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アトツギベンチャーサミット -オンライン-(全6記事)

県境で分断されると、小さな町は経済が回らなくなる 地方のアトツギの問題意識と挑戦

新規事業開発を志す野心あるアトツギが自発的に自ら機会を創出するためのコミュニティ、一般社団法人ベンチャー型事業承継が主催する「アトツギベンチャーサミット」。今年は先輩アトツギをゲストに迎え、コロナ新時代にアトツギだからこそ実現できる新規事業の可能性、アトツギならではの門外不出のリアルな体験談やホンネ「アトツギリアルあるある」を赤裸々に語り合います。本パートでは、株式会社一平ホールディングス代表取締役社長の村岡浩司氏のビジョンの紹介や、afterコロナ・withコロナで来るビジネスについて意見を交わしました。

「世界が憧れる九州を作る」一平ホールディングス

入山章栄氏(以下、入山):では、次に一平ホールディングスの村岡さん、お願いできますでしょうか。

村岡浩司氏(以下、村岡):みなさん、こんばんは。

入山:よろしくお願いします。

奥村真也氏(以下、奥村):こんばんは。よろしくお願いします。

村岡:今日は300人ぐらい参加してくださっているみたいなんですけど、くまモンと一緒に宮崎からお送りしています。

うちの会社は一平ホールディングスというんですけれども、もともとは宮崎にある寿司屋からスタートした会社で、僕はその2代目になります。

僕の時代になってから、寿司屋からいろいろなレストラン事業に展開したり、今この背景にパンケーキの写真が映っていますけど、これがうちの最近の代表的な商品です。九州は沖縄を含めると8県あるんですけれども、(九州)全体から素材を集めて作った「九州パンケーキ」というパンケーキミックスです。

要は、こういう九州というものを1つの島として顕在化させて、島の中にあるいろんな農業資源や、2代目さんも多いんですけれども、九州各地のいろんな食品加工工場の技術を掛け合わせたりして、おもしろいものづくりをするというのがうちの会社です。

最後に「食×農業×人(Work Community)」と書いてありますけれども、これもホールディングスの中に九州アイランドワークという会社がありまして。これはアプリで九州中のコワーキングを3年で300ヶ所ぐらいつないで、どこでも自由に旅をしながら働ける環境を九州に作っていこうという、ちょっと野心的な会社ですね。

経営理念は「世界が憧れる九州を作る」。こういう事業をやっている会社です。みなさん、よろしくお願いします。

コロナ禍の飲食店事業に事前決済サービス「Picks」を活用

入山:よろしくお願いします。ありがとうございます。一平ホールディングスさんは有名なので、実は私も前からお名前を伺っていまして、今日初めてお会いできるので光栄です。

最近だと、DIRIGIO(ディリジオ)というベンチャーがやっているPicks(ピックス)というサービスを使われていますよね。今はレストランがコロナ自粛であまり営業できないじゃないですか。それをお店の前に出してピックするというサービス。

経営者の方にお会いしたら、「実は東京以外だと一平ホールディングスさんが使ってくれているんだ」と言っていました。

村岡:そうですね。事前決済サービスのPicksは大学生が立ち上げたベンチャーの事業なんですけれども、すごくいい事業ですね。

実はPicksは去年の秋ぐらいからスタートして、事前決済をやっていたんです。うちはレストランを10店舗ぐらいやっているので、お店に人が来られないというこのコロナの中でも役に立ったというのもありますね。

入山:私もそういった最先端のものをどんどん取り入れられている印象を持っていました。いろいろお話を伺わせてもらえればと思います。

コロナによって県境で分断されると町が死ぬ

入山:ちなみに村岡さんは、ご出身は宮崎なんですよね? 

村岡:はい。僕は宮崎出身で、高校を卒業するときに、寿司屋を継ぎたくなくて1回逃げて。

入山:(笑)。

村岡:「(家業から)一番遠いところ、見つからないところに行こう」と思ってアメリカに行ったんですけど、最初に起業した事業に失敗して、28歳のときに、まだ父親が元気だったので助けてもらって。そのあと3年ぐらいはずっと板場にいて、38歳ぐらいまで、10年間ぐらいは寿司職人をやっていました。

入山:九州って、率直に言うと私の中ではけっこう分断していたり、あとはやっぱり福岡一強で他が弱いイメージがあるんですけれども、村岡さんは九州を1つにして変革を起こしたいとお考えなんですね。

村岡:まあ、県境ってときには意味がないですよね。今回のコロナで特にわかったことは、県境で分断されると、その県境の町は死んじゃうということですよね。

入山:あー、なるほど。

村岡:例えば南九州、宮崎と鹿児島でも300万人ぐらいいるわけですよ。現在はほとんどコロナ感染者がいない。ところが県境で分断されると、その県境の小さな町はまったく経済が回らない。九州全体で見ると1,300万人ぐらいの人口があるので、非常に内需もあってバランスのいい1つの広域経済圏です。この九州を1つの島と捉え直して、経済を考える。そういう捉え方ですね。

入山:なるほどありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。

社名の「カスタムジャパン」の由来

入山:カスタムジャパンの村井さんは1回ご質問ができなかったんですけれども、今はつながっているでしょうか。

奥村:もう一度行きましょう。

入山:村井さん!

村井基輝氏(以下、村井):聞こえます。

入山:よかった。試練を乗り越えましたよ、村井さん! 

村井:どうですか。音声は聞こえてますでしょうか。

入山:バッチリです。よろしくお願いします。村井さん、先ほどはすみません。我々が聞けているかわからない状態でお話いただいたので、申し訳なかったんですけれども。

村井:こちらこそ、すみません。

入山:今は二輪などのカスタム部品を作られているということで。創業60年目の3代目ということなんですが、特に今この村井さんのカスタムジャパンが注目されている理由というのはどこにあるんでしょうか。

村井:まず、カスタムジャパンという名前なんですが、カスタムパーツをほとんど扱っていません。始めはカスタムパーツを扱いたかったんですが、家業にはカスタムパーツの仕入れがほとんどできなくてですね。カスタムパーツ以外を扱っているというイメージでございます。

入山:だけど会社の名前はカスタムジャパンなんですね? 

村井:これはミスです。

入山:(笑)。

村井:ミスというより、いわゆる変革という意味でつけたので。あとは実際に簡単な名前をつけた方が覚えやすいなということでカスタムジャパンと。イメージですね。

入山:(笑)。だけど今はカスタムじゃないパーツの通販ビジネスで、すごく伸びていると。業界トップシェアだということですよね。

村井:はい。ありがとうございます。

バイクパーツ卸通販で業界トップシェア

入山:業界トップシェアになれた理由は何だと思われています? 

村井:バイクパーツの卸通販として業界トップシェアです。バイクパーツのリアル店舗ですと、昔だと南海部品とか有名で、今ですとイエローハットグループが「2りんかん」がパーツを売っています。大手のBtoB通販ですと、モノタロウは、MRO(Maintenance Repair and Operations)ですね。

間接資材系ですとアスクルさんやミスミさんがあるんですが、我々のように、いわゆるバイクや自転車の補修部品に特化したところは他にありませんので、その領域でトップシェアになっています。

入山:なるほど。オンラインでやって、かつマーケットをピンポイントで狙って尖っていったから、お客さんにすごく支持されているというわけですね。

村井:そうですね。間接資材はMROと表現されると思うんですが、我々の業界で定義すると、TBOというのがありまして、タイヤ・バッテリー・オイル。これは繰り返し使うんですね。

入山:なるほど。

村井:MROやTBOについて、スーパーに例えると、牛乳、うどん玉とかキャベツなどのように、繰り返し使うものに集中してやっています。

カスタムジャパンはカスタムパーツを扱っていないと先ほど言ったんですけれども、実はちょっと扱っています。繰り返される部品を中心に、自社ブランドと海外、国内ブランドをバイクショップ様や自転車販売店様に供給しています。こういうビジネスになっております。

入山:なるほど。ありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします。

村井:よろしくお願いいたします。

ニーズが東京一極集中から地方へ分散していく

入山:というわけで、今日はこういうすばらしいお三方からもっとお話を伺っていきたいんですが、今日のテーマが当然ながらコロナということで、一応タイトルでも「afterコロナ・withコロナで、来るビジネスは?」ということになっています。

みなさんも今は悩んだり考えている方もいらっしゃると思うんですけど、まずはお三方に、今コロナでどういう対応をしてどういう未来を描いているか。まさにどういうところが来ると思っているかというお話を伺ってみたいと思います。

まずはアベルの居相さん。いかがでしょうか。

居相浩介氏(以下、居相):何が来るかというのはまだ模索はしていますが、やっぱりなかなか人が集まれない状況になっていて、みなさん在宅勤務などをかなり経験されていてですね。

我々はものづくり、製造業なので、製造業はまだ一定の距離さえ保っていれば操業できるという状況でやってきたんですけど、やはりニーズがだいぶ変わってくるだろう想像していますね。

我々はどちらかと言うと、高級建材などを目指してやっていまして、売りは変わらないんですけど、使われる場所が変わってくるのかなとは思っています。東京一極集中というよりは、地方に分散するようなかたちにより進んでいくかなと思うので、これからは各地域を目指していきたいなとは思っています。

入山:なるほど。地方に分散していく建材などのマーケットを取っていきたいという。

居相:そうですね。必ずしも都市部だけじゃなくて、地域にもっと分散していくんじゃないかなと考えています。

入山:なるほどね。コロナでどの会社さんも本当大変だったと思うんですけれども、居相さんのところは、特にこのへんがチャレンジだったとか、それをこうやって乗り越えたとか、何かありますか? 

居相:今までけっこう業界を分散して仕事を取ってきて、建築・車・カメラ、それ以外も含めていろいろ分散していたつもりなんですけれども、まあ結局全部だめという状況になって。

特に車が本当に5月6月は注文がゼロになったんですね。それはちょっときつかったんですけれども、そのぶん空いた時間を使って、手をつけられなかった社内設備の修復などを時間をかけてやって、今はその次に備えているという感じです。

入山:なるほどね。時間ができたぶん、ちゃんと中をしっかりすることに時間を使ったというわけですね。ありがとうございます。

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