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採用のベストプラクティス(全4記事)

村上臣氏「日本型雇用だと優秀な人材に来てもらえない」 グローバルでの採用のスタンダード

「採用のベストプラクティス」とは、いったい? 2020年、オンラインにて開催されたIVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)でこのテーマについて、リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上臣氏、フォースタートアップス株式会社 代表取締役社長兼CEO 志水雄一郎氏、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長 島田由香氏、ヘイ株式会社 代表取締役副社長 佐俣奈緒子氏が語りました。モデレーターは株式会社ROXX 代表取締役 中嶋汰朗氏が務めます。

採用のベストプラクティス

中嶋汰朗氏(以下、中嶋):それではセッションを始めたいと思います。このセッションでは「採用のベストプラクティス」ということで、今回スタートアップ経営者の方々が多くご参加されていると思います。

さっそくですが、登壇者のみなさまに1人ずつ自己紹介をいただければと思います。最初は(村上)臣さん、お願いいたします。

村上臣氏(以下、村上):ありがとうございます。リンクトイン日本代表の村上と申します。今日は楽しみです。

中嶋:続いて島田さんお願いします。

島田由香氏(以下、島田):私はユニリーバという、みなさんにも使っていただいているであろうシャンプーやボディーソープを日本で売っている会社におります。今日はすごく楽しみにしてきました。

私にとってこの場に呼んでいただけるのは、いつもと違う刺激だと思っていて、そういう違うことが新しいイノベーションを生む、とても良いきっかけになると思うのですごく楽しみに来ています。

中嶋:島田さんは、IVS自体が初めてですよね。

島田:はい、そうです。

中嶋:続いて、フォースタートアップスの志水さんお願いいたします。

志水雄一郎氏(以下、志水):志水と申します。島田由香さんの大学の先輩になります。

島田:先輩です。

志水:私は今、フォースタートアップスという会社を経営しているんですけれども、もしかすると、スタートアップデータベースという国内最大規模のベンチャーデータベースとして、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

一部の企業さまは我々のタレントエージェンシーサービスが支援させていただくことによって、CXOから順番に組閣されてらっしゃる企業もおありだと思います。人とデータに関して、おそらく国内成長産業セクター特化型では、最大規模でやっているチームとなります。よろしくお願いします。

中嶋:フォースタートアップスさんは、今年の3月に上場。

志水:株価が大暴落した日に上場したので、一番コロナの影響を受けた社長として、テレ東で取材を受けて記録にも記憶にも残っております。

中嶋:ここからですね。最後に佐俣さんよろしくお願いします。

佐俣奈緒子氏(以下、佐俣):heyの佐俣です。私もIVSに今回初参加かつ初登壇になります。

中嶋:いや、初めてなのがびっくりですよね(笑)。

佐俣:はい。実はまったく参加もしておらずで。heyは、オンラインストアの開設サービスのSTORES(ストアーズ)と、もともと私が創業したCoineyという名前で、今年STORESターミナルに名前を変えたキャッシュレス決済があり、2つのモバイル決済サービスをやっています。

STORESと経営統合したのが、ちょうど2年半ぐらい前。そこから2年半で今けっこう組織も大きくなっているので、採用回りとか組織回りのスタートアップに近いレイヤーの話はできると思っています。

中嶋:ありがとうございます。さっきちょっとお聞きしたのが、もうすでに200人越えているというところで。1年前はどれぐらいいらっしゃいました? 

佐俣:そうですね。始めた時が50人ぐらいだったので。

中嶋:あっという間ですね。そういったところもお聞きできればと思います。

スタートアップにおいて、採用に関するお話は当然出てきます。今回は登壇者のみなさまもかなりバラバラで、スタートアップ経営者ではない方もいますので、グローバルの動向ですとか、実際に我々が学ぶべきことは何なのかというところまで深掘りできたらと思います。

なぜ日本型雇用だと、優秀な人材が集まらない?

中嶋:臣さんからお聞きしたいんですけど、リンクトインの代表になられる前は、ヤフーにいらっしゃって、さらに遡ると電脳隊ということですが。

村上:すごい遡りますね。

中嶋:電脳隊は青学の先輩の起業家としては憧れていますから。ヤフーからリンクトインに移られて、今どれぐらいでしょうか? 

村上:3年弱ですね。ちょうど2年半を超えて11月で3年になりますね。

中嶋:リンクトインにおける採用は、ジャパンとグローバルを完全に分けられている感じですか?

村上:リンクトインの我々の社員ですかね。

中嶋:そうですね。

村上:分かれていますね。リージョンごとに、それぞれヘッドカウントをとって採用をするということで。日本の場合はシンガポールがアジアの本社なので、そこのTalent acquisition teamと連携しながら現地で採用していく感じになっています。

中嶋:なるほど。日本の企業、特にベンチャーが採用でリンクトインを使うところは、まだそんなに多くないのかなと。

村上:そうですね。ここ1年ちょっとでかなり増えましたね。スタートアップでも使っていただいて。

中嶋:とはいえ、グローバルなツールとしてはもう圧倒的だと思うんですけど。GAFAとかも使っている中で、臣さんはグローバルな中での採用トレンドをどう見られていますか?

村上:そうですね。まずマクロにガッと広げるんですけれども、最近、ジョブ型雇用とか言ってるじゃないですか。

中嶋:ちょうど昨日もKDDIのニュース出ていましたね。

村上:そうですよね。KDDI、日立さん、富士通さんもやっていると。それはなぜかと言うと、日本だけ雇用システムが非常に特殊なんですよね。いわゆるメンバーシップ型雇用と言われていて。

日本以外は、アジアも含めてみんなジョブ型雇用です。ですので、特に日本本社のグローバル企業は、日本だけ特別なシステムを維持していて、日立さんとか富士通さんでも、日本以外はみんなジョブ型でやっているわけですよ。

でも、そういった採用とか人事異動も含めて評価すると、やっぱりグローバルに合わせていかないといけない。かつ優秀な人材の取り合いになっていて、やはり日本型雇用だと優秀な人材に来てもらえない。

中嶋:なるほどね。

村上:他の国からすると「ちゃんと評価してくれるのかもわからないところに行きたくない」って当たり前のことなので。それで以前から経団連も、ジョブ型雇用にしたいというのをずっと言っていたわけですよね。

中嶋:ようやくそれが形になってきたんですね。

村上:そういうことですね

中嶋:なるほど。

村上:我々を含めて、GAFAのいわゆるアメリカ・シリコンバレーのやり方で言うと、人事採用チームの中で、Talent acquisition team(注:タレント人材の採用に関する業務全般を一貫して引き受ける役割・活動を指す言葉であり、外資系企業などでは、Recruitingに変わる言葉として一般的に用いられる)というのが社内にいるわけです。元Staffing系会社のヘッドハンターとかリクルーターの人が、我々の社員になって同じことをやっているわけです。

なのでリンクトインを使って、いいTalentを探してレイヤーに応じてTalent pool(注:自社で将来的に採用する可能性のある人材のデータベース)を作っていくわけですね。採るのに1年も2年もコミュニケーションを取って入る、みたいなことも普通にやっています。

そのTalent poolを内と外で持つという考え方が、日本では非常に馴染みがないと思うんですけれども、やっぱりそのポジションありきなんですよね。

日本では人に仕事をつけていたのが普通だと思うんですけれども、やっぱりポジションにベストな人は誰だというのを、社内でも探すし社外でも探す。それを比べて一番いい人を採ろう、という考え方なので。

その辺が採用のトレンドとしてあって、さらにダイレクトで採っていこうという流れが来ていると理解しています。

heyが行っている、採用の施策

中嶋:Talent poolを作っていくとか、ここ数年で徐々にそういった言葉が界隈にも出てきていると思うんですが、それを形として運用できている会社はそこまで多くないと思っているんですけれども。

佐俣さんはこの1年でこれだけ採用されてきて、数あるスタートアップの中でもこの3年で一気にプレゼンスも高くなって。候補者の方も業界全体での知名度も非常に上がっているという中で、どういった採用をしているかお伺いできればと思います。

佐俣:そうですね。採用でいうと、heyという名前をいかに採用市場に売っていくかをやっていったのがこの2年半かなと思います。やっぱり知ってもらわなきゃいけないので、とにかくコンタクト数を増やしていきました。会社説明会を毎週毎週やり続けたり。

1回だいたい20人ぐらい来るので、年間で1,000人ぐらいの方々と直接お話したりですとか。あとはTalent poolでいうと、社内のいわゆるリファラルを強化してそこからコンタクトを取っていくこともやりますし。全方位でメディア掲載、それこそ志水さんたちにお世話になったりですとか、やれることを全部やりました。

流れとしては、ダイレクトでどうコンタクトしていくかということが1つあるかなと思っています。ツールも増え、やっぱりコンタクトをした後の反応も変わってきているので、やり方そのものも少しずつ変わってきている印象がありますよね。

中嶋:そこがアセットになって、年々採用力につながってきていると。

佐俣:そうですね。まだまだ課題だらけですけどね。

中嶋:なるほど、ありがとうございます。

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