2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
8月5日内閣委員会「女性活躍法案・参考人質疑」(全1記事)
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山本太郎氏(以下、山本):生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎と申します。先生方のご貴重なお話を伺いました。ありがとうございます。
この法律をつくるっていうときにですね、今年の2月12日ですか、施政方針演説、安倍総理大臣がこの法律に対してこういうことをおっしゃっているんですね。
「私は女性の力を強く信じます。家庭で、地域社会で、職場で、それぞれの場で活躍しているすべての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会をつくり上げてまいります」と。すばらしいお言葉ですよね。まだ続くんです。
「女性活躍推進法案」、この法案のことですよね。「再び提出し、早期の成立を目指します。国・地方・企業などが一体となって、女性が活躍しやすい環境を整え、社会全体の意識改革を進めてまいります」。
「すばらしいじゃないですか」って思うんですけれども、この法案ができあがったのを見ると、残念ながら一部の女性のみにしかフォーカスされてないじゃないか。「言っていることとできあがったものがずいぶん違うな」っていうふうにショックを受けた1人であります、私。
女性の活躍を大々的にうたっていたわりには、ずいぶんと物足りない法案になっちゃってると言わざるを得ないと。
「女性の活躍」「女性が輝く」、言葉だけ踊ったところで、活躍しようにも活躍しようがない、輝きたくても輝けない、実際にはその手段も環境もない、苦しい立場に追い込まれて、ぎりぎりの精神状態、経済状況の女性、わが国にはたくさんいらっしゃると思うんです。
そのなかでも光が当たりづらい、DV被害者と絡めて皆さんにお聞きしたいと思います。現在DVの被害者というのはですね、右肩上がりにどんどん増えているんだと。相談件数も年々増加しております。
しかし、救済・支援を受けることができる方っていうのはほとんど増えていないんですね。横ばいなんです。施設が増えていない。一時保護などのそういう救済っていうものが全然増えてないんですね。被害者の急増に比べてみたら。
DVによる被害により、精神的に、肉体的に疲弊し、働きたくても働けない。そんな方々に光を当てて精神的な安定を取り戻していただき、心身ともに健康で社会復帰してもらえるような救済・支援をしっかりとしていく。それこそ女性の職業生活における活躍の推進と言えると思うんです。
現在のように、被害者の精神的、肉体的安定へのサポートから目をそらす、ごまかしてしまえばですね、膨らむのは社会保障費だと思うんです。その原資は税金だと。先生方、この救済であったりとか、そういう部分に関してどう思われるでしょうか? 今の話の流れで。お聞かせ願えますか。お一人おひとり聞きたいです。よろしくお願いします。
議長:それでは今野参考人からよろしくお願いいたします。
今野久子氏(以下、今野):今のご指摘のとおり、DV被害者というのは働こうと思っても働けない状態に追い込まれたり、あるいは今度は逆にDVを受けて「外で働け」というふうに言われて、かなり劣悪な労働条件のなかで働いたりとか、いろんな影響を受けています。
そういった点で、一番最初に申し上げたかと思うんですけれども、女性の「活躍」とか「輝く」っていう言葉が使われていますけども、大事なことは、それぞれの女性の人権や何かが保障されてこそ初めて女性が輝くことができるのであって、「輝く」とか「活躍」というその中身が何なのかっていうことが問われているのではないか、というふうに思います。
そういう点でいうと、やはりDV被害者の救済、それから働いて経済的に自立していけるようにしていくためには、そのための相談体制の整備だとか、実際に人だとか、相談窓口だとか、救済のための施設だとか、いろんなことについてきちんとした予算を組むことも含めて、体制を整えていくことが必要ではないかと思うんですね。
そういう点でいうと、女性が活躍するような状況をつくっていくためには、きちんとした予算措置だとか、そういうものも十分に充てていただかなければ、なかなか実効性が発揮できないのではないか、というふうに思っております。
議長:次に松浦参考人、お願いいたします。
松浦民恵氏(以下、松浦):やはりですね、女性が強くなったっていうようなことをよく言われるんですが、現実のいろいろな場面を見ると、DVの問題もそうですし、育児のときにもですね、「そこのオムツ取って」という一言が言えない、夫に言えない女性っていうのがまだまだいると思うんですね。
そういうなかで女性が自分の意思でいろいろな決断をしていけるようになるためには、私はやっぱり経済力が非常に重要だと思っていて、その経済力を女性がつけていくうえで、やはり企業のなかでそれなりにキャリア形成をして、ポジションを上げていくということも非常に重要だと思っています。
ただ、そういうふうな企業のなかでキャリア形成してポジションを上げていくうえでは、まずはDVという現状から脱却しなくてはいけないので、そこをいかにして脱却するかという姿勢については、やはり必要だと思います。以上です。
議長:矢島参考人、お願いいたします。
矢島洋子氏(以下、矢島氏):ありがとうございます。私もDVとか、ひとり親家庭の問題というのが女性たちにとっても非常に深刻な問題だというふうに思っておりますし、あと若年でお子さんを持たれた女性たちも非常に増えていて、そういったなかでの職業生活といったものも大きな課題だと思います。
ひとつ考えなければいけないのが、相談体制とかサポートというところで、今さまざまなNPOなども活躍しておりますけども、やはり公的にもっと支援が必要なのではないかと、思っているところです。ですが、この法案で今進めようとしていることでは、そういった視点はないんですけれども。
今進めようとしていることのなかにも、長期的に見ると女性が子供を持っても、例えばひとり親でも働き続けやすい環境ができる、あるいは企業のなかで子供を持った人が働きやすい環境ができれば、今働いていない女性たちも再就職として入っていく余地が今までよりは増えるというようなことがあります。
そういったことで、実際に今企業では再雇用とか再就職を受け付ける動きが活発になってきています。ですので、そういうところでの関わりを、婉曲になりますけれども期待するところではあります。
議長:山本太郎君。
山本:ありがとうございます。そうなんですよね、今この法案に一番望むところは、この法案の中身に、というかしっかりとしたサポート、職業、例えば再就職というところまでいけない人たちもたくさんいるんだと。
そこの底上げといいますか、サポートを手厚くしていただければ、今この法律のなかに盛り込まれている再就職への後押しというものも、もっと加速していくんではないか、と思うんですね。
8月3日の内閣委員会、本委員会ですね。答弁におきまして、女性活躍担当の有村(治子)大臣がはっきりと「この法案は、女性の職業生活における活躍のための法案であるので、DVは本法案の範疇にない」ということを言われて、非常にびっくりしたという状況だったんですね。
安倍総理のほうから「女性の力を強く信じる」と、「家庭で、地域社会で、職場で、それぞれの場で活躍しているすべての女性がその生き方に自信と誇りを持ち、輝くことができる社会をつくり上げてまいります」という本法案のアピールがあったわけですから、そのズレというものに非常にびっくりしたんですけれども。
そもそも男女間の性差別、これが男女間の賃金の格差、雇用条件の格差などに結びついているんじゃないかなと考えます。男女間の差別は人権問題ですよね。国連からも日本は何度も何度も「女性差別撤廃条約批准国としての責任を果たせ」との勧告を受けてきたと。
DVの問題も、職業上の男女間の賃金格差も、雇用条件の格差も、すべて根っこは同じじゃないかと。女性差別という人権問題につながっていくんじゃないかと。この根本である人権問題を少しも触れずに改善しないまま、この法案を取り扱っていっていいのかな、というふうに思ってしまうんです。
先生方にお聞きしたいんですが、女性差別をないがしろにしたまま、本当に女性の職業生活における活躍っていうのは実現していくと思われますか?
議長:それでは矢島参考人からお願いいたします。
矢島:ありがとうございます。女性差別という問題、女性が働いていくうえでの差別というものの背景をですね、いろいろと精査する必要があるのかなと思います。
単純に女性に対する人権的な差別意識というのが、まだ根強く残っている部分もあるかもしれませんが、かなりの部分で子育てをしながら働くことで制約を受けるということが、これまでの企業の組織のなかでは扱いづらいというか、受け入れ難いものであったということが、ひとつの大きな女性差別の背景にあると思っておりました。
なので、この法案ではその働き方というところ、ライフステージに応じた働き方ができるというところについて、さらに強力な投資をしていただくということを期待しておりますが、もちろんそれ以外の要素というのも残るかと思います。以上です。
議長:今野参考人、お願いいたします。
今野:女性差別撤廃条約に批准してから30年になりますけれども、この基本的な理念とか考え方に戻って考えるべきではないかなと思っています。固定的性別役割分担の変更っていうものなしには男女平等は実現できない。それから、出産における女性の役割が差別の理由になってはいけない、というようなことが条約にうたわれています。
そういう点で女性が活躍していくというときに、性別による差別、これを受けないということが人権として確立していく。
それがなければ、さきほど申し上げましたけれども、性別で差別を受けている人たち、もちろん賃金が低いとか何かという問題はございますけれども、人間として尊厳を犯されたときというのは、人は働くとか、あと生活していくということについて意欲を失ってしまうという、そういうことがあるかと思います。
そういう点でいくと、性差別の是正というのは女性が活躍していくための基盤をつくっていく大事な要素であるというふうに思っています。
議長:松浦参考人、お願いいたします。
松浦:ありがとうございます。男女雇用機会均等法が交付されてからほぼ30年というなかで、あからさまな差別というのは法規制の影響もあって減ってきているとは思うんです。
ただ、冒頭のプレゼンテーションで少し申し上げましたけれど、やはりまだまだ職場は男性社会ですので、男性の管理職が女性の部下と男性の部下で異なる取り扱いをするケースっていうのがあるんですね。
それが女性の成長機会というのを制約しているという面もあると思っておりますので、そこについては今後、この法案もひとつの後押しになると思います、是正していく必要があるのかなと思っています。以上です。
議長:山本太郎君。
山本:ありがとうございます。家庭生活における男女の平等感、職業生活と家庭生活の両立というのであれば何が必要かなと思うときにですね、これに関してしっかりとした教育が必要なんじゃないかな、って思うんですよ。
自分自身のことを考えてみると、今40歳なんですけど、学校時代にそういう教育を受けた覚えがほとんどないんですよね。家庭のなかでも詳しくといいますか、もちろん「人間は平等」だという話はあったんですけれども、何かこういう細かくジェンダー意識というものを自分のなかに持てるような教育というものを、ほとんど受けることができなかったという部分があると思うんですね。
今この仕事に自分が就いてなかったら、おそらくそれさえも、問題なのかどうなのかということさえもわからないまま、ぼんやりとその先の人生進んでたんじゃないかと思うんです。DV問題も、職業上の格差も、しっかりとした男女均等に関する教育を国がしてこなかったっていうのがすごく原因のひとつになってると、私自身は思うわけです。
企業に女性の採用比率や管理職のパーセンテージを義務付けたりするような、表面的な取り繕いだけで問題が解決するとはとても思えないと。女性の活躍を推進するためには活躍できる土壌を整備する必要がある、それは子供への教育ではないかと思うんですよね。
男女均等教育であったり、啓蒙活動であったり、教育が必要なのではないかと思いますけれども、先生方いかがお考えでしょうか?
議長:今野参考人からお願いします。2分弱でどうぞ。
今野:固定的性別役割分担や何かも含めて、人の意識というのは時間をかけて変えていく必要があるし、それから基本的にどうあるべきかということに関して、きちんとモデルが目の前にあってそういうなかで意識というのは変わっていくんではないかと思うんです。
そういう意味ではジェンダー教育も含めて、小さいときからそういう教育というのがきちんとなされるような体制というのが必要じゃないかなと思います。
議長:矢島参考人、お願いします。
矢島:ありがとうございます。やはり子供たちの意識というのはとても重要だと思いますが、そういったものが学校教育だけではなくて、社会のなかで親を見ているというのも非常にあります。
それからテレビシーンとかドラマとかを見ていてもですね、無意識の制作者達の固定的な観点によってですね、そういった固定的役割分担意識を助長するような表現もたくさんまだ残っております。ですので、そういった視点も非常に大事かと思うんですね。
ただ一方でもうひとつ考えなければいけないと思うのが、私たちが中高生対象にですね、12年前と昨年と調査したんですけれども、「子供を持つこと、結婚すること、働くことについての前向きな意識の程度がどのくらいあるのか」というのを見たときに、男子学生も女子学生も全部に前向きな子と全部に後ろ向きな子がいるんですね。
だから、子供たちのレベルでは「私は女だから家庭だけ持って仕事はしない」とか、そういう意識っていうのはそんなに強くないんですね。
だけれども社会に出ようとしたとたんに、「あなたは女性だから子育てするんだったら仕事はしちゃダメよ」とか、「男性だから家庭をそんなに大事にするのはおかしい」とか言われるというのが、そこで非常に大きなギャップを子供たちは感じるのではないかと思うんです。
ですから、そのあたりの子供たちが教育を受けてくる環境、男女平等なある程度意識が育ってくる環境と、社会に出たときのギャップというのを埋めていくことも非常に重要だと思います。
ちょっと話が外れますけれども、最近は仕事にも、結婚や子供を持つことにも、すべてにネガティブな層がこの12年間で非常に増えているんですね。そのことがまたさらに大きなこれからの少子化の対策の問題でもあるか、というふうに考えております。以上です。
議長:松浦参考人、お願いいたします。
松浦:はい、ありがとうございます。やはりですね、教育とか小さい頃に親御さんがどういう意識を持っておられたかというのは、その後の就業継続意識ですとか、そういうことに影響しているんですね。
ですので、小さい頃からの教育というのは大事だと思うんですけど、教育というのは何をするのかというのが、周囲に共働きで一緒に働いている人がいるとかですね、周囲にロールモデルが増えていくということが、子供たちの教育という観点からも重要なのではないか、というふうに思います。
議長:山本太郎君。
山本:ありがとうございます。子供たちへの教育というのも大事だけれども、大人たちへの教育という面も大事だと。一番最初に接する社会が家庭であるから、親を見てという部分があるので、大人への啓蒙というものも非常に大切だということがわかりました。ありがとうございます。
8月4日の内閣委員会、先日の本委員会でですね、DV被害者を保護する婦人相談所とそこで働く婦人相談員について質問いたしました。
今現在、総合的にDV被害者をサポートをしている婦人相談所の婦人相談員なんですけれども、基本、法律上、非正規雇用なんですね。DVで苦しむ人たちに新しい人生を切り開くお手伝いをする人たちが当事者もしくはそれと同等なくらいに生活が苦しい状態であると。
サポートしなければいけない人たちが、自分たちも本当はサポートが必要だというような状況にあるにもかかわらず、気持ちだけで被害者たちをサポートしているというような状況だと。非正規で低賃金というような状況で、気持ちだけでやっていただいているという状況があるんですね。
そういう相談員だけじゃなくて、例えば個人情報の駄々漏れで話題になりました日本年金機構とかも5割以上が非正規雇用だと。官製ワーキングプアに苦しむほとんどが、多くが女性が含まれていると。やはりこういう法案でもそういうところに光を当ててほしいな、という気持ちが僕自身のなかであるんですけど、皆さんはいかがでしょうか? 一言ずつ、すいません、時間がないんですけれども。
議長:松浦参考人から。
松浦:さきほど申し上げましたように、管理職登用というのは管理職候補だけで切り出してできるものではないので、ある程度一体的に影響してくるとは思っております。以上です。
議長:矢島参考人。
矢島:はい、やはり非常に重要な問題だと思っております。一方で指定管理者制度など、公的な施設のコスト削減というようなことと結びついている部分もございますので、こういうことと併せて検討していただくことが重要かというふうに思っております。
議長:今野参考人、お願いいたします。
今野:官公職場にも基幹的業務をやっている非正規労働者は増えております。その人たちは安定して経済的にも自立できるような生活をしていくなかで、仕事をきちんと果たしていくことができるのではないかというふうに思います。
厚労省のお膝元でも、労働基準監督署の窓口で相談に応じている非正規職員は非常にたくさんいます。そういう意味での官公労働者の非正規労働者、これの条件をどう整備していくか、労働条件を良くしていくか、これは重要な問題です。
山本:終わります。
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