2024.10.10
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withコロナ時代のスタートアップに求められる「新しいビジネス様式」 ~今後のスタートアップに求められる社会的役割、社会に必要とされる事業領域とは~(全4記事)
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司会者:それでは最初のセッションです。テーマは『withコロナ時代のスタートアップに求められる「新しいビジネス様式」』です。
登壇者は衆議院議員の牧原秀樹様、WiL共同創業者兼CEO・伊佐山元様、READYFOR株式会社代表取締役CEO・米良はるか様です。
そしてモデレーターは、株式会社メルカリ取締役会長・小泉文明が勤めさせていただきます。それではみなさま、よろしくお願いいたします。
小泉文明氏(以下、小泉):はい、メルカリの小泉でございます。今日はですね、THE BUSINESS DAY、4回目ということでございまして、コロナ時代をどうやってサバイブしていくのか。その中でも特に明るい未来をみなさんと一緒に見られればいいかなと思っております。
そんな中で最初のセッションとしましては、スタートアップにフォーカスを当てたいと思っております。
やはり、産業を大きく作っていく中でのスタートアップの役割は大きいと思っているんですけれども。このコロナ時代、非常にポジティブな面もあれば、当然、資金繰りも始めネガティブな状況もあるかなと思っていますので、さまざまな角度から意見をいただきながら明るい未来の議論ができればなと思っております。
それでは最初に、牧原先生から。このコロナの状況を今、政府もしくは内閣のほうから考えていらっしゃることを含めて、自己紹介かねがね簡単にお話しいただければなと思っております。
牧原秀樹氏(以下、牧原):はい。みなさん、こんにちは。衆議院議員で、今は経済産業副大臣を拝命しております、牧原でございます。今、小泉さんから話がありましたように、経済産業省あるいは政府としてこのコロナについて取り組んでいることも、若干ご説明をさせていただきます。
いろんな経済予測なども出ておりますけれども、とにかく景況感あるいは経済の実態も含めて、私はリーマンショックのときにもう国会議員だったんですけれども、あのとき以上のインパクトであることは間違いありませんね。
特に全国的に及んでいたり、また全業種に及んでいたり、あるいは全世界に及んでいたりという意味で、今までとはまったく違います。それから今なお、オンゴーイングである、進行中であるということが、やはり我々の対応の難しさということになります。
スライドがありますが、その中で令和2年度の補正予算をすでに2次に渡って組んでおります。
事業規模で234兆円、GDPでも約4割に達する経済支援をやっておりまして。この一番大きいものが、資金繰り支援なんですけれども。
すでに政府系の金融公庫を、政策金融公庫とか、あるいは商工中金、そして信用保証協会の無利子、実質無利子無担保の融資というのは、22兆円に達していますし。それから中小企業のみなさま、あるいは個人事業主のみなさまに向けた、いわゆる持続化給付金。これもすでに、2.7兆ぐらいの支出をすでに行なっております。
あとは雇用調整助成金。私は前は厚生労働副大臣を、働き方改革担当も含めて担当しておりましたが、この雇用調整助成金も今回は大幅に改善あるいは拡充して特例措置を実施しています。
こういう1人10万円の給付金については、すみません、まだいかれてない人もいますけれども、13兆円なので。そうすると40兆円ぐらいのお金が、すでにこの2ヶ月ぐらいで政府から市中に出てるということになっております。
「新たなトレンド」と次のスライドに書きましたけれども。この対応は、先ほど申し上げたようにまだ進行中なので大変難しいですが。私としてはやっぱり若手の議員としても、今この支出をするということで今の対応をするだけじゃなくて、やっぱり未来を見据えていかなければいけない。
こう思って、6つのトレンドというようなことを(書きました)。「接触は回避する」とか「職住は接近していなくてもいいんだ」とか。「ギグエコノミー」だとか「グローバリズムの修正」だとか、さまざま。コロナによって、それまでの世界とは違う世界になると思います。
こういうときに、従来の発想にとらわれてそこから逃れられない企業よりも、ベンチャーのまったく柔軟な新しい発想が大変重要になると思って、今日は参加させていただいております。よろしくお願いします。
小泉:のちほど政策面の課題も少しうかがいたいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
小泉:それでは伊佐山さんのほうから、自己紹介かねがねコロナの状況……。今、シリコンバレーにいらっしゃると思いますので。そういったところも含めて、教えていただければと思います。
伊佐山元氏(以下、伊佐山):はい。よろしくお願いします。WiLの創業者、CEOの伊佐山と申します。今、小泉さんの紹介にありましたように、今日はシリコンバレーから参加です。私はもともとは日本興業銀行という日本の銀行にいましたが、20年前の留学をきっかけにシリコンバレーに渡りまして、ちょうど今、20年弱の時間ここで過ごしております。
主にベンチャー企業の支援とか、ベンチャーを盛り上げるための生態系をどうすればいいかという制度なんかの勉強をしているんですけれども。今はWiLの活動を通じて、日本の大企業とシリコンバレー含め世界中のベンチャー企業がこのアメリカ・西海岸に集まるということで、その橋渡しをして日本企業にイノベーションを触発する・発生させるといった橋渡しの研究所を、今は経営しております。
まさにこのシリコンバレーは、今コロナの真っ只中で。ある意味、私から見ると日本は羨ましいなというぐらいですね……。
小泉:(笑)。
伊佐山:人が密集できますし、人との会議もできるし、移動も自由と、羨ましい限りなんですけれども。
資料一枚目をめくっていただきますと、今、何が起きたかということですが。今の牧原先生の資料とも重なるんですが、まずはこの社会距離ですね。リモート前提社会というのが、ある意味パラダイムシフトですね。完全に世界が変わってしまって、これはもう戻らないだろうと言われています。
アメリカでは最近それを「work2.0」という言葉を使っている人もいるんですけれども、やはり社会距離を前提とした個人のライフスタイル、もしくは企業のワークスタイルが今後の世界では一般的になるであろうという考えです。そのためには、デジタルの技術が社会全般に広がることが不可欠ですが、その時に気を付けなくてはならないのは、デジタル化に対応できる人とできない人の格差が広がる危険性があるということです。今米国ではデジタル化の差が貧富の差と連動しているので、政府としてデジタル弱者を守りつつ、社会全体をデジタル化することを勧めなければならないということです。
これを推進するためには、まさに日本でも同じなんですけれども、やはり行政側が紙と印鑑の文化があると、なかなか民間がデジタル化しにくいと。結局、民間がデジタルにしても役所に行くと「紙にしてください」「印鑑を押してください」と言われたら、民間もデジタルにする意味がなくなってしまいます。
これは社会全体として、ポリシーメーカーと民間が一緒に鋭意デジタル化を推進しなきゃいけない。
今度は大企業だけでもなく、スタートアップだけでもなく両方がうまくいくような仕組みというのが、ますますイノベーションもしくはスタートアップ業界にとって大事な仕組みじゃないかなと思っております。今日の議論を楽しみにしております。よろしくお願いします。
小泉:はい。よろしくお願いします。
伊佐山:すみません。もう1枚ありました。
小泉:これ、おもしろい資料ですね。
伊佐山:そうですね。よくコロナで大変だ大変だという話、そういう悪い話ばっかり。特にアメリカ。実はシリコンバレー・カリフォルニア州は3月時点では、1日2000人ぐらいしか感染していなかったんですけれども、今は8000人まで増えてるんですね。
実は当時よりも増えちゃっていると。だけれども、世の中はもう経済を解放しないとまずいんじゃないかということで、なんとなくみんな安心しきってしまっているわけですけれども、アメリカ全体で見ると、今は3月よりもひどい状況になっているわけですね。
大変だと騒いでいくのもいいんですけれども、やはりベンチャー関係者としては、歴史を振り返ると危機をきっかけとして非常に強いスタートアップが生まれているという歴史に注目したいと思います。
ドットコムバブルの時であれば、ある意味SalesforceとかGoogleのようなバブル末期の企業が、今は世界の覇権を握っているわけですし。
前回の金融危機のときはやはり金融に対しての、いわゆる伝統的な金融に対するアンチテーゼがFintechブームを生んだり。もしくはそのときに非常に地球環境問題というのが話題になったので、それに対してシェアリングエコノミーというUberであるとかAirbnbみたいな事業が生まれたわけです。
そういった意味で、危機というのはやはり今の社会の抱える課題を顕在化させる、ある意味きっかけにはなっているんですね。
なので、今回はあきらかに日米ともにヘルスケアシステムですね。病院に行ってお医者さんに診断を受けて、それで今度は薬局に行って薬をもらう。このやり方はおかしいよねということで、ヘルスケアをデジタル化して、もっと家で健康管理をして薬を取れるような仕組みを作らないといけないよねということは、例えばベンチャーの1つの課題としてはおもしろいテーマだと思っていますし。まさに今日のテーマのデジタルトランスフォーメーション、いろんなものをデジタル化しましょうというのを、おそらく今回のコロナをきっかけに、スタートアップが活躍することが期待される領域だと思っております。
小泉:ありがとうございます。ちょっと、のちほどここも少しおうかがいしたいなと思っております。
小泉:それでは最後、お待たせしました。米良さんのほうからREADYFORをはじめ、かなりいろいろなソーシャルセクターであるとか、いろんな人たちの資金調達のサポートをしているというのがあると思いますので、READYFORの取り組みをはじめ、教えていただければと思っています。
米良はるか氏(以下、米良):こんにちは。READYFORの米良と申します。READYFORは、コロナに関連していろんな取り組みをしてきました。最初にやらせていただいたのが“中止イベント支援プログラム“というもので、2月の末に立ち上げました。
もともと、2月の最初ぐらいからダイヤモンド・プリンセスで感染が起こって。「日本でこれからどれくらい感染が増えていくんだろうね」といったところの様子を見ているというのが、2月だったと思うんですけれども。
私たちもテクノロジーのスタートアップなので、いつからフルリモートでやるかみたいなところは2月の半ばぐらいから本格検討していたんですけれども。その中でも一番顕著に、政府から発表されたある種の象徴的な出来事が、この前の「大規模イベントの自粛」だったのかなと思っています。
これによって、人々が行動を制限されるようになってきたといったところがあって。これは我々の会社自体もそうですけれども、かなり多くの産業がこれから大きく変わっていくんじゃないかということを、すごく感じる出来事でした。
私たちは、クラウドファンディングで資金が必要ないろいろな方々にサポートをしているという立場がありますので、ここで政府の要請によりイベントを中止・延期せざるを得ない主催者のみなさんに対して、サービス手数料を無料にしてプラットフォームを利用いただけるようにしました。
これが本当に多くのみなさまに報道等で盛り上げていただいて、今、本当に困っている人たちがいて、それに対してスピード感を持って助けていくことがすごく必要になるんだろうなと、自分たちがやってみて体験をしました。
そこからは会社も一丸となって、コロナで大変な産業に対して何ができるかということをともかく早く立ち上げようと思って、取り組みをしてきました。
あとは飲食店とかのサポートをさせていただいて、これは日本商工会議所さんなどと取り組みをさせていただいて。全国の商工会議所さんと、その地域にある飲食店さんをサポートしていくような取り組みで。
一番大きいものでは1億弱ぐらいですね。1つの地域でお金が集まってサポートさせていただくというようなことを、やらせていただいております。
あとは医療従事者のみなさんだったりとか、フロントワーカーのみなさんというのも、これも感染が拡大していく中で非常に大変になっていくだろうと。
ともかく今の現場で頑張っていただいている方々に対して、資金の心配をせず、活動してほしいという思いがあリREADYFOR自体も「新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金」を立ち上げました。
そこにコロナの専門家の先生方だったりとか、公益財団と一緒にタッグを組んで基金を立ち上げて。助成をスピード感を持ってやっていくということをやりました。
ちょうど今日の11時に、この基金がクラウドファンディング上ではお金集めは終わるんですけれども、すでに7億円ぐらいのお金を集めまして。これまでクラウドファンディングでの日本国内の最高金額は3億円ぐらいだったんですけれども、倍ぐらいですね。みなさまにご協力をいただいて、大きなお金を流すということができました。
これも本当にスピード感が大事だということで、第1回の助成は約2週間で助成金を各団体にお届けするということをしました。
プラスして、今日はメルカリさんに呼んでいただいていますけれども。活動はいくつかやらせていただいてまして。メルカリさんをはじめとして企業さんたち、大企業さんのみなさんも、コロナ関連に対して何かサポートしたいという気持ちがあるけれど、どういった団体に寄付すべきかわからないという声をいただいています。
そこで寄付先の選定や審査会の実施などをお手伝いさせていただいたり、あとは鹿島アントラーズさんたちスポーツの業界のクラウドファンディングのサポートをしています。
小泉:ありがとうございます。
米良:こんな感じで、本当に日本全国大変な状況で活動されていらっしゃるみなさまをどうにか応援して、少しでも安心感を持って活動を続けていただくということが、とても大事だなと思っています。
行政ほどの大きなインパクトといったところは難しいかもしれないんですけれど、やはりスタートアップとしても、あとは民間の力としても、とにかくスピード感を持って、必要なところにお金を届けるということを、しっかりとやらせていただきたいなということで今は取り組みをさせていただいております。
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