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20代の働き方・経験の積み方(全3記事)

DeNA赤川氏「人生はA/Bテストできないから」 選んだ道を正解にする、という生き方

GREE(グリー)やDeNA(ディー・エヌ・エー)など、いまや就活“新御三家”と呼ばれるまでに成長したメガベンチャーで活躍中の若手起業家たちが、自らの学生時代を振り返り、起業に至ったエピソードや信念、今に至るまでの経緯について学生たちに向けて語りました。大企業、ベンチャー、起業。自分らしい仕事の選び方を考えさせられるセッションです(IVS 2014 Spring Workshopより 後編)。

権威よりも実際に"モノをつくれること"

小野:じゃあ次の方。

質問者:お話ありがとうございます。お話していただきたいのは、社会に入って行くときに自分が持っているこれをやりたいとか、プリンシパルな部分ってあるかなと思ってまして。それが社会に入って失われてしまう人とかもいるのかなと思っていまして。それを失わないためとか、そもそも失ってステージを上がっていくのが楽しいんだよとか、失いそうなのが怖いんだったら、それを防ぐための自分の考えとかがあったらお聞きしたいなと思ったんですけど。

小野:なぜそれを聞こうと思ったんですか? 失うわけでも、プリンシパルなものがどういうものかわからないですけど。失うか、失わないか、これからじゃないですか?

質問者:僕は個人的には、いわゆる資本主義の下準備構造で、その中で自分を失うのがすごく怖くて、自分はどうしたらいいのかなって考えているんですけど。自発的にやりたいことをやったほうが人は幸せだと思っていて。

小野:どうですか? 昔こんなこと考えてたけど、いま全然違うとか。その思いが続いているとか。

赤川:今の世の中において、権威とか全く意味がなくて。最近世の中の流れを見てて思うのは、いわゆる戦略的経営とかいうよりも、プロダクトそのものだったり、サービスそのものだったりとかのほうが、圧倒的に重要だよねという時代になっている。名前だけ肩書だけあってものが作れないっていうのは、本当に存在意義がないという状況になってきて。真の実力者は権威の方だけに向かうとダメなんですよね。まず、自分の権威、名声を守るみたいな方向にいくのは絶対にダメだと。

僕自身は、権威名声を守りにいったことは1回もないんですけど、つい最近まさに今話した話があって、俺、昔もっとアグレッシブだったのに、最近守り入ってないかなと、ここ半年の自分の振り返って。200人くらいの組織を見てるんですけど、組織マネジメントをする上でなんかちょっと固かったなと。“ビジネスプロフェッショナル然”としすぎた形で、ゲーム作りのチームを組んでいたことがあって。本当に反省して、1週間くらい前の全体ミーティングと経営会議で「今年の赤川の行動規範を決めた」「今年の赤川はやんちゃで行きます」という話をしたんで。

もともと、根は真面目なんで、どこまでやんちゃ度が高まるかわかんないんですけど、とはいえ、組織を変えるために硬くなっている、硬直化してるところがあったら破壊しないといけない。破壊する方法はメッセージとか、プリンシパルをバーンと宣言するとか、明文化するとかも大事なんだけど、やっぱり背中で語っていかないと、人ってついてこないところがあるので。

まず今年、自分自身が俺が変わるという話を全体に向けて話をして、「やんちゃと宣言する時点でやんちゃじゃないのでは」とか突っ込まれてるんですけど(笑)、それでもちょっとでも組織が良くなるように自分自身が今変わろうとしているところですね。

社会に出ても、すごいやつはすごい

有安:プリンシパルが変わっていく問題? 変わりますよね、というのが基本で、社会に出ていない段階でこうしたいとか、こういうことをやりたいとかっていうのが固まっている人ってすごい少ないと思うんですけど。そういう人はむしろ幸運で、そういうのを持ちつつ、頑張ればいいと思うんですけど、ほとんどの人はそれがそこまで具体的じゃないはずなので、変わっていく、アップデートしていくイメージですよね。

会社によって違うと思うんですけど、会社選びや業種選びをミスらない限りは、むしろ会社とか組織を使って自分を高めるというか、自分の人生なんで、自分の人生の重さも自分の人生なんで、自分がよりよく生きるためにどう会社を使い倒してやるかぐらいの気持ちでいれば、そういうリスクはそんなにないんじゃないかなと。僕は思います。

僕の周りでも、僕、今30過ぎですけど、学生時代すごい輝いていたのに、大学出て大企業に入ってダメになっちゃった奴って実はそんなに多くないなっていう印象があって、元気な奴は社会に出てもいろいろ頑張ってるし、どっちかっていうと受け身でおとなしめに生きたいっていうとそのまま行くし、あんまりそこは心配する必要はないのかなと思いました。

「やりたいことをやっているか」だけに集中する

荒木:画一的になりたくないっていう考え方が、実は画一的っていう考え方にとらわれていますね。やりたいことをやっていれば、それが人から画一的って思われようがそうでなかろうが、あまり関係ないのではなかろうかと思っているので、「やりたいことをやっているか」ということだけ意識していればいいのかなと思いますね。

最近自分でも思いましたけど、やっぱりさっき言ったとおりですね、ビジネスで死なないっていうのがすごい大事で。なんでみんなが我慢したりとか、あるいはよく言われる歯車的なことに我慢することになってしまうかっていうと、怒られたくないからですよね。怒られたくない、あるいは降格されたくない、あるいは昇進したいっていう気持ちは、突き詰めていくと我慢していくってことになるじゃないですか。

だけど、別に褒められなくても、降格になっても、クビになってもいいや、なぜならビジネスで死なないからって思うと、割と好き放題言えるんで、そういう自由な感じがいいと思いますね。たまに、そういう自由な発言しててパフォーマンス出してない人もいるんで、ダメだなって思うんですけど、我慢するよりはいいんじゃないでしょうか……という風に僕は思っています。

情報がある時代だからこそ、直接誰かにアタックする

小野:あとひとりくらい。

質問者:総合政策学部2年のミナミと申します。お話ありがとうございました。自分が背伸びしたような感覚のときって、わからないことだらけだったり、自分の力のなさや知識のなさに苦しんだことがあると思うのですが、そういうときはどうしていましたか?

荒木:たぶんほとんどのケースで、世界初のことをやってるわけじゃないと思うんですよね。誰かが同じことをやったことがある人がいるはずなんですよ。ということは、その人に聞くなり、そのことについて書いてある本を読んだりすれば、少なくとも誰か経験者がいるはずなので。と思って僕はそうやって学んできた気がしますね。知ってるとできるは違うんですけどね。

武石:そもそもまず、背伸びしなければいけない環境にいること自体が入り口として正解だと思うので、そこに対して必死に何が何でも四方八方手を尽くして頑張ると、気がついたらそこまで至らないまでも、普通のレベルよりはちょっと成長しているみたいな、そういうことが経験として結構多かったなと。

そこに至るために、いろんな人に聞くし、とにかくいろんなものを調べまくるし、自分で経験して失敗してもいいし。そこのサイクルの中で見出すというのが、一番正攻法で王道なのかなと思いますけどね。

赤川:頭でっかちにはならないでほしいなと思うんですけれども、本当に情報がこれだけあって、かつ、コミュニケーションがすぐ取れるんですよね。それって本当にいい時代だなと思うんで、例えば、この人の考え方はすごいな、この人これやったことあるんだと思えば、TwitterでもFacebookでもLinkedInでも突撃すると意外と答えてくれたり、会ってくれたりってすると思うんですよね。

行動が大事だなっていう時代になってくると思うんで。せっかくこの時代に生まれて、情報がある時代だからこそ、直接誰かにアタックするっていうことをやると、たいていなんか知ってる人が多いかなと。

小野:大丈夫ですか?

質問者:ありがとうございました。

人の意見で決めた決断は後悔する

小野:もうひとり、誰か手が挙がってますか?

質問者:総合政策2年のコイデと申します。1つ質問があるんですけど、人生の決断のポイントをお聞きしたいことがあって。自分自身での自分自身でやりたいっていうことがあるのと、周りの価値観にかなり影響をうけることがあると思って、例えば、周りがベンチャーやりたいって言ったら、俺もベンチャーやらなあかんのかなとか、周りが大企業に行ったら、俺も大企業にせなあかんのかなとか。

かなり僕は人がやっていることに合わせるのが嫌いなんで、周りがベンチャーとか起業とかしてるんで僕はひたすら勉強してるんですけど、そういう風に他の人の意見が参考になることもあって、自分自身がやるべき自分の文脈と、人の周りの環境を参考にするっていう部分の折り合いをお聞きしたいんですけど。

有安:折り合いですか? でも、人と同じになりたくないってことは、基本周りに逆に影響されていますよね(笑)。と思いつつ、僕が思っていたのは、僕が大企業の外資に入って2年で辞めて、周りが衝撃を受けても、同期の中でも一番早かったんですよ。「なんで辞めるの?」「もう辞めるの?」って言われて、母親に報告したら半べそかかれちゃって「なんで辞めちゃうの? 大企業辞めるなんて」みたいなことを言われたんですよ。

でも、僕がそこで思ったのは、この人生は誰の人生なのかと。自分の人生だと。他人の人生を生きているわけじゃないので、他人の価値観で他人の人生を生きているわけじゃないので、人は極論、関係ないなと。

人の目が気になるとか、人がみんなこういう風にやっているから自分は逆を行こうとか、当然なので、人は社会的な動物なので。でも、それを置いといて、自分が一番腹の底から満足できる、こうだったから後悔しない、失敗しても後悔しないと思える決定はどっちなのかなっていうのを考えて、決めてました。

結果的にそれが失敗だったり、ダメだったりしても、納得できるはずなんですよね。人の意見に左右されて決めた決断だと、相当後悔するはずですよね、失敗したら。なので、Follow your heartじゃないですけど、自分の心に聞いてみると意外と答えはあるんじゃないかなと思います。

質問者:ありがとうございます。

自分が選んだ道を正解にしていく

武石:僕もちょっと1個思ったのが、自分の直感とか決断を正解に変えるのって自分しかいないと。だから、そこだけ間違わなければ、どの選択肢、人に流されようがどうしようが、そこの前提があれば全部正解だと思います。逆に言うと、そこが決められない状態で、なんとなく決めちゃったりとか、なんとなく自分探ししちゃうと、自分がブレちゃうと思うので。

それこそ、右脳で決めた直感だったら、それを正解に変えるためにあらゆる努力をするとか、あらゆるアプローチを続けるとか、このプロセス自体が人生での手がかりだと思うんで。そういう構え方で物事とか決めて行動できれば幸せじゃないかなって思います。

質問者:ありがとうございます。

赤川:まさに、A/Bテストっていう考え方がウェブサービスにはあって、2つ同時にやってどっちか結果がいいほうにするっていう考え方なんですけど、自分の人生とか人が生きるってことだけはA/Bテストできなくて、どっちか決断しないといけないんですよね。決断したときに、あっちはどうだったのかなって結果的にわかんないんで、「自分が選んだ道を正解にしていく」っていう努力は大事だと思います。

あと、もう1個僕が思っているのは、大学3年でDeNAに入ることを決めたときに考えたことなんですけど、それまでの自分の人生って結局、自分の人生の責任は自分しか取ってくれないんだなってことにどこか気づいていなかったり、気づいていたんだけど気づかないふりをしていたところがあって。それに自分の人生と向き合っていく過程で、どっかで気づいたんですよね。

周りはものすごくサポートしてくれるし、周りのことも大好きなんだけど、最終的に自分自身っていうものだけが自分の人生を決めることができるんだと、そのカードだけは結局親も持っていないんだ、ということに僕はそのとき気づきまして、それからはまさに自分の人生を生きるためにどうするとか考えるようになりましたね。

質問者:ありがとうございます。

何よりも難しいのは、1歩目を踏み出すこと

小野:じゃあそろそろ時間なんで。今回は20代の働き方・経験の積み方というテーマで最初のセッションだったんですけれども、いろんなキーワードが出てきた中で思ったのは、自分ができるかできないかじゃないけれども、ちょっと引き上げられそうな関係を選ぶとか、そういう人のもとに行くとか、1つのキーワードが出てきたのと。

あとは、凹んだりとか、チャレンジできそうなところを、苦しいところを選んだときには、「とはいえ、死なないし」と。「寝れば忘れるし」というところも1つのキーワードかなと。あと、何より1つ大事なのは、自分の直感を大事にするとか、自分の本当にやりたいことにしたがって経験だとか判断をしていくってことがいいのかなって思います。

最後にオーディエンスの皆さんにひとりずつメッセージを。こういう経験をぜひ積んでほしいとか、こういう未来を作って欲しいといったメッセージをお願いできればと思うのですが。

有安:僕も、うちの働いている学生とかから相談を受けるんですけど、◯◯してみたいんですとか、起業したくてこうこうこういうアイデアがあって、とかいろいろ聞くんですけど、その日にやったほうがいいですね。さっき手を挙げて、起業したいとか思っていた人は本当に今日やった方がいいですね。簡単なパワーポイント1枚の企画書でも作って。

やっぱり行動するっていうところからしか新しい視野とか新しい価値観とか見えてこなくて、それってすごい時間のロスなんですよね。何かしら具体的に行動を起こしてみると、助けてくれたり、アドバイスくれたり、「うちでちょっと働いてみない?」っていう声がかかったり、いろんなことが起こり始めるので、1歩目の行動をすごく早めにやるっていうのが大事かなと思います。

誰かが言っていた、何かを始めることで一番難しいことは一歩目を踏み出すことだ、みたいな。本当にそうだなと思っているので、すぐ行動することをメッセージとしたいと思います。

興味関心で学んだことは、いつか必ず応用できる

武石:僕はですね、SFC関係者を前にしてあれなんですけど、学部生時代、僕結構SFCっていう大学が苦手だったんですよ(笑)。勉強とか大好きだし、いろんな授業もたくさん受けたんですけど、ただ何を思ったかって言うと、こんなにいろんな授業があって、とにかく授業を取っていったら何になったかって言うと、器用貧乏になったんですよね。

器用貧乏だから、ずっと自分の興味関心にしたがって行動した結果、5年後10年後にこうやって社会人として働いて、まさに今自分でも起業してますけども、そのときに勉強したことって基礎体力としてめちゃくちゃ役に立っている、というのをすごく感じていて。

SFCって起業やったり、ベンチャーやっていく上で、めちゃくちゃ体力つく本当に素晴らしい大学だなって今一度手放しで褒めたくなるような経験をさせてもらっていて。そういう意味でも、今皆さんが置かれている環境の中で学んでいることとかが必ずいつか絶対に役に立つ、それが総合体力としてめちゃくちゃ役に立つ日が来ると思いますので。

ぜひとも、将来起業したいとか希望されている方は、今持っている興味関心とか、今学んでいることをいつか必ず応用できると信じて頑張っていただきたいなと思います。

インターネットネイティブ世代しか作れない価値がある

赤川:僕、今日1個話したいなと思ったことがあって。皆さんの感性っていうのが僕は非常に羨ましくって、皆さんは完全にインターネットネイティブ世代だと思うんですよね。僕は今30歳なんですけど、僕が18歳のときは、ダイヤルアップで23時に】なんないとネットに繋げないとか、そういう時代だったんですけど。皆さんは子どもの頃から当たり前のようにインターネットがあって、YouTubeがあってっていう世代で育ってきたと思うんですよね。

だから僕は、今の皆さんの感性じゃないと作れない新しい価値っていうのが世の中に確実にあると思っていて、残念ながら、僕ではどう背伸びしても持てないものってあると思うんですね。事実、グローバルで見ると起業家の年齢ってどんどん下がっていて、皆さんの同世代から世の中を激変するような新しいサービスがどんどん出てきてると。

なので、新しい付加価値が大事で、過去のことを踏襲することが正解じゃないので、皆さんなりの感性でこれは面白いんじゃないか、いいんじゃないかっていうものをぜひやっていってもらいたいなって思っていますし。やるための場所が必要であれば、ここにある会社もそうだし、クラウドソースでもそうだし、副業っていう手段もあるし、VC(ベンチャーキャピタル)もいるし、いろいろサポートは受けられるんで。

今日から皆さんが考えていることを行動に移してもらって、一緒に世の中をいい方向に変えていけたらいいなって思っています。皆さんの行動と結果で世の中が変わることを期待しています。頑張ってください。

小野:最後、荒木さんお願いします。

荒木:今の話を僕なりにまとめると、まず、何をやるかっていうと面白いことをやると。いつやるか、今やる(笑)。不安になっても大丈夫、死なないから。そういうことです。頑張ってください。

小野:ありがとうございました。ということで、本日1発目のセッションを終了したいと思いますが、最後に、4人のスピーカーの方々に大きな拍手を送りたいと思います。ありがとうございました。

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