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ヒゲの隊長に聞いてみよう!~平和安全法制QA第2弾~(全3記事)

ヒゲの隊長が語る「個別的自衛権」と「特別措置法」の問題点とは?

ヒゲの隊長こと、佐藤正久・国防部会長が、自民党のトーク番組CafeStaに登場。第2弾となる「ヒゲの隊長に聞いてみよう!平和安全法制QA」を迎えて、引き続きTwitterから寄せられた質問に回答していきます。本パートでは、「特別措置法と恒久法の違い」や「維新の党から提出された安保法制の対案」などについて説明しました。

個別的自衛権の拡大解釈には反対する

小林史明氏(以下、小林):また別の質問に移らせていただきたいと思います。

「集団的自衛権ではなく、個別的自衛権で対応できる、集団的自衛権の拡大解釈だという野党の意見もありますが、何でもかんでも個別的自衛権で対応することのほうが国際社会的にも危険だと思うのですが、どうですか」というご質問です。

佐藤正久氏(以下、佐藤):ご指摘正しいと思ってます。やっぱり一番怖いのは、国際法とか、そういう定義を無視して自分で都合よく拡大解釈をすると、特に個別的自衛権の拡大解釈でいくと、それはまさにいつか来た道ですよ。

どんどん、どんどん…これは自国防衛です。個別的自衛権、どんどん拡大する。これは非常に怖い発想だと思います。

個別的自衛権っていうのは、自分の国に攻撃があったということを契機として自衛権を発動するもんですから、自分の国に攻撃がなされていないにもかかわらず、それを個別的自衛権として武力を行使するっていうことは、どう考えても国際法上的にも違反ですから。

そういう法的違反なことを我々は認めるわけにはいかない。これは日本に攻撃がされていない状況においては、個別的自衛権と言えないんです。

それが日本国民の命を守る、目的があくまでも自衛であっても、手段として他国の軍艦とか航空機を守るということになってしまえば、それはやはり国際法上、集団的自衛権と言わざるを得ない。

確かに、自衛隊がアメリカまで行って、アメリカを守るための集団的自衛権ではない、他国を守ることが目的の集団的自衛権でないにせよ、仮に自国を守るための集団的自衛権でも、これは日本が攻撃されていない以上は、絶対個別的自衛権と言ってはいけないと思います。

そんな国際法に違反したようなことを現場の自衛隊、警察、消防、海上保安庁の人にさせるんですか? それは絶対やっていけない。

特に私は自衛隊出身の国会議員の1人として、現場上がりの国会議員として、国際法に違反したそういう形の個別的自衛権の拡大解釈、これは強く反対をしたいと思います。

小林:ということです。なかなか日本国内の報道だと、個別的自衛権は何となくいいことで、集団的自衛権は全部悪だみたいな報道というか表現がありますけれども、やっぱり自分たちを守るために一緒にやらなきゃいけない必要な部分はあるんだということで、何でも個別的自衛権が国際的にオーケーかというもんじゃないということですよね。

佐藤:いろんな人間関係で自分の都合で、あの人は好きだ、あの人は嫌いだ。これ全部、自分の都合で、ぼんぼん、ぼんぼん殴ってもいいと、これはあり得ないでしょう。

小林:あり得ないです。

佐藤:少なくても個別的、自分が殴りかかられたときに守る、反撃するやつですから、それを自分が殴られていないのに、ほかで何かドンパチやりそうだというときに、自分で行ってどんどん殴る。

これを個別的自衛権というのはやっぱりおかしいし、やはり自分の国が攻撃されたっていうのが、そこが極めて厳格な定義ですから、定義は簡単に変えてはいけないというふうに思います。

小林:これ大変重要なポイントですので、ぜひご理解をいただきたいと思います。

特別措置法では自衛隊の十分な訓練が難しい

小林:では、続いてのご質問です。

「今回の法制によって、これまで戦闘地域と言われたところにまで自衛隊の活動範囲が広がるそうですが、安倍総理は、特措法ではなく恒久法にすることによって、訓練もでき、リスクは低減できるとおっしゃっていましたが、実際にサマワで部隊を率いていた佐藤さんの考えを伺いたいです」ということです。

佐藤:これ、正しい部分と間違ってるのが混在してるんです。1つは、「戦闘地域と言われたところにまで自衛隊の活動範囲が広がる」これは間違いです。

今回、現に戦闘が起きている現場ではやらない、それ以外の地域から活動地域を選ぶというふうに法的整理を変えましたが、それイコール戦闘地域まで行くっていう話じゃないんです。

あくまでも自衛隊が活動する実施区域というのは、安全かつ円滑に活動できるという地域で、今日の国会でも答弁がありましたが、戦闘現場とはしっかり間合いをとって安全な地域で活動しますという答弁も、明確にいただきました。

戦闘現場の横とか後ろでやるって誰も言ってないんです。そこは誤解があります。今まで同様、後方地域あるいは安全な場所でしっかりと実施区域を選んでやるというのに変わりません。

正しい部分、まさにこの特措法っていうのは、事態が起きてから新たにつくる法律。恒久法っていうのは、あらかじめ法律があって、事態が起きたときに法律にもとづいて、そのなかで計画をつくって派遣をすると。

日頃からある法律ということなんですけども、要は事態が起きてから法律をつくるとなると時間かかりますよね。法律ができてからじゃないと、自衛隊は訓練も情報収集もできない。

小林:なるほど、やっちゃいけないわけですからね。

佐藤:法的根拠がありませんから。しかも、同じように、国連あるいはほかの国との調整もできない。

ところが、あらかじめこういう法律があれば、そういう事態が起きて国連決議があれば、その段階から、国連、ほかの国の調整もできます。そういう決議が起きる前から、ある程度想定をして訓練もできる。全然違うんです。

訓練ができる、できないっていうのは、現場の隊員にとってはものすごく大きいもので、やっぱり自信というのは訓練に裏付けられなければ自信ってできない。

事前に準備した以上のことはなかなかできませんから、事前に訓練をできる、できないって、これはものすごく大きいんで。

今日の国会でも言ったんですけども、私がイラクに派遣されたときの特措法、8月にできたんです。8月にできて、最初に航空自衛隊が行ったのは5ヵ月後の12月です。陸上自衛隊が行ったのは1月、半年後なんです。この半年間で、それから訓練を用意ドンで始める。

しかも、それから調整をして、どこで何をやるんですかと。最初我々も、サマワに行くのか、あるいはバグダッドのほうで給水をやるのか、北部のモスルっていうところ、セメント工場で働く人を輸送するとか、いろんなアイデアがある。

調整を全部そっから始める。(それで)やっとサマワに決まったと。私が(派遣先を)指定されたのは11月の上旬でした。その1週間後には、調査でもうサマワにいたんです。向こうに2週間いて、帰ってきて、1ヵ月後にはもう派遣です。

本当にドタバタで、非常に忙しかった。2次隊以降は訓練ができます。一番最初に行く部隊は、なかなか訓練ができない。よって、恒久法があれば(訓練が)かなりできます。

うまくいった例として南スーダンがあります。南スーダンのPKO、今、施設部隊を派遣してます。自衛隊が得意な分野の1つ、施設部隊、道路を直したり学校をつくったりという得意な分野です。

しかも場所は首都のジュバと、比較的治安がいい場所です。これはPKO法が恒久法であったために、決議が出て早くから調整をできたために、施設部隊をジュバといういい場所で選ぶことができました。

残念ながらお隣の韓国、自分で手を挙げるのが遅かった。国会での承認等含めて、それが長引いたため等々、いろんな理由から。

施設部隊を送ったんですが、ジュバでやりたい、比較的治安がいい場所で我々も施設部隊を送りたい、そこには彼らも希望したんです。

もう日本隊が首都のジュバにいるために、国連から、「ダメです」って言われて、中部のほうのボルといわれるところで活動を始めました。

どちらかというと治安があまりよくない地域で、今も南スーダンの内紛の最前線に韓国の工兵隊が行って、この前暴動が起きたとき、韓国隊の弾薬が足りなくて、日本隊に「助けてくれ」ときましたよね。

あそこにいた韓国のNGOも襲われて、韓国隊が駆けつけて助けに行ったりとか、そういう場所に韓国は活動地域を選ばざるを得なかった。やっぱりいろんな経験が、この恒久法と特措法では差が出てしまうということが言えると思います。

小林:ということですので、今回の恒久法の意義というのをご理解をいただけたんじゃないでしょうか。

維新の党がつくった対案について

小林:最後の質問にいきたいと思います。

「今回の維新の党の対案についてなんですけれども、維新の党が独自案をつくっていますが、そちらでは不十分だとお考えでしょうか」という質問です。

佐藤:実は、その独自案、まだ参議院のほうに出ていないんです。衆議院のほうには出ました。衆議院のほうに出た案は、もう否決されましたから、今、国会のほうには維新の案ってないんです。参議院のほうに改めて独自案を出してもらわない限りは、国会のほうで議論ができないんです。

これは、衆議院、参議院、違いますから、参議院のほうで議論をするためには、維新のほうに独自案を出してもらわないと議論ができない。

それが出た後、また協議が始まりますけども、衆議院の案を見る限りは我々とやっぱり差があります。

我々としては、政府与党案が一番いいという思いで、今、法案を出させていただきましたが、維新の案でも、やっぱりそういう彼らにとっては自分がいいと思ってますから、そこの部分をお互い調整をして、さらにいいものができる可能性はあります。

お互いに、そこは政党間協議でやればいいと思ってますが、ただ、維新の党さんの特に限定的な集団的自衛権の同じような範疇を見ると、ちょっと狭いような気がします。条約にもとづいてしか支援をしないと言ってますから、アメリカだけなんです。

アメリカ以外のオーストラリアとか、あるいはイギリスとかが、朝鮮戦争の国連軍っていう形で近くに来て日本と一緒にやろうと思っても、日本はアメリカ以外の国は支援できない。

邦人がオーストラリアとか、あるいはイギリスの船に乗って朝鮮半島から日本に帰ってくるときに襲われても、守ることができないという縛りが維新案ではあります。

いろいろ細かいことはありますけども、やっぱりそこは差があります。だけど、やっぱり政党として変わった安全保障環境に応じて、自分たちはこう考えるという案を出すということは非常に大事だと。

小林:大事ですね。

佐藤:これはやっぱり民主党さんにも、ぜひ出していただきたいと思いますよ。政府与党案を批判して国民のリスクが下がったり、自衛権のリスクが下がるなら、私も文句言ったり批判をしますよ。

でも、それじゃ解決しないんです。どうやって我々は、この国民の命を守るための備え、法的な基盤をつくるか、備えの法律をいかにつくるか。

これを今議論してますから、そういう面では、維新の党が、また再び(対案を)出していただいて議論できればと思います。今また参議院のほうで出したいという意見のようですから。

でも、これは聞くところによりますと、衆議院とはまた違った、若干手直しをして出してくる部分もあるようですので、期待をしたいと思ってます。

小林:ぜひ対案をお出しいただいて国会のなかで論戦が深まるのも、皆さんにとって理解が深まることにつながるでしょうし、よりよいものになっていくんだと思いますので、期待をしたいというふうに思います。

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