2024.10.10
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スタートアップ・ピッチ1 ライフイズテック(全1記事)
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水野雄介氏:こんにちは! 大学生のみんなの中で、起業したい人はどのくらいいるんですか?
(会場挙手)
じゃあ、スタートアップで働いている、インターンをやっている人はどのくらいいますか?
(会場挙手)
なるほど。実際、起業してる人はどのくらいいますか?
(会場挙手)
なるほど。まだ始めて5年の会社なので、僕がみんなに伝えられることがどのくらいあるかわからないけど、自分なりに考えていることを話します。
ちょっと特殊で、教育の会社なので、そういったところを見てもらえればなと思います。Life is Tech!の代表をやっている水野と申します。よろしくお願いします。
僕らは大学と連携して中学生・高校生向けのITの教育をやっていまして、例えばiPhoneのアプリを作ったり、みたいなことをやっています。
自己紹介をすると、僕は慶応なのでずっと日吉に住んでいて……慶応の学生います?
(会場挙手)
「マリーン」(注:日吉のイタリア料理店)知ってます? 知らないか(笑)。パスタ食べてきたんだけど、トレンチノというのがおいしくてね。日吉に住んでいて、矢上(キャンパス)まで行っていました。
みんなと違って、僕の場合は麻雀が好きで(笑)。テニスサークルにも入っていて、起業なんか全く考えたことのない学生でした。
3年生のときに、理系の友達が「電通のOB訪問に一緒に行こう」と言うから、「行きましょう」ということになったんですが、何の会社かわからなくて。電機通信系の会社だと思ってたんだよね(笑)。それくらい、社会のことを知らない人でした。
そういった中で、たまたま物理の(教員)免許を持っているんだけど、開成高校というところで非常勤の講師ができて。働きながら、その収入で大学院に行って。その後3年間ワイキューブって会社に行った後、27歳のときに起業しました。
僕は中学生・高校生の可能性を最大限伸ばすということが本当にやりたくて、それをやるための手段として、一番起業が早いんじゃないかなと思ってやっています。(プログラミングITキャンプは)日吉でもやっているし、東大、慶応、九大、京大など15大学と連携させていただいています。
中高生が5日間くらい来て、iPhoneのアプリを作ったりする。だいたい5、6人で1チーム。「Android初級コース」みたいな感じで、そこに大学生がついて教えるという仕組みでやっています。
やっぱり、リアルであることの価値を大事にしたいなと思っていて。スキルだったら、やる気があれば、Webでも本でも、どこでも学べるじゃん? そうじゃなくて、この場に来る価値、リアルの価値。それはやっぱり友達と出会えるとか、なかなか学校では褒めてもらえないITのところを褒めてもらえたり。
「こんな先輩になりたいな」という大学生に出会えたり。後は、「こんなところで研究をしてみたいな」とか、非日常の空間で勉強できるというか。「目指せ、ディズニーランド」じゃないけど、中高生に「ディズニーランドよりLife is Tech!に行きたい!」と言ってもらえるような場所を作りたいと思ってやっています。
まとめると、中学生・高校生向けのITのキャンプをやっていて、全国15大学、14コースです。人気があるのは、iPhoneとかゲームとか、最近だとメディアアートのコースも人気がありますね。今、大学生が500人くらいいいて、教える仕組みとなっています。「ディズニーランドを超えよう!」という思いで。
ディズニーランドのリピート率はだいたい97パーセントと言われている。うちのリピート率は40〜50パーセントなんだけど、それを超えようと。やっぱり学びなので、次に学びたくなるというのを大事にしたいなと思ってやっています。
最初は参加者数が3人のキャンプからスタートして、去年(までに)1万人くらい来てくれている感じになっています。実際子供たちもかなり育っていて、起業する子(も出てきた)。この間、当時15歳の女の子と16歳の男の子が起業したりとか、後は小6の春休み、中1の始まりに来た子がIPA(情報処理推進機構)で最年少でスーパークリエイターに選ばれたりとか、少しずつ育ってきているなという感じです。
僕の目標は、「年間20万人の子がデジタルなものづくりをしている世界を作ろう」ということです。
高校野球をやっている子が18万9千人と言われています。僕も野球をやっていたんですけど。だいたい現場で教えていると、野球が好きな子よりITが好きな子が多いんだよね。好きなんだけど、みんな「LINEやってる」とか、「パズドラやってる」、「白猫(プロジェクト)やってます」みたいな。
みんなやっている側。「作っているのってカッコイイよね」という文化を作りたいなと。実際みんな好きだから、好きなものを形にできる力をつけようと。
ビジネスモデルとしては、BtoBとBtoCが7:3くらい。今1万人くらいが来てるんだけど、参加者からお金をもらっています。5千人くらいが有料、5千人くらいが無料でやっています。その売上の7割くらいが親御さんから。3割くらいが、企業さんからいただきながらやっています。
基本のリソースに関しては、僕らは大学生が中高生を教える仕組みなので、大学生は技術力があって、コミュニケーション力もある子がやっぱり良いメンターになるんだよね。
そうなると、企業としてはそういう人欲しいよね? という形で今、10社さんと一緒に大学生に100時間くらいの研修をして教えると。実際、この企業にもどんどん入っていってると。
企業としては、そこから1人でも採れればペイするよね? みたいな形でスタートして、「Life is Tech! Leaders」というのをやっています。無料で研修も受けられるので、結構(選考を)通るのは難しいんだけど、やりたい人は応募してみてください。こんな感じで企業さんと一緒にやっていたりとか。
この間やったのは、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんと「スクエニキャンプ(SQUARE ENIX GAME CAMP)」とか。「冒険をやってるだけじゃなくて、冒険を作ろう」みたいなキャンプ。
北海道で「初音ミク(OneDayプログラミング入門IT)キャンプ」、VOCALOID(ボーカロイド)のキャンプをやったり。
これは明日やるんですけれども、吉本(興業)さんと一緒に「YOSHIMOTO TECHDAY」といって、お笑いをHACKしようと。笑いだけに特化したアプリを作ってみようという感じでやってます。
後は、「Code Girls」。女の子向けの企画。プログラミングができる女子やITができる女子は世界的にもすごい求められてるから、それをクックパッドさんや各企業さんと一緒にやっています。
後は「(IT)ドラフト会議」というのもやっていて。これは7社でやったんですけども、品プリ(品川プリンスホテル)で、実際のドラフトみたいな感じでやりました。
やっぱりドラフトと言えばクジだろうということで、1巡目はリクルートとクックパッドさん(の指名)が被ったんで(クジを引いた)。
僕は教育を良くするところ、IT界のヒーローを生み出すわかりやすい仕組みが欲しいなと思ってやっています。教育を変えるには、やっぱり「入口」「中身」「出口」を全部変えていかないといけないなと思っています。
キャンプはITが初めての子、8、9割がパソコンを初めてさわります。「YouTubeを見るだけしかやってません」みたいな子たちが「ITでものづくりするって楽しいよね」となるのがキャンプです。
そこから、その子たちがどうやって育つか、伸びるかというのが中身。そして最後は出口。やっぱり親御さんからしたら、子供に幸せになって欲しいんだよね。そのためには良い大学に行って、良い企業に行くということが一番確率が高い。だからそこに投資をするんだよね。
例えば、自分の息子が150キロ投げられたら、頑張ってプロ野球選手にしようと思うじゃん。それは「プロ野球選手になったら幸せになれそうだよね」ということが、わかりやすいということ。だから、「ITができたら幸せになれるんだよ」ということを、社会的に文化としてわかりやすく伝えてあげる必要がある。
そのためには、さっきのドラフト(会議)みたいに、「企業に入れるんだよ、逆に企業に指名されるんだよ」ということとか。
実際に起業して、ここからバイアウトも生まれると良いなと思っていて。アメリカでは実際に起こっているよね。15歳で起業して「Summly」というニュースの要約アプリを作った子が、Yahoo!に3千万ドル(30億円)で買収されているんだよね。17歳で。
それっていうのは、田中マー君(田中将大氏)が楽天と1億円で契約したのと一緒で、Yahoo!が30億円でその人とそのアプリを買ってるんだよね。そういう事が実際に起こってきていて、それって野球と全く同じ仕組みなので。
中高生のITの力ってすごい伸びるんだよね。そういう子たちも出てきて良いんじゃないかなと思います。
じゃあ、そういう子たちがどうやって育つのかというと、大きく3つだなと思っていて。1つは、武器を持っていること。自信を持っている子ってすごい伸びる。自信を持つためには武器、つまりスキルが必要なので、スクールをやったりオンラインで伸びるということをやっている。
2つ目は、アウトプットの量がすごい大事。こうやってプレゼンテーションすること、自分が作ったものをアプリとしてリリースしたりとか。みんなも同じだと思う。何かを形にしたい、世の中を変えたい、起業したい、こういう世の中になって欲しい。何かアウトプットをしていくこと。これが大事だなと思います。
3つ目。学校の中でもそれが認められること。この3つが大事だなと思っています。「入口、中身、出口の教育までを2020年までに変えよう」というところで、今会社をやっています。
去年「Google RISE Awards」という、Googleさんが世界でIT教育を推進している組織で、東アジアで初めて選んでいただいたので、行ってきました。実際行ってみてみると、僕のチームはパリの人とウガンダの人、チリの人という感じだったんですけど、正直(IT教育が)そんなに進んでいるところがないなという感じがして。
このIT教育の分野、僕らはただプログラミングを教えているだけじゃなくて、最近だと自立、アクティブラーニング。能動的に学ぶ力とか、一人ひとりのアクティブラーニング、一人ひとりに適応して、どうやってこの子たちを伸ばすのかということを研究しながら、中高生の教育というところに絞って、子供たちの可能性を最大限に伸ばすためにやっていこうと思います。
去年、資金調達もさせていただいて、いろんな企業さんと提携させていただきました。どちらかというと、事業提携の形で多くやっています。
あと、僕は「ディズニー」をイメージしていて、キャンプというのはディズニーランドみたいなイメージなんだけど。ディズニーにはもう1個、ピクサーというのが大きくあると思っていて……まあ、コンテンツだよね。
経済格差や地域格差の問題をどうしても解決しなきゃいけないから、そのためにはWebで楽しく学べる状態を作りたいなと思っています。
去年、スクエニの元CTOの人、FF(ファイナルファンタジーシリーズ)とか作っていたむちゃくちゃすごい人なんだけど、その人にCTOになってもらって、学びの分野をエンターテイメントで変えて行こうというところに、今チャレンジしています。
Life is Tech!はこういう形で。僕はまず、IT教育はやっている人たちがそんなにいないから、その分野で2020年までに子供たちの可能性を最大限引き出せるところまでやっていこうと、社会を変えていこうと思っています。
みんなも、「世の中が良くなったらいいな」と(感じて)、スタートアップをしたいと思うことも多いと思うので、スタートアップにおいて大事なことというのを最後にしゃべらせていただいて終わりにしたいと思います。
スタートアップにおいて大事なことを、3つに絞ってみました。1つ目は「好きで、無いものをやる」ということです。まず、好きなものをやるというのはすごく大事で、やっぱり人よりも深く考えるというのが大事だね。人よりも深く考えるためには、好きなものでないと、ずっと考えられないから。
俺はね、中高生が好きなの。だから、どうやったら子供たちが伸びるのかすごく考えるんだよね。そうすると、他の人にはない発想だったり、アイデアが生まれてくるなと。
例えば、キャリア教育とかお金の教育とかたくさんあるんだけど、ITの教育はなかったから、「無いもの」少なくとも日本に無いものというのをやるのが1つのポイントかなと。
2つ目は、「好きだけど、違うやつとやる」。やっぱりチームって役割なんだよね。だから、同じ役割の人とチームを組んだり、好きな仲間と組むことが多いんだけど、そうじゃなくて、役割がしっかり分かれている仲間とチームを組むことが大事。
例えば、コロプラだと千葉(功太郎)さんと馬場(功淳)さんは全然違うわけじゃない? ゲーム作る人と、実際それを運営していく人というか、チームを作る人というか。好きなやつなんだけど、自分とは違うやつ。それがチームだ。そうすると、1+1+1じゃなくて、その2人、3人が掛け算になると思います。なので、好きだけど違うやつとっていうのが2つ目のポイント。
3つ目は、「情報革命の中でやる」と。やっぱり市場というのは大事。インターネットでやるというのと一緒なんだけど、産業革命と同じように情報革命というのが起こっている。
俺はあんまりそういうのは興味なかったから、入ってみて思ったんだけど、インターネット革命というか、情報革命の中で仕事をしている人は、この場に来ているみんなは大丈夫だと思うんだけど、どの市場であるかというのは、非常に重要であると思います。
まとめると、これからみんながチームを作って起業するには3つ。「好きで、無いものをやる」「好きだけど、違うやつとやる」「情報革命の中でやる」と。
最後に、ドラッカーさんは「企業の目的は、顧客の創造である」と言っています。なので、新しい価値を創造すると。人間は進化の歴史なので、僕も新しい価値を創造するということを目標にやっていきたいし、みんなも頑張ってもらいたいと思います! これでLife is Tech!の話を終わりたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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