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混迷の時代に生き抜くために必要な「人生を変える3ステップ」(全3記事)

2025年に社会システムの新旧交替が起こる 『ジーニアス・ファインダー』著者が警鐘を鳴らす、今の日本産業の“限界”

大人の自分らしいライフシフトを支援する「ジーニアス・ファインダー」は、30代40代に向けて実践法を伝える無料セミナーを開催しています。今回はその中から「混迷の時代に生き抜くために必要な『人生を変える3ステップ』 」をテーマに行われたセミナーの模様をお届けします。『ジーニアス・ファインダー』著者の山口揚平氏が、2025年前後に起こると予想する「産業の転換」について語りました。

混迷の時代に生き抜くために必要な「人生を変える3ステップ」

山口揚平氏(以下、山口):今日は3つの話をしようと思います。1つは、「外の世界は混乱している」ということ。みなさんも感じていると思います。ロシア・ウクライナ問題や、日本でも産業も厳しく「コロナ対策で自粛を」とも言っていられない。社会システムの崩壊も始まっていて、生きづらい状態です。色々なことから、世界は混乱期を迎えているなとわかると思うんです。そういった時期は自分の「外側」ではなく、「内側」を見つめるべきだと思っています。

2つ目は、「自分を識るための3つの方法」をお話ししたいと思います。「自分を識る」と言っても、ほとんどの人がそういうことをやったことがないんじゃないかなと思います。とても難しい行為なので、誰か伴走者がいないと難しいです。

3つ目は、どうやら「新しい世界線」が浮上してきているということ。新しい世界線を3つに分け、個人がどんな行動をしていくべきかお話ししたいと思います。

参加者の方がどんな角度で何が知りたいのか私はわかっていないし、おそらくバラバラだと思うんです。なのでもしかしたら「ちょっと期待と違うのかな」なんてこともあるかもしれません。そこはご愛嬌ということで(笑)、私が話せる精いっぱいのことを、丁寧に話していこうかなと思います。

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』は、2015年に書いた本です。この時に、2020年~2025年はかなり厳しくなるんじゃないかと予測をしていました。

というのも、社会システムは80年ぐらい周期で動いています。なので社会のシステムも産業もボロボロになってきたことが、明らかになっているんです。

2025年に産業の逆転が起こる?

2020年にコロナが起こったんですけども、(僕が未来予測を書いた)2015年にはまだ起こってなかった。それでも2025年を契機に、新旧が交代するという予測が立てられたのは、2015年の時点で、厳しい状況をなんとか隠してきているということがわかっていたからです。

旧来の産業、例えばメディアとしてのテレビや建設業だったり、あるいは自動車とか部品輸出産業とか、そういったもので日本は食べてきました。その臭いものに蓋をするように、厳しい状況が見えてきた段階だった(のを見て見ぬふりをしていた)んですね。

その後コロナが起こって、オリンピックの開催時期が延び、今が2022年です。なんとなく不満とか不安とかが助長されているような、どうしていいかわからなくなったのが今の現状じゃないかなと思っています。

僕は2025年に、新しい社会制度(の誕生)や産業の逆転が起こるんじゃないかなと予測していまして、そこから2040年にかけて整うんじゃないかなと思っています。

今聞いてくださっている方は、この2022年から2024年をいったいどうやって過ごせばいいのかということに集中して、自問自答しながら話を聞いてくださるとうれしいなと思います。

低迷する日本産業を牽引してきた自動車産業

ちょっと頭出しすると、産業に関しては大きく変わっていくだろうなと思っています。特に自動車であれば、難しい話になりますが、この国の「GDP(国内総生産)」、経済全体の大きさはざっくりと見積もって600兆円あります。(※2021年度の名目GDPは544.9兆円)

そのうちの約10パーセント、60兆円ぐらいが自動車およびその関連産業で占められているんです。トヨタをはじめとする自動車メーカーに、保険とかディーラーとか部品産業とかが紐づいていて、輸出してきました。

そこから戦後45年が経過した1990年にバブルの頂点を迎えたわけです。日経平均が最高値をとらえて、ずっと低迷しているんですけども、それでも自動車産業がなんとか牽引していったわけです。

そして労働者。働いている人は6,000万人います。そのうちの10パーセントの約600万人が中核的な輸出産業に従事しているのが日本の現状なんです。

こういった大きな数字を覚えておくのはけっこう大事で、自分に関係ないんですけども、すごく長い時間軸で見るとか、すごく大きな全体を網羅する数字を見るというのはとっても大事な考え方です。

目の前のものを見るよりも全体が見えていたほうが本質をつかみやすくて、手を打ちやすくなると思うんです。なので我が国のGDPの600兆円という数字や、約6,000万人が現役で働いているという数字を覚えておくことは大事です。ちょっと余談になりました。

「あうんの呼吸」でモノが作れる日本人が得意な分野

今で言うと、テレビ産業は大変なことになっています。芸能界もごった返しになっている状況ですけども、みんなわかっているように、YouTuberとか、メディアがかなり変わっていますよね。

TikTok(ByteDance)なんかは10兆円以上の規模の会社になっていると思うんですが、それに対してフジテレビはもう不動産会社になっていて、ほとんどメディアでは儲からないような状況です。

僕らとしては、ここから大きくなっていく産業として、2025年以降はロボティクスだったり、宇宙開発とか、地球環境保全とか。未病とか先端医療とか新しい教育システムとか、そういった産業が中核になっていくんじゃないかと思っています。

特に日本の場合は、先ほどのトヨタの例じゃないんですけども、大きな駆体を長いサプライチェーンを持って製造・販売・メンテナンスすることが得意です。ロボットはそれ(自動車)にかなり近いようなかたちで、日本人にとって確立しやすい産業なんじゃないかなと思っております。

日本の働き方はあうんの呼吸で、バケツリレーのようにしてモノを作っていくのが得意なんですね。それが有効なのはロボティクスの分野なんじゃないかなと思っています。できるだけ自動車産業からロボティクスの輸出へと移動していければいいなと思っています。

10項目の大きな変化

これは大きな変化を予測したものになります。「仕事」「お金」「財政」「コミュニティ」とか、「結婚・家族」とか「東京」「地方」とか、「価値観」「教育」「産業」とかが、どういうふうに変わっていくのか。

全部は説明しづらいですけども、仕事に関して言うと、圧倒的に労働時間が減ったり、収入格差が広がりました。今後はIC(independent contractor)と言う、独立事業者が4分の1を占めるようになります。

今、副業をやっている人がすごく増えていると思うんです。働き方が多様になる中で、「仕事」とはなんなのか。それは会社に勤めることなのか、それとも価値を出すことなのか、わからなくなってきていますよね。

そんな中で税金の問題とかも含めて独立する人が増えてくるのかなと思います。ちなみに米国では(ICが)40パーセントに達すると言われています。

お金については、ネット通貨や時間通貨とかの話をしていました。今後は世界統一通貨が出てくるんじゃないかなと思っています。貨幣論に関しては僕は専門なので、別の機会に詳しく話したいなと思っています。

財政に関しては、ちょっと厳しい。(崩壊までに起こることとして)「借金を全部チャラにしましょう」という徳政令か、戦争というかたちにしていますけど、今はロシア・ウクライナの問題でもめています。

いろんな考え方があるんですけども、プーチンさんの考え方は古いというか、時代が違うなと思いますね。土地とエネルギーを制するものが(強く)、大きければ大きいほどいいという時代ではなく、それぞれが都市国家として小さく乱立していく。そんな時代に世界は突入していると思うんですよね。

プーチンさんの原体験は巨大なソ連という帝国にあったので、KGB(国家保安委員会)という組織に所属していた時の「あの時のソ連を」というのは気持ちはわかるんですが、かなりもう時代遅れなんじゃないかなと思っております。

東京の「メトロポリタン化」

それから家族に関してはややややこしくて、みなさんの考える家族像は4人の核家族かもしれないですけども、実際にはもう家族の平均構成人数は2.1人に向かって動いているんです。

ほとんどがパートナーと2人だったりとか、親と子どもの2人だったりします。テレビCMの家族は幻想の世界で、ほとんど成り立たないような状況になっています。そんなふうに、いろいろ変わっていくんです。

東京に関しては「メトロポリタン化する」と言っています。東京は「日本の東京」というより、東京というメトロポリタンシティが1つできるだろうと考えています。

パリとかニューヨークとかロンドンとか上海のような、世界のメトロポリタンシティと比肩し得るようなものができると思っています。それだけの十分なインフラとかポテンシャルを持っている。そうすると、日本人は東京に住めなくなります。世界のエリートとかお金持ちが東京に住むことになるでしょう。

そうなってくると、日本人は町田や本厚木や西船橋など、23区周辺に追いやられていくんじゃないかなと思います。

だいたい世界の中核的な都市は、その国の人たちが住めないんです。例えばフランスのパリも、ユダヤ人や中国人、インド人など、トップの人たちが住んでいる状況なんです。

東京の土地は「億ション」とか言いますけど、マンハッタンだと200億円ぐらいするスイートルームがあるわけです。そうすると、まだ日本のペントハウスは安いんじゃないのと思います。

教育に関しても、公教育は厳しい状況です。公的な中学校とかは破綻してきています。そうすると公教育じゃなくて私教育に子どもを入れよう、ないしはホームスクールをやりましょうという方向に来ているんじゃないかなと考えています。

コロナ後の「インバウンド2.0」で構築するべきもの

特にここで言いたいこととして、1つはコロナで非常にラッキーだったということです。1度インバウンドブームがあって、3,000万人、3,000億円ぐらいの規模で、たくさん海外の人が日本に来たんです。

ところが、儲かったかというとぜんぜん儲からなかったんですね。例えば鎌倉は(日帰りで回れるので)、泊まるところがないんです。だから1人当たりの使う単価はだいたい500円でぜんぜんお金にならない。あるいは京都はずっと財政赤字で、1,000億円以上の赤字を抱えている。

日本はヨーロッパの観光ビジネスと違って、住んでいる人たちが旅行者に対して「入ってきていいよ」というような、受け入れてしまう感覚なんです。国民性としてはいいことだと思うんですけども、観光業はもっとシビアにやらなきゃいけません。

住んでいる人が日々その土地観光資源を整えているわけで、良くない言い方をするならば、外から来た人はそれに「ただ乗り」しているわけです。

なので、そこに関しては「お金を払ってもらわなきゃいけない」という考え方をするのが基本です。つまり入場料や拝観料みたいなものです。

例えば(フランスの)ニースに行くと、1泊100万円のラグジュアルなホテルがたくさん並んでいます。でも地元の人に対する価格帯をみると、そんなことはないわけです。コート・ダジュールのような「海の真珠」と呼ばれる海岸を整えている人たちは、地元の人たちです。観光客は、夏の間だけ来るわけですから、管理や整備に対してお金を払いましょうよというような感じになっていますね。

コロナでインバウンド消費が止まって、次のフェーズを「インバウンド2.0」とあえて名付けるとするならば、次はもっと単価の高いもの、マージンがたくさん取れるものをしっかり構築していかないと、厳しいと思っています。

瀬戸内海にガンツウという1泊108万円の船上ホテルができましたけども、そういうような動きも加速していったらいいなと思います。

コロナを経て、意識が「空間」から「時間」へ

2番目は抽象的な話になるんですけども、どこに行くとか誰と会うとか、僕らは今まで「空間」について考えてきました。しかし我々が今一番大事にしているのは「時間」だと思うんです。時間が濃密であることが、どうやら人生で重要だと。

この空間から時間に意識がシフトしたことがけっこう大きいんです。もちろん空間の制約をコロナが与えたからなんですけども、自分自身も含めて「濃密な時間を過ごしたかどうか」がとても気になる。その時に会うべきでない人には会う必要がないと厳選している。

自分が誰と会いたいのか、誰としゃべりたいのか、どんなものが自分にとって豊かな時間なのか、みんな考えるようになっているんじゃないかなと思うんです。

今までは、時間の使い方に関して考える必要が少なかったと思うんです。意識が空間から時間へと変わってきたと言えるんじゃないかなと思います。このあたりがちょっとジーニアスファインダーに関わってきます。

真ん中に「クラッシュ」と書いてあります。世界が大きく変わりつつあり、議会政治を見ていても、政治家に期待することがない。

「服を脱ぐような産業」は付加価値が低くなる

あるいは「産業構造の崩壊」と書いてありますけども、どんどん日本のGDPは下がっています。さっき観光の例を出しましたけども、そもそも観光業は、過去作ってきた遺産を観に来てもらって楽しんでもらうという、一番付加価値が低い産業なんです。

ギリシャは観光業が中心ですけども、一回破綻しましたよね。観光業が中心だったポルトガルも一時は経済危機に瀕しましたが、今は脱却しつつあります。

誰かに来てもらって観てもらう。ちょっと言い方は悪いけども、「服を脱ぐような産業」はどうしても付加価値が低くなってしまうんです。

「付加価値が低いとか高いとかは、重要なの?」と聞きたくなるかもしれませんが、僕はすごく重要だと思っています。特に日本は「ばらまき経済」です。「とにかくお金を刷ってみんなに分配すればいいじゃん。補助金があるよね」とか、「困った人に関してはベーシックインカムだ」とか、そういう話になっている。

ですがやっぱり、一番大事なことは稼ぐことです。稼ぐというのは、ちゃんと価値を出して、ちゃんと収益を国として取ることです。

そのため、産業改革をしない限り、ずっとお金を刷り続けて、日本の価値がなくなってきて、円が下がって暴落し破綻していくという道を行かざるを得ないんです。

今やっている産業も、付加価値が低い産業は全部変えつつ、新しい産業に入れ替えていかなきゃいけない。それが2025年までにやっていくことかなと思います。

「直接民主制度」への転換の提案

議会政治も、「4月1日からホテルのアメニティがなくなります」とか、そんなことをやってもしょうがないというか、「何を議論しているんだ」と思う人も多いと思うんです。

そもそもいわゆる間接民主制という、誰かを選んで選挙で投票して、その人が中間的に国民の生活に関して法案を決めたりとか実行していく形式は、もう時代遅れです。

だいたい60パーセントから70パーセントくらいは国民投票で、みんなが(スマホを使って)かちゃかちゃ、「これに賛成」とか「反対」とか、票を入れていけばいいと思います。つまり直接民主制ができるはずなんです。だけど、全部を議員に集約させてしまうと極めて合理的でなくなったり属人的になったり、収賄が起こったりとかしやすい。

もう十分なインフラがあるので、すべてとは言わないまでも、60パーセントぐらい(の法案は)、みんながそれぞれ投票する直接民主制度に変わっていくべきなんじゃないかなと思います。

そして、2024年とか2025年になってくると、東京が都市国家として、日本から一抜けをすると思うんです。小池さんもそのつもりだし、海外のニューヨークとかパリとかロンドンと戦っていくことになっていくと思う。

それ以外の都市、例えば大阪は大阪で考えていくし、京都は京都で「京都トゥ・ザ・ワールド」つまり、1つの文化都市としての存在感が増していくだろうし、福岡は中核的なアジアの貿易都市になっていくんじゃないかなと思います。

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