2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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小幡和輝氏(以下、小幡):僕の結論はかなり極端ですが、学校はコスパがいいと言う結論に至りました。
結局、学校の役割を自分たちで全部補おうとすると、家庭教師などの教育の別途費用がかかります。学校以外のコミュニティを持つためにも、いろいろなところに連れて行くなどもあったりします。また、母親は仕事を辞めて家にずっといなければならない場合もあります。けっこう子どもにかける負担や時間、お金がかかります。
しかし、学校へ行けば全部やってくれます。結局は「コスパがいい」。そのように僕なりに結論づけましたね。
ただ、現実問題として、その選択はなかなかできない。うちの母親は専業主婦でした。なので、基本的に母親も家にいました。必要な収入が父親だけで成り立っていたという状態もあったからこそできた選択かもしれないなと。
中川和彦氏(以下、中川):なるほど。
小幡:そもそも全員がそういうわけではないと思いますし、僕には適応指導教室がありましたが、自治体によってはないところもあります。
中川:その適応指導教室はお金はかからないの?
小幡:お金はかからないですね。
僕の場合は適応指導教室が家の近くにあったので、そこに行くという選択ができた。しかし、それはみんながみんなできる選択ではそもそもないと思っています。そして、そのお金の部分、コスパの部分というのがあるなと。
中川:なるほど、コスパはいいね。
小幡:コスパはいい。極論に近いですが、僕はかなりそう思っていますね。
今井紀明氏(以下、今井):小幡くんは不登校の経験が長いじゃないですか?
小幡:はい。
今井:自分がそれを経験して、でも、なぜそれを乗り越えられたのか。
小幡:えっとですね。もともとは不登校の経験があるということをあまり言ってなかったんです。遊戯王カードをやっているときや囲碁をやっているときなど、社会の中にある学校じゃない別の場所では、むしろ自分が学校へ行っていないということを隠していました。
例えば、学校の時間帯は外に出なかったり、できるだけ自分が不登校であるということを隠して生きていた時代が長かったんです。
それをむしろ出していこうと思ったことには、きっかけがあります。それは先ほど話した、高3のときに自分でイベントをやり出した頃でした。本当に、もうまさにビフォー・アフターで別人に変わったタイミングで、地域の中学校の校長先生が「小幡くんの体験談を生徒に講演をしてほしい」と。
今井:いいきっかけですよね。
小幡:基本的には隠していたのでちょっと悩んだんですよ。でも、せっかくいただいたので「じゃあやります」ということで。そして改めて自分の実体験をみんなに話したときに、中学生たちがすごく感動してくれたというか。帰りにアンケートをみんなにもらったんですが、みんなめっちゃいいことを書いてくれていたんです。
中には、「実は昔、私も不登校の経験があって」という子や、「友だちがずっとそうだった」という子もいた。「自分にはそうした経験はないけれども、小幡さんを見て自分もがんばろうと思った」とか。なんかすごくいろいろないいことを書いてくれていて、それがスゲー嬉しかったんですね。
自分の体験は、意外と隠すのではなくて、それを1つの個性として捉えて発信していくことに価値があるのではないかと。
中川:それはあれか、認められたということかな?
小幡:そうですね。
中川:それで、自分もなにか社会に役立つのではないかと思えた。
小幡:思えましたね。これはすごく大事だなと思っています。
小幡:僕、今回の本の中でいろいろな人と対談をしているんですよ。不登校の実体験を持っている人と対談をしているのですが、みんなに共通するのは、学校へ行っていなかった時間になにかしらやっているのですね。僕はゲームでした。中には音楽をやっていた人がいたり、プログラミングをやっていた人がいたり。みんな、そのあたりを認めてくれた人がきっかけだったりするんです。
僕もそうだったのですが、学校へ行っていない自分は、どちらかというとなんだろう、どうしても否定的というか、自己嫌悪的な状態でした。
中川:そう(意識を)植えつけられているからしょうがないよな。
小幡:でも、別の形でそのように評価をしてもらったときに、それがすごく嬉しかったです。それをきっかけにどんどん、がんばろうと。
今井:確かに、支えられる経験というのはめちゃくちゃ。
小幡:すごく大きいなぁと。
今井:すごくそこの部分は、不登校の子もそうだと思いますが、通信制・定時制の子たちと関わっていて、誰にも支えられた経験がない・誰にも認めてもらえた経験がないなと思います。10代のときに、それこそ親と揉めたり、いじめを受けたり、とにかく学校に行かなかった経験のある子たちが通信制・定時制に行ったりしているんです。だから、自己肯定感が極端に低かったりする。
だから、すごく支えられる経験が重要だなと思っています。小幡くんの場合は、その校長先生?
小幡:そうですね。地域の中学校の校長先生。
今井:なにか、そこの部分がちゃんと作れるような学校の環境であればいい。不登校の子が復帰してきてもいい。なにかそうした仕組みを作っていきたいなと思っています。大人に関わってもらったり、授業外で支えてくれたりする、出会いの場場を作ってみました。そして、それが最後の就労までと思っているんです。
今井:今日は「不登校はダメなこと?」というテーマです。そこですごく思うのが、やはりこういう仕組み自体をちゃんと作っていくことが僕は必要だと思っています。
やはり日本は「学校だけに任せる」がすごく強い。学校の先生にお願いするような。そこだけしかできない。そういうものが強すぎる風潮があります。しかし、それでは学校の先生も辛いし、生徒もなかなか難しいのではないかということを、小幡くんの経験の話を聞いていて思いました。
中川:先生は辛いと思うけどね、俺。
今井:先生が大変ですよね。
中川:かわいそうすぎる。だって大学を出たばかりで、社会経験もほとんどないのに。くわしく知らないけど、ややこしいことを言う親も多いのでしょ? クレーマーみたいな人が多いと聞きます。なんていうのあれ? モンスターペアレント? そこまで対応しろと言う方が無理だよね。
小幡:僕と同世代で、現場に行っている子も普通にいるんですが、いきなり30人くらいのクラスを持ってしまってですね。親も含めると100人弱くらいの関係者がバーっといるじゃないですか。普通の会社の新入社員で考えると、かなりすごいことですよね。
中川:絶対に無理だ。間違いない。
小幡:しかも、別にマニュアル化もできないじゃないですか。毎年ぜんぜん違うし、しかも相手が小学生、中学生であればいろいろな個性もある。これはしんどいなと。
中川:先ほど言ったように環境が激変しているからな。ネットができてからはぜんぜん変わっていると思う。
今井:学校の仕組み自体がけっこうシステム的にしんどいというのがありますしね。なかなか連絡をとりにくかったりします。あと、ネット上で対応することなども多かったりするわりに効率化もできていない。そういう意味では、なかなか先生は大変だなと思いますよね。
小幡:社会経験がないじゃないですか。今、子どもの夢だったらYouTuberが多いじゃないですか。例えば「YouTuberになりたいです」と将来の夢で相談したときに、先生はどう答えるねんというか。
中川:無理だ。いいよねと言っても、それ以上はなにも言えないよね。
今井:すごく難しいなと思うのは、最近の10代の子たちに共通体験があると思いますか? 例えば同じテレビを見て、同じ漫画を見て、同じアニメを見ているなどあると思いますか?
中川:チャンネル数が多いからな。だからYouTubeなども含めて。
小幡:あー、そうですね。
今井:難しいのが、共通で抱える体験が友だち同士でもないし、先生もそれを一緒に話せないというのがある。だから1人の大人がちゃんと見ることができる、一緒になって抱えることが意外と難しい。
僕もすごくYouTubeを見ていて、アニメも見ていて、自分ではいろいろな趣味を持っているんですが。なかなかその部分で先生方も苦労されているのではないかと思っていますね。
中川:それで先生がなにか言うと、「他の先生はそんなことを言っていない」と。うちで昔働いていた人が、今小学校の先生をやっているのだけど、すごく張り切って「こんなのがいいな」と思って提案すると、「他の先生がやっていないのにそんなことを言わないでください」みたいなものがあるようなんですね。結局は自分がいいと思ったことをまったくできない。なんか、それが不思議で。
「なんとか先生はこんなのやっているのに、なんでうちのクラスの先生はやらせてくれないんだ」という文句を言う人もいる。俺はそんなのは、「人生は運だからしょうがない」「たまたま担任がそれをやらせてくれる先生じゃなかったんだから仕方ないやん」と思うのだけど。それが気に食わないと思うんでしょ? 親は。
小幡:そうですね。平等な教育なわけで。
中川:しゃあないやんなぁと俺は思うけど。そんなことを言ったらまた怒られるし、というね。「そんなところまでどうすればいいの?」と言うと、全部を同じにしておかないとダメということになる。そもそもがおかしい。
小幡:社会と関わらせてあげようという先生も中にはいるんですよ。この前、なんとかそれ実現したんですが。
和歌山の中学校が、授業でクラウドファンディングをやったんですね。授業の一環として、みんなで文章を考えて、中学生がクラウドファンディングを立ち上げるという。お金の勉強をする授業を先生がなんとかがんばって立ち上げた。本当に教育委員会や校長先生とかも調整して、先生の名前で立ち上げると副業に引っかかるから別の会社に協力してもらったり。すごく大変だったみたいなのですが。
その先生はいろいろなところを調整して中学生のみんなにお金のことを学ばせようとした。そして、そうしたクラウドファンディングを立ち上げて、結局50万円くらいをみんなで集めたんです。そうした先生もいてめちゃくちゃいいなと思いました。
小幡:あと、いわゆるアルバイトはだめなんですね。高校は。
今井:ああ、まぁ基本。
小幡:高校生はアルバイト禁止なんですよ。
今井:原則禁止で、一部の家庭は許可的にもらえますよと。
中川:昔から?
小幡:どのタイミングからなんですかね?
中川:俺らはぜんぜん自由だったよ。本当にだってあれだもん、学校の公衆電話からアルバイト先に電話していたもん。先生から「お前、10円玉足りるか?」と言われていたもん。そんな感じだったからね、俺ら。
今井:たぶんでも、中堅高校以上はほとんど。
小幡:最初からですかね?
今井:認められていないというか。
中川:そうなんだ。
小幡:基本的にはダメですね。
今井:定時はもう普通にOK。
中川:それはなんで? そこで分けられるの?
今井:学業優先なので。だから、優秀な子で起業したい高校生とか苦労している子がいますよ、学校の先生からは認められないから。
中川:は~。
今井:定時は完全にOKですね、そういう意味では。そして、全日制高校でも一部だけは認められる。
小幡:基本、原則はダメ。
今井:原則はダメ。
中川:マジで?
小幡:これはでも、高卒で働くいう人もいるわけじゃないですか。1回もアルバイト経験もなく高卒でいきなり働くのは無理じゃないですか?
中川:いや、まあ見ておいた方がいいという気がするけどな。
小幡:でも、原則ダメと言うのが今の学校教育なんです。実はそれが定時制高校は基本的にOKなんですよね。実は定時制高校が最先端の教育になってくるのではないかと僕は思っています。
中川:なるほど。
小幡:車の免許もダメなんですよ。高校生は原則。
今井:まぁとってるけど、18歳……。
小幡:バレたら怒られる。卒業するまで免許を預かられるとか。
中川:マジで?
小幡:原則はそうなんです。
中川:俺らはみんなが取っていた。
小幡:僕の周りの友人はけっこう没収されたりしたのがちょこちょこいますね。
今井:へー、そうなんだ。
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