
2025.03.07
クレームを入れた人の3割は、「1時間以内」が我慢の限界 メールの初動対応で失敗しないための具体策
リンクをコピー
記事をブックマーク
斉藤知明氏:では、改めて篠田さんにパスさせていただきます。「心理的安全性と“聴く”について」よろしくお願いします。
篠田真貴子氏(以下、篠田):はい。では今から10分ほどお時間いただいて「心理的安全性と『聴く』」について、もう少しご紹介していこうと思います。先ほどご紹介いただいたとおり、今、エールで社外人材によるオンライン1on1のサービスを提供しております。
篠田:オンライン1on1というと「人の話を聴くこと」がサービスの中核にあるものですから。そこを日々考えていて。
例えば昨年の11月に、ハーバード・ビジネス・レビューの論文の中から、聴くということについて書かれたものを集めた『マインドフル・リスニング』という本が出まして。こちらの前書きを書かせていただきました。
篠田:それから2月に「VOOX(ブックス)」という、新しいビジネスコンテンツの音声メディアが出まして。こちらで『聴くチカラ』について、全6回お話をしています。もしよかったらアプリをダウンロードして、聞いてみてください。
篠田:今日のお話、前段として「エールが何をやっているか?」を簡単にご紹介します。みなさま会社で働いていらっしゃって、1on1っていう、いわゆる上司・部下の面談の仕組みがあるところもあるんじゃないでしょうか。
日本の会社では、ざっくりと上場企業の半分ぐらいが、今は何らかのかたちで取り入れているそうなんですけど。もし取り入れてない会社でも、上司・部下の本当にざっくばらんなコミュニケーションをイメージしていただくと、やったほうがいいことはみんなわかってるんです。わかっているんですけど、まず時間がない。
篠田:それから、このスキルがないというのは「話を聞いてもらってよかった」という経験が私たちになかなかないものだから「同僚・部下の話をうまく聞こう」っていってもできないんですよね。
コミュニケーションの問題なので、正直、相性の良い・悪いはあります。これらが仮にクリアできていたとしても、致命的なのは「評価する・されるという関係性の中で、本当にオープンに話せるか?」って、まぁ無理ですよねと。なので、構造的に上司・部下のコミュニケーションって、なかなか難しいのが実態だと思います。
篠田:この問題を考えるにあたって、実は社会の側にも解決すべき課題があります。
篠田:というのは、社会性がある、あるいは自分が具体的に役に立って「よかった」と言ってもらえた。そういう実感のある複業(副業)をしたいという方々がたくさんいらっしゃるんですが、なかなかその機会に出会えないんですね。
私たちの事業領域でいくと、この右にあるようなキャリアカウンセラーとかコーチングのお勉強をされた方って、日本ではキャリアカウンセラーだけで毎年1万人ぐらいいらっしゃるんですよ。でも、その知識を活かす場に出会えていないんです。ここをつなげているのが、エールのビジネスで。現在、約1,000名に登録いただいていて。その8割が複業(副業)の方なんですね。
篠田:この方々を、お話を聞く「サポーター」と呼んでいて。BtoBで企業と契約をして、この方々と企業の社員を1対1でマッチングをしてお話を聞いていただくと。こういうビジネスをやっております。今、こちらの下にロゴが並んでいるような企業さんに導入いただいています。
なので、本当に“聴く”。毎日、何十セッションという“聴く”が、私たちのプラットフォームを通じて行われているワケなんですね。
篠田:じゃあこの“聴く”ということを通して見た、心理的安全性ってどういうことか? というテーマに入っていきます。
「心理的安全性」という言葉が、一般の私たちの知るところになったのは、Googleの「プロジェクト・アリストテレス」という「Google社内でパフォーマンスの高いチームの特徴を科学しよう」という研究成果が発表されたことが、大きなきっかけになっています。
篠田:ここで「パフォーマンスの高いチームの特徴は、心理的安全性ですよ」と出たんですけれども、ちゃんと読むと、具体的な特徴として2つ出てるんですね。
1つ目が「メンバー間の話す量が均等である」。もう1つが「非言語コミュニケーションに敏感である」と。これってつまり「互いに聴き合うことができているチームなんじゃないのかな?」と私は思いました。
例えば1個目の「メンバー間の話す量が均等」というのは、仮に5人のチームだとしたら、話す時間はマネージャーも含めて1人につき2割ですよね。残りの8割は聴いているんですよ。そういうチームだなという、具体イメージが湧くワケです。
篠田:では、この心理的安全性というのは何なのか? というのを改めて。これはやっぱり1次情報に触れるべきなので、その論文とかを見たりしました。
篠田:これは、もう20年以上前にハーバード大学の(エイミー・)エドモンドソンさんという、心理学者の方が提唱した概念で。一般向けの書籍が英語では2018年、日本語版がつい先月出ています。
これによると、心理的安全性の定義は次のスライドにあるとおりで。
篠田:誰かがアイディア・質問・懸念・失敗について発言した時、その人が所属しているチームが、その人に対して恥ずかしい思いをさせたり拒否したり、あるいは制裁をしたりしない。「うるさいな」とか言わない。むしろ発言が期待されていると確信している感覚をいう。こういうことなんですね。
篠田:こういった文献を読む中で、それまでは「ちょっと私、誤解していたな、そういうことだったのか」と。「そういうことだったのか~」って言ってたら、それが本の帯文になっちゃって(笑)。私の推薦の言葉になっちゃったんですけど(笑)。
何を「そういうことだったのか」って言ったかというと、大きく3点あります。
篠田:まず1点目は、Googleから来たということもあって、イノベーションに必要(なこと)と思ってたんですけれども。それもそうなんですが、正解は根本的には学習するチーム(に必要)。
つまり、経験から学ぶチームに心理的安全性がすごく大事だということです。ミスから学ぶとか、他者から学ぶとか。この“学ぶという姿勢”が土台になるから、イノベーションが起きる。こういうつながりでした。
2つめは、個人の資質も関係ありそう。「ハッキリとものを言う人」とかがいるといいのかな? とか。逆に「何か言われても平常心で受け止められる心の強い人だと、心理的安全性ができるのかな?」と思っていたんですけど、ぜんぜんそういうことじゃなかったです。
あくまでこれはチームの組織風土の問題で、個人の性格・資質は一切関係ないということでした。それはもっと言うと、心理的安全性は自然にはなかなか起きないんです。だってみんな、恥をかきたくないし怖いじゃないですか。ネガティブなことを言うのって。
それが当たり前で、心理的安全な状態っていうのは、わざわざ作るもので。作り続けるのにかなり努力を要する人工的なものですというのが、私の理解です。
3点目が、この字面から、心理的安全性ってなんかぬるい感じ。なんか「このまんまの私が許される」みたいな「私が受け入れられる」みたいな感じをイメージするんですけれども、ちょっとズレているんですよね。
というのはチームなので、私も「いや、ちょっと斉藤さん。それマズいんじゃないですか?」って言えるだけじゃなくって。私も同じように言われるし、言われることを受け止める用意を持っていなきゃいけないんです。だからぬるいということではなくて、これは要求水準とは別物なんですよね。
この「要求水準とは別物」というところを、もうちょっと詳しくエイミーさんがおっしゃっていた考えを引用すると、心理的安全性は言ってみれば「ブレーキを緩める効果です」と。
篠田:一方で仕事の要求水準というのは「アクセルを踏む話」ですが、これは別々なんですよね。別々であるということは、両立するわけです。
「心理的安全性は高いけど、仕事の要求水準が低い」のは左上のぬるいチームであり、逆に「仕事の要求水準は高いけれども、心理的安全性が低い」のは、右下の殺伐としたチームになると。これは両立させる努力をすること(右上を目指すこと)が大事ですよと、こういうことなんですね。
関連タグ:
職場での対人関係リスクは「聴く力」で乗り越える? 篠田真貴子氏と考える、なぜ心理的安全性は組織を強くするのか
強い組織に求められる「心理的安全性」への、3つの誤解 このままの自分が許される“ぬるい関係”のことではない?
「きいてもらえる状況」が無ければ、失敗や心配事は話せない 肯定的な意図を前提に“話を聴くこと”が生む、心理的安全な場
「発言しないなら、会議に出てる意味ない」って本当? 向上心があって成果を出したい人ほど遠ざかる“聴く”行為
「医療ミスの発生」に大きく影響する、心理的安全性の高低 カギは「医師への疑問を、看護師が“確認”できる状態か否か」
楽した方が効率はよくなるし、楽できることを恐れちゃいけない 他者の意見を“聴く”ことは、広い視点で判断できるチャンス
「話を聴く=受け止める」であって“受け入れる”ではない リーダーがメンバーの意見を聴けなくなる、“ある思い込み”
愚痴・不平不満を「否定という“意見”」と捉え直すことの大切さ 話を聴かれることで深まる「なぜ不満に思ってた?」の自己理解
愚痴は“聞いてしまう”と、相手が問題改善を期待する? 良い・悪いのジャッジでなく、意見を受け止め“聴くこと”が大切
日本において「心理的安全性」への注目を高めた、2つの力学 篠田真貴子氏が考察する「GAFAへの憧れ」と「不安への投影」
2025.02.27
「頭のいい人」がやらない行動7選 職場でできる人に見られる、「心の知能指数」を高めるポイント
2025.03.03
大企業で成功したマネージャーが中小企業で苦戦する理由 “指示待ち”部下を主体的に動かす方法
2025.03.04
チームが協力しないのはマネジメントの問題 “協働意識”を高めるマネージャーの特徴とは?
2025.03.03
2064年もエンジニアで稼ぎ続けるには Python歴20年のベテランが語る、生成AI時代のキャリア戦略
2025.01.28
適応障害→ニート→起業して1年で年収1,000万円を達成できたわけ “統計のお姉さん”サトマイ氏が語る、予想外の成功をつかめたポイント
2025.02.28
40歳以降の人間関係は「年下」との交流が肝 『移動する人はうまくいく』著者が語る、職場で評価される秘訣
2025.02.27
成功する・しないの差は「時間」と「場所」の違いだけ 『移動する人はうまくいく』著者が語る、仕事も住む場所もどんどん変えるメリット
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.02.26
フリーターから年収1億近く…『移動する人はうまくいく』著者の人生遍歴 そこそこ良い会社に就職するより経済的に成功する考え方
2025.03.05
「はい、わかりました」と返事をした部下が“かたちだけ動く”理由 主体性を引き出すマネジメントの鍵
2025.02.27
「頭のいい人」がやらない行動7選 職場でできる人に見られる、「心の知能指数」を高めるポイント
2025.03.03
大企業で成功したマネージャーが中小企業で苦戦する理由 “指示待ち”部下を主体的に動かす方法
2025.03.04
チームが協力しないのはマネジメントの問題 “協働意識”を高めるマネージャーの特徴とは?
2025.03.03
2064年もエンジニアで稼ぎ続けるには Python歴20年のベテランが語る、生成AI時代のキャリア戦略
2025.01.28
適応障害→ニート→起業して1年で年収1,000万円を達成できたわけ “統計のお姉さん”サトマイ氏が語る、予想外の成功をつかめたポイント
2025.02.28
40歳以降の人間関係は「年下」との交流が肝 『移動する人はうまくいく』著者が語る、職場で評価される秘訣
2025.02.27
成功する・しないの差は「時間」と「場所」の違いだけ 『移動する人はうまくいく』著者が語る、仕事も住む場所もどんどん変えるメリット
2025.01.07
1月から始めたい「日記」を書く習慣 ビジネスパーソンにおすすめな3つの理由
2025.02.26
フリーターから年収1億近く…『移動する人はうまくいく』著者の人生遍歴 そこそこ良い会社に就職するより経済的に成功する考え方
2025.03.05
「はい、わかりました」と返事をした部下が“かたちだけ動く”理由 主体性を引き出すマネジメントの鍵