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中竹 竜二さんと考える 共創する組織をつくるリーダーの育て方(全6記事)

「褒め過ぎNG」の背景にある、上から下への“縦関係” より有効で実践すべきは「承認=対等な立場での事実の共有」

「求められているリーダー像は変わってきているが、どう育成していいか分からない」「研修内容が長年変わっておらず、このままでいいのか漠然とした焦りや不安がある」。そんな悩みを持つ経営層・人事マネジメント層に向けた、Unipos主催のスペシャルウェビナー「日本ラグビーフットボール協会『コーチのコーチ』中竹 竜二さんと考える 共創する組織をつくるリーダーの育て方」が開催されました。本パートでは「褒める行為が生み出しやすい“縦の関係”」「『やってよかったな』が増大する、感謝の送り方」などについて話しています。

1つ前のパートはこちら

褒める行為が生み出しやすい“縦の関係”

斉藤知明氏(以下、斉藤):ありがとうございます。たくさんコメントもいただいている中ではあるんですが、ディスカッションもあっという間に時間になってまいりました。

リーダーシップを育てる責任感を持っている人たちに対して「やってよかったな」という気持ちをつくり出すための1つの考え方として、「感謝」があると思います。この感謝についてのワークショップをみなさんとやりたいなと思っております。

斉藤:この後、いただいたクエスチョンに対して、中竹さんからお答えいただくQ&Aのコーナーございますので、ぜひみなさんからクエスチョンをたくさんいただければなと思っています。このワークに入るに当たって、中竹さんにお聞きしたいことが1点だけございまして。

中竹竜二氏(以下、中竹):はい。

斉藤:「いたずらに褒めちゃダメだ」とおっしゃっていましたよね。「おだてる」と「感謝」や「ポジティブフィードバック」は違いますと。この「褒める」って、なんで褒めちゃダメなんですかね。

中竹:「褒める」行為って、そもそも縦関係になりやすいんですよね。上の人が下に、大人が子どもへ。この構造がある限り、褒められた側は無意識的にこの構造を維持せざるを得ないので「褒める」ことが機能することももちろんありますが、それよりもいわゆる「承認」、認めることですね。

「承認」というのは種類がいろいろあります。そもそもの存在を認めたり「うまくいってよかったね、すごいね」と成功を認める。これは承認です。褒めるというより、承認にしてしまえばいいんですね。そういう意味では、褒める行為をずっとやっていると、餌を与えてどんどん回すようになっていきます。

コメントでもいただいていますが、承認するという行為は、基本的に「対等な立場での事実の共有」なので、共有というのを軸にしていくことが大事かなと思います。

斉藤:なるほど。ありがとうございます。すごくわかりやすい解釈でした。

「やってよかったな」が増大する、感謝の送り方

斉藤:僕らもUniposというサービスを提供している中で「感謝を送り合う」と言っているんですけど「褒める」というワードは使わないんですね。

なぜかというと、感謝を送り合うことによって求めているのは、結果に対して一人ひとりの行動がより増えることなんですよ。そのために必要なのって「やってよかったな」と実感することなんですけど、その「やってよかったな」と思う気持ちが1つのコツで増大する感謝のやり方があるんです。それをみなさんに伝授したいなと思いまして、「Iメッセージで感謝ワーク」というものをご用意しております。

斉藤:まず「Youメッセージ」と「Iメッセージ」の2つがあります。Youメッセージというのは「あなた、こういうことすごいね」というものです。Iメッセージとは何かというと、時折Weメッセージ、私たちのメッセージなんて言ったりしますけれども「あなたがこうしてくれたから、こう助かった」「私たちのチーム、こううまくいったわ」というものがIメッセージです。

「あなたってすごいね」ではなくて「こういう活躍をしてくれたからチームが勝てた」と、自分を主語にして相手に感謝を伝えると、人って「この人のためになったんだ」と自分に受け入れやすい感情を持つと、行動学的に言われております。このIメッセージをどうやったら作れるか、ワークをしたいと思います。

斉藤:時間も迫っておりますので、Step1だけできればなと思います。ぜひみなさんの中で身近にあった「誰が・いつ・どこで・何をしてくれたか、ありがたかったこと」を思い浮かべてください。そして、それはあなたにとって何がありがたかったのでしょうか。

「痛みに堪えてよくがんばった。感動した」、これは小泉(純一郎)首相の言葉ですね。いやあ、素敵ですよね。私たちが感動した、感動を届けてくれた、感動を届けられた、と実感するというのはまさにですよね。

Iメッセージについての共感、たくさんありがとうございます。「気づかなかったことをフォローしてくれて、自分が気づけた」「褒め中毒になれる」「貢献感」。まさに「おだてる」ではなくて「やってよかったな」をどうやってつくるかという観点からのIメッセージですね。

感謝を言葉で伝えると、相手に対する“許容度”が上がる

斉藤:どうでしょう。中竹さん。こういうIメッセージの考え方ってイケてますかね?(笑)。

中竹:イケているどころか、もうこれが一番大事ですね。私自身いろんなウェビナーに出ていますけど、こんなに参加者がガンガン書いてくれたのって初めてで、すごいうれしいですね。今日、楽しみにしていたんですけど、予想以上にみなさんが書いてくれてみなさんに感謝ですね。これも、Iメッセージになるんですかね。

斉藤:そうです。やはりウェビナーって反応がないと怖いですもんね。

中竹:本当に一緒につくりあげている感覚があります。本当に今日、気分がいいですね。もうありがとうございます。

斉藤:(笑)。

中竹:実はスポーツ界でも、まさにUniposさんがやっている「感謝」というのが、私の周りでも導入されています。「コーチのコーチ」という立場はありますけど、私自身がこういうことをチームにガンガン導入するので、組織文化を変えるためにはやはり「もっと『ありがとう』を素直に言い合おうよ」と。

スポーツ界とか、チームが濃いとなかなか感謝ってきれいごとみたいで言いづらいんですよ。私は「感謝を言えるチームになろうよ」とはっきり言うんですね。今度の本のあとがきにも書いたんですけど、いま陸上の桐生(祥秀)選手の所属している、数人だけの小さなチームをサポートしているんです。

ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方

この間、6年ぶりに日本選手権で優勝したんですけれども、その後1週間、いろんな場面でチーム4人の中で感謝を言い合っていました。それってすごく大事だなと思っていて、Iメッセージを近い人たちの中でもやる。これ、本当にUniposさんとまったく同じ考えでうれしくなりました。

斉藤:ありがとうございます。ちょっと言葉にして伝えてみると、その人に対する許容度って上がった気がしませんか? ここもポイントだと思っていて。この人がやってくれてありがたかったから、何かあった時に手を差し伸べて助けたいな、手伝いたいな、と思う気持ちがみなさんに生まれていると思うんです。

「感謝」って「やってよかったな」と貰い手が思うとともに、送り手も「じゃあ、次に何かあったときに助けよう」という循環を生み出すことができる、1つのツールなのではないかなと思っています。

ぜひみなさんも今書いたチャットをコピペして、本人に届けてみてはいかかでしょうか、というところまで含めて本ワークでございますので、よろしければ実践いただけると幸いです。

「感謝」の循環を社内で起こすクラウド

斉藤:Q&Aに入る前に、少しだけUniposのご紹介もさせてください。「共創できるリーダー育成」をサポートするための「感謝」の循環を社内で起こすクラウドになっています。

斉藤:例えば(スライドを指して)この画面のようにタイムラインで「kojimaさん、○○してくれてありがとう。+39ポイント、#(ハッシュタグ)」というようなかたちでメッセージを送ることができるサービスになっています。

「こんなかたちで送ったらいいよね」と、Iメッセージの考え方も投稿例に書いてあるんですが、一人ひとりがオンライン上で自由に感謝や賞賛の気持ちをポイントともに送ることができるサービスになっています。

このポイントは、送れるポイントと貰ったポイントがあります。人からポイントを貰うと、それが給料に反映されるシステムになっています。必ずしも給与につなぎこむ必要はないじゃないか? と思われるかもしれないんですけど、会社が労働の対価として一番支払えるものって、給与なんですよね。

会社への貢献に対して「しっかりと報いてくれているんだな」と感じられるのが給与です。それをきっかけにして、一人ひとりの貢献を知りたいということを表すための誠意であると、我々は考えています。給与への組み合わせがない時とある時で、実際にみなさんの参加率が3割から8割ぐらいに上がったという大きな違いが生まれたんですね。

「わざわざ送るのって……」と思ってしまうような、ちょっと、こっ恥ずかしい感謝を伝えるための建前として、給与というものを絡めている。それが「Unipos」というP2P(Peer to Peer)で送れる『ピアボーナス』というものです。今日はマネジメントリーダー育成という観点ですので、この感謝の送り合いをどうやってマネジメントに生かせるかも、1つお話しできればなと思っています。

斉藤:実は感謝を送り合うと、自分の目が届かないところでの個人の貢献を、周りの人が書いてくれてどんどん溜まっていきます。こんなに楽なことってなくて、面談をする前のタイミングとかで「どういう部下の貢献があるだろうか」と、時折見返すことができます。

面談をするたびに、まず最初に(その貢献に)触れるんですね。「○○君、こういうことをやってくれていたよね」「他のチームのみんな、こう助かってたらしいよ」と言うと、部下は「あ、知ってくれてるじゃん」という気持ちになるんです。そうすることで、面談の納得度も高められるという効果も実現できます。

斉藤:他にも日々の行動に、Twitterのハッシュタグのようなものを付けられるんです。例えば会社として大事にしている考えがあるとしたら「#リーダーシップ」や「#前向きに挑戦する」というように、それらを紐付けて、リアルタイムにフィードバックをすることもできます。

そうすることで、会社として大事にしている価値観を日々の中で自然と意識しながら行動に反映させていけるんですよ。「会社における大事にしたい行動や価値観って、こういうことなんだ」「じゃあ自分もそれを実践しよう」というバリューの浸透も、日々の貢献をベースに蓄積できるということを実現しております。

他にもさまざまなメリットがあります。

斉藤:「このチームが今上手く貢献の送り合いが行われていない」「このチームはちょっと少なくなってきているけど、コンディション大丈夫かな?」というところも、感謝の送り合いをベースに察知できるようなオプションもご提供しております。

昨今、アース製薬さんでの全社導入も決まったんです。大企業のみなさんにも全社でご利用いただく例も増えてきておりますので、ご興味をお持ちの方は製品説明ウェビナーを開催しておりますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。

1日1回、5分で“問い”を実感できる、中竹氏のVoicy

斉藤:あとは中竹さんがやっていらっしゃる「Voicy」さんのご紹介もさせてください。

中竹:今日のような問いもそうですけど、「どうやったら問いかけって上手くなるんだろう」とかは、やっぱり量が大事です。私は毎朝みなさんに問いかけを流しているのですが、これはいつでも聞けるので、ぜひVoicyをまだ見たことがない方は検索してみてください。もう140回ぐらい、毎日続いているんですかね。これ、なかなかね……。

斉藤:すごいですよね。1日1回、5分で“問い”を実感できるというのは、ぜひ試してみたいですね。

中竹:ぜひ聞いてみてください。

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