2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:それでは、質問のある方どうぞ。プレスクラブのレギュラーメンバーから始めます。
記者:インドネシアの新聞記者なんですけど。リチャードと申します。何千回も記者会見に参加しているんですけれども、今1番混乱しています。杉山さんに質問したいんですけども。
2年間の間に、バックパックで50カ国生活。これはすごいじゃないですか。坊ちゃん、お嬢様ですね。これは、いつからいつまでですか? 何年から何年までですか? それから、その50カ国の中で、インドネシアにも行ったことがありますでしょうか?
2年間の中で、何を探していたのですか? 自分のアイデンティティを探していたのですか? それが気になるので。結果は、どんな結果ですか? この50カ国の中で。お願いします。
杉山文野氏(以下、杉山):時期はちょうど大学院を卒業した頃、25歳くらいだったんですけれども、『ダブルハッピネス』という自身の性同一性障害のカミングアウト本を出しまして、そこから得たお金を元に旅をしました。
その時はまだ戸籍上も女子ですし、こんなにヒゲも生えていなかったので、世界中のパスポートコントロールのところで、SheなのかHeなのか、Mr.なのかMiss.なのか、monsieurなのかmademoiselleなのか、amigoなのかamigaなのかと聞かれまして。
やっぱりどこに行っても、セクシャリティっていうのは、どんな国に行っても付いて回るんだな、と。インドネシアには、その時そのタイミングでは行かなかったんですけれども。フェンシングのジュニアの代表として中学生の時に試合に行ったことがありますが、その時はまだセクシャリティのことについてそこまで記憶にない時なんですけれども……。
世界中では、国によって、すごくオープンなところもあれば、すごくクローズなところもあるというのは、すごく感じました。
なので、今回のパートナーシップ条例みたいなのができた時に、「まだ早い」とか、「海外の話だ」というふうに言われますけれども、できてる国はできているんですよね。海外ではなく、これだけ情報も人も移動している中で、日本は「まだ議論が、議論が……」と。「もっと慎重に議論したほうがいい」と言いながら進めるのはどうなのかな、と。
みんなができないのなら仕方がないのかもしれませんけれども、できているところはできているんですよね。デンマークなんかは25年前ですよ。それだけ遅れているということを早く気付いてですね、慎重にというよりも、しっかりと進めていってほしいな、というふうに思っています。
司会者:はい、どうぞ。
記者:フランス10というインターネットテレビの記者のオイカワと申します。
9年前に『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』という400ページくらいの本を出してるんですけれども、フランスの場合は、98年に「PACS(パックス)」という同性パートナシップ法ができまして、そして2012年に同性婚が認められました。
質問は1点です。友人で、鹿児島出身でゲイの方がいるんですけれども、どうしても上京したらいろいろ出会いの場とか自己肯定してくれる人がいるというんですけれども、鹿児島にいた時は、自分の性的嗜好も言えないし、言える人がいなかったし、出会いの場もなかったとおっしゃっていました。
そこでお伺いしたいのは、都市部だとまだいいと思うんですけれども、東京あるいは大阪とか。地方の同性愛者、あるいは、トランスジェンダー、LGBTの人たちを、どのようにして支援していけばいいとお考えでしょうか?
あとこれは、もう1点ちょっとしたことなんですけれども。昨年ゲイパレード、ゲイプライドに安倍昭恵さんがご参加されて、インタビューさせていただいたんですが、今年は参加のご予定とかあるか、ご存知でしょうか? 以上2点です。失礼します。
杉山:本当に地方との差というのは大きくてですね。東京だから話せる人もいるけど、地方だと誰にも言うことができない、と。自分が言ったとしても、もし家族まで変な目で見られたらどうしようということで言えない、という当事者は非常に多いです。
だからこそ、先ほどの話に戻りますけれども、こういった制度ができる、行政が認めるということが非常に大きくてですね。渋谷だけじゃない、と。渋谷が成功するということが、ちゃんと行政でできたんだとなると、また地方の行政でもできるんじゃないかということが非常に大事になってくると。
先ほども申したんですけど、今回渋谷がちゃんとスタートできるかどうかというところに、大きく全国へ広がるかにかかっていると思っていて。
そんな中でやっぱり反対される方、まだまだ多いんですけれども、認めるとか認めないというよりも、困っている人たちというのがすでにいるんですよね。「しっかり議論して」なんて言っている間に、今困っている人たちをどうするのかというのが非常に大事で。
反対されるような方たちというのも、今一度こういった違いに問題があるか、違いを受け入れない社会に問題があるのかということも考えていただきたいです。今度の26日というのが、すごく大事になってくるというふうに思っています。
今まで5.2パーセントという数字。よくLGBTの日本における人口では5.2パーセントと言われてきたんですけれども、実はちょうど今日発表になりました電通総研さんのアンケート調査、7万人を対象に調査を行ったところ、実は5.2パーセントから改正されて、7.6パーセントの人口が、アンケートの調査ではLGBTだという回答があったというふうに報告も受けています。
司会者:はい、どうぞ。
質問者:4月26日投開票の渋谷区長選挙についてお伺いします。新しく区長になる方に期待される同性パートナシップの運用と、もしくは条例に反対されている方がもし区長になった場合の不安視されている部分についてお伺いさせてください。
杉山:今回区長選に出られている4名の方の中の1人、長谷部健さんという方がもともと今回の同性パートナシップ条例を3年前に提案してくださった方なので、彼になってもらえればどんどん進めていけるだろうというふうに期待をしているんですけれども。
他の候補者の方では「もし、自分が区長になったら、そんなのは絶対廃止する!」と明言されていらっしゃる方もいらっしゃいますし、そこまで反対と言わないまでも「慎重に慎重に。しっかり議論してから」というようなことで言われている方もいます。
本当に慎重に議論している場合じゃない。本当に今にも手首を切ってしまいそうな子どもたちがいたりする中で、それはもう時間をかけて何かと、3年前に提案して議論がされていないというのであれば、それはもっとスピード感をもって変えていかなければならないことなんじゃないかな、というふうに思っています。
東小雪氏(以下、東):ひと言お答えしてもよろしいですか?
渋谷区長選は本当に大切な選挙です。LGBTの人にとっても、そうでない人にとっても大切です。なぜかというと、マイノリティが生きやすい多様性を認める社会というのは、マジョリティの人たちにとっても必ず暮らしやすい社会だと思います。
この動きを止めないで、全国に広げていくためにも、若い世代の人に必ず投票に行ってほしい。選挙権のある方はよく考えて、必ず選挙に行って投票していただきたいと思っています。
質問者:バーレーンの大使でございます。そしてそれだけでなく、私は小児科の外科手術の先生でございます。小さいお子様が生まれた後に、何か問題があった時には、それを治さなければならない。それが私の仕事でもあったんです。
人体的に男であるか女であるかまだはっきりしない時に、どっちかのほうに直せばだいたいの問題が解決する。私の経験でございますけども、小さいお子様だけでなく、年を重ねた方たちに対して手術を行ったことがあるんです。自分の経験を申し上げますと、2人の姉妹、18歳と16歳の女の子がいたんです。
いろんな精密な検査をしましたら、この2人は本来男であるべきだった、ということがわかったのでございます。いわゆる性器でございますが、体内の性器と体外の性器が間違っていた、ということで、体外の性器を手術で治して問題が解決したということでございます。
同性愛者ということと、今までお話に出ておりました性的嗜好というものは、ちょっと違うものかもしれません。性同一性障害とちょっと違うのかもしれないのですけれど、私は皆さんが抱えている問題、皆さんの考え方をより深く理解したいというふうに思っております。
例えば同性愛者と言いますのは、自分が女性であることには間違いない、満足である、ということですよね? あるいは、男性であるということに満足であるんですけれども、気持ちとしては異性を愛する気持ちが、同じ性を愛するということなんでしょうか?
別に自分が内面的に違う性であるということは考えないんですけれども、異性ではなくて自分と同じ性の人を好きだ、ということなんでしょうか?
東:まず私からお話させていただきたいんですけれども。恐らく、性分化疾患のことをお尋ねになっていらっしゃったのかな、と思います。生まれてきた赤ちゃんの手術ということでしたので。
今、ここに当事者が並んでおりますけれども、私は赤ちゃんの時に体が女性で生まれて、お医者さんが「女の子だよ」というふうに判断して、大きくなったんですね。思春期になって女性の特徴、体の特徴が表れて、私の体は今女性です。
そして、私は自分のことを女の人だと思っています。ここがすごく大切なポイントで、私は体が女性で、自分のことを女性だと思っていて、女性に恋をする、レズビアンの女性なんですね。そこにパートナーが座っておりますけれども(笑)。
私は、女の人が好きだからといって、男の人だと思っていたりとか、男の人になりたい、という人ではありませんし、体は恐らく普通、という言い方が正しいかどうかわからないけれども、女性の特徴を持った体をしていると思います。
性同一性障害については杉山さんからお話いただければと思うんですけれども、私、同性愛者と、性同一性障害の方、それからご質問いただきました性分化疾患の方では共通する悩みもありますが、また違った課題に直面することもあるということをお伝えしておきたいと思います。
杉山:僕は性同一性障害ということで、戸籍上で見れば女性で、女性が好きということで同性愛という言われ方をすることもあるんですけれども、感覚としては僕を男として女性が好き、感覚としては異性愛という。
ちょっと頭が混乱しちゃうんですけれども、考えるときに体の性別、いわゆるフィジカルな性別と、心の性別、気持ちの性別ですね。自分が男であるとか女であると思っている。そして対象の性がどちらに向かうか、性嗜好、セクシャルオリエンテーション、この3つの組み合わせで分けて考えていただくといいかな、と。
そういうことで言うと、小雪ちゃんは体は女の子、気持ちも「私」と思っていて、女性が好き。だけど僕の場合は、体は女、だけれども気持ちは「僕」、ずっと男と思っていて、女性が好き。
もっとややこしくなっちゃうんですけれども、僕のような状態で男性が好き、っていう人もいるんですね。女性が好きだから男っぽくしているというのではなくて、性の対象と自分のアイデンティティがどこにあるかっていうのは、また別の話かなというふうに思います。
これ、ちょっと余談になっちゃうんですけれども、旅の話があったんですが、僕今まで人生トータル60カ国くらい行ったことがあるんですけれども、唯一入れなかった国がバーレーンなんですね(笑)。
それは入国審査の時に「その髭面で、お前”Female”って何なんだ!」と言われて、僕自身は英語で、これこれこうと。「今、日本では戸籍は変えれなくて」と言ったら「タイとかフィリピンから来たお前と逆のやつは見たことあるけど、お前みたいなのは初めてだ。ちょっと待っとけ」と言われて。
20時間飛行場で待った挙句の果てに、入国拒否ということで入れず、そのまま帰ったということがあってですね。やっぱり情報がまだまだ少ないのかなぁ、というふうに思いました。是非、そういった情報をしっかり共有していただけると、ありがたいなというふうに思います。
司会者:日本では「歌舞伎」がありますよね? オール・メール・エンターテインメント。それから、宝塚がありますよね? 女性が「きゃー!」と言ってますよね。これは多分、日本のボーイフレンドがセクシーでもないし、旦那がちょっと退屈だからだとは思うんですが。
文化とかエンターテインメントの面では、全然問題がありませんよね。ところが、社会とか社会条例とかになると、どうして同一のユニティを拒否するのか、一体どういう理由があるのか、というふうに思われますか? 小雪さん、まずお願いします。
東:難しい質問ですね(笑)。私は宝塚歌劇団におりまして、花組で男役をしていた経験があります。
司会者:すみません、存じ上げませんでした……。
東:そうでしたか! それで今、宝塚の質問をいただいたのかな、と思ったんですけれども(笑)。在団中、カミングアウトすることができませんでした。よく「女性だけの集団だし、宝塚なんだからカミングアウトしやすかったんじゃないの?」とか、「演者、タカラジェンヌの中には、レズビアンの人がいるんじゃないの?」というふうに聞いていただくんですけれども。
ご質問いただきましたように、中でもオープンにするというのは非常に難しくて、ファンの方にもカミングアウトしづらい空気というものを、私は在団中に感じていました。
宝塚は100年の歴史があるんですけれども、カミングアウトした生徒は私1人。先ほど、7.6パーセントという数字がありましたけれども、4,000人以上の生徒を輩出した宝塚の中で、たった1人というほうが、私は不自然だと思いますし、そういったカミングアウトしづらい圧力がこれからどんどんなくなっていってほしい、多様な女性が活躍して欲しいと、私は心から思っております。
ファンの人の中にも、そういった文化を楽しむ人たち、演者の側のほうにも「ファンタジーであることはいいけれども、実際に同性愛というのは受け入れられない、いけない」というような、規範があるのではないか。
ファンタジーを見て楽しむ分には許容されるけれども、宝塚の場合はあくまでも男と女、異性愛の夢だということになっているし、そういったところが実際の生活だったり、制度だったりというところと、あくまで文化というところには、大きな隔たりがあるのではないかなと思っています。
司会者:どうして社会制度の中では認められないんですか?
杉山:僕は単純に「知らない」というだけだと思うんですね。まず「知る」ということが、1番大事。今回のセクシャルマイノリティの課題を考える時の1番のキーワードは、「目に見えない」っていうことだと思うんですね。
今日ここに座って話していますけれども、全然違うトピックスを話していれば、もちろん僕は女性であるとか、2人が同性愛者であることはわからずに、話は済むと思うんですけれども。
それくらい「いない」のではなくて、「言えない」という現実があって、言わないから、言えないから、いない人になっているという現実がある。そこを単純に、知ってしまえば「すぐ隣にいる人なんだよ」と。
テレビの世界の人じゃなくて、夜の世界の水商売の人だけではなくて、普通に生活しているクラスの中の友だちかもしれないし、オフィスの中にもいるかもしれないし。もしかしたらご兄弟、ご両親。お父さん、お母さんだからといって、本当に異性愛なのか?
僕の友人でもいます。僕の友人のお父様はゲイなんですけれども、僕の友人も知りません。そのくらい、皆さん日本の社会に合わせて世間体というのを保つために自分を押し殺して暮らしてる方がたくさんいらっしゃる。それが現実なんじゃないかな。だから、まずは知ってほしいな、と。
それ以上のことは、逆にあまり望んでいなくて。「いるんですよ。隣にもいますよ」ということを知っていただけたら、その意識が変われば、こうやって記者会見なんかやらせていただいているのもおかしいな、というか。こんなに話題にならなくても、よくなればいいな、と。
好きな人と一緒にいたいと思った時に、みんなに開かれた……、同性婚、異性婚ではなくて、すべての人に開かれたパートナーシップ制度があるということが大事だと思っています。まずはとにかく、その存在を知ってもらいたいな、というふうに思います。
杉山:LGBTの人に会ったことがない、というふうによく言われるんですけれども。それは会ったことがないんじゃなくて、気付かなかっただけなんじゃないかな、というふうに思います。
よく、どんな数字と近いのかといったときに、日本の「佐藤さん」「鈴木さん」「高橋さん」「田中さん」。この4名の名字というのが、日本で1番多い名字のトップ4なんですけれども。みなさん、「佐藤さん」「鈴木さん」「高橋さん」「田中さん」っていうお友だち、絶対2人や3人以上いらっしゃいますよね。
でもその数字というのは、実は約5パーセントくらいと言われていますので、今回の7.6パーセント。世の中の「佐藤さん」「鈴木さん」「高橋さん」「田中さん」よりも、はるかに多いLGBTの人たちが存在するっていうふうに考えると、「あれ、いないと思っていたけど、実はもうちょっといるのかな」というのが、感覚としては掴みやすいのかなというふうに思います。
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