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マイクロソフト業務執行役員 澤さん「未来を創るプレゼン」 ITビジネスの原理実践編(全6記事)

「かもしれないに囚われて、何もしない」が最も無意味 澤円氏・尾原和啓氏が語る、誰かへの“ギブ”の注意点とは?

執筆家/IT批評家 尾原和啓氏がさまざまなゲストと語り合うYouTubeチャンネル「尾原の IT&モチベ解説 ー10分対談・ITビジネスの原理実践編」。今回は『未来を創るプレゼン』を書かれた澤円氏と対談されました。本パートでは「“ギブ過多”を防ぐ“ウォッチ”の重要性」などについて、二人が語ります。※澤円氏の肩書きは、イベント当時のものです。

ゆうこす氏への発言の真意

澤円氏(以下、澤):1個質問があったんですよ。ゆうこすさん(菅本裕子氏)の話の中だったよな。事務所を立ち上げたときの話で「手の中の鳥の原則」の話があったじゃないですか。あれで「バラエティ番組のタレントになりたいんですっていうのがもったいない」っていう。あれはちょっと意味が、テレビを見ないせいもあって、僕はわからないんですけど。

あれは「目指すべきポジションじゃないよ」という意味なんですか? 

尾原和啓氏(以下、 尾原):あ、それをもったいないと言ったのは、やっぱり彼女自身の味で生きるよりは、バラエティってやっぱりOne of themになっちゃうので。

:なるほど。はい、はい。そういうことか。

尾原:という意味合いですね。

:なるほど、そうか。僕、テレビ番組をほとんど見ないので。そのバラエティに出ているタレントさんたちがどういうようなポジションでやっているのかなというのが、あんまりピンとこなかったんですけど。ひな壇とかに入ってちゃうと、One of themで埋もれちゃう。

尾原:あ、そういうことです。

:西野(亮廣)さんもよくおっしゃっているやつだ。

尾原:そうです、そうです。

:はい。はい。

尾原:だからたぶん、彼女がHKTで舞台に立ち続けるんだったら、ゆうこすだけが好きという話が増えてくるじゃないですか。やっぱり、今のメディアのひな壇的な扱いだと、どうしても埋もれてしまいやすくなっちゃうので。そこが彼女の場合、もったいないよという文脈で書いたんですね。

:なるほどね。

「かもしれないに囚われて、何もしない」が最も無意味

尾原:けっこう質問をみなさんからいただいていて、4つポンポンときているので。どれからいきましょうかね。

順番からいうとギブの話かな。「ギブすることというのは、何か必要としている人と、何か持っている自分の両方がマッチすることで成立すると思うんですが、それぞれの何かを見つけるのが難しいかなと思います。どういう視点を持てば見つけやすくなるでしょうか?」という。

:でもマッチするといっても、完全なマッチをするかどうかというのは、やってみてからの判断でいいような気がしますよね。まずはやってみると。要するに一番意味がないのが「かもしれないに囚われて、何もしない」というの。これが一番損だと思うので。まず、とりあえずしてみちゃうという。ギブしちゃうというのを、アクションのトップに持ってくるでいいかなと思う。

いらないと言われたら、それも学びなので。尾原さんも本に書かれていましたけれども、メールを送って返信がないのも1つのフィードバックって書かれていましたけれど。あれと同じような感じで、まずやればいいかなと思いますけれどね。

尾原:ギブって1個だけ気をつけたほうがいいのが、ギブをすることで相手の時間を奪ってしまったりとか、相手のめんどうくささを増やすギブはむちゃくちゃ丁寧にやらなきゃいけないんですけど。今ってありがたいことにメッセージ1本送ってあげるとか、動画1本送ってあげるみたいに、相手の時間を奪わないギブの仕方がたくさん増えてきているので。こういうものだったら送って、失敗だったらダメだし。

そのときに、気持ちよく相手が断れるようなギブの仕方をたくさんすると、失敗がたくさんできるので。そうするとだんだん相手のことがわかって、だんだん相手にとってプラスのギブができるようになってくるし。

もっと言うと、チャーミングであることですね。

:ああ、重要重要。

尾原:チャーミングであると、失敗自体も「いやぁ、尾原らしいなぁ~」みたいな。「お前、いつもそういう勘違いして俺に送ってくるじゃん」って言われれば、それはそれでいいし。

:谷本有香さんも、本当にチャーミングというキーワードをよくおっしゃいますよね。

尾原:そうなんですよね。チャーミングって失敗が個性になるから。そこですよね。そういう意味では谷本有香さんが書いた『アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術』という本があって。この本の中に、チャーミングでいることを何個か分解しているので、ぜひこれを読んでいただきたいですね。

「ギブ過多」を防ぐ「ウォッチ」の重要性

尾原:次に、今度はさっき言った話に近いですね。「相手にギブすることを意識していると、いつのまにか自分を押し殺して他人軸になってしまうことがあります。この境目が難しいです」という。さっき、孤独になりましょうみたいな話がありましたけれども。澤さんが心がけていることってあります? 

:これは僕もはまったことがあって「ギブ過多」になっちゃって疲れたことがあったんですね。かみさんもすごくそれを心配してくれていた時期があったんだけれど、たまたま僕の場合だとそのあとに他人にギブをしているような暇がなくなるようなこと……。親父が倒れちゃって、そのまま亡くなっちゃったんですよね。

尾原:あらあら。

:そこに集中するという時間が、たぶん親父が最後にプレゼントしてくれたんだろうなと思ったんだけど。それによって、1回クールダウンできたというのがありますね。あとはやっぱり、パートナーがそこはちゃんとウォッチしてくれているというのが大事かと思いますね。

ギブ過多になったらやっぱりすっからかんになったりとか、ギブそのものが自分の中である意味、悪い意味でのルーティーン化してしまって。自分との体力であったり気力であったりとかというのとのバランスを欠いてしまうと、結局、自分が疲れる一方になっちゃうと。

やっぱりそこは、ウォッチが絶対必要ですよね。

尾原:そうですね。僕のケースで本に書いていないことで言うと、僕のギブの順番って着想が先にあってつながりが次にあるわけですよね。だから自分として見たい未来はこっちだなと思っていて、そこでアイデアが思いつくと。そのアイデアを喜んでくれる人は誰だろうなと思ったら「これは澤さんどうですか?」って言ってるので。

澤さんにとっては「ええ? なんで俺がやろうとしていることがわかってるの?」みたいな感じになるけど、僕からすると、僕が見たい未来に誰がいるかという順番で考えているから。

:あれはすごいわ。

尾原:結局、自分が見たい未来を見ている。だからこういうのを「自己中心的利他」って呼んでいるんですけれど。結局、自分の中にパートナーがいる。

:本当に尾原さんのギブはすげえ。まじですげえ。「好きでしょ?」って送ってくるもんね。全部当たってるし(笑)。

尾原:(笑)。

:いや、好きです(笑)。超それ好きです。

尾原:そう、そう。ストーカーだからね(笑)。

:(笑)。

尾原:というのと、最近「DD」という言葉が流行っていまして。これは「誰でも大好き」という意味ですけど。昔は、推しが1人だとやっぱりその1人に依存しちゃって、埋没的になっちゃうんで。だったら、複数好きな人がいたほうがバランスがとれますよ。

澤氏「自分の得意なものを伸ばしたほうがいい」

尾原:じゃあ、残りの質問で……ボーク重子さんのサロンでの……あ、非認知能力ね。非認知スキルの話とかってなんかありますか?

:非認知能力……。

尾原:コンパッションだったりとか、アンガーニングだったりとかいろんなのがありますけど。

:この間のやつって、すごくわかりやすいし体系立っていたりとかしてすごくいいんだけれども、それそのものが理解できていないということに苦しんでいると、これは本末転倒なんですよね。本当は。

尾原:さすが、そのとおりですね。

:パッと理解できて、これをやってみようと。本当にこのメソトロジーの1つだっていう位置づけにしておかないと、万人に合うかどうかというのは、これは別問題なんですよね

尾原:そうですね。はい。

:そう考えるとまず大事なのは、自分に合っているか否かというのを、それをちゃんと自分に問うてあげるということですよね。それができていない自分はだめなんじゃないかという思考になると、これはものすごくネガティブなほうに、ガン! といくので。

非認知能力があろうとなかろうと、自己を認知して、自分がハッピーになるというスキルは、他にいくらでも取り得る手段はあるので。そういう考え方で取り組めばいいと思います。

尾原:そうですね。たぶん澤さんの『澤円の深夜の福音ラジオ』第798回かどこかで言っていたと思うんですけど、やっぱり自分の得意なものを伸ばしたほうがいいという話があって。

:それ、よく聞いている(笑)。

尾原:どうしても世間で流行っているものに行きたがるんだけれども、世間で流行っているものって、逆に言うとレッドオーシャンでもあるわけだから。だから自分が得意なものを伸ばしたほうがいいし、あとはもう1個大事なことって、やっぱり喉が渇いてないときに水は飲めないですよ。

:うん。

尾原:それって、喉が渇かないのには理由があるわけだから、喉が渇いているものから飲んでいったほうが自分も吸収できますよね。だから、僕とか本当にパラノイアなので、共感能力とか1ミリもないわけですよ。感情的に。

:そう思わないけどなぁ。

尾原:いや、あのね。僕は人間の感情をハックして、人間の感情というものはどういうもので感情が起きるかという言葉の仕組みを分けていくということが、大好きな人間なので(笑)。その仕組み化をしてきているんですけれど。

だから、まあ世の中の言っていることを、自分の得意に変換したほうが絶対いいよ。

尾原氏が予想する“ジャズ型”の世の中

尾原:最後、来ているのが「質問をする前に浮かんだ疑問を、まず自分で考えたいという気持ちが先行して、自分なりに結論づけたり、結局、質問できなかったりしてしまうんですが、こういう場合はどうしたほうがいいんでしょうか?」。

:はい。ありがとうございます。

尾原:質問をする前に浮かんだ疑問を自分で考えたいというのは、一言で言うとやっぱりさっき言ったように、これは人に頼ったほうが人からむしろ喜ばれるかという観点ですね。

:うん、うん。

尾原:というふうに、お互いの得意分野の中で相手の得意が生きるのであれば、相手が頼られてうれしいということが多いので、そこは頼っちゃおうよだし。一方で、その頼りながら自分で考えてもいいわけですよ。

:これそのものはぜんぜん悪い話ではないし、そういう考え方をしている自分を認知すればいいだけの話だと思うんですよね。だから、あとは例えばその質問をするときに「私はこう考えたんですけれども、何か差はありますか?」という聞き方をしてもいいかもしれないですよね。

尾原:あ、そうですね。だからやっぱりそこは平行でもいいし。あと、1番大事なのは、なんか中途半端な考えで聞いちゃダメだとか、そういう思考に日本人はなりやすいので。「途中の生煮えこそが、一緒に料理ができるおいしいものだ」という思考は変換したほうがいいですね。

僕なんかはだいたい今日の対話とか、みんなものすごくアドリブでセッションがなんか神みたいにかみ合っていると思うでしょ。僕は生煮えで澤さんの表情を見て、たぶんこの辺でストップしたら澤さんが勝手に埋めてくれると思ってやっていますんで(笑)。

:(笑)。その辺の勘所は、たぶん完全にもう磨かれていますよね。

尾原:そう、そう。それまでは、生煮えでしゃべっておいたほうがいいやっていう。

:すごいと思う。動画を見ていて誰とやっていても、ちゃんとリズムをとってやっているもんなって。本当にすごいと思いますね。

尾原:そうですね。だからそこはさっき言ったように「この人はここが得意だから」という話と、あとは表情を見ていて、たぶんもう考えが固まったんだなと言うのを見たら、自分の声を小さくフェードアウトしてかぶせてくれるという話なので。

:(笑)。さすが。

尾原:ただ、でもやっぱり世の中、ジャズ型になってくると思うんですよね。

:だと思いますね。

尾原:お互いの得意なパートを弾いて、自分が演奏を終わったころに相手の得意なパートがかぶさっていくので。

:観客の反応によって、ソロパートを長めにする楽器を決めていったりとかね。そういうのをやっていけばいいですもんね。

尾原:ですよね。というふうに。いや、本当にあっという間の1時間40分経っちゃいましたね。本当にありがとうございます。

:ありがとうございました。

尾原:もし、澤さんにご興味ある方は、Voicyを澤さんがやってらっしゃったりとか、澤さんもサロンをやられているんですよね。

:はい。やっております。

尾原:最後にちょっと簡単にお話ししていただくと。

:はい。澤サロンというのをやっていて、今はちょっといっぱいなんですけれども……。

尾原:あ、そっか。もういっぱいなんだ。

:ウェイティングリストがかなり増えてきたんで、ちょっと定員を増やすことになっていて。

尾原:はい。

:定員を増やすことにしまして、近々増枠をするので、もしご興味がありましたら、ちょっとお入りいただけると。月3000円なんで、だいたい雑誌が3~4冊分なんですけれども、それに見合うだけの対談をしたりとか、あとはけっこう最近はライブで何かを配信したりとかということをやったり。

あとは対話型のZoomを使ったミーティングをしたり、壁打ちをしたりということをやっています。

あとは、僕のタグでもあるプレゼンテーションというので、プレゼン部というのが分科会であるんですけれども。そこで実際にプレゼンをしてもらって、僕のほうで直接フィードバックをするという、そういったイベントなんかもやっているんで、もしご興味がありましたら。

尾原:はい。というわけで、本当、今日掛け合い漫才ありがとうございました。

:いえいえ。

尾原:今日、澤さんのサロンでもこの録画、みなさん見れるようにしますので。

:本当にありがとうございます。

尾原:後で復習したいみたいな方はぜひぜひ。

:ぜひちょっと……。

尾原:本当に今日はありがとうございました。

:いや、いや。こちらこそありがとうございます。

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