、イメージが違う。
こういうようなものからみなさんご存知のとおり、Industry4.0のファッションというあり方を考えたときに、やはりこの辺は改善していかなきゃいけないと考えてます。
我々が考えているのは、クリエイター=インディビジュアルユーザーということです。つまり、クリエイターと個人がより密接につながって、先ほどのような川上、川下という考え方でなく、どこからでも始まってどこからでもつながっていくというような形。これがB2iのビジネスモデルです。
これを表現するためのプラットホームというのが今後必要になってくるんじゃないかなと考えてます。
こういった革命が起こることによって、カスタマイズ、いわゆる既デザイン服ですね。オーダーメイド注文服というのが当たり前のようなかたちで、既存の服と変わらないコストででき上がってくるんじゃないかなと考えてます。こういった流れを今後プラットホームを通していろいろ提供させていきたいと考えてます。
(動画を見て)これは実際に三次元スキャナで人体を2秒で測ります。測った結果がここに出まして実際にサイズが飛んでますので、もうこれで実際に三次元で服をデザインして、グレーディングといいますけどサイズ、個人の体型に反映した型紙ができ上がってます。
今度は型紙ができると、選んだ色、柄でデジタルプリンティングという操作が入り、その後に実際にカッタープロッターでカッティングして、あとは縫うという作業ですね。
いわゆる色、柄、サイズ違いが一気に裁断して縫われる。いわゆるオーダーメイドの大量生産という時代がもうそこに来てます。これは実際にやってる日本の工場です。
こういったことが行われていくことも我々はずっと推奨してやってきてるわけですけども。今年9月に実はISOの総会が日本でございまして、これ珍しいことらしいんですけども、これをTC133といいまして、経産省も重要のTCと認めていただいてるものでございます。
何やってるかというと、サイズの標準化なんですね。日本はGIS規格というのございますけど、ISOでサイズの標準化をしようという中の1つにバーチャルフィッティング、いわゆる三次元上で人体を表現して、それに対して標準化を持たせていこう、服の標準化を作ろう。あるいは人体の標準化を作ろうという集まりでございます。
これに我々も関わらせていただきまして、まず第一弾、5ヶ国の賛同を得ないと次へ進めないんですけど、一応今年進むことになって6ヶ国賛同いただいたということで今動いてます。
何をしたいかというと、ご存知のとおり日本のアパレルメーカーで海外に売ってるアパレルメーカーはどこがありますかと。ユニクロですかということですね。
これがグローバルになることによって、もっと日本のアパレルメーカーが海外のことを知らないといけない。そのときに共通のサイズを測って、その体型に応じて服を着せ付けてどう見えるかということをEC上で表現できれば、イーコマースにも賛同できると。
そのときに日本の高レベルないわゆる素材であるとか型紙設計技術、縫製、そういった価値が優に出せれば海外でも商売できるということでございます。
つまり体型の三次元化と服の三次元化、それを着合わせてどうなるかというようなことが今まさしく議論されてるということですね。
そのなかで、我々がやっているアプリをご紹介させていただきたいと思います。
1つはこういうクリエイターと組んで、今年appleストアでリリースさせていだきました、HANAE MORIというブランドなんですけども。こちらのアプリを1回ご覧いただきたいと思います。
このアプリはもともとWindows用でやったんですけども、今回iOSで初めてリリースしたというようなかたちになります。
こちらに三次元上で冒頭にご覧いただきましたデジタルファッションショーの映像が流れます。
このワンピースはもうすでにHANAE MORIがデザインしたものでございます。もちろん拡大して。これ先ほど申し上げたように、モーションキャプチャーを顔も撮ってますので表情が出ます。
これに実際にHANAE MORIがデザインしたプリント柄をリアルタイムにあてはめることができるんです。
特長はこれを例えばもう柄を小さくしたいとか大きくしたいとか、変えていきたいというのがリアルタイムに行えるということです。もう1つの特長は、これは型紙ごとに変えることができます。
何を申し上げたいかというと、これが作れて、これくださいということでオーダーして買えることになっています。もちろんワンピースだけじゃなく、いろんなアイテムが可能になるアプリを行ってます。
ここで注目いただきたいのが、服だけじゃなくて、時計も1つのファッション、先ほどの話ですけども自由に色、柄を変えるというようなことも可能になってくると。
こういうアプリを使って実際に生産ラインとつなげていこうというような今流れになってます。
これを実際のappleストアさんでやっていただいて、そのあと伊勢丹さんでコーナーを設けさせていただいて販売をしたというような流れですね。
もう1つがデジタルで3Dになるということは、デジタル情報に置き換わるということで、これが3Dプリンタにそのまま出せるわけですね。一番右が実際に3Dプリンタで出したものですね。こういった流れも今後可能になるというようなことでございます。
ほかにもいろんなアプリをやってます。例えば、着せ替えのアプリで、今これはもうすごくアナログなんですけど、写真を撮ったものに着せ替えしていくというアプリですね。これが実は主流です。
今はこういうバーチャルフィッティング。みなさんもどちらかで体験されたことあると思いますけど、これは3年前からグランフロント大阪で常設でやってます。いまだに一番人が来てるということで。
ちょうど2日前見に行ったんですけど着物も入れてまして、外人の方がかなりたかって着物を取りあいしてたというのが印象的でした。こういうようなことをやってます。
実際に我々こういうコンテンツを作るクリエイターも育てておりまして。ある学校では三次元でのファッションの授業を今行いつつあります。
この子たちはいわゆる服飾学科とか被服学科とかじゃなくて、情報メディア学科の生徒なんです。その子たちが型紙は何かというところから学んで、自分たちのトレンドのある頭でデザインをつくっていくことが行われているということです。日中韓のファッションショーも、デジタルで行ってます。
最終的には我々、これ糸1本から作ったものを三次元で着合わせてどうなるかというようなことも今考えております。
これは最後に服以外のところでございますけど。先ほどのHANAE MORIのアプリと同じように、これはプロジェクションマッピングと連動して、こちらで描いた柄がここに置いてあるソファに写して描いていくことも、実際の売り場でつながることができるんじゃないかと考えています。
最後に我々デジタルファッションとして研究所から始まって動いてまいりましたが、昨年新しいCouture Digitaleというプロモーションをやる会社を設立いたしまして。こちらで今後ますますこのビジネスモデルをプラットホームをつくっていくことに力を入れていきたいと考えております。どうもありがとうございます。
林:森田さん、ありがとうございました。
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