2024.10.10
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『ウィニングカルチャー』出版記念対談「組織に心理的安全性は必要?」組織文化と心理的安全性の関係を探る(全9記事)
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篠田真貴子氏(以下、篠田):本当、中竹さんのご本を読んで「組織文化を変えるのには、もう何年もかかります」って書いていらっしゃって。「それはそうだよな」と思いましたし。そこに伴走してこられてるというのは、すごいことだなと思って。その辛抱強さたるや。
中竹竜二氏(以下、中竹):すごく思うのは、前にU理論などに詳しい中土井僚さんと対談させてもらった時に、私自身、能力が低いなという自己認識があったから。物事を劇的に変えるというマインドセットが、たぶんないんですよね。
篠田:なるほど。
中竹:なので、これは良くも悪くも私の中にある、物事はジワジワしか変わらないんだという(マインド)。
これは時々、悪く作用するんです。もっと早く変わるものも「いやぁ、なかなか急には変わらないよね」という甘さも出るので。文化を変える時は、長い胆力・持続力があるんですけど。
そういう意味では、今回いろんな人と対談する中で「長くじっくりやる」というのは、良くも悪くも私の特徴なんだなというのに、改めて気づきました。
篠田:本当そう思います。私、自分はどうなんだろう。中竹さんのように、長期間粘る時はあると言えばあるんですけど、たぶんタイプが違う感じだなと思ったから、(中竹氏の著書を)読んでて「へぇ」って。「ちょっと自分とは違うな」という意味で、めちゃめちゃ感心したんですよね。そういった印象が、全編通じて残っています。
(中竹氏の取り組みが)「このプロジェクトは3年」「このプロジェクトは6年」みたいな。なんかそういう「年単位」な感じなんで(笑)。
中竹:最近、それが加速して。人は誰しも変わるとは思ってるんですけれども、時には「この人は今世じゃ変わらないかな。来世かな」と思うこともあります。
篠田:来世(笑)。
中竹:そもそも1~2年前から、それぐらいスパンが伸び始めてきていて。「それ今世では諦めているってことか」と突っ込まれたこともあります。最近は、魂レベルで考えるようになりましたね。
篠田:(笑)。でも別の見方をすると、プラス、ポジティブにすごく「人の可能性」を信じている。来世まで、とにかく期間を延ばしてでも可能性があるというところは揺るがない。中竹さん、それ、すごいです。
中竹:もう、私の強みはそこだけかなとも思う。どんなに周りから「この人だめだ」って言われた人でも、絶対変わると。今世はもしかしたら無理かもしれないけど、来世は変わるぞみたいな感じで。その人の魂を信じるというスタンスでやっていて。
篠田:記事になる時に、これ見出しにしてほしいですよね。「来世までには」(笑)。
中竹:なんかスピリチュアルみたいな人になっちゃいますね(笑)。
篠田:それこそ企業のコンサルティングをされる時って、大企業だとみなさん、2~3年単位で異動されたりしますし。やはり気持ちとしては、例えば部門の責任者って、もう半年ごととかに人事評価するワケだから「その時間軸で変わってくれないと、変わったことにならない」という、こういうマインドセットで、たぶん……。
中竹:ありますね。
篠田:中竹さんがお付き合いするクライアントってあると思うんですよね。その辺の「どういう時間軸で物事を見るか」というのも、組織風土の一部を成すんですかね?
中竹:そうですね。だからその時に「同じものさしで語る」としないと、話が合わないんですよね。変わる・変わらないの軸が、私は組織文化とか。人のスキルよりは、その人のビーイングに近いところ(を変える)ですね。姿勢とかアティチュードを変えるので、やっぱり時間がかかりますよという話なんですよ。
けどやっぱり「異動も早い、評価も早い」というところって、意外にクォーター、3ヶ月とか4ヶ月で結果を出してくださいねって言われる。そこで使われる「変える・変えない」の軸が、売り上げを上げたかどうかで。
これ、変える・変えないじゃなくて、同じ軸の中で上下を言ってるだけであって。この上下は、私からすると大事ではあるけど、変わったうちに入らないので。基本的に私は、人や組織が変化し成長していくというところに軸を置いています。
チームボックスで仕事を受ける時には「売り上げ直結型で3ヶ月で成果を出してください」みたいなコミットは、基本的には受けません。「そういうのが得意な会社さんはいっぱいあるので、そちらにぜひお願いします」みたいな。
そういう意味では、最初のマッチングでズレるとお互いに不幸なので、短期的な売上拡大を希望されるようなところは、お断りさせてもらっています。
篠田:そうか。むしろ逆に言うと、それだけ中竹さんたちと同じ時間軸で課題を捉えましょうという会社も、それなりにありますよということ……?
中竹:そうですね。ありがたいことに、そういったところからお声掛けいただくという感じですかね。
篠田:そうなんですね。すみません、私がいろいろ聞きたくなっちゃって。本を読んでて「どうやってるんだろう?」みたいなところにどんどん興味が……。
例えば、聞きたいなと思っていたのは「人が変わる」ということことについて、ある環境において適切な対話があったら「いつか変わる可能性がある」という、なんとなくの肌感覚があるんです。その一方で、人が変わるということと組織が変わるということの、この関係って必ずしも一方向ではないと思うんですね。
組織が変わることが環境要因にあって人が変わることもあるし、人が変わることで組織が変わることだってある。
中竹:両方ありますね。
篠田:相互に依存してますでしょ。そこをどういうふうに捕まえてやってらっしゃるんだろう? と思って。
中竹:これはすごく本質的なところで連動しているので。極論を言うと、卵が先か鶏が先かと同じ話で「組織を変えるか、人が変わるか」みたいなところなんですけど。
それで言った時に、サービスとしてどちらかをやるか? というと、わかりやすく「人から変えていく」。要するに「人が変わることが大事です」というのに軸を置いています。組織を変えるといった時には、すごく曖昧だったり見えなかったり。「組織って誰ですか?」というと、見えないので。
人が変わることによって、組織や組織の文化が変わります。
じゃあ“人が変わる”の定義は何かと言うと「スキルが高まりました」ということよりは、どちらかと言うと物事に向かうアティチュードというか姿勢であったり、マインドセットであったり。ビーイングに近いところが変わるということを、我々としては軸に置いています。
そこが変わることによって、全体の組織文化も変わります。そうするとまた人も変わりますと。出発点を、人の変化においているんですね。
篠田:なるほどですね。いやぁ、本当おもしろい(笑)。組織文化。
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