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メンバーの不調シグナルを掴むには? リモート時代のネガティブコンディションキャッチ&ケアとは?(全6記事)

リモート下での“雑談”は、手段であって目的ではない 社員のエンゲージメントを高めるために、本当に必要な環境

「激動の2020年を経て、2021年の『雇用』や『組織の在り方』はどう変わるのか?」をコンセプトにした、人事担当・経営者向けのイベント「HR Knowledge Camp 2021」が開催されました。各セッションのテーマに纏わるキーパーソンを迎えて行われ、本記事では「メンバーの不調シグナルを掴むには?リモート時代のネガティブコンディションキャッチ&ケアとは?」をテーマに、バーチャル上での「雑談」の重要性について語られました。

“喫煙所コミュニティ”に代わる場所

江成充氏(以下、江成):今チャットのコメント欄も盛り上がっていますけど、意外とその辺の雑談が、タバコ部屋やカフェスペース、リフレッシュスペースで行われていたりしましたよね。大室先生、お医者さんとしてあまり推奨しないけれども、「タバコ部屋でのコミュニケーションはよかったかも」みたいな(ことは思われますか?)。

大室正志氏(以下、大室):タバコの健康被害自体、論を持たないというか。「タバコがあまり体に悪くない」という論文を調べると、だいたい研究費用はフィリップモリス(世界最大のタバコメーカー)が出していたとか。

(一同笑)

大室:あ、これ録音しているんでしたっけ? まぁいいや(笑)。タバコ自体はあれなんですけど、喫煙室って入ったら狭くて階層とか部署関係なくしゃべるという、あの仕組み自体はいいんですよ、残念ながら。

だから、カフェテリアとかだとだいたい知り合いとしゃべるんですけど、あれ(喫煙室)は強いんですよね。昔のすごく男性が多い車用品のメーカーとかって、「タバコを吸ってないと出世できない」と言われるぐらい。要するに、偉い人に顔を覚えてもらえちゃうから。

だからみんな、「ちょっとね」とか言って(喫煙室に行く)。僕、「あそこに行くやつから出世していくんですよ」って10年ぐらい前に言われた会社がありましたもん。それぐらいそういうコミュニケーション(が重要だったわけです)。タバコ自体の話ではなくて、喫煙室的なものをバーチャル上でどう演出できるかということは考えますよね。

江成:確かに、さっき森数さんがおっしゃっていた、チャンネルとかトークルームがわりとそれに近しいですかね。

森数美保氏(以下、森数):そうですね。タバコを吸う人だけの部屋だったかもしれないけど、いろんな趣味があって、それがニュートラルに広がっていった感じが今の世界かなと思っています。

結果さえ出ていればあとは自由

江成:今、チャットでも質問がいくつか出たり、コメントで返していただいているところもあるんですが。いわゆる雑談と仕事との切り分けだったり、どれぐらい時間を割くかも悩みながら組織作りをされている方もいらっしゃると思うんです。お二方はどう切り分けていらっしゃるんですか? 森数さんから。

森数:あ、私か(笑)。

江成:もしチャットに返信していただいていたら、石黒さんから。大丈夫ですか?

森数:ぜんぜん大丈夫です。チャット芸人やっています(笑)。

江成:そうですよね(笑)。返していただいてありがとうございます。

森数:「私たちは何をすべきか、どこに向かうべきか」って、結果だけをメンバーと約束をしていて。それ以外見えないものを見ようとしても不幸になるだけだし、マイクロマネジメントをしてもしょうがないので、自由度高く組織設計しているんですよね。

なので、雑談していても今日の仕事が終わっていたらそれでいいし。シンプルに結果さえ出しているかどうかだけを見ているので。みんな自分の裁量で調整して、今日は忙しいから雑談できなかったけど今日はちょっと行けそう、というのをコントロールできている状態です。

江成:なるほど。これは本当にさっきおっしゃっていた、結果に対してとかアウトプットに対してだけだよ、ということはちゃんと伝えるということですね。

森数:そうですね。そこは約束してもらって、それ以外は自由。

雑談よりも大切なのは、本当に熱中できるものがあること

大室:1週間で何をしてほしいのかとか、仕事をしていることの定義がはっきりしている会社はわかりやすいですよね、あまりそこ(アウトプット)を見なくて。でも、今までそこをザクッと曖昧にしたままに“デスクに座っているか”どうかで見ている会社は、けっこう切り替えが難しいですよね。

江成:確かに。何を持って生産活動やアウトプットと呼ぶのかは、職種によってはわかりづらいこともあるじゃないですか。なので、そこの中間地点をちゃんとマイルストーンを握り続けるのは、よりすごく大事になっていくんでしょうね。

もしくは、それをテキストやドキュメントで残すのもすごく大事そうだなと思いました。石黒さん、雑談とその切り分けについてはどうですか。

石黒卓弥氏(以下、石黒):そうですね。同じように、うちはランダムチャンネルが2個ぐらいあって(笑)。“ランダムのさらにランダム”みたいなやつが、本当の雑談チャンネルなんですけど(笑)。

先ほど森数さんの話じゃないですけど、そこにいようがいまいが「ちゃんとやっているかどうかは、見ていればわかるよね」という話で。あとは、今までのお話とあえて逆のことをお伝えすると、雑談する暇もないぐらい熱中できるものがあればいいんですよね。

森数:間違いない。

江成:めちゃくちゃ本質的な話(笑)。そうですね。

石黒:すごく熱中できるものがあれば、脇目も振らないんですね。例えば副業とか、もちろん副業を否定するものではまったくないんですが、そんな余裕もないというか。僕らだってまだ本当になにもない会社で、できてまだ2年も経ってないような状況で。

とにかく“お客さまに価値を提供する”1点にのみ集中していくと、「雑談があったほうが組織のコンディションが(よくなる)」とは、もうならないんですよね。

要は、熱量を持って情熱的に向き合うものがあることが今の自分のエネルギーになっている方が集まる場所だったりもするので。いろんな大前提がありますよ。でも、その中でメンタルのコンディションが良くないとか、“上下”というのもありますし。

「雑談」の重要性は、組織スタイルやフェーズでも変わる

石黒:それこそ僕らで言うと、社員の9割ぐらいがTwitterをみんな普通にオープンにしてやっているので。「君はいつもTwitterが若干荒れているな」とかがあるから(笑)、その辺から「ちょっと話聞いてみるか」というのも、もちろんあるんですけども。

大きく分けると、本当に自分の脳みそのCPUを全部フルベットしたくなるような事業とか、大きくしたいものがあるのが大事ですよね、とは思います。もちろん雑談とかってすごく大事ですけど、組織スタイルやフェーズでだいぶ変わってくるのかな、というのはありますね。

江成:確かに、それがある種採用で人を惹きつけて、カルチャーフィットとかやりたいこと、willとの接続がちゃんとなされていれば、必然的に良い組織作りができる。対策・施策を打たなくとも、目標にちゃんと向き合える組織を作っていけると。まさに熱中できると良いですよね。

石黒:甲子園を目指す方が「なんで俺、野球やってるんだっけ?」ってあまり思わないですよね、大会の期間は。

江成:絶対にそうですよね。

石黒:そういうものが持てるような会社。脇目もふらないことが美学でも決してないですし、趣味の時間もちゃんと持ってほしいんですけど。少なくとも、仕事している間はお客さまのことをずっと考え続けられる環境を提供したいなと思います。それで、不安になるようなことはなくしてあげたいなとは思います。

江成:めちゃくちゃおもしろい。確かに、だからこそ会社の在り方や存在意義が言葉尻で終わらないことや「それに向けてこう動くぞ」ということに、メンバーやマネージメントに関わらず行動としていくことがめちゃくちゃ大事ですね。そこにちゃんと主体的に巻き込まれていくところもそうですよね。なるほどなぁ。

森数さんがチャット芸人として非常に丁寧に返していただいていて、めちゃくちゃ感謝です。ありがとうございます(笑)。

森数:私、今会社のSlackとここのZoomのチャットと両方打ってますよ(笑)。

江成:すごいな! (笑)。

(一同笑)

森数:ここをみんな見てくれているので、会社のSlackもめちゃめちゃ今盛り上がってる。

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