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ソウゾウのつくりかた(全2記事)

「他社がやるなら自社でやる」メルカリ新会社、ソウゾウが攻めの姿勢で手がける新アプリ

「メルカリアッテ」は、スマホの位置情報を元に、近くの利用者同士が直接“会って”、モノやサービスなどの売買を行うことができる地域コミュニティアプリです。アプリのリリースを記念して、2週連続で開催された「atte FeS」では、アッテ誕生までの裏側がさまざまな側面から語られました。本パートでは、同アプリを手がける、メルカリのグループ会社・ソウゾウ代表の松本氏が、「ソウゾウのつくりかた」をテーマに、新会社で新規事業を始めることのメリットやメルカリとの関係などについて話します。

世間の注目を採用に役立てる

松本龍祐氏(以下、松本):最後は、少しやらしい話なんですけれど(笑)、「新しい会社作りました!」って言うと、一回ワーっと注目されるじゃないですか。採用はやはり注目されてなんぼかなと思います。

もちろん最終的に、応募してくれる方に決めてもらうためには、会社と方向性が合うかとか、事業が魅力的かとか、いろいろあるんですけど。まず、気付いて興味を持ってもらうためには、目立つことが大事です。そのためには、「新しい会社できました」というのは、絶好のチャンスだと思うんですね。

あと、特に開発においては、メルカリはPHPというイメージがとても強いので、新しい言語でチャレンジするということも無視できない効果だったんじゃないかなと思っています。

というのが、なぜ新しい会社を作ったかというところの話です。

ここで、事前にいただいた質問に、一問一答的にお話していきたいと思うんですが「新規事業において社内リソースの確保はどのようにしたんですか?」というよくあるご質問。

悩ましいんですけれど、基本は自前でやるしかないんじゃないかと思っています。新規事業をやるということ、イコール、自分で採用する、チームを作るという気概がないと、新規事業はやりづらいんじゃないかなと、私は思っています。

人を集められなかったらしょうがないですよね。ソウゾウ社の場合は、メルカリと同じ基準、メルカリにも入れるくらい、メルカリに入ってもいいと思えるような人であれば、何人採用してもいいよと最初にコミットしてやらせてもらっているので、「メルカリからたくさん人をください」と言うのではなくて、このくらいの事業がやりたいんだったら、このくらい人を採用しますと決めて、事業を進めている。組織を大きくしているところです。

逆に、新規事業をやるのであれば、ある程度の採用の裁量権というのは持ったほうがいいんじゃないないかなと思っていて、今回は、うまくいったなと思ってます。

メルカリとソウゾウ、それぞれの立ち位置は?

次に、メルカリとの立ち位置なんですけれど、最初に話し合ったのかとか、また今どういう感じでやりとりをしているのか、というところですが、まだあまり厳密に決まってないです。

ソウゾウ社が今後の新規事業を全部やるかどうかもわからないです。メルカリがやるかもしれないし、ソウゾウがやるかもしれない。

どうやってやりとりしているかなんですが、基本的な方針決定は、今、僕が全部しています。グループ会社というよりも、独立した会社に近い意思決定ができていると思います。それで、「こういうふうにやっていくよ」というのをメルカリの代表の山田と週1回ミーティングすることで、方針を全部決めているという感じです。

ただ、アッテのCSについても、今はメルカリのCSチームにやってもらっていたり、マーケティングとかいろんなところでメルカリに助けてもらいながら、アッテを運営しています。助けてもらうことに関しては、ミーティングをさせてもらって、思いっきり助けてもらって、教えてもらいながら今、事業を進めている感じです。

ただ、自由に動けるように、意思決定のプロセスについては、極力シンプルに一本化しているというのが、今かと思います。

メルカリとのカニバリは気にしますか?

「既存事業とのカニバリって気にしてますか?」。

これも、今アッテを開いていただくと、モノの売り買いが手渡しの範囲でできるようになっていて、かつ、それが手数料無料なのでよく聞かれちゃうんですけど、あまり気にしてないです。まだまだ小さいので、まずは気にしていなくて、他社がやるくらいなら自分たちでやるべきだと思っています。

インターネットの世界自体がどんどん発展して、もっとパイが増えていっているので、自社の小さいカニバリを気にするよりも、新しいユーザー、シェア取っていくことを優先したほうがいいんじゃないかなと思っています。

というあたりが、会社設立の時に意識したポイントになりますね。

ソウゾウ社のこれから

最後に、「メルカリ、メルカリアッテに継ぐ、新規事業の企画について」というご質問をいただきました。

ということで、ソウゾウ社のこれからについてお話させていただきます。

もともと、メルカリがモノのC2Cのサービスでした。これに対して、新しくアッテは、ヒトとコト、ヒトとヒトとをつなぐとか、ヒトができること、サービスとヒトをつなぐことを、今コンセプトとしてやっています。

まず、今2つのサービスができました。

実は、あえてあまりわかりやすくはしてないんですけど、アッテの会員登録には、メルカリIDを使っています。

今後アップデートがかかると、アッテでサービスをやり取りしたあと、評価ができるようになるんですが、この評価をアッテでするだけじゃなくて、メルカリでユーザーさんが今までどういう評価をされてきたか、その評価の情報がアッテでも見れるようになります。

ユーザーさんと評価が紐づくようになって、今後はメルカリのポイントも紐づくようになります。この共通IDを中心としたプラットフォームをこれから作っていこうとしています。

ここまでいくと、今、メルカリとアッテの話をしたんですけども……。

新しいサービスを、例えば、メルカリ、アッテの特定のカテゴリーをもっと便利にするようなサービスを増やしていったり、近しいけれど違うようなサービスを増やしていったり。

というようなかたちで、メルカリのIDとか、評価経済というレベルだと思うんですけれども、その仕組みをベースに新しいサービスをどんどん作っていきたいと思っています。それを我々、ソウゾウ社を中心にやっていきたいと思っているところです。

以上になります。今後もソウゾウに、ぜひご期待いただけたらと思います。

ちなみに、この公式キャラクターなんですが……。

LINEスタンプを売ってるので(笑)。ぜひ「ニャッテ」で検索して買っていただけたらなと、これが我々の初めての売り上げなので、ぜひご協力お願いします。

(会場笑)

ありがとうございました!

(会場拍手)

アッテのマネタイズはどう考えているのか?

司会者:それでは、質疑応答に入らせていただきます。なにか質問がある方?

質問者1:本日は、お話ありがとうございます。今、LINEスタンプが初めての収益ということだったんですけれど、今後のマネタイズはどうお考えなのかなということをお聞かせいただければと思います。

松本:ありがとうございます。メルカリ自体も有料化したのは1年くらい経ってからなんですね。まず、サービスを大きくすることが一番だと思っています。

ただ、今は一定の範囲しかユーザーさんが見れないようになっているんですけれど、今後はお金を払ったらちょっと遠くのヨガ教室さんも見れるようになるとか、そういう距離を起点としたオプション広告とか、カテゴリーの上位に掲載する広告などをやっていきたいなと思っています。プレミアムモデルでいきたいと思っています。

質問者1:ありがとうございます。

松本:どうぞ(グッズを渡す)。ほか質問はいかがでしょうか?

質問者2:今、プレミアムモデルとおっしゃったんですけど、例えば私の家は千葉の市川なんですけど、市川の周辺を会社でも見たいというときに、なにか方法がこれから追加されるんですか?

松本:この話は、あとのUIのところでも出てくるかもしれないんですけれど、これはすごく迷ったところで、ユーザーさんが市川のお家でも、会社でも見れるようになるべきだと思っているので、そこはお金を払っていただくポイントではないんじゃないかなと思ってます。

ただ、まずはシンプルにしたかったので、今いる場所を起点とするという仕様にしました。迷わないように。今後は、お家でも会社でも見れるようにしたいなと思っています。

質問者2:追加、ぜひお願いします。

直接会うことに抵抗はないのか

司会者:ほかになにか質問のある方はいらっしゃいますでしょうか?

質問者3:日本人って直接会うのに苦手意識があるというか、アメリカ人みたいに初対面の人と会って物を交換というのはけっこう難しいと思うんですけれど、そういう対策をされる予定はありますか?

松本:これもまだ、探り探りなんですけど、会ってもらうと「たいしたことなかったな」という感覚なんですね。ユーザーさんの声を聞いていても。

なんですけれど、最初の不安を払拭するために、例えば「メルカリのIDの評価が300いいね付いているんだったら、たぶん安心だろうな」とか、事前にユーザーさん同士の交流がもう少しアプリ上でできる仕組みを整えたいなと思っています。

質問者4:ご説明ありがとうございます。サービスの作り方などについておうかがいしたんですけれど、このサービスを使って、具体的にどんな世界にしたいとか、どういう目標があるかとか、そのへんをお願いします。

松本:メルカリが、モノを直接買わなくてもよくて、ムダが省けて、摩擦が少ない社会を作りつつあるなと思っているんですが。人がほかになにか行動するサービスの領域においても、例えば、料理を習いたいと思ったときに、必ずしも料理教室に行かなくても、実は、お家の近くの方が料理が得意かもしれない、みたいな出会いがあって。

もっとやりたいことをスムーズにやれる、そういう世の中ができたらいいなと思っています。

ほかに、ご質問いかがでしょうか。

質問者5:細かいことで申しわけないんですけれど、一番最初、アイデア出しレベルの段階で、インターン生と一緒に考えていたとお話されていましたが、インターン生に限定したのは、なにか理由があるんですか?

松本:深い理由はないです。プロジェクトチームを作ってもよかったんですけれど、どちらかと言うと、本当にアイデア出しの段階だったので、相談相手が欲しかったという感じだったんです。

メルカリ自体も、この半年間でだいぶ人が増えたんですけれど、日本とアメリカを含めても、当時プロダクトを作っている人って、たぶん30人台。今は50人近くいると思うんですけど、それでやっているので。

やるかやらないかも決まらないことに人は割けないと思って、インターン生もこのために新しく入ってもらったんです。というかたちでやってました。

実際、インターン生が入ったら大活躍で、新規事業を始める頃には、インターン生も取り合いになってたという感じなんですけど(笑)。そんなかたちで、このメンバーでやりました。

ほかにも手を挙げていただいていたんですけれど、お時間になりましたので、次のセッションに移りたいと思います。ありがとうございました!

(会場拍手)

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