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山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:菅義偉 官房長官(全3記事)

訪日客の消費額は4兆円強 観光収入と訪日外国人が急増した政策的背景

自民党のトーク番組「CafeSta」内のコーナー、「山本一太の直滑降ストリーム」。本パートではゲストに内閣官房長官の菅義偉氏を迎えて、日本の観光政策や沖縄問題について話し合いました。

河野外務大臣の総裁選挙のエピソード

山本一太氏(以下、山本):河野外務大臣の話が出たんですが、外務大臣として水を得た魚みたいにやってるんで。河野太郎外務大臣も長官のことを慕ってるんですが、どう見てますか? 河野外務大臣は総裁候補になってきますか?

菅義偉氏(以下、菅):(笑)。実は私、当選同期なんです。

山本:あ、外務大臣と同期なんですか。

:当選同期なんです。ですから、ずっと彼を見てまして、前に一緒に河野太郎総裁候補の推薦人になったんじゃないですか。

山本:そうなんです。実際、野党時代に太郎が私のところにきて、「一太さん、話がある。総裁選挙に出たい」とか言って、それで今、経済産業省大臣の世耕さんと河野太郎ちゃんを不遜にも私が週末に呼んで、それで、そこからみんなで推薦人を集めようと(したんです)。そしたら「ばかやろう」とかあちこちで言われて。

河野太郎を大好きな人と大嫌いな人しかいなくて、なんで集まったかっていうと、兄貴(官房長官)が応援してくれたからなんです。

:いやいや、でも私が。

山本:あの総裁選は、どういうふうになりました?

:最初から負けるやつを応援するのは大変です(笑)。

山本:こういうところに男気があるから、兄貴のところに行ったら「よし、応援しよう」とか言ってくれて、それで20人集まったんですよね。

:でも、よく集まりました。

山本:でも、(官房長官は)これはやはり河野太郎はそういう資質があると見て。

:私はそう思っています。まったくぶれないですよね。

山本:そうですよね。

:少し外れてるけど(笑)。

山本:ええ、そうですよね(笑)。でもまあ河野外務大臣、しっかりがんばってください。もうわれわれ大変な酷い目にあって、20人集めて。

:でも、(河野外務大臣は)今日も韓国に行ってまして、大統領と会談してますよね。

山本:ええ。

:非常に行動的です。そして、すぐ電話しますから。

山本:ええ、そうです。英語がまたできるんでね。

:そうらしいですね(笑)。

山本:これまたうまいんで。

:歌と一緒で下手くそなのかと思ったら(笑)。

ビザを緩和したら観光客がおもしろいように増えた

山本:歌はもうほとんど望みないんですけど。そこでちょっと外交の話も続けたいんですが、実はみなさんに知ってほしいんですけど、やっぱり危機管理の官房長官として、もはや稀代の名長官になっていると思うんですけど、実は観光戦略の兄貴なんです。

安倍内閣で今起こっている、訪日外国人の増加。これは実は官房長官が大きく貢献しているということで、観光収入を見てみたら、5年前は1.4兆円ですからね。昨年4.4兆円。観光客数800万人だったのが、もう2,900万人ということで。

:そうですね。

山本:官房長官が相当リーダーシップを取って、免税の品目を広げて、これはすごく効きましたよね。

:まあ、そうだと思いますけど、まず日本は当時約830万しか訪日観光客がいなかったんです。その原因はもう明確でして、やはりビザを制限した(ことでした)。

山本:そう。ビザの緩和もやったんですよね。

:外国人を日本に入れない政策だったんです。私どもの考え方は、少なくとも隣の韓国とか、隣近所の国と同じような政策を行うべきだというものだったんです。

山本:なるほど。

:やはり会合すると法務省と警察庁と治安当局の大反対がある。しかし、他の国々もやってるわけですから、それと同じようにしようと。これは総理が最初の施政方針演説で「観光先進国をめざす」って、国民のみなさんに約束したんです。それを受けて、総理の指示でやれという話で、それで当時の法務大臣が谷口さんで、国家公安委員長が古屋さんでした。

山本:ああ。

:お二人に最初に政府方針を提供して、ご理解をいただいているんで。国交大臣が観光庁を所管してますよね。それで外務大臣、その5人で、10分かからないで決めました。

山本:ああ。

:(ビザの)緩和。

山本:官房長官から「ビザを緩和したいんだけど、どうかな」って、それでもうオッケー?

:容認しました。翌月から(ビザを)緩和したら、(観光客が)おもしろいように増えました。

免税品目を増やしたことで観光収入が急増

山本:そうですね。みなさんは、ご存知かわかんないですけど、観光立国を目指す歩みの中で、官房長官の貢献はすごく大きいと思うので。

:貢献というよりも、やはり日本はそれだけ魅力のある国なんです。それは私、この観光政策を行うにあたって、アトキンソンといって。

山本:デービッド・アトキンソン。ここにも2回くらいでてもらいました。

:ああ、そうですか。私は彼の本を読んで、自信をつけたんですよね。日本は世界で1番か2番くらい、観光に適している国だと。

山本:なるほど。アトキンソンが。

:はい。そう言ってくれているし。

山本:デービッド・アトキンソンはもう、官房長官にけっこうシンパシーを持って。

:いや、私はそんな。

山本:すごく尊敬しているふうですけど。

:彼のアドバイスで(観光)政策を行っているんですけど、そういう意味でビザ緩和をして。免税品も、日本に免税店売場って看板がないのは、私はおかしいと思っていて、当時、私のところにきている財務省の秘書官になんでだって調べさせたんです。

山本:はい。

:最終的に、免税品が少なかったんです。

山本:品目がね。

:当時は電気製品などが主で、今一番売れているものは、ほとんど免税対象じゃなかったんです。薬だとか化粧品だとか。ですから、そういう意味で、そうしたことを一挙に改造したら。

山本:そうですよね。

:今、先ほど言いましたけど。

山本:観光収入ね。

:一挙に4兆。

山本:そうですよね。今日ちょっと申し訳なかったですけど、最初に森友とかの話を聞かなきゃいけなかったんで、いい話もちゃんとしようと思って。官房長官がすごく力を入れて、相当のリーダーシップで免税品の種類を増やしたこと。

これ実はすごく評判が良くて、少し前の『日経ビジネス』かなにかに出てたんですけど、欧米の財務省かなにかが書いてたのか、(日本の)免税のシステムはすばらしいと。韓国とか欧米は、例えば免税品を買ったとしても、一応書類をもらって、それから並ばなきゃいけないですよね?

:はい。

山本:実は日本の場合はそれがないんで、これはすばらしいって書いてあって、もっと宣伝するべきだということでした。免税品の種類を広げたのは、実はすごい大きな貢献ですよね。

:私の財務省の秘書官がこのアイディアでやったんです。

山本:なるほど。

:それはもう大きかったと思っています。

美術館の開館時間や特別観覧への取り組み

山本:アトキンソン氏が一生懸命、観光戦略をやっていて、私も本を読んだんですけど、地域にある寺社仏閣とか、「いい文化財についてなかなか説明がないんですよ」と言ってたんですけど。

なんだかやっぱり観光地は一生懸命やっているんだけど、私の感覚で言うと文化庁がのろのろしている感じがして、官房長官に言いつけたら悪いんだけど、ちょっと文化庁のお尻を叩いていただけるとありがたいです。

:いや、文化庁も変わったと思います。

山本:変わりましたか?

:ええ。

山本:いろんなことがけっこう遅いんです。申し訳ないです、文化庁の人。

:文化庁長官に宮田(亮平)さんという、芸大の教授を迎え入れまして、今ものすごく積極的にやっていただいてます。

山本:そうですか。国語の問題とかもそうだし、寺社仏閣とかいろんなところにちゃんと英語の解説をちゃんとつけるべきだというアトキンソン氏のアドバイスがあるならば、もっと早くやってほしいなって。

:変わってきていると思います。例えば美術館なんかあるじゃないですか。

山本:はい。

:最初、10時(開館)、5時(閉館)なんです。10時5時。働いている人は見れないじゃないですか。

山本:そうですね。

:今、金曜日と土曜日は9時(閉館)になっています。だんだんそういうふうに変わってまして。あるいは、夜に閉館をした後に、人数を絞って特別観覧みたいなことをやってるんです。

山本:なるほど。

:(特別観覧で)しっかり説明をして。例えば2,000円くらいの入場券を、3倍の6,000円くらいにしてやっても、いっぱいなんですって。

山本:なるほど。

:そういうことを文化庁もやってくれるようになりました。大きく変わったと思います。

山本:わかりました。それは非常に心強い話なんですけれど、文化庁、もっとちゃんとやってね。長官もこう言ってるんだけど、ちゃんとやってください。

沖縄問題への見解

山本:ということで長官、もう2つだけ。1つは沖縄の問題。これは自民党のカフェスタなんでいいと思うんですが、沖縄もずいぶん雰囲気も変わってきて。

:変わってきたと思います。

山本:選挙で一応勝ち続けているというのが、これはある意味でいうと世論も変わってきたってことなんですけど。「オール沖縄」とか言って、あれは長官「おかしい」と言ってたんですけど、だんだんこう、この間のやっぱり宜野湾から始まって、やはりなんと言っても、あそこで勝った。

:名護。

山本:名護で勝った。あれは大きかったと思うんですけど。

:大きかったと思います。

山本:どんなふうにご覧になってますか?

:(私は)基地負担軽減担当大臣なんですけども、やはり沖縄の観光によって大きく経済が変わったと思うんです。当時、私どもが政権を取る前は、有効求人倍率は0.43(パーセント)だったんです。今は1.2(パーセント)くらいありますから。

山本:日本で一番元気ですよね。

:ええ。沖縄の魅力があるんで、ハワイより多くなったんですから。

山本:ハワイより多いんですか?

:ええ、観光客が。ですから、国内はもちろんですけども、沖縄の魅力がアジアやヨーロッパへどんどん広がって、これから(観光客が)どんどん増えると思います。ですからそういう政策に理解をしてもらって、やはり世論が変わってきたのかな、と思います。

山本:なるほど。官房長官、基地の問題も率直にお聞きしたいんですが。

:はい。

山本:これは官房長官が相当、基地負担軽減と言い続けてきて、ずいぶんアメリカの飛行機も移駐させたりとか、あるいはその北部訓練所の返還を実現したり、いろんなことをやってるんですけど。

なんとなく今、現場とアメリカ軍と、仲が悪いわけじゃないけど、ちょっとコミュニケーションが下がっているような気がしたり。

アメリカ軍もオスプレイを飛ばしているのがなんかなんだけど、「あそこ(でオスプレイを)見た」って言ったら、「飛んでない」って言ったりとか。遠くから見たから、そう見えたのかわかんないですけど、ここら辺の対応って、すごく事故も多い。これはちょっと心配なんですけど、これはなんなんでしょうか?

:事故は多かったですよね。

山本:多いですよね。

沖縄の基地負担を軽減していく

:それは情勢的に、安全保障上、緊迫していろんな訓練をやっていたからというのもあるんでしょうけれども、事故ってあってはならないことですよね。例えば小学校の上は飛行しないようにするとか、そういう決まりごとをしっかり守ってほしいと思いますし、政府としてもなにかあったら、すぐ強く申し入れをするという形です。

沖縄は今、約2万8千人の米軍がいるんですけど、いわゆる辺野古が完成しますと、約9千人が国外に、グアムを始め、移転することになっていますから、そういうことによって3分の1はいなくなりますよね。やっぱりその分だけ沖縄の基地負担もなくなりますから。

山本:なるほど。

:今、辺野古もようやく工事も始まってますし、そうしたものをしっかりと広めていきたいと思っています。

山本:ありがとうございました。沖縄の雰囲気は長官がおっしゃったように変わり続けているんですけども、だんだん辺野古の問題も前に進んでいくと思うし、この間の地裁の判決なんかもあったんですが、それと同時に長官がずっと言っていた負担軽減をきちんとやっていかないといけない。これもぜひお願いしたいです。

(私が)沖縄担当大臣の時に、岸田外務大臣と小野寺大臣と長官と私と、4人でよくいろんな話をさせていただいて。本当は外務大臣と防衛大臣と官房長官だけでもいいんだけど、兄貴が沖縄担当大臣も来いとか言ってくれて、毎回入れてくれて。

:一番大事だった(笑)。

山本:ありがとうございます。

:知事と何回も食事したんだもの、すごかったですよね。

山本:すごかったですよ。トイレであった分も含めれば33回くらいありますから。

(一同笑)

山本:トイレで2回くらい会ったのも含めると、私より会った人はいないと思います。

:そうですね。

山本:残念でした。中山知事に本当にいろいろ一生懸命やっていただいて。

:信頼があって、良かったです。

内閣人事局ができた背景

山本:沖縄での長官の信頼も絶大ですけど、最後にちょっと官房長官にぜひお聞きしたいと思ったんですけど、今、官僚組織とか行政の問題をいろいろ言われてるんですよね。

メディアのいろんな報道なども見ていると、人事局ができて、「政治があまりも官僚の人事に影響力を持ちすぎたのが悪いんじゃないか」と言ってるんですけど、私は個人的に人事局は絶対に必要だと思っているし、もともと政治主導にするために、われわれは橋本政権の時からずっと戦ってきたわけですよね。

:そうです。

山本:そこを長官がどう思われているか知りたいのと、政権交代した時に私の友人たちはみんな本当に喜んで。申し訳ないですけど、民主党政権時代の成果は、もうめちゃくちゃだったんで。

それがある程度、みんなやる気ややりがいを持ってやってくれたのにも関わらず、こんな問題も出てきているということで。長官がそれをどう思われているのか、例えば政治と官僚、政治と官の関係(について聞かせてください)。

また新しい文化を作るとか、官僚もしっかりと自分を貫けるような文化を作るとか、そんな必要性を言う人もいるんですけど、官房長官はそこら辺は。

:日本は議院内閣制ですよね。かつては政権が変わっても政策は変わらない。それだけ官僚が強い時がありました。特に事務次官会合で承諾をされなければ、閣議にかからないとか、そういうことがありました。

そういう歴史の中で国益よりも省益を優先するとか。しかし、そういう中で内閣人事局ができた経緯がありますよね。アメリカですと大統領制ですから、大統領が替わっちゃうと上級の局長が全部替わっちゃいますよね。

それと違って日本は安定性はあるけれども、なかなか替えきれなかった。そこで人事局ができたわけです。人事局ができて、私はいろんなことができていると思います。例えば、人事局で女性登用の方針で、何パーセントプラスと。それに向かって、当時16人だった管理職が、今は30何人。

山本:相当、各省で女性抜擢されましたよね。

:ええ。あるいはその採用された職種によってしか、その長官となれなかった。

山本:なるほど。

:それも全部取り外して、能力ある人間は、例えば海上保安庁長官は初めて叩き上げがなりました。

山本:ああ、そうですね。そう言われてみれば。

:それと今年ですと、農水省の水産庁長官。水産技官はたくさんいるんです。それはどうしても事務屋の長官。

山本:なるほど。

:これも初めて技官の人が長官になるとか。

山本:なるほど。

:ノンキャリアの人が要職に就くとか、そういうのが大きくできて、そういう意味でやりがいはできてきているというふうに思ってます。

山本:はい。

官僚の人事を決めるのは大臣

:それと、これは人事局ですべて決めるわけではなくて、基本は大臣なんです。大臣の推薦がなきゃできないわけですから。大臣が日常、一番良く自分の役所の官僚をわかっていますから、そこからスタートします。今、人事局のと言われてますけど、私は戻すべきじゃないと思います。

山本:なるほど。本当に官房長官のおっしゃるとおりだと思いますし、とにかくこういう問題がいろいろ噴出しているので、そこを含めてしっかり対応していただきたいと思いますけど、やっぱり人事局はちゃんと続けていただかないといけないと思うので、そこはあらためてお願いしておきたいと思います。

長官、本当にお忙しいところ来ていただいて、あっという間に時間が来たんですけど。

:終わっちゃったの?

山本:はい、そうなんですよ。

(会場笑)

山本:みなさん、長官は普通、マスコミにこんなにしゃべんないからね。私といるから、こんなずっとしゃべってくれるんで。普通、だいたい他の人たちがメディアを見てて、長官がこんなにしゃべるところを見たことがないとか、長官がこんなに笑うところ見たことないって。こうやって会うと、だいたいいつも笑ってるんですよ。

最後に申し上げたいと思うんですけども、官房長官は危機管理の達人なんです。私が生まれ育ったふるさとの草津白根山が噴火したあとに、風評被害とか大変だから、官房長官にいつもの通りメールを打ったら、すぐ(返信が)返ってきた。よくわかってます。もう万全を期してやります、っていう。感動しました。町長にすぐ報告して、みんな感激してました。

:しっかりとできるように、監視カメラもつけましたし、地震計もつけましたから。

山本:いろんなところで自然災害があったりした時に、官房長官が本当に親身に危機管理をしていただいているのはわかったんで。兄貴はこういう人ですから。そのことだけは最後に私の方から申し上げて。

:ありがとうございます。

山本:感謝も申し上げたいと思います。本当にもう分刻みのスケジュールなんで、ぎりぎりまで30分いていただきまして。官房長官、ありがとうございました。またぜひお忙しいと思いますが、きていただければと思うんで。

:よろしく、どうぞ。ありがとうございました。

(会場拍手)

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