2024.10.10
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テーマ「ギリシャのデフォルト」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):さぁ、それでは三橋さん、テーマの発表をお願いします。
三橋貴明氏(以下、三橋):私、これですね。
(テーマ「ギリシャのデフォルト」について)
堀:はい、待ってました! 「ギリシャのデフォルト」
榎本麗美氏(以下、榎本):金融支援が失効したギリシャでは、市民生活の停滞が日に日に色濃くなっています。過去、債務不履行に陥った国では、暴動や物々交換などが起きており、ギリシャでも同じようなことが起きるのでは? と危惧する声が上がっています。
堀:これは「ギリシャ、デフォルトです」というのが、表明されていますので、デフォルト国ということになります。
過去、他にどんな国があったのか、おさらいしておきますと。例えば、ロシアでしたね。1998年の8月でした。負債額727億ドル。対外債務の返済繰り延べなどを宣言。通貨ルーブルを大幅に切り下げました。大量の国債を抱えた銀行が相次いで破綻。多くの人が預金を失いました。
そして、アルゼンチンですね。最近のことです。国内総生産のおよそ半分にあたる巨額債務の返済に窮した政府は、2001年12月、預金引き出し制限を発表。あ、ほんとだ。822億ドルですね。首都ブエノスアイレスなど各地で商店や銀行への略奪、焼き打ちが相次いで数十人が死亡。当時の大統領は、非常事態を宣言したんですが、事態を収拾できず辞意を表明しました。
いずれも、経済的には危機に陥ったんですが、その後は産業を回復させて。アルゼンチンの場合、ちょっと後遺症に苦しんでいると。
三橋:ギリシャでこれから何が起きるか。国民投票、どうやらEUの支援&緊縮財政に対して国民が「NO」と反対したという結果が出たようでございます。
堀:そうですね。
三橋:この後、何が起きるかというと、ギリシャ政府は「国民が『NO』と言っている」というのを武器に、EUと交渉します。これで何をやるかというと、金は貸してほしいんだけど、緊縮財政は「NO」と。
これ、わがままと思うかもしれないけど、ギリシャってすでにピークの2008年から、GDPが26%減ってます。これ、わかりにくいと思うけど、皆さんに例えると、所得が26%減っているんです。みんな貧乏になっていて、さらに緊縮財政です、増税ですと。「貧乏になる政策をやりなさい」っていうことだから「NO」に決まっているんですよね。大半が。
ということでですね、それを武器にEUと交渉するんだけど、EU側は飲めないと思います。融資は認められない。それと、7月20日に欧州中央銀行の持っているギリシャ国債の償還期限がきます。それの支払いは、3,500億円くらいだったと思うけど、まず不可能。
その時点で、完璧なデフォルトということになって、その後、欧州中央銀行は、ギリシャの銀行に対して、今、緊急資金融資ってやっているんだけど、それもできなくなります。ELAって言うんですけどね。それもできなくなる。
となると、銀行の取り付け騒ぎとかが起きて、ロシアのようなパターンになるんじゃないか、って話なんだけど、私はギリシャの未来がどうなるのを言いたいわけじゃなくて。
ギリシャ危機と、それに託けてですね、「ギリシャは破綻した。だから、日本も……」って言ってくるバカがいっぱいいるわけですよ。それをまず訂正したいのね。
堀:なるほど。GDPの220%の借金があるじゃないかと。だから日本も財政破綻だ。それはないと。
三橋:ならないですよ。
三橋:ギリシャっていうのは、外国、つまりフランスやドイツの銀行からユーロ建てで政府が借りていたお金を返せなくて財政破綻しました。
「ユーロ建て」というのがポイントで。ユーロを発行できるのは、欧州中央銀行だけ。ギリシャ政府も発行できないから、今、黒田日銀がやっているように、国債を買い取って通貨発行ってことができないんですよね。
ところが、日本はですね、こんな感じになってます。これは、財務省の放送コードを越えて、踏み越えてしまう危ない図なので、貴重な図でございますよ(笑)。
日本国債の所有者の内訳でございます。国内の銀行(30.73%)でしょ、生命保険損害保険(22.45%) 、社会保障基金(6.63%)、日銀(23.4%)と。
国内の金融機関が貸してんだけど、別に国内の金融機関って、自前の金貸してるわけじゃなくて。銀行に預けた私たちの預金を又貸ししてたり、生命保険損害保険の保険料を又貸ししたりしてます。外国もちょっとだけ日本国債を持っているんだけど、100%日本円建てなんです。
なんで日本円建てかというと、それは、皆さんが日本円を預金するからですよね。それを、そのまま貸しているだけだから。日本の場合は、政府の負債は100%日本円建て。ギリシャは、100%共通通貨ユーロ建てなんですね。
堀:この方(日本銀行)の波及効果というか。
三橋:日本銀行って、本当はここ載っけちゃいけないんですよね。なんでかというと、日本銀行って、政府の子会社ですから。今、政府の子会社である日銀。通貨発行して、バリバリ国債買い取って、こんなことになっちゃってるんですよ。
日銀から政府が借りた金。日銀が持っている国債については、政府は返済する必要がありません。なぜなら子会社だから。そういうもんです。通貨発行して金返しているようなもんなのね。
そしたら、こんなになっちゃった。青いのが、日銀以外が持っている国債・財融債・国庫短期証券。政府の負債なんだけど。わかります、これ? 2012月9月くらいから、減っていってる。だから、政府は借金返しているか? 全く返していません。返せないんだけど、この、赤い方。子会社の日銀が、膨大に国債を買い取っているんで、政府が返済しなくちゃいけない実質的な負債が減り始めてます。50兆円くらい減りました、という状況なんですよ。
つまり、日本が財政破綻することはあり得ないです。さっき出てきた、ロシアが財政破綻したのは、ドル建ての負債です。政府の。アルゼンチンもドル建ての負債。ギリシャはユーロ建ての負債ということなんですけれども。この辺をごちゃ混ぜにして、「日本も財政破綻するから、緊縮財政……」なんてことになるんですよ、絶対このあと。
堀:国内でぐるぐる回しているうちは大丈夫だということですよね。
三橋:通貨の問題。日本円建ての借金をどうやって日本政府がデフォルトするの? あり得ないんですよ。
三橋:というのと、もうひとつ言っておくと。ギリシャって、例のプライマリーバランスってあるじゃないですか。あれ、黒字破綻。
堀:財政健全化。
三橋:黒字だったの!
堀:あ! 何ですか? プライマリーバランス黒字なんですか?
三橋:黒字でも「外国からの借金返せない」って言えば、破綻するわけですよ。逆に、「赤字だろうが、政府の負債が自国通貨建てだったら、財政破綻はあり得ないんですよ!」っていうことを、しつこく強調しておきたい。そうしないと、山ほど出てくるから、この後。
堀:どうですか? 今、中国の株価が、下げが止まりませんね。今回の、デフォルトに関しては、恐らく、市場での取引材料になりますよね。そうなってくると、中長期的よりも、短期的に市場が少し混乱するじゃないですか。
今日もこの後、場が開けると、日本市場もやや混乱が予想されますけど。日本経済、長期的に見るとどうですか?
三橋:その問題はまた別で。私は、政府がデフォルトするか、否かの話しかしてなくて。株価は下がる可能性は高いと思いますね。
堀:なるほどね。
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