2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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参加者1:「(児童養護施設は)母親がいない人が行くところ」だと思っていたので、(9割以上の子に、両親またはひとり親がいるという情報は)けっこう衝撃でした。これを聞いてもいいのかわからないんですけど、田中さんは母親がいらっしゃったんですか?
田中れいか氏(以下、田中):います。
参加者1:そうなんですか。それで「福音寮」に預けられたということですか?
田中:そうです。
参加者1:それが逆に衝撃というか、育ててくれる親がいない人が行くところだと思っていました。
田中:ほとんどいますし、割合としてはひとり親家庭のうち母子家庭のほうが多いです。48パーセントくらいが、母子家庭のお母さんから施設に来るという統計もあったりします。
参加者1:今、無料学習支援に関わろうとしていますが、みんな貧困なので「お金がない」と言って進学できなくて。お母さんのほうが「行けた、よかった」ってなるんですが、受かったけど学費を払うのをちゃんと確認していなくて、「学費を払えないわ」となって、けっこう大変だったり。
あと、うちのところは、手に職をつけるために看護師を目指す人が多いと聞いています。資格が必要な職種とか、そういうところに行く方向性の人もけっこう多いんですか?
山下舞氏(以下、山下):そのあたりの細かいところは、書籍に全てが書いてあるので、ぜひ読んでいただきたいなと思います(笑)
(会場笑)
田中:(笑)。今日はサイン付きですので、ぜひこのあとお願いします。
山下:後半にもう少し、田中さんとお話できるお時間を作りますので、いったん説明に戻らせていただければと思います。
参加者:すみません(笑)。
田中:いえいえ、熱い思いが伝わってきました。
田中:私の施設は男女混合の縦割りで、2歳から18歳の男女ごちゃ混ぜな施設です。
施設のルールを簡単にご紹介します。
毎月定額のお小遣いをもらえているのと、国から「措置費」というかたちで1人あたりの予算がつけられているので、その予算内で、靴や洋服やランドセル、部活の用品、受験料とかも、措置費の中で賄うことができます。
最近ではNPOさんの寄贈で、私のいた施設では、高校生以上は1人1台ノートパソコンを持っています。私がいた時は、スマートフォンも「アルバイトをして自分のバイト代で支払えないと持てない」というルールがありました。
今は何らかの特性を持っているお子さんや、障害のあるお子さんが増えてきています。障害があるとアルバイトができないので、携帯が持てない。不平等さが生じるよねということで、「お小遣いの中で払える格安スマホであれば、みんな持っていいよ」と、施設も柔軟にルールを変えてきています。
ということで、施設の暮らしを重点多めにお伝えしましたが、モデルを始めてミスユニバースに出場したきっかけや、施設を出て大変だった時の話は本に載っているので、今日は飛ばします(笑)。
(会場笑)
田中:私自身が施設を出たあと、親にも頼れないし施設にも頼れなくなって、1人で抱え込んでしまって。「もう私は一生ひとりぼっちなんだ」「周りの子はバイト代を全部遊びに使っているのに、自分は施設出身だから生活費に充てなければいけない」という気持ちになっていました。
自分は友だちと違うのは当たり前なんだけど、この時の私はその違いを受け入れることができなくて、「私は一生悲劇のヒロインなんだ」くらいにネガティブ思考満載な時がありました。泣きたい時に聞いてくれる人がいなくて、一人暮らしの部屋で泣いていたり......。
そんな中、映画館のレイトショーを1人で見に行って気分転換したり、1人の時間を楽しんでいたり、女子大に通って女の子と一緒にワイワイやっていたんです。だけど、時間が経つと「心の中にぽっかり穴が開く」「誰かといるんだけど、心はすごく1人」というのが、18歳、19歳の時でした。
施設にいる間、私はお母さんと交流がありました。池袋、ここらへんでいう梅田とかの栄えている場所にお母さんと外出していたんですが、その時に芸能事務所の方からスカウトをされた経験を幼いながらに覚えていて。
施設にいる間は、そういうこと(芸能活動)はできないと言われていたのであきらめていたんですが、施設を出たあとに「もう自由になれたし、やりたい」ということで、短大に通いながらオーディションを受けたりと、両立してやっていました。
でも、やっぱり芸能の道はそんなに甘くなくて。事務所に入れたからといって売れるわけでもなく、仕事が来るわけでもなく。
こんなことを言ったらあれですが「いるだけでいい」みたいな、誰でもできるようなエキストラの仕事。ギャラもあんまり出ない仕事をしながら、「なんでこんなにうまくいかないのかな」と思っていて。学校に行っても、友だちといるのも居心地が悪いし、何もうまくいかない時がありました。
田中:そんな時、お母さんが急に「コーチングを受けてみない?」って言ったんですね。急すぎますけど(笑)。「え?」みたいな。コーチングが何かも知らなかったんですが、この時の私は「コーチングを受けてモデルの道が開けなかったら、潔く保育士として働こう」と思うくらい、すがる思いでコーチングを受けました。
その時にコーチが「ただ芸能事務所に入ったって売れるわけないよ」と、世の中の仕組みを教えてくれて。「養成所に入ったとしても、だんだんとステップアップしなきゃいけない」という、芸能の構造を教えてくれました。
「外から売れてトップに行く」みたいなちょっとバカげた発想ですが、「そういうほうがいいんじゃない?」という作戦を教えてくれて。それなら私もいける気がするということで、まだやったこともないのに、まずは「モデル田中れいか」という名刺をとりあえず配りまくりました。
「モデルになってもないけど、まずなっちゃう」というのが最初です。そんなこと言わなくてもいいんですが、こういう場所で「モデルです」と言ったら、相手もそう思ってくれるので、騙して仕事をもらっていて(笑)。それこそカットモデルやヘアーショーのモデルとか、小っちゃい仕事を勝ち取りに行きました。
子ども向けに話す時は「モデルになると自分で決めたら、今できることは『名刺を作る』とか。モデルの経験がないなら『鏡でどの角度がかわいいかめっちゃ研究する』とか」というふうに言っています。
女性は共感できるところがあると思うんですが、「今の自分に足りないものは何だろう?」「今あるものは何だろう?」と棚卸しをしたり。
最後はなりたい自分を言葉にしないとお仕事が来ないので、「モデルをやらせてください」とか、ミスコンに出るとなった時は「ミスコンに出るので応援してください」というふうに、言葉にしていきました。
そうやって小さい仕事をこなしていくうちに、「ミスユニバースに出てみない?」と声がかかりました。これは、私がモデルぽい活動をしていたからこそ、その人がくださったチャンスです。
紹介してくれた人に「10秒以上考える時間を与えたら『出ない』って言うと思うから、2秒で決めろ」って言われて。「じゃあ、出ます」と言って、出ることになってしまいました。というのが、ミスコンまでのきっかけです。
田中:そして、本のエピソードですね。
山下:はい、本です。
田中:私はノートに「夢リスト」を書くのがすごく好きで、毎年手帳に100個以上「やりたいこと」とかを書いています。叶ったことにはハートマークをつけて、かわいくしたりしているんですが、「20歳の時に本を出す」と書いていました。
でも、やりたいことや夢って、執着すると離れるものです。なのでありきたりな話ですが、書いておいて、作家さんみたいな日常を送るとか(笑)。ちょっと妄想癖があるので、そういうところから始めていきました。
「作家さんなら、まずはブログを書かないとだよね」「作家さんならカフェで仕事してる」とか、そういう日常を切り取ってSNSにあげていきました。
本を出すのは20歳からやりたいと思っていたんですが、だんだんこだわりもなくなってきて。YouTubeや情報サイトを運営していたら本の出版依頼が来たので、「本当に忘れていた頃に来たな」という感じでした(笑)。山下さんから何かありますか?
山下:スルスルと田中さんのお話が進んでいくので、つい聞き入ってしまいました(笑)。そうですね、では、出版に至るまでのところで、「自分がこうなりたい」と決めたら、まずは名刺を作ってしまうというアクションが、起業を始める時と近いなと思いました。田中さんはこの段階でそういうことも考え始めていたのでしょうか?しょうか?
田中:本ですか?
山下:はい。
田中:この時はちょっとバカで(笑)。自己啓発本をめっちゃ読み漁っていた時期だったので、とりあえず本に書いてあることは全部やるみたいな感じで、ノートに夢を書いたり、あまり執着しないというのを繰り返していました。
山下:なるほど。「迷ったら、とりあえずやってみる」というのは、すごく大事ですよね。
田中:はい。やらない後悔のほうが残ると思っているし、私自身の軸として「自分の味方は自分しかいない」というのがあります。
「自分が、自分のやりたいことをやらない」という選択は、自分のことを嫌いになるというか、自分を裏切る行為だなと思っているので、自分がやりたいと思ったことは自分で叶える。そして自分をちょっと好きになる、みたいなことを意識しています。
山下:いいハッピーループ(笑)。
田中:はい(笑)。
山下:素敵なお話をありがとうございます!
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