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「NTT法の見直しに関する意見表明」の記者発表(全4記事)

【全文1/4】NTT法廃止は、単なる「通信会社間のいざこざ」ではなく国民の生活を揺るがす KDDI、ソフトバンクら4者が反対表明「オープンな議論を」

2023年12月4日「NTT法の見直しに関する意見表明」の記者発表が行われ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、楽天モバイル株式会社、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟の4者の代表が、NTT法廃止に対する反対意見を表明しました。本記事は、発表会見の動画をもとにした全文書き起こし記事となります。 ■記者発表会見の動画はこちら

NTT法の見直しに関して181者が意見表明

司会者:本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。定刻になりましたので、「NTT法の見直しに関する意見表明」の記者発表を開始させていただきます。

先週金曜日(2023年12月1日)に、自民党プロジェクトチーム(自民党PT)において、NTT法に関する提言案が議論されました。

今後、政府を含めて具体的な検討が進むものと思われますが、本記者発表では、国益、そして国民生活の観点から、あらためてNTT法の見直しに関する意見表明をさせていただければと考えています。何卒よろしくお願いいたします。

登壇者のご紹介をさせていただきます。左より、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟専務理事、村田太一。KDDI株式会社代表取締役社長CEO、髙橋誠。ソフトバンク株式会社代表取締役社長 執行役員兼CEO、宮川潤一。オンラインから参加しております、楽天モバイル株式会社代表取締役会長、三木谷浩史。以上の4名でございます。

また、先ほど登壇4者を含む181者から、「NTT法の見直しに関する意見表明」のプレスリリースを発表させていただいております。

本日は、まず181者の意見表明についてご説明させていただき、その後、各社代表からコメント、その後に質疑応答の時間となります。全体で1時間程度を予定しております。

NTT法の廃止は「国民の声を十分聞いたものとは言えない」

司会者:それでは、意見表明につきましてご説明いたします。KDDI髙橋社長、よろしくお願いいたします。

髙橋誠氏(以下、髙橋):みなさま、こんにちは。大変お世話になっております。司会の方から話がありましたように、自民党PTの提言が多くのメディアで取り上げられていると理解しています。

提言は、まだ正式なものになっていないと理解しています。我々も正式に聞いているわけではありません。ただ我々としては、こういうタイミングで再度スタンスを明確化したいと思っておりますので、会見を開かせていただきました。どうぞ、よろしくお願いします。

まず、自民党PTの提言案につきましては、NTT法の廃止という、NTT1社のみの意向に沿ったものだと理解しています。市場を形成している大小さまざまな企業、そして何よりも、国民の声を十分聞いたものとは言えないのではないかと思っています。

そして今回、問題が提起され、NTTさんが求めている国際競争力の向上を目的とした技術開示義務を撤廃することについては、これにより何が成されるのか、誰と戦っていくのか、このあたりをしっかり明確にしていく必要があると思うわけです。

ただし、国際競争力を強化していくことを目的とするのであれば、NTT法の法解釈、もしくは改正で対応が可能だと思っておりまして、通信政策の見直しには大いに賛成しております。

本来、これで目的は達成されるはずだと考えます。しかし、その公正競争にも大きく影響を及ぼす「NTT法の廃止」まで盛り込まれている提言ですが、もしこの議論をするのであれば、当然、オープンな場でする必要があるのではないかと考えています。

NTT法の廃止は通信業界全体を揺るがす

髙橋:そして本件は、NTT法のみならず、今後の通信政策全体に関わる問題です。ですので、公平・平等に、NTT以外の181者を含めた市場の声を聞いた上で方向性を定めていただくのは、非常に重要なことではないかと思っています。

そもそも、みなの声を聞いて政策を決めていくことは、岸田総理が基本方針として宣言されているものだと我々は理解しています。これほど重要な事項ですので、ぜひオープンな議論を、そしてみなの意見を聞いた上で方向性を出していただきたいと、切にお願いするものであります。

少し古い話だと言われるかもしれませんが、NTT法は、電電公社を民営化する時に「単に利益のみを追い求める巨大企業を作ることは、国民や市場の利益にならない」という観点から制定されたものです。今もなお、その役割を果たしていると考えています。

そしてNTT法は、公正市場の維持にとって重要な法律です。現在、各社が毎年、数千億円もの投資を続けて通信サービスの改善を続けているわけですが、もし廃止され、公正なる競争環境を維持できなくなるのであれば、我々も安心して投資することができなくなります。

その結果、スマートフォンのみならず、これからの世界のあらゆるものに活用されていく「通信」に大きな影響を及ぼすことになります。まさに国民の利益に直結する、相当大きな意味を持つものであると考えていますので、あらためてNTT法の廃止については反対しますし、ぜひともオープンな場で、慎重な政策議論をお願いしたいと考えているわけです。

一番の懸念点は市場支配力の強化

髙橋:あらためて「NTTのあり方の議論の経緯」についてご説明します。このプレゼンテーション(資料)のとおりですが、競争政策が通信料金の低廉化、あるいはサービスの多様化、そしてイノベーションにつながっているのは明らかです。

先ほどお話ししたように、競争政策があるからこそ、各社は多くの投資を続けている。そして、サービスの向上に努めているわけです。単に利益のみを追い求める巨大企業を作ることは、国民や市場の利益になりません。

(スライド)右下に書いていますが、実は2020年には、値下げの議論のどさくさに紛れて、分離の趣旨に逆行するかたちで、NTT持ち株によるドコモの100パーセント完全子会社化が審議会もなく通されました。これが我々としては、非常に大きな悔いとして残っています。

これは、まさに市場支配の強化の策だと捉えられました。今回のNTT法の廃止が、市場支配力の強化につながることを一番懸念しているわけです。

ここからは「(NTTの有する)特別な資産」についてお話ししたいと思います。

25兆円もの費用をかけ、また電話加入権等の国民負担で構築されている、全国の「特別な資産」は光ファイバーケーブルだけではなく、スライドにある局舎からとう道、管路、電柱と、通信基盤をあまねく整備・維持できる唯一無二の存在です。

スライドにありますように、競争事業者が「構築し得ない」規模での通信の黎明期から築き上げた国民の財産ということで、(NTTは)これだけの「特別な資産」をお持ちになっていることを、あらためてご説明します。

そして、この「特別な資産」の重要性です。繰り返しになりますが、電話加入権等の国民負担で構築された「特別な資産」を活用して、NTTグループ各社をはじめ、日本の通信事業者もさまざまなサービスを開発・提供しています。

5G、あるいはこれから起こってくるBeyond 5Gは無線設備で作っていきますが、その基地局までは、この「特別な資産」がなければ構築できません。そのために、この「特別な資産」の公平利用が非常に重要であることはご理解いただけると思います。

KDDI髙橋社長「NTT法の廃止には断固反対の立場」

髙橋:そして、NTT法廃止による国益・国民生活への影響ですが、この案件は決して事業者同士の競り合いをしているわけではありません。廃止を安易に考えると、国民の国益にも影響するのではないかと思っています。

NTT法廃止は、電気通信サービスの提供に大きな影響を与えます。公正競争においては、料金の高止まりやサービスの高度化・多様化が停滞する恐れが出てきます。

またユニバーサルサービスにおいては、地方等の条件不利地域におけるサービス維持ができない。あるいは外資規制においては、我が国の「特別な資産」を中心とする基盤である、通信インフラの安全保障を損なう恐れも出てくるわけです。

そしてまたもう1点、非常に大事なのが地域のサービスです。この地域サービスの衰退にもつながる重大な問題だと思います。地域を問わず、安心安全・強靭かつ高速・大容量の通信環境の実現が困難になる可能性もあります。

そして、NTTグループの強大な市場支配力になってくると、地域事業者が排除、あるいは防災・生活情報などの地域情報の発信機能が失われる懸念があります。

したがって、NTT法で守られるべき大事なポイントですが、公正競争の観点ではNTTの一体化、強大な独占回帰に対する防止。またユニバーサルサービスにおいては、「撤退の禁止」による利用者の利益の保護。そして外資規制においては、「特別な資産」を含むNTTの設備の外資による支配の防止です。

研究成果の普及義務を見直す法令改正については、NTTさんを中心とする国力の回復につながるということであれば大いに賛成しますが、NTT法の廃止には断固反対の立場をとらせていただきます。

まとめです。「今後の政府における検討に向けて」ということで、日本国民の利益や産業全体の発展、そして情報通信インフラの将来像の実現に向けたNTTのあり方・法制度のあり方の検討が、どうしても必要だと思っています。

NTT法をいったん廃止してしまうと、今後生じ得るさまざまな課題に対応できなくなる可能性もあります。日本の国民の利益や産業全体の発展のために、ぜひとも議論を尽くしていきたいと思っていますし、公平競争の維持における大変大きな課題であると考えています。ですので、オープンかつ丁寧な議論を要望します。

これ以降については参考資料がありますので、ご覧いただきたいと思います。先般、X(旧Twitter)でNTTさんからのコメントがあった件については、我々としてもオープンに、正式に返信・返答しておかなければならないと思いました。これについても(資料で補足を)付けていますので、ご覧いただければと思います。以上です。

NTTが持つ「特別な資産」は国民が作った“持ち物”

司会者:それでは、登壇4者の代表からそれぞれコメントをいただきたいと思います。まずはじめに、ソフトバンク宮川社長、よろしくお願いいたします。

宮川潤一氏(以下、宮川):ソフトバンクの宮川でございます。181者を代表して、髙橋社長に私どもの考え方をお話ししていただきました。

この通信政策の見直しの中で、なぜにしてNTT法をなくさなければならないのか、まだぜんぜん腹落ちしていません。「事業法に組み込めばいいじゃないか」というお話もありますが、なぜNTT法の改正ではいけないのか。

こういうことに、本当にこだわっている人たちは誰なのかがまったく分からない、議論ばかり続いているというのが私の認識です。

何度も何度もお話ししているように、NTTの「特別な資産」は、電話加入権や電電公債、電電公債の返済は当然ながら、国民の電話代の基本料金や利用料金から回収して返済してるわけですから、まさに国民が作った持ち物だと思います。

それを、いち民間企業に払い下げるということであれば、「この電話加入権、一体全体どうするつもりなのか。民間に渡すのであれば、当然国民に返すべきではないか。どうなんですか?」という議論もあって然りだと思います。

当時は特殊法人なので、我々自身も作り手側に回らなければならないということで、有識者の人たちが知恵を出し合って、最終的には「電話管理権を国民に戻さないことも仕方がない」ということで決まったと聞いています。

もしこの民営化が、NTTさんだけの思いで進むのであれば、「せめてその分くらいは国民にお返しする」くらいの議論があるべきだと私は思っています。

日本のこれからの10年、20年に危機をもたらす事態

宮川:「国民不在の議論」という言葉をお話ししたいと思いますが、郵政民営化の時にも、時の総理・小泉(純一郎)さんが英断し、解散までして「国民に一度問う」とされました。

電話加入権などは非常に大きな財産の話ですし、もっと言えば、とう道を含めて非常に大きなこの国の財産です。それを国民不在の中で決着することについては、私は断固反対させていただきたいと思っています。

参考資料(9ページ)をご覧ください。NTTさんからお話があった、当社が日本テレコムを買収した際に承継しただろうと言われているような資産です。スライドの下の欄に「国鉄からの承継資産」とあります。NTTさんの資産と比べれば一目瞭然だと思いますが、サイズ感がまったく違うわけです。

それも我々が日本テレコムを買収する前に、まず一度、2003年にリップルウッド・ホールディングスという当時の外資系のファンドに100パーセント譲渡されました。それを、私どもがもう一度買い戻したということです。

携帯電話も重要な資産ですので、我々にも外資規制をかけたほうがいいという議論もありますが、ボーダフォンも2001年に外資のボーダフォンに売却されて、それを我々が2006年に2兆円もかけて取り戻したわけです。

こういうことが現実にありましたので、もしNTTのサイズで同じことがあった時に、買い戻せる企業があるのかという議論もまったく為されてないませんし、本当に危険な話だと思っています。特に我々国民、それから日本国の将来10年、20年というサイズ感で、本当に危険だとお伝えしています。

我々が2006年にボーダフォンを買収した時、2004年に日本テレコムを買収した時、まさかこんなに規制をかけるようなサイズ感になるとは思われていなかったと思います。これが20年かけて事業を行った結果です。

ということは逆もしかりで、これから20年、30年経っていくと、NTTさんもどうなるかわからないわけです。そうすると、もし何らか大きな不況があって、外資の買収対象になるとしたら、本当に大きな問題に発展します。

日本国は終わってしまいますから、ここは大きな声で警笛を鳴らさせていただきたいと思っています。少し長くなりましたが、以上です。

司会者:宮川社長、ありがとうございました。

NTTが持つ「特別な資産」は日本の携帯事業の下支え

司会者:続きまして、オンライン参加の楽天モバイル三谷会長、よろしくお願いいたします。

三木谷浩史氏(以下、三木谷):海外出張中でございまして、インドのバンガロールから参加させていただいておりますことを、お許しいただければと思います。

今、髙橋社長、宮川社長から十分にご説明がありましたが、携帯事業への新規参入者という視点から少しお話をさせていただければと思っています。

我々が(携帯事業に)参入したこともあり、日本の携帯料金は非常にリーズナブルな料金設定になっているのではないかと思っています。一番重要なバックボーンは、すべてがNTTの「特別な資産」に支えられていることではないかと思っています。

そして今、他のデバイスもいっぱいつながってくるとは思うのですが、スマートフォンはある意味人々にとってのライフラインで、場合によっては車や交通手段よりも大切なものになっていると思っています。

余談になりますが、子どもたちに聞きますと「車はいらないけどスマホが欲しい」という時代になっていますし、これから高齢化が進んでいくと、安否確認も含めて、ご高齢の方がいかにスマートフォンを使えるかも重要になってきます。

髙橋社長がおっしゃった、2020年のNTTドコモの100パーセント子会社化自体も、本来見直すべきではないかと思っています。

「NTTがすべての通信を支配する」という危険性

三木谷:これからワイヤレス・コネクティビティは本当に大切になります。今日はケーブル(テレビ)の代表の方もいらっしゃっていますが、コネクティビティは、国民だけでなく全世界の基本的人権だと思うんですね。

議論もなく、その根幹である法律をなくすことには違和感があります。また、非常に拙速であり、なぜその附則に「廃止ありき」と書くのかということ自体にも、プロセス的に非常に違和感を感じています。

もう1つ、世界はさまざまな技術競争になってきています。基本的には「大NTT」を復活させようという動きなのかなと思っていますが、まさしくこれはガラパゴスへの回帰なのではないかと思っています。

むしろ場合によっては、NTT搭載を資本分離する、ドコモをもう一度分離することも含めて、通信業界がフェアで安くて、そして便利なものをどうやって作るのが国民にとって一番いいのかという議論がまず最初にあり、その上でNTT法をどうするかを考えるべきだと思っています。ぜひ岸田内閣には、そこのところをしっかりと考えていただきたいなと思っています。

NTT法がなければ、いつでもNTTさんは接続料を上げられるわけなので、事業者にとっては大きなリスクになります。もし我々が参入する前にそのような環境下があったとしたら、おそらく楽天グループは携帯事業には参入しなかったと思います。

なぜならば、「来年から接続料、あるいは局舎の利用料をいろんな理由で30パーセント上げますよ」と言われても、対抗できる手段がないということです。ですので、実質的にはNTTがすべての通信を支配するようになります。

それを事業法で担保すると言われても、にわかには信じがたいです。まずはそこの議論・枠組みがしっかりあった上で、NTT法を廃止するのかどうなのか、改正するのかどうなのかと言うのが(適切な)手順ではないかと思っています。ですので、我々としては大きく反対させていただきます。

宮川さんもおっしゃったように、郵便料金に使っているお金と、携帯料金に各家庭が使っているお金は比較にならないわけですよね。10倍、20倍のお金を通信料金に使ってるわけであって、これが30パーセント、40パーセント上がることになれば、国民の大きな負担になります。

したがって、この時代の流れにまったく逆行した流れであると思っていますので、あらためて、強く反対を表明させていただきたいと思います。以上です。

司会者:三木谷会長、ありがとうございました。

果たして「公正な競争環境」は担保されるのか

司会者:続きまして、日本ケーブルテレビ連盟、村田専務理事、よろしくお願いいたします。

村田太一氏(以下、村田):本日はこのような発言の機会をいただき御礼申し上げます。NTT法のあり方に関する、日本ケーブルテレビ連盟の考え方についてご説明させていただきます。

本年10月19日に提出されたNTT法の見直しに関する要望書では、合計180者が賛同し、そのうち123者がケーブルテレビ事業者でした。今回はそれを上回る125者が賛同し、地方とケーブルテレビ業界における危機感の広がりを表しています。

NTT法のあり方が検討される中で、ケーブルテレビ業界が最も危惧しているのは、公正な競争環境が担保されるかどうかという点です。

電電公社時代に全国に整備された電柱・管路などの特別な資産の利用が他社も可能となることで、現在のような我が国のブロードバンドサービスの提供が進展してまいりました。これらの設備はボトルネック設備と言われ、他社がブロードバンドサービス提供にあたって必要不可欠な設備です。

この設備を保有する優越的立場を他社との競争目的で利用された場合、他社は明らかに不利な立場に置かれることになります。ケーブルテレビはこれらの電柱・管路を利用するかたちで回線を提供していますが、現状でもNTTの電柱の利用申請で多くの拒否事案が発生しています。

万が一NTT法が廃止され、回線事業とASP事業やその他の事業が一体化することになった場合、さらに運用が不透明化することが考えられます。現行の電気通信事業法の規定に加え、NTT法に定めるNTTグループ内の事業分割は維持するべきと考えております。

これにより、NTTの独占回帰を防ぎ、我が国のブロードバンド市場で多様な選択肢が確保され、地域の利用者のみなさまに、安価かつ多様な通信サービスが提供できるものと考えています。

地域サービスが衰退する可能性も

村田:公正競争が担保されず、地方の事業者が排除された場合、地域のケーブルテレビ事業者が一般放送事業者としてこれまで提供してまいりました、防災や生活情報などの地域情報発信機能が失われ、地域サービスが衰退する懸念がございます。

NTT法のあり方の検討に際しては、ケーブルテレビが果たしてきた情報発信機能についても、地域住民への安心・安全情報の提供のあり方の側面からも、確保を行うことが必要となります。

またユニバーサルサービスに関しても、NTTに期待される役割は大きいと考えます。全国でブロードバンド・ゼロ地域が依然として残る一方、地方の人口減少に伴って、特に地方の公営ケーブルの経営環境が悪化しています。

その中で、公的な資産を承継したNTTにはラストリゾート(最後の手段)としての役割が期待されていると考えられます。最後になりますが、NTT法に定められているそれぞれの規定が担保されることで、初めて地方における通信サービス環境と情報発信機能、これが継続的に発展できるものと考えております。ありがとうございました。

司会者:村田専務理事、ありがとうございました。

今回の問題は、単なる「通信会社間のいざこざ」ではない

司会者:続きまして、KDDI髙橋社長、よろしくお願いします。

髙橋誠(以下、髙橋):先ほどプレゼンでお話しさせていただきましたので若干繰り返しになりますが、今日はYouTubeを介して、国民のみなさんにも直接訴えかけられるように、この会見を開かせていただいております。

今回、NTT法の廃止について我々は疑問を呈しているわけですが、見ようによっては通信会社間のいざこざに見えるかもしれません。決してそんなことはなく、公正競争の担保は、結果的に国民のみなさんが使われる通信サービスをいかに健全にすばらしくしていくかという議論をしています。

国民のみなさんのサービスに直結する問題ですので、ぜひともみなさんに興味を持って見ていただければありがたいなと思います。

今回は、もともと防衛費の財源の話から始まっていますが、最近はもうほとんどされなくなりました。

次にNTTさんの技術開示のあり方についての話がありました。これについてはNTT法の改正をすることで十分事足りますし、そもそも誰と競争していくのか、GAFAと対抗するというふうにNTTはおっしゃっていますが、それは我々としてはなかなか理解ができません。

そこまででこの議論が終わればよかったのですが、いつの間にかNTT法の廃止というところに話が及んでいます。廃止をしてしまうと、巨大NTTへの回帰の道を開けてしまうことにつながりかねず、結果的に今まで何十年もかけてみんなで議論をしてきた、公正競争の維持ができなくなる恐れがあります。

すぐに、明日からサービスの悪化につながるとは思いませんが、5年先、10年先、これからのいろんなものに通信が使われる時代に必ず禍根を残すことになります。

よって、ぜひとも国民の方にも大いに興味を持っていただきたいと思いますし、政府に切にお願いしたいのは、ぜひともオープンな場での議論を、そして有識者も、いろいろと権利者も交えた議論をして結論を導いていただきたいと思っております。ぜひともよろしくお願いいたします。以上です。

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