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高まる“個”の影響力とシナジーを生みだす、組織と従業員の関係づくりとは?(全4記事)

日本でのキャリアは"ガチャ"で決まる? リンクトイン・村上臣氏が語る、自ら道を切り開く発想

企業を取り巻く市場は刻々と変化し、SNSや口コミサイトの発達により、企業の魅力は個人の発信にも大きく左右されるようになってきている、昨今。また、新型コロナウイルスの蔓延によって働き方に変化が起きたことで「日本の雇用形態も変化すべき」という動きが生まれています。このような変化のなかで、企業と従業員の関係性にお悩みの方もいるのではないでしょうか? そこで「社員を通じて会社の魅力を社内外に訴求する『新時代の社員名鑑』」のtalentbookが、オンラインイベント「高まる“個”の影響力とシナジーを生みだす、組織と従業員の関係づくりとは?」を開催しました。リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上臣氏をゲストに迎え、株式会社PR Table 代表取締役 大堀航氏がお話を伺います。本パートでは「日本企業の言う“一体感”とは?」などについて語ります。

「成功するためには運が必要」と考える、日本人

大堀航氏(以下、大堀):リンクトインさんの調査データかな? 村上さんの記事でも拝見したんですけど、日本人とグローバルのビジネスパーソンの意識調査みたいなもので、これからキャリアを歩んでいくうえで大事なことみたいな。

トップ1は「がんばって働く」みたいな、共通してたんですけど。2つ目がグローバルだと「ふさわしい人との出会い」。

村上臣氏(以下、村上):そうですね。ネットワークとかですね。

大堀:日本だとその次は「運」みたいな。

村上:そう、運です(笑)。ありがとうございます。

大堀:「運て!」と思ったんですけど(笑)。

村上:ちょうど我々が今年の2月にやった、Opportunity Indexっていう調査なんですけれども。まさに「成功するために必要なものは何ですか?」と。世界22ヶ国に聞いたんですね。日本だけが2位に「運」と出てきたと。けっこう社内でもざわつきましたね。この結果見た人に「日本はどうなってるんだ、一体」って言われて。

大堀:ははは(笑)。

村上:そこで僕が説明したのは、基本的に1つの会社に長く勤める文化があって、転勤を含めてローテーションしていくんだと。そこは“ガチャ”みたいなものであって。

大堀:ガチャ(笑)。

村上:まず新卒の配属からしてガチャであって、そこで何を引くかによってキャリアが近道にいったりそうじゃなかったりするみたいな。なのでそこが運だと思ってる人が多いんじゃない? って話をしたんですよね。

大堀:「人事を尽くして天命を待つ」的なスタンス(笑)。

村上:これってやっぱり、オーナーシップが自分にあるっていう感じがしないからだと思うんですよね、キャリアに関して。基本的には、入社すると年金手帳とともに会社に預けちゃうじゃないですか(笑)。会社が言うことについていけば、自分のキャリアが社内では積めると。それがワークしていたというところから、会社自体も一生守ってくれるわけじゃなくなったので。

どっちかと言うと「自分がどうキャリアを積んでいくか」というふうに、オーナーシップを自分のほうに引き寄せなくちゃいけないって段階なのかなと思います。

日本企業の言う“一体感”とは?

大堀:一方で課題ですね。ジョブ型に移行していく国で、さっき気になったのは「会社の企業風土や一体感が失われちゃうんじゃないか? という懸念をしている経営者・事業責任者の方が多いと。ここって、それこそグローバル企業とかはどう醸成していると言いますか……カルチャーコミュニケーションの観点でやってたりしてるんですかね?

村上:おもしろいですよね。この結果って。ここのブレイクダウンがどうなるんだろうっていうのはすごく……。

大堀:そうですね(笑)。

村上:「一体感とは?」というのを、もうちょっと言語化してほしいですね(笑)。ここで言ってる一体感って、かなり物理の話だと思うんですよね。同じところに同じ時間いるっていうようなことによって「一体感らしきもの」が醸成されているけれども、それは本当に一体感なのか? というところをブレイクダウンしなきゃいけないと。

グローバル企業がどうやってるかと言うと、やっぱりナラティブなんですよね。まず「ビジョンtoバリュー」が、全てクリアに言語化されています。それにオペレーションがくっついてきていて、とくにマネージャーに関しては日々の意思決定の礎になるものは、基本的にバリューであると。なのでそれをもとに、迷ったらバリューを見ろっていうことをひたすら教育するわけですね。

企業のパーソナリティはカルチャーのところに来て、我々の会社でもカルチャーを維持する担当みたいな「カルチャーチャンピオン」っていうのが日本にも何人かいて。年に1回本社に行って、またチャージされて帰ってくるわけですよ(笑)。

大堀:チャージされて(笑)。

村上:理念をチャージされて。日本でもやって。毎月、我々はカルチャーイベントみたいなのもやっていて、今はオンラインでもやってるんですけれども。そういういろんな方法によって、ちゃんと理解レベルを一定にする。またそれをそれぞれが発揮できるように推進をする、というようなのがオペレーションにかなり濃いレベルで組み込まれているんですよね。

大堀:はー。これ、今ワードを聞いておもしろいなと思ったのは、それってカルチャーチャンピオンっていうんですね。

村上:そうですね、はい(笑)。これはもともと役職とは関係なくボランティアなんですけれども、1つ、このロールとしてあるんですよね。

大堀:これもボランタリーで。じゃあ挙手制というか、やりたい方がこれを担うという感じなんですかね。

村上:そうです。

大堀:へー。じゃあ普通の現業の、実際の業務。自分の仕事プラスアルファでやっている、という感じなんですか? 

村上:そういうことです。

大堀:ああ、じゃあこれをやることで、なんでしょう。その社内的な評価というのは上がったりするもんなんですか? 

村上:もちろん、それによっていろんな能力も開発されていきますので。

大堀:へー。

村上:それが本業にいい影響を当然与えることもありますし、あとはやっぱりリンクトインは特にカルチャーがけっこう独特というか、ユニークで有名なんですね。なので、うちの会社の志望理由の50パーセント以上が「カルチャーに惹かれる」という感じらしいんですよ。

大堀:はい。

村上:グローバルで見ても。なので、そこを担えるというのは、まあ単純に個人のモチベーションになっているというのと、だからカルチャーキャンプというのが年に1回本社であって。そこでこの全世界中のカルチャーキャンプの人と、リンクトインカルチャーについていろんなワークショップができると。

大堀:なるほど。

村上:それが全員は呼ばれず、リージョンで抽選的な感じで。抽選というか選考ですね。なんかエントリーフォームを書いて、熱い思いを送るらしいですよ(笑)。

大堀:なるほど。けっこうすごい時間もかかりますね。

村上:だからすごいレベルで投資をしているということですね。

大堀:ですよね。

村上:まさにこの「一体感というものとは?」というのは、僕らもよく聞くので。コミュニケーションをバリューに紐付いたかたちで言語化していく、というのはかなり徹底されて、オペレーションも含めてやっているということなんですよね。

カルチャーが強い会社の特徴

村上:(スライドを指して)この今のランキングの1・2・3位は、だいぶおもしろいですよね。

大堀:おもしろいですよね(笑)。

村上:「契約内容以外の貢献が減ってしまう」ということなんか(笑)。すごいボランティアに支えられているような気がしますよね。

大堀:(笑)。けっこう本当に「経営課題はなんですか?」というのは、よくネットの調査でも、この「一体感がない」とか「経営理念・ビジョンが浸透しづらい」という、永遠のテーマがずっと残っているんですよね。

これは一生解決しないんじゃないかというぐらい、本当、何十年もいまだに残っているということで。なんかここは、村上さんがおっしゃっていたようにグローバル企業から学べるところはものすごくありますよね。

村上:そうですよね。そのモヤモヤを、もうちょっとインタビューしたいですね。経営者のみなさんにむしろ(笑)。

大堀:(笑)。

村上:なんだと思っているのかというのは。

大堀:そうですよね。

村上:はい。

大堀:個人個人のやりがいとか、けっこうすべてが制度に紐付いてきているものですもんね。

村上:ただ、なんでしょう……カルチャーが強い会社というのは、採用のときからそのカルチャーフィットを重視していると思うんですよね。

大堀:はい。

村上:なので、外へもすごく発信していますし。リンクトインの社員ってオンボーディングのときに、会社の中でリンクトインらしいことは、どんどん外でリンクトインというハッシュタグをつけて発信しろと言われているんですよ。

大堀:ふん、ふん。

村上:それで我々も「#LinkedInLife」みたいなものがあって、またそのそれぞれ楽しいこととか、会社でよかったこととか、そういうことはどんどん積極的に発信してくださいと。

そうすると、リンクトインとかSNSのネットワークの中で「やっぱりリンクトインってこういう会社だよね」というのが広まるわけですよね。

やっぱりそれが従業員の口から出ていくということで、信頼性も高くなりますし、それを見て「あ、リンクトインは楽しそうだな」と思う人が応募してくれるわけですよ。

大堀:うん。

村上:それを見て、当然「いや、ちょっと合わないな」という人がいるわけです。逆にそういう方は、たぶんリンクトインに応募してくださらないと思うので。そういう意味では、やっぱり合う人を正しく採るというところは、すごく大事なんじゃないかなと思うんですよね。

大堀:そうですよね。やっぱりリンクトインで働いている方々のエンゲージメントというのは、さっきパルスサーベイされているとおっしゃっていましたけれども。やっぱりかなり高水準であるという感じですか? 

村上:そうですね、全体的に。もともと我々は、グリントのグローバルのすごい大きいお客さんだったんですよね。

そしたら、わりとビジョンが近いよねというので、仲間入りして。M&Aでグリントがリンクトイングループになったんですけれども。

やっぱりすごくおもしろいですよ。例えば10問とか20問とかを、3ヶ月に1回とか毎月とかやったりするわけですよ。やっぱりこのコロナ禍においては、毎月のようにサーベイが走っていて。本当に携帯でも10問ぐらいパパパッ! て答えられるようなものなんですね。

直感で答える、感情が出るものなんですよ。なので、1問目とかってもう「How are you?」とか、そういうレベルなんですよね。

大堀:はい、はい。

村上:「今、どう思う?」みたいな。「大丈夫?」みたいなのを気楽に社員に聞くという。会社のオフィシャルなコミュニケーションとして。すごくおもしろいなと思いますね。

大堀:よく、そもそもそういうのを聞いても回答してもらえないみたいな企業も多い中で、ちゃんとそれにみんな回答して。もう普通になっている感じなんですかね、会社にとって。

村上:そうですね。基本的に正直に建設的に話そうというのが、1つ、バリューの中にも入っているので。

大堀:なるほど。ありがとうございます。

パネル2のディスカッションが盛り上がって時間がかかってしまいましたが、このメンバーシップ型・ジョブ型というところは、村上さんにお話いただいたような、グローバル、そもそもの労働環境のルールの違いもある中で、変わっていくところは大きいメガトレンドとしてあるということですよね。でも、そのうえでどう取り入れていくのか、というところだと思います。

村上:そうですね。

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