2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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池谷大吾氏(以下、池谷):皆さんこんにちは。お昼ご飯食べてお腹がいっぱいで眠いのは僕なんですけど(笑)、頑張っていきたいなと思います。
このセッションのモデレーターって、もともとは小林雅さんだったんですけど、無茶ぶりで僕になって。本当は僕ゲストだったんで、たくさんしゃべれるはずだったんですけど、その告知枠も失って……。その分一生懸命盛り上げていきたいなと思ってます。スマートエデュケーションの池谷です、よろしくお願いします。
(会場拍手)
池谷:そういうわけで弊社のことはお話しないんですけど、今日外に、スマートエデュケーションのブース出してるんで、知りたい方はぜひそちらで話聞いてもらえれば有能なスタッフがご案内します。
まず始めに、このセッションはエデュケーション、「教育」ということで、今皆さん学校で学ばれてると思うんですけども、実をいうとスタートアップ周りでは教育を目指すベンチャーさんて非常に多いと。ただ、あんまり成功してるとこ少ないんですよ。
その中でいうと、今回業界でも注目されているスタートアップの会社さんに来ていただいていますので、まずは各会社さんから、それぞれ簡単に会社の説明からしていただきたいなと思います。まずは、水野さんから。
水野雄介氏(以下、水野):よろしくお願いします、ライフイズテックの水野と申します。スライドを使ってやります。昨日もしゃべらせていただいたんですけど、今日からっていう方もいらっしゃるみたいなので。
池谷:皆さん、ちなみにライフイズテック知ってる人?
(会場挙手)
池谷:そりゃそうですよね。すごい認知度ですね。
水野:すごいですね。僕らは中学生、高校生向けのITの教育をやってる会社でして。5分ぐらいでパパッと説明していきます。
会社自体は5年前に立ち上げまして。こんな感じで大学と連携したIT、たとえば最先端のiPhoneのアプリだったり、最近だとメディアアート、プロジェクションマッピングってあると思うんですけど、そういうコースとか。
あとはゲーム好きな子が多いんでゲームのコースとか、結構人気あるのはマインクラフトかね。あとはLINEのスタンプとか。「最先端のITを学んでみよう」みたいなところで、大学と連携をしながらやってます。
僕はもともと教師をやっていて物理を教えてました。皆が生徒だとしたら「等加速度運動は〜」みたいな感じで、ちょうど僕は慶応の理工学部に行っていたので、理工学部の大学院に行きながら、開成高校っていうところで週2回教えていて。
でも開成高校の子はすごい頭良くて、僕より全然頭いいんだけど……その話はいいや(笑)。まあ、やっていました、と。
だけど、「日本の教育もっと良くしたいな」と思ってですね。僕全然そのときITって、多分この中で一番できないくらいできなくて。まずFacebookやってない。Gmail持ってないし、インターネットといえばインターネットエクスプローラー、IEみたいな。IEがインターネットみたいな感じだったんだけど、すごい「やりたい」という子が多くて。
2010年当時なんだけど、みんなその能力を認められないというか、それを伸ばしてあげたいなと思って。やっぱり好きなものを伸ばしてあげたいなと、こういったITの教育を会社としてスタートしようということで始めました。
水野:キャンプの感じを、昨日も見せたんですけど、ちょっとだけお見せします。
<映像開始>
これはたとえば慶應SFCでやってるときの様子で、大学生の皆が、中高生だいたい5~6人に1人ついて教えるっていう仕組みなので、ぜひ応募してもらえればと思うんだけど。
こんなふうに楽しげな感じで、夏休みは今年もかなり多くの子たちが来てくれます。各班ごとにiPhoneのコース、Androidのコースというように、今、全14コースあって。大学生は500人くらい所属しています。
Life is Tech! Leadersというのでやっています。こんな感じで結構楽しい。
僕の目標は中高生に「ディズニーランドよりもライフイズテックに行きたい」と言ってもらえるような、楽しくやってたら勝手に学べちゃってる、そんな場所を作ろうという思いでやってます。
<映像終了>
キャンプをやってて、今15大学参加して、14コース。
参加人数が延べ1万人くらいの子が来てくれているという感じで、少しずつ伸びているという形です。
いろんな企業さんともコラボしてやらせていただいていて、起業する子が出てきたりとか。
この子すごくって、中2で起業して「プレゼンタイマー」っていうアプリ出して、10万ダウンロードされているんだけど、高校からアメリカの高校行っていて。昨日かな、アプリで女子の世界大会で準優勝したんだって。すごいよ。
こういうような子たちも出てきてたりとか……、あとは例えば「未到」。中1の一番初めに来てくれた子が、このあいだ中3で最年少の未到のスーパークリエイターになったりとか、少しずつそういった子たちも出てきて。
僕らは最初のきっかけを提供してという感じで、当然彼らの努力で、今出ていってます。
僕の目標は、20万人の子がデジタルなものづくりをしている世界を作ろうと。高校野球を僕はやってたんで、野球やってる子が今18万9000人って言われてるんだけど、坊主の子って結構多いじゃん? でも実際授業で教えていると、クラスにはやっぱり野球好きな子よりIT好きな子のほうが多いね。
だけどLINEやってるとか、パズドラやってるとかで、だからそうじゃなくて、「やってるだけじゃなくて作ろう」と。消費者から生産者に。「作れるってやっぱりかっこいいよね」と、そういう文化を作っていこうと、高校野球の仕組みを越えようというのを目標にやっています。
というわけで、そんな高校教師の水野です。今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
池谷:続いてLITALICO長谷川さんお願いします。ちなみにLITALICOさん知ってる方、いらっしゃいます?
(会場挙手)
池谷:やっぱり認知度高いですからね。
長谷川敦弥氏(以下、長谷川):結構いて良かったです(笑)。こんにちは、LITALICOの代表してます、長谷川と申します。今日、教育を中心にLITALICOの紹介もさせていただきたいと思ってるんですけど、僕自身ちょっと自己紹介すると、岐阜県の多治見市というところの出身です。
19歳くらいのときに、自分自身が「自分の命の全部を世界をよくしたり、日本をよくすることにぶつけたい」ということで、政治家なのか、起業家なのか、と。これからの時代でいったら起業家のほうが実際に社会を担っていく、より大きなインパクトを出していける存在になるんじゃないかと、起業家の道を選んでやって来ました。
2008年、僕の場合はLITALICOに新卒の社員として入社をしてるんですね。入社した当時がちょうど従業員が30人とかくらいで、入社して1年経って社長になったというのがすごいざっくりとした経緯です。
社長になったときが従業員100人くらいだったんですけど、社長交代を告げられる場面ってどんなだと思います? 僕、子供の頃からテレビ見て育ってたので、「社長お願い」って言われる場所は料亭だと思ってたんですね。料亭で日本酒飲みながら「頼む」と言われるんじゃないかと思ってたんですけど(笑)。
入社2年目の夏ぐらいに創業者の方から電話があって「敦弥君、大事な話があるから来てほしい」と呼ばれた場所、「てんや」って知ってますか? 1杯600円の天丼屋さんですね。彼は先にいて、その店で一番安い天丼がすでに注文されていて、そこで「社長代わってほしい」という話をされたと(笑)。
(会場笑)
LITALICO、おかげ様で今、従業員が1000人超えてくる規模になってきました。これ全世界的にいい流れがあって、やっぱり社会的な意義のあるところにもっと時間を使っていこうっていう若い人が非常に増えてます。
アメリカなんかでも就職人気ランキングトップ10を見ると、トップ10の中に3つくらいNPOが入っているんですね。アメリカだけじゃなくてヨーロッパとか、あとは日本においても震災をきっかけにだんだんいい流れができつつあって、今年間で3万人くらい、うちで働きたいっていう人の応募がある状況になってきてると。
やってる事業が、うちの場合は「社会課題をビジネスを通して解決する」。第1のビジョンに掲げてるのが、この「障害のない社会を作る」というもので、そのビジョンに向かってやっているんですけど、もともとうちは一番右の(スライドを指差し)障害者の就労支援から始まってる会社なんですね。
これまで特に精神疾患の方、いわゆるうつ病とか統合失調症の方、そういった方を1万人くらい就労支援してきてるんですね。なぜ僕らが教育に着目しだしたかっていうと、僕が思ったのは「精神疾患の方は、なぜそうなったんだろう?」と。
やっぱり1回うつ病になったり、統合失調症っていわゆる幻聴や幻覚が見える病気なんですけど、大変なんですね。なぜなったのかをきちんとリサーチしていくと、幼少期の頃からの失敗体験の積み重ねによって若年性で発症してるんじゃないかっていう方が多かったんですね。
あとやっぱり、精神疾患になってる人って個性的な人が多いんですよ。ちょっと変わった趣味を持ってるとか、コミュニケーションちょっと嫌いとかいう方が多かったんで、今の日本の中で個性が豊かな子供に対して合った教育がないんじゃないかと。何が彼らにとって障害かって言うと、彼らに合った教育がないっていうこと。その結果、精神疾患になってるんじゃなかろうかということで、教育をやりだしました。
長谷川:実際に教育はLeafっていう学習塾とQremoっていうプログラミングの教室をやっていて、今お子さんが8000人くらい通ってるんですね。
Leafには主に発達障害のお子さん中心に通ってきてるんですけど、いわゆるADHDとかアスペルガーとか、もうめちゃめちゃおもしろい子供たちが通ってきていて、ある子はAくんっていうんですけど、天才的なんですね。
小学校1年生なんですけど、おっさんなんですよ。顔がまずおっさんなんですね(笑)。「Aくーん!」て話しかけると「ええ、えぇ」て返ってくるという感じで(笑)。小学校1年生のときに「お母さん、僕は2度と学校に行かないと決意しました」ということを言った子なんですね。
今Leafにフリースクールで通っていて、「Aくん、何勉強したい?」って聞いたら、「バッハ」って言うんですね。「バッハの何を勉強したいの?」って聞いたら、「バッハが死ぬ直前に何を考えたのかを知りたい」って。ヤバイですよね! と、いう子がいたりとか。
Bくんっていう子もいて、その子は中学校くらいなんですけど、興味関心の幅めっちゃ狭いんですよ、アスペルガー傾向で。僕はだいたい「Bくん」て話しかけても無視されるんですね、社長なのに(笑)。1回だけ声掛けられたことあるのは、「トイレどこですか?」っていう質問だけですね。
で、陸上教室をやって為末大さんに来ていただいて、「Bくん、大さん飛ぶよ」って言ったら興味持って動いてくれて、為末さんがピューッと最後のハードル飛んで、「Bくん、どうだった?」って聞いたら、「うん、動きに無駄がない」とか言って(笑)。
(会場笑)
長谷川:めっちゃおもしろくてね! そんなユニークで将来の可能性を感じる子もいっぱいいるんですけど、日本の教育って同じような子供を大量生産していく教育になっている結果、どんどん彼らは自己肯定感を下げていってるんですね。もったいない、と。
もっと日本の教育自体を、個性を矯正するんじゃなくて個性を伸ばしたり、異才を歓迎する文化を作ったり、出る杭をガンガン伸ばしていく教育にシフトさせていくっていうのが、これからの教育において大事なんじゃないかなと思ってます。そういう観点で、今の学校の教育改革もだんだん準備をし出したりしてるんですけど。
もう1個、次にやろうと思っているのが、親向けの教育なんですね。個性が豊かな子供って、「社会で活躍してる人」と「病院にいる人」がいたんですね。だいたい学校は皆微妙なところに行ってたんですけど、違いが親だということが分かってきたので。
次は親向けのオンライン大学みたいなものを作って、教育をちゃんと学んでから親になっていくような文化をこの国の中でも作っていくっていうのが、今、中心にやろうとしてるチャレンジですね。
僕らずっと、社会課題をどうやって解決していくのかということを考えてきたんですけど、この社会課題の解決っていうのは、だいたいは弱い人たちに寄り添って、弱い人たちの悩みを解決するってことになるんですね。
ニッチでお金も持ってないから市場化されづらいと。やっぱり弱い人たちを助けるっていうことは難しいことなんですよ。だから、社会課題。でも、今の社会の構造ってどうなってるかというと、弱い人たちを助けようとする弱い人の集まりなんですね。小さなNPOさんとか、小さな社会福祉法人さんとか。
これを根本的に変えようと思ったら、弱い人たちを助けるからこそ、助けようとするには強い力が必要なんですね。ですから僕らは、その社会課題に取り組んでいるからこそ、一番のビジネスの力や、一番の技術の力や、一番の政治の力を持った団体を作って、世界を変えていく。そういうチャレンジをこれからも頑張っていきたいなと思っています。今日はどうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
池谷:どうもありがとうございます。非常にエネルギッシュなプレゼンテ―ションだったと思います。
大変お待たせしました。マグロ漁師でいいんでしたっけ?(笑)Ridiloverの安部さんです、よろしくお願いします。
安部敏樹氏(以下、安部):皆さんどうも、はじめまして、こんにちは。Ridilover(リディラバ)という、非常に呼びづらい名前の。
池谷:ちなみにRidilover知ってる人いますか?
(会場挙手)
安部:意外にいるんだ! うれしい。
池谷:それは安部さんを知ってるということじゃないですかね?
安部:どうなんですかね? でもRidiloverという名前を知っていていただけていると、非常にうれしいなというのがありますね。僕ら、リディラバという非営利型の一般社団法人と会社、それぞれ持っている組織です。この話はあったほうがいいかと思ったんで、一応マグロの写真も持ってきました。
もともと皆さんくらい、19歳から5年くらい、足掛け5年でマグロ漁船に乗って、マグロを潜って捕るという仕事をずっとやってました。
今は27歳なんですけど、脳科学とかそういうのを研究しながら、東大で授業を持ったりしつつ、社会問題の現場に人を送るという仕事をしています。
一言でいうと僕らがやっている仕事っていうのは、社会問題の現場に対して、ツアーとか旅行を作ることによって、すごく触れやすい環境を作る、と。いろんな、ありとあらゆる社会問題があるんですけど、そういった現場に人を送る仕事というのをしています。
無関心な人とか、関心はあるけど関わり方が分からない人に社会問題を知ってもらう、そういう機会を提供しております。今日は教育という話だったので、教育の部分でぜひお話ができたらなと思っています。
実はこういう社会問題のツアーというものを、僕ら学校の修学旅行に入れてもらったりしています。僕らがしたいことっていうのは、今日ここに来てる皆さんみたいな人たちをあまり対象にしたくないですね。
今の世の中って、僕は大学で教員やってたから分かるんですけど、すごい「機会の格差」っていうのが大きいんですよ。特に機会の中でも、「体験の格差」が大きい。
例えば、皆さん偏差値70あったとして、すごい優秀な方々だから。偏差値70あったとしても、地方の公立高校でいろんな選択肢を知らないままに、ただひたすら偏差値を伸ばすためだけの勉強をしてきた人と、それから都内の私立で、例えば麻布高校とか行ってて、すごいいろんな社会経験をしたうえで大学に入ってくる人たちって、全然その後の人生が変わるわけですね。
そういう機会の格差っていうのが、見えないところでどんどん進んでいます。それを、できるだけ安価にすべての人に届けたいっていうのが、僕らのやってる仕事です。
こういった形で社会問題の現場に行って、いろんな子供たちに社会問題を知ってもらうというような仕事をしています。今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
池谷:20分ぐらいしゃべるんじゃないかと思いましたけど、一番コンパクトでしたね(笑)。
安部:どうもありがとうございます(笑)。
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