2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:それでは鈴木さん、生田さん、どうぞよろしくお願いいたします。
鈴木裕介氏(以下、鈴木):どうぞよろしくお願いします。
生田美和氏(以下、生田):よろしくお願いいたします。
鈴木:夜遅くにどうもありがとうございます。心療内科医の鈴木裕介と申します。今日は……何ていうタイトルでしたっけ?
(一同笑)
鈴木:「人生に疲れたらゲームをしよう」というタイトルなんですが、ふだん僕が普通に診療をしてたりとか、社会のことをぼんやり眺めている時に、いろんなコンテンツによって生かされているというか、癒されている人がすごく多いなと感じるんですね。
秋葉原で内科と心療内科の診療所をやっているんですが、中にはゲームが人生の接点や命綱みたいになっている方とか、そういうケースもけっこう見まして。
僕自身もゲームはすごく好きで、『スプラトゥーン』とか……今日も『スプラトゥーン』のTシャツを着ているんですが、3,000時間とかやってもまだぜんぜん腕前が上がらないんですけど、それでも日々「豊かだな」と思うし。
僕自身が個人的にものすごくつらい喪失体験があった時には、『ドラゴンクエスト11』がちょうど出た時で、食い入るように没頭してプレイをすることで、なんとか(社会に)浮上してきたなと思います。
そういうこともありまして、物語が人生の補助線というか、いろんな癒しになるというのはあるかなと思うんです。そこの物語のあり方の変化と、あとはゲームならではの癒しがあるんじゃないかなと思いまして。
鈴木:僕がすごく青春を捧げたゲームである『サガ フロンティア』とか、今日リマスターが出たばっかりの『聖剣伝説LEGEND OF MANA』とか、僕の大好きなシナリオを書いて制作された、生田美和さんをお呼びして、ぜひお話させていただいたらなと思って。
私利私欲のためにお声をかけさせていただいて、こんな機会を作らせていただきました。今日はどうぞよろしくお願いいたします(笑)。
生田:よろしくお願いいたします。
鈴木:生田さん自身はゲームとの関わりというか、ふだんどんなゲームをやって癒されていますか?
生田:私はMMORPGが大好きで。小学校の頃の「放課後に空き地に集合な」というのが、(大人になって)「あのゲームに集合な」となるみたいな。日本中あちこちから仲間が集まって来て、わーっと遊ぶ。また、そのゲームが始まった頃にうまく入れると、みんなレベル1なんですね(笑)。
鈴木:そうなんですよね。
生田:みんな優劣がない中から……。
鈴木:一緒に成長できる。
生田:そうなんですよ。そのワクワク感がもう大好きで。ゲームが始まると、「みんな行くよ」と誘っていって(笑)。それがすごく楽しみですし、生活の一部になっていますね。
鈴木:ゲームの中でつながりを持つことって、たぶん「リアル社会万歳!」みたいな人からは、すごく揶揄されやすいとも思うんです。
僕は『スプラトゥーン』なんですけど、そこに「ハイカラスクエア」という町があって。世界観に浸ることが、すごく心地が良いというのがあります。なので僕はイベントとかがあると、ずっと『スプラトゥーン』のTシャツを着たいなと思うんですが、あまり今までそういうハマり方をしたことがなかったなと思って。
世界観があって、それが「心地いい」と居心地の良さを感じて、癒される部分もけっこうあるのかなと思っているんですが、世界観という言葉の話をいきなりするのはちょっと重たすぎるかもしれないんですけど(笑)。もうまさに(生田氏が)世界観の方、という感じなので(笑)。
生田:ありがとうございます(笑)。
鈴木:これ、いきなり聞いちゃってもいいのかな。もうちょっと組立てとかあったほうがいいのかなとか思いつつ、どうでしょうね?
生田:そうですね。私は世界観をゼロから作るお仕事がとても多くて。そこでやっぱり、ゲームならではの癒しや喜びがあるなと思っているのが、新しい世界を提供することです。
先ほど言ったような、レベル1からみんなでもう一度「絆」というか、知り合いを増やしていく。現実だと、「何歳まで生きたら大人」だったり、職業や性別だったり、容姿的なものとかも全部見えてしまうんですね。
(現実は)“昨日の自分”を脱ぎ捨てられないんですが、ゲームはバッと入れば、リアルの自分のものは何も問われずに、新しい自分として遊んでいけるので。その世界をお渡しする。遊び場を整備して、みなさんにお渡しするというのが、たぶん自分の一番の使命として持っているところです。
鈴木:僕がMMOをやったのは『ドラクエ10』だけで、一応250時間ぐらいやったんですが、その日に集まった4人パーティなんですけど、最後にネルゲル(『ドラゴンクエストⅩ』に登場する、世界を闇の封印に落とそうとたくらむ死の世界の王)をギリギリでやっつけられた時が、めちゃくちゃうれしくて。もう「うおー!」とか書くんですよね。
「うおー! やったー!」とか言って書いて、記念撮影とかして。それでやっぱりちょっと「どんな人なの?」と気になっちゃって(笑)。たぶんこれは野暮だと思うんですが、30何歳の医師、20何歳の会社員の方と、12歳の小学生と18歳。
生田:そうなんですね!
鈴木:でも、12歳の小学生にわりとおんぶに抱っこみたいな感じだったりして(笑)。本当にパワーバランスもぜんぜん変わるし、児童精神科医の先生がおっしゃるんですけど、子どもと『スプラトゥーン』とかをやったりする時に、その先生はランクBとかであんまり強くないんですよ。子どものほうがぜんぜん実力が上で。
でも、子ども相手に本気でやって大人が負けるという体験自体が、子どもにとってすごく大きいものであるということを言っていて。子どもはまだ社会の中では弱い立場だったり、いろいろなものに翻弄されやすいんだけど、「こういうことが自分の世界の中でできるんだ」とか。
鈴木:なにかしらの障害を抱えられている人が「自分もやっぱりできるんだ」とか、世界に地に足を付けていく中で、すごく大きな体験であるということをおっしゃっていて。すごくそれが印象的だったなと思いました。その話を思い出したんですよ。
生田:そうですね。やっぱりリアルでは、自分の体格差や知恵や経験値とかで、大人には敵わない。でも、ゲームの中だったらみんな同じ条件なので。そこからの戦いとかは、本当にゲーム好きでやっている子たちが、年齢に関係なく輝くというか、活躍の場を得たり、お世話をしてくれたりするという。
そこがまた本当に、「魂だけで遊びに行ける」というゲームの良さだと思うんですね。ふだんリアルの世界では知り合えないような距離や年齢層や職種の違いを、本当に忘れて交流ができる。現実の自分をお休みして、遊びに行ける。
でもそれは、嘘の自分じゃなくて本音というか、肩書きとかを全部置いた自分の遊び心で行けるところが、たぶんすごくゲームらしいし、ゲームじゃないとできないところだなと思います。
鈴木:「今の自分を置いておける」って、すごくいいなと思って。
印象的な患者さんで、その方は若い看護師さんだったんですけど、「死にたい」とかまでではなかったんだけど、本当に追い詰められた時に絞り出すような声で「先生。今の私をちょっとだけやめたいんです」という言葉を吐露されたことがあって。これは本当に、すごくリアルなものだなと切に感じたんですね。
自分であることに疲れてしまって、自分で選んでやってきたはずなんだけど、一方で他の人から求められて、そういう役割を演じていたり。社会から必要とされている、期待されている自分像みたいなものに苦しまれている人って、すごく多いなと思っていて。
この本(『NOを言える人になる』)の最初に書いた、いわゆるすごく高学歴だしハイスペックなんだけど、すごく生きづらいような人って、まさにそういう人だったかなと思うんです。自分であることをやめるのって、やっぱりゲームの中にまた新しい世界があるし、そこの世界観にある意味居心地とかリアリティがあるからできることなのかなと。
生田:そうですね。
鈴木:それを一から考えられているということで、もうだから「なんという手間だろう」と思うんですけど(笑)。
生田:ごっこ遊びができるのが、ゲームの良さだなと思っていて。「もうこのゲームは、性別を変えてやってしまおう!」っていうのもいいと思うんですよね。私だったら、男の子として遊んだり。
鈴木:そうだそうだ。僕も確かに、最近やったやつは全部主人公は女でやっていますね。疲れてるのかな(笑)。
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