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テーマ「ギリシャのデフォルト」について(全1記事)

「ギリシャが破綻したから日本も…」という奴はバカ--三橋貴明氏が借金の違いを解説

ギリシャのデフォルト危機が深刻になるなか「日本の財政破綻も心配…」との声に対して、経世論研究所所長の三橋貴明氏が日本とギリシャの債務の性質の違いを説明。ギリシャ破綻のようなことが身近に起こることを心配する声に対しては「日本が財政破綻することはあり得ない」と明言しました。(TOKYO MXとの共同企画でニュース番組『モーニングCROSS』を書き起こしています)

「ギリシャのデフォルト」について

堀潤氏(以下、堀):さぁ、それでは三橋さん、テーマの発表をお願いします。

三橋貴明氏(以下、三橋):私、これですね。

(テーマ「ギリシャのデフォルト」について)

:はい、待ってました! 「ギリシャのデフォルト」

榎本麗美氏(以下、榎本):金融支援が失効したギリシャでは、市民生活の停滞が日に日に色濃くなっています。過去、債務不履行に陥った国では、暴動や物々交換などが起きており、ギリシャでも同じようなことが起きるのでは? と危惧する声が上がっています。

:これは「ギリシャ、デフォルトです」というのが、表明されていますので、デフォルト国ということになります。

過去、他にどんな国があったのか、おさらいしておきますと。例えば、ロシアでしたね。1998年の8月でした。負債額727億ドル。対外債務の返済繰り延べなどを宣言。通貨ルーブルを大幅に切り下げました。大量の国債を抱えた銀行が相次いで破綻。多くの人が預金を失いました。

そして、アルゼンチンですね。最近のことです。国内総生産のおよそ半分にあたる巨額債務の返済に窮した政府は、2001年12月、預金引き出し制限を発表。あ、ほんとだ。822億ドルですね。首都ブエノスアイレスなど各地で商店や銀行への略奪、焼き打ちが相次いで数十人が死亡。当時の大統領は、非常事態を宣言したんですが、事態を収拾できず辞意を表明しました。

いずれも、経済的には危機に陥ったんですが、その後は産業を回復させて。アルゼンチンの場合、ちょっと後遺症に苦しんでいると。

「ギリシャが破綻したから日本も…」というバカがいっぱいいる

三橋:ギリシャでこれから何が起きるか。国民投票、どうやらEUの支援&緊縮財政に対して国民が「NO」と反対したという結果が出たようでございます。

:そうですね。

三橋:この後、何が起きるかというと、ギリシャ政府は「国民が『NO』と言っている」というのを武器に、EUと交渉します。これで何をやるかというと、金は貸してほしいんだけど、緊縮財政は「NO」と。

これ、わがままと思うかもしれないけど、ギリシャってすでにピークの2008年から、GDPが26%減ってます。これ、わかりにくいと思うけど、皆さんに例えると、所得が26%減っているんです。みんな貧乏になっていて、さらに緊縮財政です、増税ですと。「貧乏になる政策をやりなさい」っていうことだから「NO」に決まっているんですよね。大半が。

ということでですね、それを武器にEUと交渉するんだけど、EU側は飲めないと思います。融資は認められない。それと、7月20日に欧州中央銀行の持っているギリシャ国債の償還期限がきます。それの支払いは、3,500億円くらいだったと思うけど、まず不可能。

その時点で、完璧なデフォルトということになって、その後、欧州中央銀行は、ギリシャの銀行に対して、今、緊急資金融資ってやっているんだけど、それもできなくなります。ELAって言うんですけどね。それもできなくなる。

となると、銀行の取り付け騒ぎとかが起きて、ロシアのようなパターンになるんじゃないか、って話なんだけど、私はギリシャの未来がどうなるのを言いたいわけじゃなくて。

ギリシャ危機と、それに託けてですね、「ギリシャは破綻した。だから、日本も……」って言ってくるバカがいっぱいいるわけですよ。それをまず訂正したいのね。

:なるほど。GDPの220%の借金があるじゃないかと。だから日本も財政破綻だ。それはないと。

三橋:ならないですよ。

日本とギリシャの債務の違い

三橋:ギリシャっていうのは、外国、つまりフランスやドイツの銀行からユーロ建てで政府が借りていたお金を返せなくて財政破綻しました。

「ユーロ建て」というのがポイントで。ユーロを発行できるのは、欧州中央銀行だけ。ギリシャ政府も発行できないから、今、黒田日銀がやっているように、国債を買い取って通貨発行ってことができないんですよね。

ところが、日本はですね、こんな感じになってます。これは、財務省の放送コードを越えて、踏み越えてしまう危ない図なので、貴重な図でございますよ(笑)。

日本国債の所有者の内訳でございます。国内の銀行(30.73%)でしょ、生命保険損害保険(22.45%) 、社会保障基金(6.63%)、日銀(23.4%)と。

国内の金融機関が貸してんだけど、別に国内の金融機関って、自前の金貸してるわけじゃなくて。銀行に預けた私たちの預金を又貸ししてたり、生命保険損害保険の保険料を又貸ししたりしてます。外国もちょっとだけ日本国債を持っているんだけど、100%日本円建てなんです。

なんで日本円建てかというと、それは、皆さんが日本円を預金するからですよね。それを、そのまま貸しているだけだから。日本の場合は、政府の負債は100%日本円建て。ギリシャは、100%共通通貨ユーロ建てなんですね。

:この方(日本銀行)の波及効果というか。

三橋:日本銀行って、本当はここ載っけちゃいけないんですよね。なんでかというと、日本銀行って、政府の子会社ですから。今、政府の子会社である日銀。通貨発行して、バリバリ国債買い取って、こんなことになっちゃってるんですよ。

日銀から政府が借りた金。日銀が持っている国債については、政府は返済する必要がありません。なぜなら子会社だから。そういうもんです。通貨発行して金返しているようなもんなのね。

そしたら、こんなになっちゃった。青いのが、日銀以外が持っている国債・財融債・国庫短期証券。政府の負債なんだけど。わかります、これ? 2012月9月くらいから、減っていってる。だから、政府は借金返しているか? 全く返していません。返せないんだけど、この、赤い方。子会社の日銀が、膨大に国債を買い取っているんで、政府が返済しなくちゃいけない実質的な負債が減り始めてます。50兆円くらい減りました、という状況なんですよ。

つまり、日本が財政破綻することはあり得ないです。さっき出てきた、ロシアが財政破綻したのは、ドル建ての負債です。政府の。アルゼンチンもドル建ての負債。ギリシャはユーロ建ての負債ということなんですけれども。この辺をごちゃ混ぜにして、「日本も財政破綻するから、緊縮財政……」なんてことになるんですよ、絶対このあと。

:国内でぐるぐる回しているうちは大丈夫だということですよね。

三橋:通貨の問題。日本円建ての借金をどうやって日本政府がデフォルトするの? あり得ないんですよ。

ギリシャは黒字経営で破綻した!?

三橋:というのと、もうひとつ言っておくと。ギリシャって、例のプライマリーバランスってあるじゃないですか。あれ、黒字破綻。

:財政健全化。

三橋:黒字だったの!

:あ! 何ですか? プライマリーバランス黒字なんですか?

三橋:黒字でも「外国からの借金返せない」って言えば、破綻するわけですよ。逆に、「赤字だろうが、政府の負債が自国通貨建てだったら、財政破綻はあり得ないんですよ!」っていうことを、しつこく強調しておきたい。そうしないと、山ほど出てくるから、この後。

:どうですか? 今、中国の株価が、下げが止まりませんね。今回の、デフォルトに関しては、恐らく、市場での取引材料になりますよね。そうなってくると、中長期的よりも、短期的に市場が少し混乱するじゃないですか。

今日もこの後、場が開けると、日本市場もやや混乱が予想されますけど。日本経済、長期的に見るとどうですか?

三橋:その問題はまた別で。私は、政府がデフォルトするか、否かの話しかしてなくて。株価は下がる可能性は高いと思いますね。

:なるほどね。

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