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職場の問題地図 2021~問題地図シリーズ著者に聞く働き方改革と組織マネジメントの潮流~(全7記事)

経営層に変化を促す“社内の世論”形成 鍵は「問題意識の言語化と、それに共感するファン探し」 

予測できない未来、突然やってくる急激な変化……2020年は「はたらく」が激変した1年だったのではないでしょうか。そんな今の社会において、組織とどう向き合っていけば良いのか? 組織の未来をつくっていくにはどうしたら良いのか? それらの解決の道しるべを探るためには「激動の2020年を通して、働き方や組織がどのような壁に直面しているのか?」という現在地の確認から、未来を展望する必要があります。そこで本イベント「職場の問題地図 2021~問題地図シリーズ著者に聞く働き方改革と組織マネジメントの潮流~」では、累計24万部を記録した『職場の問題地図』をはじめとする問題地図シリーズの著者で、マネジメント変革や働き方改革の専門家である沢渡あまね氏と、Fringe81株式会社 執行役員 兼 Uniposカンパニー社長の斉藤知明氏が大いに語りました。本パートでは「“職種カット”で最適解を目指す方法にある、合理性」などについて、話しています。

デジタルのユーザー体験を、どう社内に作っていくか?

斉藤知明氏(以下、斉藤)さっき沢渡さんが「テレワークじゃなくてデジタルワーク」とおっしゃっていたのは、いいキーワードだなと思いました。。いただいているコメントで「思考の変化、オープンになるためのきっかけづくりって難しいですね」とあります。

さっきのテレワークじゃなくてデジタルワークにしたのって、デジタルにすることで一人ひとりが楽になった。ないし、オープンにすることで一人ひとりにうれしいことが起こったという成功体験を積み重ねていった結果「これってテレワークが強制されているんじゃなくて、こういう働き方のほうが我々にとって得じゃないか?」と、働く一人ひとりが思って。

徐々に徐々に権利として享受していって、移っていくっていう体験を作り出すということだと思ったんですね。

沢渡あまね氏(以下、沢渡):おっしゃるとおりです。斉藤さんいいこと言いますね。まさに、デジタルのユーザーエクスペリエンスをどう社内に作っていくか? なんですよ。デジタルなユーザーエクスペリエンスって何かというと、私は書籍の『ここはウォーターフォール市、アジャイル町』でも強調したんですが、成長体験と快感体験。

ここはウォーターフォール市、アジャイル町 ストーリーで学ぶアジャイルな組織のつくり方

例えば先ほどの建設の現場もそうですけれども、デジタル使ったら「けっこうデジタルって面倒くさいんじゃない?」「いや、パソコンとか打てないし」と思ってた人が、iPadでこうやったら「あ、意外に楽だな」。さらに「早く帰れるようになったな」。これ、快感体験なんですよね。

さらに成長体験なんですよね。「IT使いこなして仕事できるようになった自分って、ちょっとできる人になった!」でもいいですし。

あるいは実際、長野県の食品製造業の現場なんかでも、平均年齢が確か51歳、最高齢が70越えてたかな? そういう現場で、今までは紙に「どの食品がどのお弁当に詰められていたオッケー」とか、チェックを紙で書いて回覧してたんですけど。やっぱり紙って、記入漏れがあったりするわけですよね。

でも紙が楽だと思っていたけど、iPadを配ったら(紙と違って)画面を拡大できるから楽だし、キーボードをカチャカチャやらなくてもできるよね、と。最近のITって進化していますよね。

さらにはそれによって、後工程の仕事が見えるようになったと。紙って回覧されてくるまで前の工程がわからないですけれども、デジタルを入れれば「前工程と後工程で何やってて、どこが詰まってるのか?」がわかるから、互いに助け合えるようになった。あるいは前工程を見て、後工程を準備しておけるようになった。

そうすると視野が広がるんですよね。視野が広がることによって、主体的な行動が促された。視野が広くなったことによって、成長する。成長体験が得られるようになったから、よりデジタルな仕事のやり方に身を置くようになった、という話で。

「半径5メートル以内」の問題・課題解決

沢渡:まさに製造現場とか建設現場でもデジタルを経験することによる成長体験、あるいは快感体験が中の人たちを変えるという動きが起こっているわけですね。こういうのを半径5メートル以内から作っていってほしい。

半径5メートル以内ってどういうことかというと……私、最近よく言っています。「半径5メートル以内の問題・課題を、ちょっとでいいからオープンなやり方で解決していってください」と。仕事の手戻りが多いとか、あるいは会議が面倒くさいとか、なんでもいいんです。そこから変えていくのも大事かなと思います。もちろんトップが意識を持つのも大事なんですよ。

斉藤:ありがとうございます。この「半径5メートルから変えていく」という中でも、やっぱり変わるのって難しいじゃん? という思いが、みなさんあると思うんです。

ただ、自分がやってみた結果として、誰かに対して「なにより使用する人から感謝されたのがうれしかったです」とコメントをいただいていました。

自分がしたことがちゃんと成果につながって「感謝されてよかったな」という体験づくりが、新しい変化を生み出すことができるし、オープンな環境になってくると今まで目の前のことしか見えなかったものが、外の環境も見えるようになって。

それが見えるようになったら「ちょっとトライしてみよう」という気持ちが生まれて。トライした行動がちゃんと人の役に立っていて、という循環が生まれていく。すると、どんどんコラボレーティブな組織が生まれていくんじゃないでしょうか? というところが、私個人として思っていたところですね。

“社内の世論”が変化を促す

沢渡:そうですね。あともう1つ、コメントにあるような「ZOOMが不可だから経験格差があって、それがジワジワ効いてくる」など、まず社内で問題意識を言語化してほしいですね。「このままじゃヤバいよ、このままじゃ組織にとっても個人にとっても不幸せだよ」ということに共感する、ファンを増やしていってほしいですね。

やっぱり問題意識に共感するファンが増えれば、そこから“社内の世論”が生まれます。そうすると経営層だとか心ある役員が気づいて、そこから変わっていくという事例もありますから。ぜひ、声を上げていっていただきたい。世論を形成していっていただきたい。

実際この日本でも、小さな不平不満の世論から政府が動こうとしている事例が、最近起こっているじゃないですか。「脱ハンコ問題」とかね(笑)。「ハンコ押させるために出社させるのか!」みたいな。個々人の愚痴、不平不満から今、政府が動こうとしているわけですよね。

あるいは、いわゆるPPAP「添付ファイルzip圧縮パスワード問題」とかね。ともすれば変な方向にも行きそうですけれども。でも、ムーブメントになっていくわけですよ。だから社内でも、大企業でも一緒だと思います。小さな問題意識を言語化していく。それに共感する2人目のファンを見つけていく。

そのために本を一緒に読んでみて、指差しするでもいいですし。私の『問題地図』シリーズはまさに問題地図を開くことによって「ここ問題!」「私、ここ疑問だと思っていた」って指差しで、変化に対する共感者を見つけていくために作った本ですから。そういうツールも活用していただけたらなと思います。

職場の問題地図 ~「で、どこから変える?」残業だらけ・休めない働き方

「コラボレーション改善クラウド」としてのUnipos

斉藤:ありがとうございます。ではここで、私どもがご提供しているUniposのご紹介をさせてください。そのあと、みなさんからチャットもたくさんいただいておりますので、そこにしっかりお答えする時間をご用意しておきたいなと思っておりますので、ぜひお付き合いいただければと思います。

我々がご提供している「Unipos」というサービス。「バラバラな組織をひとつに。コラボレーション改善クラウド」とご紹介しているんですけれども。

このUniposってどんなサービスかといいますと、従業員同士が少額のポイント、インセンティブ、成果給とともに感謝・賞賛を送り合い、組織のコラボレーションがどんどん生まれていく。そんな土台づくりができますよ、というサービスでございます。

沢渡さんのお話の中でもたくさん出てきました「コラボレーション」というワード。僕ら、最初の1人目になるのって、けっこう怖いんですよね。

沢渡:はい、怖いですよね。

斉藤:半径5メートルから、なにか起こしていこう。でもそんな小さな工夫だったりとか、起こした行動をほかの人がしているのを見ると「自分もやってみてもいいかもな」って思えるんですよね。また自分がやったことをほかの人に認められると「やってよかったな」って思えるんですよね。

沢渡:間違いない!

斉藤:今って組織の中に起こる、小さな変化・小さな工夫というものが、ポツポツと生まれていって消えていってるんですよ。まったく生まれていないわけじゃなくて、消えていってるんです。

この生まれた変化が連綿とつながって、ほかの人にも「気になるな」「これちょっと助けてみようかな」「いいね! いいね!」っていうフォロワーが生まれて、その小さな変化がどんどん組織の変化になっていってみんなで助け合える、互助し合えるような組織づくりを目指しているのが、このUniposというサービスでございます。

「オープンな場所で認め合う、賞賛し合う風土」を目指して

斉藤:具体的な仕組みとしては、(スライドを指して)こちらUniposが画面なんですけれども。

オープンなタイムラインで、例えば営業のメンバーがマーケティングのメンバーに対して「こういう必要な訴求について悩んでいる時に、マーケティング部門から新しい視点を提供してくれた。他部署からの新鮮な目線が入ったおかげで、思いつかなかった訴求が増えたし、考える材料ができました」と。「これが体現しているなと思ったし、ありがたかったです。絶対成功させましょう」。

これ言われると、たぶんマーケティングメンバーの人は「私の情報でよかった。もっと出すよ!」ってなるわけで、オープン化も促進されていく。そんな流れを、我々は作っていくことができるのではないかと思っています。

実際にUniposの画面を少しだけご紹介させていただきますと、こちらが佐藤さんから藤原さんに対して「こういうことしてくれてありがとうございました。39ポイント」と、送っている画面です。

「今週おくれるポイント」「もらったポイント」というものがございまして「おくれるポイント」はこのままだと1週間でなくなっちゃいます。これをほかの人にメッセージとして送ると「もらったポイント」に変わって、さらにこれが少額の成果給なんですが、給料などに変わります。

それをきっかけに、ほかの人ががんばってくれたことに会社からのボーナスとか俸給だけじゃなくて、個々人が「いいね!」と思った行動に対して自由にボーナス・給料を配っていいですという発想から、オープンな場所で認め合う、賞賛し合う風土を作っていってほしい、というものでございます。

小さな成功体験がコラボレーションのきっかけとなる

斉藤:たくさんの大企業のみなさまにも、今ご導入いただいておりまして。最初は「なかなか使われないんじゃないの?」という声もいただいているんですけれども。いざ入れてみると、意外や意外、7割以上のみなさんが月に一度は投稿・感謝のメッセージを送っていただくような風土を作ることができています。

自分の行動を誰かが見てくれている。また、ほかの人の行動を知ることによって、自分も勇気づけられる。相手の行動を知り、認め、信頼し合える組織作りを、Uniposはご支援できるのではないかと思ってですね。こういうサービスをご提供させていただいております。

給与に変えるというところもございますし、ほかにもですね……オープンに感謝・賞賛を認め合うタイムラインが生まれてくると、今度は何が起こるかというと「会社として今どういう状態ですか?」というのが見えるようになってくるんですよね。

「コラボレーションがすごく起こっているチーム」というのが、実は右上の象限に集まってきて。「今はちょっとコラボレーションが起こりづらい雰囲気が出ている」というチームは、左下の象限で見えてくることがあります。

これはできていないチームをあぶりだしたい、というわけではまったくなくてですね。できていないチームはなにか困っている、なにか問題があるはずなんですよ。では、その人たちに対してどう対処していこうか、どう手を差し伸べようか? と、経営者や人事が気づける、組織のコンディションが事前にわかるようなレポートも、我々はオプションサービスとしてご提供させていただいております。

コラボレーションのきっかけは「やったことが誰かのためになったし、自分のためになったし、チームのためになったし、それが認められている」という小さな成功体験が、徐々に積み上がっていって。その結果、コラボレーションがたくさん起こる組織にきっとなっていくと思います。

たくさんの企業さんにご導入いただいておりますので、今日はさらっとしかお伝えしませんけれども、ご興味をお持ちの方は、30分でUniposのことがわかる製品説明ウェビナーもご開催させていただいております。よろしければお越しいただけますと幸いです。

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