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400社以上の組織活性を支援してきたUnipos社代表が語る 変化に強い自律型組織の つくり方 3Step徹底解説(全4記事)

感謝の気持ちは“主観”で語ると伝わりやすい 「あなたのおかげで“私”が助かった」という言葉が響く理由

「“やらされ仕事”が多く、現場メンバーのモチベーションが落ちている」「トップやマネージャーの指示を超えた行動が生まれない」など、長引くテレワークにより階層間・部門間の意思疎通が以前よりもうまくいかず、このような問題が生まれがちな昨今。こうした組織課題をそのままにしておくと、メンバーの成長や意思決定の速度が落ちるばかりか、いざという時に指揮系統が乱れ、事業進捗に深刻な影響を及ぼす危険性が高まります。そこで本イベントでは、400社以上の組織課題を解決してきたUniposカンパニー社長の斉藤氏が「意思決定の方向性を揃えながらメンバーの主体的な行動を生み出していくための、自律型組織をつくる3ステップ」などについて講演しました。本パートでは「『期待を超える行動』を増やす感謝のワーク」などについて語ります。

称賛を相手にちゃんと伝えることは難しい

斉藤知明氏:みなさんともう1点、ワークをしていきたいなと思っております。この「挑戦への称賛」のパート。言葉に出して伝えることって、すごく難しいなと思っているんです。私自身も悩むことがあります。

そこで期待を超える行動を増やす感謝のワークを、ぜひ実際にやっていきたいなと思うんですけれども。その前に、1つポイントをお伝えさせてください。

感謝って、口に出すだけじゃだめなんですよね。伝わらないといけないです。伝えられる側が、感謝した側に対して「これは相手にとって、確かに役に立ったんだ」って実感できるところまで落とし込まないといけませんと。

その時に“Youメッセージ”と“Iメッセージ”という1つがございまして。

このYouメッセージって「Bさんは仕事が早いですね」「あなたは仕事が○○ですね」「あなたはこの結果が伴っていますね」。これって「評価されている」という受け取り方だったり「おだてられている」という捉え方だったり。「本当にこれって役に立ったのかな? 自分はそこまでではない」と、否定的になっちゃうんですよ。これって心理学的に仕方のないことで、(相手からの称賛の真偽を)疑ってしまう行動を生み出してしまうものなんです。

これはただ、非常に小さな工夫で解消することができまして。「Bさんが対応してくれたおかげで、私が助かりました」と。「私の○○の時間が短縮されました」「私はこういうことができるようになりました」と伝えること。

これって“私”の主観なので、否定しづらいんですよね。だからこそ素直に受け入れやすいこととして、このIメッセージ。「あなたは、こういうところがすばらしい」(Youメッセージ)ではなくって「あなたのこういうところのおかげで、私はこういうことが助かりました」(Iメッセージ)。これをすることによって、感謝は伝わりやすくなると言われております。

「期待を超える行動」を促す、感謝のワーク

ここで、短時間なんですけれどもワークをしたいなと思っておりまして。

「期待を超える行動を促す『Iメッセージで感謝』ワーク」なんですけれども。まずステップ1としては、最近チーム内であった「○○がこういうことをしてくれていた」「これはちょっとよかった」ということを、思い出してみてほしいです。

まずは「行動」。「結果・クオリティ」ではなくって「どういう行動を起こしてくれていた」。ここにフォーカスして、思い出してみてほしいです。チャット欄に、書いてみてください。

ああ、いいですね。Mさんのコメント、もうIメッセージになっていますね。「司会の会議の時に率先して議事録を取ってくれてありがとう。わかりやすい議事録を取ってくれているおかげで、司会に集中して進行ができます」。これ、めちゃめちゃありがたいですよね。

しかも議事録というのは、会議の場を全体理解するために重要な行動なので。取ってくれるメンバーの理解を促すという意味でも、率先して取ってくれるメンバーというのは、次を任せたい候補に挙がってきますよね。

いかがですかね、みなさんの周辺で。上司のみなさんからだけじゃなく、これはメンバーから上司に伝えるということもあったりします。

友人の経営者が冗談でTwitterにつぶやいていたんですけれども。「社長というものはなかなか孤独だ」と。「やっていることが周りのみんなにはわからないから、たまに褒めてあげるだけですごく喜ぶよ」というコメントを書いたりしたんですけど。

これはトップダウンだけではなくって「メンバーからメンバー」「メンバーから上司」といった、斜め上・斜め下という関係性も含めて、感謝を伝えるのは重要かなと思っています。

こちらの続き。ステップ2としては、このIメッセージで感謝を伝えるということを実行していきます。

まず「最近の感謝できることを思い出した」というステップ1のワークが終わった方は、ぜひステップ2の「自分の言葉で感謝を考える」。(Youメッセージを)Iメッセージに変えて感謝を伝えるとしたら、どう伝えると相手に伝わりやすそうかの“整形”をしてみてください。

「月末の忙しい時期に、自らマシンの担当者を買って出てくれたことがうれしくって、自分の負担が減りました」。シンプルにうれしいですよね。「指示していない中での業務改善、テーマを挙げて進め方も提案してくれた」。

「苦手な○○さんに対して、(私の)代わりに聞きにくいことを聞いてくれたおかげで、手続きがスムーズに進んだ」。うん、うん。「顧客からの要望に応えるため、1週間で5つの部門の連携を取り、納期より早く、かつクオリティ高く対応いただいた」。この、部門の連携を自分から取りにいく動きって、すごく尊いですよね。

「わからない問い合わせ対応にヘルプを出したら、すぐに調べてくれたうえに対応してくれて、ありがとうございました」。あー、すばらしいですね。「同様の質問が来た時にどうすべきかも教えてくれたので、最高だなと思いました」と。「自分個人で対応できるようになりました」。

ここまで伝えると、そこの状況説明までしたことは、やってよかったなって本当に思いますね。

ありがとうございます。みなさんからたくさん例をいただきました。この「どういうふうにすれば相手に伝わるだろうか」。それを通して、感謝を通して相手になってほしいのって「『やってよかったな』と思う状態」なんですよね。

「『やるべきだ』って言われたからやったのに、割食ったな」ってなると、もう次から絶対にやらないですし。「やってよかったな」「言ってよかったな」ってなると、次につながっていく。その循環を生み出していくことが、自律的な組織を生み出すサイクルの、最後のブースターになると言いますか。そういう役割なのかなと思っています。

感謝だけではだめです。組織として、こうなっていきたいし、メンバーとしてはこういう役割を求める。だからこそ、それを感謝で促進していくサイクルを作る必要があるのではないかと、考えております。

“Extraワーク”と書いているんですけれども。すでに書いていただいたみなさんは、もしよかったら本人にメールやチャットで送ってみると「すごくよかったな」と思ってもらえるのではないでしょうか。ぜひ試してみていただけると、うれしいなと思います。

Uniposが担う、自主自律型組織の支援

我々はUniposを通してどういうことをしているかというと。Uniposとして「誰かが誰かにメッセージを送る」「ありがとうって伝え合う」というものが蓄積されていっているからこそ、その中で特に行動指針に紐付けて送られているものを引っ張り上げて。今度はこのIメッセージ。「してくれてありがとう」なんですけれども。「会社にとって、その行動がなんで重要だったのか」というものを、あわせて私からみんなに対して発表するという場を設けていたりします。

そうすることによって、なんでこの「Dialogue」が会社にとって重要で、どの行動が尊ばれているかを理解できる。それをさらに、再解釈できる場を作ることができるのではないかと思って、習慣的に「会社の重要な行動というのはこういうことだよね」というのをみんなで認識しあう。そのために必要なこととして、この「バリュー大賞」というものを展開しております。

改めて、自律的な行動を増やす好循環とは、目的と伝達と再解釈、権限委譲、挑戦への称賛。このサイクルをぐるっと作り上げていくということなのかなと思っております。

この後、Uniposを少しご紹介させていただきたいんですけれども。この自主自律型の組織を支援するUniposの中で、先ほどのバリュー大賞とピアボーナスの機能を合わせまして「目的の伝達と再解釈」の一部と「挑戦への称賛」のパートを、我々は担えていると考えております。

Uniposは、従業員同士が互いの挑戦や感謝、行動に対する感謝をオンライン上・アプリ上で送りあうことができる。かつポイントシステムを紐づけることによって、その建前を作ってあげる。そんなWebサービスです。

(スライドを指して)実際こういうAIの外部のコンペティションに挑戦して、そこで学んだことを勉強会としてチームに展開してくれた、このチームの中のAIエンジニアに対して、先輩からメッセージが送られていたりですとか。

また自分の「今の自分は量を求めるフェーズだと思っている」と自分の役割を再解釈して、それを上司に伝えた。それに対して積極的に仕事を請け負っている姿勢。結果の手前の「姿勢」だったり「行動」だと思うんですけれども。それについて「行動しているような取り組み」が称賛される。こういう循環が社内に起こり始めるきっかけを作れるサービスだと、思っております。

一方で、こういうのを伝えるのは難しいというみなさんだったりですとか、現場の中で(称賛が)送られている行動に対して贔屓になってしまうんじゃないかと思われるみなさんには、ワンクリックで「私もそれいいと思う」というふうに相乗りをする「拍手」の機能があります。

ポイントを送ることができて、挑戦への称賛を促すことができる。「なんか周りにも認めてもらっているし、会社的にもいい行動なのかな?」という、次の一歩の背中を押してくれる。そういう仕組みです。

また、その目的の再解釈という部分におきましては、行動指針のハッシュタグ。この「失敗を恐れずに前向きに挑戦する」。これは少し前の弊社のバリューなんですけれども。この失敗を恐れず前向きに挑戦するという行動って、これ単体を言葉で唱えるだけだと、自分の中で再解釈をするのは難しいと思うんですが。

身近な相手の行動だったりを「こういうことをしてくれて助かりました。なぜなら私はこうだったので、こう助かったからです」と伝える時に「この行動って、うちの行動指針で言うとこれらしいな」というのを紐付ける習慣がつきます。

さっきご紹介した、バリューワークショップをリアルタイムに日々やっているような環境を作れるので。ぜひ行動指針のハッシュタグと共に感謝を送りあうことで、それがボトムアップで再解釈され浸透していくのではないかと思っております。

またそのバリューの再解釈がされている行動って、今はどれくらい浸透しているんだろうか? 「実際にそのバリューに紐付けた行動、メッセージをもらっている。それに対して他者の行動を評価している。それに対して知っている」。このパラメーターを社内で、ダッシュボードで確認することができまして。

新しく設定したバリューだったりですとか、このバリューをちょっと強化して浸透させていきたいなと思った時に「伝えたよ」「言ったよ」ではなくて。それが「伝わって、行動が変化していっているか」「行動に反映されていっているか」まで、一目で見られるダッシュボードもご提供させていただいています。

ぜひUniposを通して、この“目的の伝達と再解釈”“権限委譲”“挑戦への称賛”の後工程から、さらなる行動を発揮する。挑戦への称賛から目的の再解釈をするというところまで、担わせていただけないでしょうか。というご紹介でした。

「問う」には「問い詰める」と「問いかける」がある

さあ、改めてQ&Aだったりですとか、みなさんからいただいているコメントに触れながら、もっとディスカッションを深掘っていきたいと思うんですけれども。

途中でチャット欄を拝見していた時に、ここのお話を深めていきたいなと思うポイントが、何個かあったんですよね。

Mさんからいただいていたコメントなんですけれども「ポジションによらず『なぜ?』の言い方・ニュアンスは大事だと思っています。否定的な『なぜ?』は攻撃されている印象を与えてしまいかねないです」と。

「承認・肯定的な『なぜ?』を心がけるようにしています」と。これはすごく重要だなと思います。

結局のところ“問う責任”“説明する責任”に関して「問う」には「問い詰める」と「問いかける」があると思っていまして。問い詰めるのほうになってしまうと「お前のせいだ」というニュアンスで「お前の責任なんだから、ここまでやりきれ」「お前が結果もケツも持つんだろ? ここまでやりきれ」となってしまうと、どんどん圧を感じてしまう。結果・責任というのは、もちろんリーダーが負う。任せる側が負うもの。

だからこそ「決定責任・執行責任をあなたに渡しているんだからこそ、なぜそういうことが重要だと思ったのか?」。これは、あくまでもお互いが同じ方向、結果を向いている……まぁ、価値と言うんですかね。顧客に提供する価値、世の中に提供する価値に向き合っていく中で、なんでそうなんだろうね? という、ディスカッションを深める場にしていく必要があるなと思っています。

問い詰め型になると本当に、お互いがお互い、ちょっとアレルギー反応を起こしちゃいますよね。

コミュニケーションにおける「Why」の危険性

あとはTさんからQ&Aで頂戴しております。「Whyは特にコミュニケーションにおいて、危険な質問になりやすい。どう使うのが効果的でしょうか?」。これはまさに今の質問に近いですよね。

自律にうまく働きかける(ことが大切)。危険な質問になりやすいと言われているが、どう使うのが効果的か? それは、あくまでもWhyの主体をメンバーに持たせて「なぜそうしたのか?」について質問をしていく中で「敵にならない」ということだとまず思っています。

任せた側が「私はあなたの敵だ」と。だからこそ「なぜ? を突き詰めるし、あなたに対して詰めているんだ」となってしまうと(よくない)。やっぱり「純粋に事業を成功させるために、チームを成長させるために、世の中に対して価値を提供するために。なぜそれが必要なのか?」というのを自分も考えるし、相手も考える(必要がある)。

その「なぜ?」について「つまりこういうことなのかな?」という再解釈を、任せた側もメンバーに対してしていく。それを重ね合わせていくということだと思うんですよね。

「なぜ?」→「答える」「なぜ?」→「答える」ではなくて。「なぜ?」→「答える」→「つまりこういうことかな?」→「あ、違う。こういうことかも」→「こういうことかな?」というふうに、それを重ね合わせるディスカッションパートナーになってあげる。

そのポジションを取るというのが、このWhyのコミュニケーションにおいてすごく重要であるなと思っています。

称賛の効果を上げる、伝えられる側のコツ

別の方からご質問をいただいてます。「褒めるのが苦手な人、特に年齢が高い方に多い傾向があると思いますが、さっきのIメッセージ・Youメッセージの本質を伝えるのって、すごく難しいと思います。どうやったら伝わるんでしょうか」。

「『助かります』と言われても何が助かったのかわからないし『とりあえず助かったって言っておけばよかったと思ってるんだろうな』と思っちゃいます」。

このIメッセージ・Youメッセージって、伝えられる側のコツもあると思ってるんです。

褒めるのが苦手な方がマネジメントをしている側なんだとしたら、その時はぜひ、Iメッセージを使いこなせるようになってほしいなと思います。メンバーからの信頼が得られたという経験を蓄積していくことでしか、このIメッセージが重要だと考えることは、もしかしたら難しいのかもしれないなと思います。

こういうウェビナーにご参加いただいて、ディスカッションをこの場で深めて。「確かに重要なのかもな」って思っていただくというのも、1つではあると思うんですけれども。僕自身も上長だったりですとか、外部の方から「助かったよ」って言っていただいた時に「何が助かったのかわからないな」と思っちゃった時は、素直に「まぁ助かったんだな」と。「たぶんこういうとこが助かったんじゃないかな?」と思って(笑)。飲み込むようにしてたりはしてますね。

根本的な解決にはならないので、これはいいのかどうなのかなと思うことはあるんですけれども。あくまで伝える側としては「Iメッセージを伝えたことで、相手が動いた」。その成功体験を積み重ねることが重要かな、と思いますね。

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