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わたしたち、どう生きればいいですか?~短命写真家と青年失業家が答える、公開人生相談~(全6記事)

早稲田大学講堂で大学生が悩みを告白 短命写真家と青年失業家が答える、公開人生相談

2019年11月19日、早稲田大学小野記念講堂にて、「わたしたち、どう生きればいいですか?~短命写真家と青年失業家が答える、公開人生相談~」が開催されました。写真家の幡野広志氏と青年失業家/Webライターの田中泰延氏が登壇し、20代の学生たちの人生相談に答えます。幡野氏は30代の若さでがんと向き合い、写真のみならず、SNSやWebサイトでの言葉が多くの人々の心を動かしています。また、著書『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』も話題を集めています。田中氏は電通のコピーライター・CMプランナーとして24年間勤めたのち、映画評論やインタビューなどで人気を博し、初の著書『読みたいことを、書けばいい。』がベストセラーに。さまざまな人生経験を重ねてきた二人が、学生たちの悩みに真摯に耳を傾け、本音で答えます。

短命写真家と青年失業家の人生相談

田中泰延氏(以下、田中):ゴン!(一礼してマイクに額をぶつける)あ、すみません。みなさん、こんばんは。

(会場笑)

幡野広志氏(以下、幡野):あ、僕、見てませんでした。ごめんなさい(笑)。

田中:あ、大丈夫です。ゴン!(もう一度マイクに額をぶつける)

(会場笑)

どうもこんばんは~。どうもどうも。今日はこういうテーマ(「わたしたち、どう生きればいいですか? ~短命写真家と青年失業家が答える、公開人生相談~」)をいただきまして、実際に学生さんから悩みを聞こうかと。僕らも20代のころとかありましたからね?

幡野:ありました。

田中:ありました、かつては。ということで、本日はみなさま、足元のお悪い中お越しくださいましてありがとうございます。

田中:(会場に向かって)雨降ってた? 降ってない? じゃあこれ違います、はい。

(会場笑)

本日は年末のお忙しい折、お越しくださいまして……もう僕、これで1年終わりでいいです。

(会場笑)

先ほどもちょっと仮のテーマがありましたけど、今日の本当のテーマをちょっとお話しさせていただきたいと思います。今日のテーマは! 「いますぐ始める仮想通貨」。

(会場笑)

仮想通貨っていったい何のこと? クレジットカードも便利だけど、仮想通貨との違いは? 友人が100万円儲かったって言うけど……こういうテーマをですね……。

え~。すみません。別の講義と間違えました。すみません。これについて聞きたい人は、終わったあと、僕に多少のお金を預けていただければなんとかします。

(会場笑)

大隈重信公のTwitterは"学校法人早稲田大学と何ら関係はないんである"

田中:やってきました! 幡野さん、来ましたね。早稲田大学へ! WASEDA Universityへと。私の母校でして。

今、外にある銅像の写真をスライドに映してどうしようっていうんでしょうかね。はい、呼んでいただいてありがとうございます。大隈重信公。じゃーん。

大隈重信さんね、Twitterをやってます。

(会場笑)

幡野:フォロワーが1万人いるんですね。

田中:すごい。さすが大隈さんですよ。「学校法人早稲田大学となんら関係はないんである」。あ、これ誰かが勝手に作ったアカウントですね。

幡野:大隈さんは誰フォローしてるんですかね。

田中:すごい。1万人ですよ。フォローしてる人、います? 

(会場挙手)

あ、手が上がった。すごい。あと、こちら、小野梓先生を記念すべき建物(編集部注:親友の大隈重信を助けた、東京専門学校(現在の早稲田大学)創立の事実上の中心者。早稲田大学建学の母とも言われている。男性)ということで。小野先生も……Twitterやってます!

(会場笑)

幡野:フォロワー少ない! 22人だって(笑)。

田中:みなさん、せっかくこの会場へ来たんだから、もっと小野先生をフォローしてください。

はじめまして。私が今日ファシリテーターを務めさせていただく田中です。「2人で相談に答えます」と言ってますけれども、僕は幡野さんに相談したいくらいなので。一生懸命考えはするんですが、あんまり答えられないところもあるんですけれども。はい、よろしくお願いします。

幡野:お願いします。

トラック運転手をしながら早稲田二文を卒業。コピーライターを経て青年失業家へ

田中:僕がさっきから、これくらい「田中泰延です、田中泰延です」って言っても、帰るときに「僕の名前覚えました?」と聞いたら、9割くらいの人が覚えていません。だからメモを取ってください。田中泰延です。

ね、英語で。Hironobu Tanaka。これ、よく見てください。黒板みたいな画面に書いてますよね。この文字、Hironobu Tanaka。黒板文字風ですよ。チョークで書いたようなこの文字ね。

……まあ書きたかっただけですよ。よろしくお願いします。あと、トークイベントは撮影オッケーです。私はフリー素材です。

(会場笑)

幡野さんについてはちょっと相談してください。私はフリー素材。ただし、白目はやめてください。人間はまばたきしますのでね。

田中泰延(たなかひろのぶ)ね。まだ覚えないでしょ? なかなか覚えられるもんじゃないですよ。

簡単に自己紹介をしておきます。私は1969年大阪に生まれました。もう知らない人も多いと思うんですが、当時は早稲田大学に第二文学部ってあったんですよ。校舎は戸山にありました。授業は夕方16時20分からで、僕は昼間はトラックの運転手をしてました。

そのあと株式会社電通に入りまして、24年間コピーライターをやってたんですが、3年ほど前に退職しまして。現在、「青年失業家」と名乗っております。「実業家」じゃないですよ。

「糸井重里氏」>「田中泰延」

田中:先ほどダイヤモンド社さんから紹介がありました『読みたいことを、書けばいい。』という本を上梓しまして。これはダイヤモンド社さんが作ってくれた広告です。見てください。糸井重里さんの名前が僕の名前の10倍くらい大きいですね。これもう、ほとんどの人は絶対、糸井さんの本だと思いますよ!

(会場笑)

Twitterとか見ると、最後まで読んだ人が「糸井重里さんの本おもしろかった」って。なんでそんなことになるんや! 僕、さすがに「これでは誤解を受ける」ということで、ダイヤモンド社さんに次に作ってもらった広告がこちら。

いやいや、まだ5倍くらい大きさ違うから(笑)。まだだいぶ違うから。今もTwitterでは「糸井重里さんの本おもしろかった」「糸井重里さんの本を読了した」というツイートが生まれ続けております。ありがとうございます。優良誤認ですね、これね。

このPOP。ダイヤモンド社の編集者の今野良介さんが、地下鉄の駅で僕を撮ったんですよ。腕組みしてくださいってね。この写真が書店のPOPにね。なんか見覚えあるなぁと思ってたら、これですよ。ラーメン屋の写真。豚骨大戦争ですよ。

あと東京ラーメンストリート。この真ん中の人、どう思います? 前見えてると思います?

幡野:あはは(笑)。

田中:この写真、どういうつもりで……しかもこれ、地下鉄の駅ですよ。はい、よろしくです! よろしく哀愁。わかる人います? これ、「よろしく哀愁」ですよ。

よろしくメカドック! よろしくメカドックわかる人います? これが『よろしくメカドック』ですよ。

幡野:ぜんぜんわかんないです。

田中:あ、そうですか!? 幡野さんと僕ね、15年離れてるからね。

夜露死苦。これはわかるね。会場のみなさん、すごいうなずいてる、ありがとう。これは横浜銀蠅ですけど、横浜の港にスプレー缶で「横浜銀縄(よこはまぎんなわ)」って書いてるやつ見ました。それはね、取り返しのつかない恥ですね。

仏恥義理(ぶっちぎり)! もう銀蝿と言えば『仏恥義理』ですよ。ということで、夜露死苦。よろしくお願いします。ここは拍手をバーっと。

(会場拍手)

講演で話すときのコツは、あごにマイクを付ける

田中:ありがとうございます。そう、1個だけ忘れてました。マイクの話をしないといけないんですよ。今日はこれだけでも覚えて帰ってください。今、僕のあごにマイクが付いてるでしょ? わかります? これが、骨伝導。これですよ。

(会場笑)

音というのは普通、鼓膜を通じて蝸牛(かぎゅう)に振動が伝わって聞こえるものですが。マイクも鼓膜と同じで振動板が付いてますから、あごを直接付けることによって直接音を拾うんですね。これが骨伝導。通常と骨伝導の違い。

どれくらい違うかわかります? これはマイクをあごに付けてるでしょ? でも、ちょっとでも……離…………………と、聞こえないんですよ。

(会場笑)

いや、本当に。もうね、ぜんぜん……声の伝……………違うんですよ。テレビとか注意深く見ててください。だいたい出演者、マイクがあごに付いてますよね。あと、この人も付いてますね。

(会場笑)

幡野:これもあごなんですね(笑)。

田中:これは微妙なんですよ(笑)。中の人はいないんで。まあこんなところで、僕はこれだけしゃべったら、だいたい終わりですからね。あとは幡野さんのコーナーになりますからね。

幡野広志さん。ご自身で自己紹介をお願いできたらと思うんですけれども。

写真家・元狩猟家・作家として活躍する幡野広志さん

幡野:僕は写真家ですね。最近は文章を書くこともすごく増えましたけど、本業は写真家です。

田中:短いな!(笑)。

幡野:自分の経歴を話すのって、難しいですよね。

田中:難しいですよ。だから僕、骨伝導の話しかできないんですよ。幡野さんはポプラ社から『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』という本と、それからこちら、『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』という本と、そして写真集。写真集の名前が『写真集』ですね?

幡野:そうです。写真集の名前が『写真集』。

田中:僕は個展にも何度かお伺いして。

幡野:ありがとうございます。

田中:この海上遺跡のシリーズとか、すばらしい写真が。オリジナルプリント。みんなびっくりしますよ。

幡野:わりとまじめな写真家です。

田中:『写真集』は、この海上遺跡と、それから狩猟家としての幡野さん。それからご家族の話をそれぞれ写真で綴られている3部構成になっています。僕も写真家としての幡野さんからなにか盗めないかと思って、後ろについて歩いています。

幡野:そうなんですか(笑)。

前説しましたので、そろそろ帰らせていただきます

田中:そんな2人と仲間たちで去年の12月にネパールに行ってきまして。ほぼ日さんで、『ネパールでぼくらは。』という半年に渡る連載をやりました。1年前に旅行に行ったのに、連載が終わったのが……。

幡野:最近ですね。

田中:最近(笑)。先々週くらいっていうね。長かったです。幡野さんがネパールでもいろんな写真を撮られて。これ、大変だったんですよ。

幡野:(滞在していたのは)1週間でしたけど、大変でしたね。

田中:長く感じましたね。

幡野:感じましたねぇ。

田中:みなさん、幡野さんのお身体のことをご存知だと思いますけど、ネパール、けっこうきつかったんですよ。帰ってきたら寝込んで入院されて。僕ら一緒に行った仲間はめっちゃ気まずいな、っていうね。

幡野:そうですね。危なかったです。あのとき死んでたらちょっと気まずいですね(笑)。

田中:それは気まずい(笑)。1週間とはいえ、けっこう過酷だったんですよ。

幡野:また行きたいですよね。

田中:また行きたい! 本当に。僕は幡野さんが写真やビデオを撮られている横で何をしてたかと言うと、幡野さんを撮っていました。幡野さんが撮影してるところを、僕がずっと撮っていたということになります。

そんな僕たち2人が今日はみなさんのご質問に答えようということで、ものすごく前説しましたけど、僕の仕事はだいたいこれで終わりです。

幡野:すごいですねぇ。

田中:いや~もう今日はね、そろそろ帰らせていただきます。

幡野:早いですね(笑)。

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