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テーマ「アップルミュージックとインターネットが変える利益の出所」について(全1記事)

ミスチル、B’zも参入せず Apple MusicはCD大国の日本で成功するのか

月9.99ドル(およそ1240円)で3000万曲の楽曲が聴き放題になるAppleのストリーミングサービス「Apple Music」。未だ音楽業界の売り上げの8割をCDが占める「CD大国」の日本において、Apple Music・AWA・LINE MUSICなどの定額制の音楽配信サービスが流行るのかについて、Bloomberg特派員のガロウド・リーディー氏が分析します。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)

Apple Musicがもたらす変化について

堀潤氏(以下、堀):ガロウドさん、テーマの発表お願いします。

ガロウド・リーディー氏(以下、ガロウド):はい、こちらです。

(テーマ「アップルミュージックとインターネットが変える利益の出所」について)

榎本麗美氏(以下、榎本) :アメリカのAppleは先月末に、月額9.99ドル(日本円でおよそ1240円)で聴き放題の新しい音楽ストリーミングサービスを開始しました。

:これ、かなり話題になりましたね。3000万曲以上からなるプレイリストが大きな特徴で、他にも毎日24時間生放送される有名DJたちによる「オンラインラジオ」、あと、アーティストの情報の発信を楽しめる「コネクト」の3つの機能で構成。

6月30日から3カ月間は無料で利用できることで話題になりましたが。とある有名女性歌手はこれに対して反発。「制度を変えてほしい!」と。

ガロウド:日本では、音楽の購入と言えば、まだCDが強いですよね。2014年の売上から言うと、8割くらいがまだCDといわれていますね。これからのアンケートの結果もぜひ見たいんですけど。

:日本ってまだ、そんなに8割もあるんですか? 音楽業界の?

ガロウド:まだまだ。日本は「CDの王国」なんですよ。

:すっかりオンラインで聞くのが定着したかなと思いましたけど。

ガロウド:無料でオンライン、YouTubeとか聞いてる人多いと思うんですけど。

:そうか! 有料に関して言うと、CDっていうことか。

ガロウド:売上から言うとCDですね。アメリカでは2014年、昨年ですね、ストリーミングサービスの売上が、初めてCDを上回ったというところで。

なぜ日本でストリーミングサービスが流行らないのか

ガロウド:「なぜ、日本はこういうサービスはメジャーにならないか?」っていうところを見ていきたいです。

:アンケートの結果を見てみましょうか。今日の皆さんへのお題は、「音楽をおもに何で楽しんでいますか?」ということで。「CD」や、「テレビ・ラジオ」、「ユーチューブ」、「ダウンロード」、「定額配信サービス」、「その他」、とありますが。せーの、どん!

やっぱり、そうなんですね! 「CD」が714票、「テレビ・ラジオ」288票。次いで多かったのが、やはり、「ユーチューブ」、「その他」、「ダウンロード」、「定額配信」ということで。

:でも、やっぱりこれはさっき、買ってる人の話ですからね。最近だから、「買わないで」っていう方が。これはよろしくないことですね。

ガロウド:そうですね。利益もないし。やっぱり、アメリカの視点から見ると、今のアンケートでこういう定額配信サービスもすごい低かったじゃないですか。

日本は、世界から言うと、アメリカに次ぐ2番目に大きい音楽市場なんですよ。なのに、こういう進化は遅いというところで。

なぜかというと、日本ではCDの売上は減っているとはいえ、まだ利益が出ている。アメリカでは、この10年とか15年で、インフラとか技術面が進んでいくと、聴き方が変わってきている。

:アメリカ土地も広いですから、本屋は無くなるし、CDショップも無くなっていったし。

ガロウド:まさに。昔はCDで、そこからiTunesとかダウンロード型で、今ストリーミングが主流になっているんですけど。

不思議なことに、日本ではまだCDに愛着があって、アメリカよりもインフラ面では優秀なはずなのに、3DとかLEDの普及が速いし、スマホ持ちの割合が高いというところなんですけれども。こういうストリーミングが遅い。

先ほど、「CDの王国」って言ったんですけど、渋谷のタワーレコードあるじゃないですか。海外から来る観光客、あれ見ると、「まだCD売っているところあるんだ!」っていうところが、結構不思議なところなんですけど。

:あ、そう!

ガロウド:大元はアメリカなんですけど、10年前に倒産したんで。

:アメリカ本国では。

ガロウド:そうですね。アメリカには恐らくないと思います。

:そうですね。HMVとかヴァージンとかありましたけど、WAVEとかね。今、渋谷のタワレコくらいですかね。

ガロウド:そうですね。

日本の人気アーティストがApple Musicに参入しない理由

ガロウド:CDは2,000円、3,000円くらいしますよね。ストリーミングサービスは、1回1曲聞くと、例えばApple Musicなんですけど、話によると、1曲に0.2セントぐらい。1円未満ぐらいが大元のアーティストにいく。

:これって、高いんですか? 安いんですか?

ガロウド:すっごく安いんです!

:すっごく安いですね!

ガロウド:それで、テイラー・スウィフトとかの反発とかっていうところに。

:0.2セントくらい!

ガロウド:インターネットのように実物がなくなると、価値観が変わってくるんですね。

ここで少し、サービスの紹介したいんですけど。今、日本にある国内のサービス。Apple MusicとかAWA、エイベックスの合弁会社ですね。LINE MUSIC。海外のSpotify、業界の大手。TIDALとか、Rdioとか、今いくつかあるけど。だいたい同じくらい1,000円くらいが限界と言われているというところで。

:どうですか? これ、日本ではこれ、広まりそうですか?

ガロウド:どうですかね? そこが今、Apple Musicがすごく注目されているところではあるんですけど。こういったサービスも、日本の国産のものでも、人気のアーティストが結構含まれていないところが多い。ミスチルとかB'zとか、そういうメジャーなところは入っていない。

:アーティストの方もよくわかってて、ここには参入しないと。そういう判断をして。先ほどのブランド戦略もありますでしょうしね。

音楽サービスの利益の出所

ガロウド:それより、アーティストや音楽の会社側からすると、今CDからは減ってはいるが、利益が出ている。ほかのサービスになると利益が出ない。というところを懸念しているんじゃないかという声もあります。

Spotifyなどは市場の最大手というところなんですけど。非上場なんで、確実にはよくわからないのですが、話によると一度も10年くらい黒字が出てないと。

:そうですかぁ……。

ガロウド:YouTubeとか、違法ダウンロードとか、いろいろなやり方があるようなので、最終的には技術面のところで進んでいかないと、技術的にやられちゃうんじゃないかという見方がありますよね。

:一見、物理的に値段をつけにくいもののビジネスって、本当に難しいですけどね。

Twitter見てると、「好きなアーティストはライブやコンサートに行って聴いてる。」ということで。人々を動かすほうに、今ビジネスシフトしてますもんね。

ガロウド:これは一番利益が出るところなんで。アーティストにとっては喜ばしい。

:ありがとうございました。本日のオピニオンCROSSは以上とさせていただきます。

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