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トークセッション:西樹氏(全2記事)

「僕らが100年後に残せるものは?」 渋谷の“記録係”が挑む、次の世代へつなぐ壮大なプロジェクト

毎月第3木曜日に開催している「これからのシブヤ」を語り合うトークイベント「green drinks Shibuya」に、渋谷の街ネタを日々書き続けている「シブヤ経済新聞」編集長の西樹氏が登壇しました。これからの渋谷の経済活動はどうなっていくのか。どうなっていくことを願っているのか。日々、渋谷の街を見つめ続ける西氏が自らの考えを語りました。

「英語で道を尋ねられてもひるまない対応力養成講座」

西樹氏(以下、西):あとですね、僕らが直近でやっていることをちらっとお伝えすると、「英語で渋谷を変えるプロジェクト」というのをやっています。

これはなにかと言うと、外国人の知り合いが道を聞いても「日本人はみんな逃げちゃう」と言うんですね。渋谷だと逃げないんじゃないかと思ったけど、やっぱり逃げちゃう。この、逃げないようになるために、「英語で道を尋ねられてもひるまない対応力養成講座」というものをやりまして。

これ、今まで2回やって、ものすごい人が集まったんですね。そしてロールプレイングとかやったんです。受けてくださった方には、「Can I help You?」というバッジを差し上げる。これをつけていると「逃げちゃだめよ」ということですね。

(会場笑)

英語がうまくなくてもガイドする人を増やすこと、というのも目的なんですけど、逃げる人が減ると渋谷のイメージは上がるだろうという仮説に基づいてるんです。だからみなさん、今話を聞いた限りはですね、バッジを持ってなくても絶対逃げないでください。

この前、六本木ヒルズから六本木の駅まで聞いたら、10人に逃げられたという人がいました。やっぱり逃げちゃうんですね。

難しいことを聞くわけじゃないから、ぜひ逃げないでください。「英語で渋谷」、または「English」……あ、抜けてますね、「Englishshibuya」でFacebookにあげさせてもらっています。

僕らは100年後になにを残せるか?

西:もう1つ、僕らが今考えているのは、(スライドを指して)「渋谷百年百年プロジェクト」と読むんですけど。國學院大学に渋谷学研究会というのが2002年にありまして、ここと組んでいるんですね。

これはなにかというと、小学校から募集した絵のコンテストで、上位に入賞したものなんですね。これ、なんかいいですね、ハチ公のところの駅が全部森になる。ちゃんと地下鉄の下を走るというすごい構図なんですけど。

(スライドを指して)これは明治神宮の広大な森です。これは100年くらい前に、150年後のことを考えて残してくれたんですね。こうやって森を順番に植えて。最後、これが原宿の駅です。全国から10万本の木が届いたそうなんですけども。

そうやって100年後の今、僕らが恩恵をうけている。こういうものを、僕らが100年後に残せるのか、ということを考えてみたいな、と。

(スライドを指して)これはちょっとわかりにくいですけど、このへんが(今日の会場の)Boschなんですよ。ここの前の道って、もともとはなにもなかった。オリンピックにあわせて、この前の道も青山トンネルもできました。これが今(いる場所の)Boschですね。そして、ここの道(六本木通り)ができた。オリンピックの10日くらい前に、この道ができたと言われてます。

なので、この「渋谷百年×百年プロジェクト」は、最終的には過去の100年を振り返えろうというものです。歴史の中からなにかヒントを得て、次の100年のことを考えてみようというプロジェクトを、國學院と一緒にやろうと思ってます。

もし興味がある方は、ぜひアクセスしていただいて。わりと未来を考える会が多いんですけど、過去を振り返る会も、たまにはいいんじゃないかなということで。ご参加いただければなと思います。

以上、駆け足でしたが、シブヤ経済新聞からの話でした。ありがとうございました。

司会者:ありがとうございました。

(会場拍手)

「記録係」として貫いている姿勢

司会者:このまま質問タイムに入ります。西さんがシブヤ経済新聞を立ち上げたきっかをうかがいたいなと。

西:きっかけはね、ちょうどマークシティの工事がちょうど今行われている工事のようにすごく進められていて。僕はいつも渋谷をぶらぶらしてて。そのへんで起きていることなんだけど、なかなか知ることができないから、自分のために自分でつくったんです(笑)。

司会者:そうしたら日本全国に広まったっていう……。

西:結果的には、そういうことです。こういうメディアってどうしても取材先にお金をもらうモデルが多かったんですね。僕らはお金をもらわないで、ニュースとして取り組んでいるということなんで。その姿勢がたぶん、みなさんおもしろいぞとなったんだと思いますね。

司会者:街に新しいお店ができたということをちゃんと取材するメディアって確かにないですもんね。

西:そうそう、だから、書きますけど、絶対持ち上げはしないです。「おいしい」とかは主観なので、そういうことは伝えないです。

司会者:街の小さな事実は伝えるという。

西:そうですね。その記録係というところです。

司会者:すばらしいです。

「見えるもの全部見てやろう」の習慣化から見えてくるもの

司会者:ではですね、ここからQ&Aタイムに移りたいと思いますが。2人ぐらい質問を受け付けたいなと思います。西さんに聞いてみたいこと。……はい、ありがとうございます。

質問者1:ありがとうございます。シブヤ経済新聞のあとにも、「渋谷百年×百年」とか。どういうアンテナを張っているとそういうのを見つけて、企画につながるのかというのがすごく疑問だったので。お願いします。

西:はい。ふだんの渋谷をいろいろ取材すると、なんとなく足りないものが見えてきたりするんですね。そこを解決したいな、ということで。渋谷の街にはなんでもありますからそこをクロスして、仲間もたまたま集まって、「じゃあこういうかたちで、少しそれを開催することができるんじゃないか」ということでプロジェクトが立ち上がっていく感じです。

だからふだんを見ていると、なんとなくそこが見えてくるという感じはありますよね。企画会議とかはぜんぜんやってないですけど(笑)。わりと自由です。

質問者1:重ねて、になっちゃうんですけど「ふだん、街を見る」といっても、人の目線は違います。なんだろうな、「違和感のヒント」「それを研ぎ澄ませるためには?」というんですかね。見方を研ぎ澄ますための、なにか工夫があれば……。

西:研ぎ澄まされてるとはぜんぜん思わないですけど、前に話した方とも意見が合ったんですけど「見えるもの全部見てやろう」という。

だから、街を歩いているときは異様にきょろきょろしています。「見える文字を全部読む」というくらい。ここに建築計画のお知らせがあったらもう絶対に立ち止まって読む。そういうことが習慣化されているという感じではありますよね。

だからそれが習慣化されたら、研ぎ澄ますとかそういうことはなくて。もう、見えているもの全部がおもしろいと思えてくる。だから自動的にインプットされてる感じです。

質問者1:ありがとうございます。 

なぜマネタイズしないのか?

司会者:ありがとうございます。じゃあもう1つくらい質問を受け付けたいなと思います。はい、どうでしょうか? なければ僕がね、目があった人を当てますんで……というと目を合わせなくなる(笑)。どうですか?

質問者2:本業はなにをやっていらっしゃるんですか? みなさん、本業は違うんですよね?

西:そうですね、僕はもともと、大学出てPR会社に入って、そのあとSPとかPRの領域ですね。なんとなくプランニングをして。プランナーみたいなことなんですけど、いろんなものを組み合わせてかたちにしていくのが、基本的に僕の本業ではあるんですよね。

質問者2:この経済新聞って、基本はマネタイズはしないじゃないですか。それはもう最初からの決まり事みたな感じで、みんな副業でやられている感じなんですかね?

西:そうですね。マネタイズとかを考えると、また複雑になるので。やっぱり街と関係性をつくっていくとか、そこから構造が見えてくるとか、それが結果的に渋谷の知見が増えていくことにつながるので。いわゆる価値をつくって、価値の先にもしかしたらビジネスがあるかも、ぐらいに考えていかないとできないと思います、おそらく。

質問者2:すばらしいですね。ありがとうございます。

司会者:すなわちその、シブヤ経済新聞があって、そこからつながってプロジェクトを生み出していくところで、仕事があったりそれが渋谷経済をつくっていくことにつながっている……。

西:そうですね。だから、お金も大事なことですけど、あまりそれが先行しちゃうと価値が生まれない。まずやっぱり価値からつくらないと、その先にはなにも生まれないのかなというのが基本的に僕の考えてることですね。

司会者:ありがとうございます。西さんが渋谷の国会で話したらおもしろいな、と思いますけれども。

(会場笑)

では、西さんでした。ありがとうございました。

(会場拍手)

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