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マネージャーの新常識「リスペクティング行動」(全12記事)

過去60年の日本は「社内に答えがあり、上にならえば勝てた」 答えが中にない“これから”の個人・組織の必須スキルとは?

メンバーの「強み」「特性」「やりたいこと」「事情」などを認め合い、期待し合う言動や振る舞い、およびそれらを促進する環境づくりための新たなアプローチ。これを「リスペクティング行動」と呼びます。本記事では、新刊『バリューサイクル・マネジメント』が5/1に発売された沢渡あまね氏と、Uniposカンパニー社長・斉藤知明氏の対談イベント「マネージャーの新常識『リスペクティング行動』」の模様を公開。コラボレーションを加速する組織スキルについて、両氏が語りました。

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ワークスタイル・コミュニケーション専門家、沢渡あまね氏

斉藤知明氏:では沢渡さん、お願いしてもよろしいでしょうか。

沢渡あまね氏(以下、沢渡):はい。よろしくお願いします。

今日は「リスペクティング行動」、マネージャーの新常識。コラボレーションを加速するマネジメント行動。個人の行動。そんな話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

沢渡:簡単に自己紹介します。沢が渡ると書いて、沢渡あまねです。物書き・作家。何の物書きをしているのかといいますと、ワークスタイル・コミュニケーションの専門家をしています。

沢渡:日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社と16年間勤め人をしていまして、大きく専門領域は「IT×広報」ですね。IT×広報で、組織のコミュニケーションの景色を変えていく。そこから組織の問題課題解決をしていく、そんな人間です。

これまで350以上の企業・自治体・官公庁の変革を支援してきました。現在、私はパラレルキャリアでして。作家・フリーランスの顔を持ちながら、組織変革を支援するなないろのはな「浜松ワークスタイルLab」取締役。育休者向けオンラインスクール「育休スクラ」を提供するNOKIOOの顧問。ワークフローシステム、エイトレッドの顧問。このように、パラレルキャリアで活動をしています。

そして、新刊を出します。『バリューサイクル・マネジメント』。今日お話しするリスペクティング行動、エンゲージメントについても、この中でじっくり解説していますので、ぜひご覧ください。

沢渡:趣味は、ダムです。ダム際ワーキング。最近、ワーケーションが流行ってますけれども、私はダム際で仕事をしています。自分がはかどる環境で仕事をさせてもらえる。これもリスペクティング行動なんですね。今日この後じっくり、斉藤さんとお話ししていきたいと思います。ダム際ワーキングのサイトもありますので、よろしければこちらも息抜きがてらご覧ください。

リスペクティング行動ってなに?

沢渡:さぁ、本題いきます。リスペクティング行動とは何か。このように定義しています。

沢渡:リスペクティング行動とは、メンバーの強み・特性・やりたいこと・事情などを認め合い、期待し合う言動や振る舞い。およびそれらを促進する環境づくり。例えばITをどう使っていくとか、オフィス環境とかですね。正しくお互いが認め合い、期待し合えるチームは、信頼関係を元に高いパフォーマンスを発揮することができます。

なぜそれが必要か? 今日のキーワードであるコラボレーション・協業・共創。正社員、男性の正社員だけで価値を出せる時代ではなくなってきましたね。性別それぞれ、あるいは働き方もそれぞれ。場合によってはフリーランス。あるいは、他社と協業しながら課題解決ないし新たな価値を創造していく時代です。

そうすると、なおのことこれからの時代、お互い立場が違う人を認めあって、チームビジョン・ゴールに向けて率いていく力は、個人としても組織としても必要なスキルになりつつある。そのような前提に立つ必要があるかと思います。

過去60年の日本は「社内に答えがあり、上に倣えば勝てた」

沢渡:では、これまでとこれからの時代、どう違うのか? ひもといていきたいと思います。

沢渡前回のウェビナーでもお話ししました。ログミーで読み物にも残っていますので、また見ていただければなと思いますけれども。

沢渡:過去50~60年、日本はこの絵でいくと左側。「統制型・ピラミッド型」のやり方にコミュニケーション・法制度も含めて、最適化されてきたワケですね。「製造業型」といっても過言ではないかもしれません。このモデルは一言でいうと「社内に答えがあった」。言われたことをきちんとやっていれば“勝てた”モデルです。

社長が「この車作れば売れるね」と言って、各部門がプロセスを「上に倣え」で作って、現場のマネジメントは基本的に統制管理・監視型、逸脱する人を出さないやり方。

すべての人が同じ場所に集まって、同じ時間を共にして、基本的に同じ「社員」という肩書きを持って、内に閉じて仕事をしていれば答えを出せた、勝てたんですね。

これからは「中に答えがなく、過去に答えを求め得ない時代」

沢渡:しかしこれからの時代は、中に答えがない時代。不確実性と向き合う時代ですね。COVID-19のような不確実なリスク。世の中の技術もどんどん進化します。マーケットはグローバル化します。

中に答えがない。過去に答えを求め得ない時代。トップが答えを持っているとは限らない時代。ないものは外に答えを求める。あるいは組織内のメンバーとメンバー、あるいはチームとチーム、部署と部署。あるいは社外の人たちとすばやくつながって、すばやく答えを出していくやり方に変えていかないと、イノベーションが起こり得ないワケですね。

それどころか既存の問題さえも解決できない。そういう時代になってきています。そうすると、コミュニケーションのやり方も含めて、いかにオープンにつながっていくか。ビジョン・ゴールありきで結びついて、パフォーマンスを率いていく。ファシリテーションしていくか。こういうマネジメントのやり方に変えていかないと、もううまくいかないという時代ですね。

沢渡:そのような時代において部分的にでも……統制型を否定しているワケではないんですよ。答えを出せる領域においては、統制型のマネジメントって、極めて合理的なんです。しかしながら、答えが中にない時代・過去に答えを求めにくい時代では、部分的にでもオープン&コラボレーション、オープンになって、つながっていくやり方をしていかないといけないですね、と。

その時代においてメンバー同士、あるいは組織同士、お互いの顔がわかって相互リスペクトがある状態を作っていく。これはまさに、いかなる組織においても必要条件になりつつある。こういうことだと思うんですね。

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