2024.10.10
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高橋俊宏氏(以下、高橋):そこらへんでね、地域を巻き込みながら、どこよりも早くやられているのが、たぶん佐藤さんだと思うんですよね。そこらへんってどうでしょうか? エンターテインメント、地域を盛り上げる役割として。
佐藤雅樹氏(以下、佐藤):このあとの中でも随分お話をさせてただきますけど。地域の人たちが自分ごとになるかどうかというところが、大きいんだと思うんですよ。
我々がときにその地方に行ったり、東京ももちろんそうですけど、ご相談を頂戴して行ったときには、やっぱり最初は見えないですよね。地域の中が。
どんどん話をしたり、いろいろお酒も飲ませていただたりすると、だんだん見えてくる。だんだんと自分ごとでしゃべられ始めたり。
自分ごとの中に、実はこんなことをやってるんだよみたいなことがキラリと光って見えると、「これかなあ!」みたいに思ったりするところはありますよね。
そういったものが、たぶん自分ごとで展開されてくるようなところを、おとまちの場合は、今一生懸命掘り下げさせていただいている。音楽を使うと、みんなが一緒になって盛り上がれて、これをみんなにどんどん自慢ができるというところに持っていけると。
少し先かもしれないんですけども、その取り組みが多くの人たちが自分ごとで取り組むことになるのかなというのが、今回はこのみなさんで議論する1つのテーマとしてやっていけたらなと思ってます。
高橋:そうですね。地域活性って、地方創生とかって堅い言葉はあるんですけど、人が盛り上がる根本ってやっぱり楽しいかどうかがあると思うんですよね。そこのところで、やっぱり音楽って非常に役に立つと思いますよね。
高橋:せっかくここに出ているので、ちょっとここの参加型の話を。
佐藤:おとまちの取り組み、最初、おとまちっていう名前もなかったころ、ヤマハってやっぱり楽器を作ってますのでね。多くの人たちに楽器を持っていただきたいんです。事業としても。
そうしたときに、みんながエンターテイナーになったらいいじゃないと。そのときに、参加型というキーワードが最初に出て来ましたね。ただ、一般的に言って、アマチュアのみなさんという言葉がいいかどうかわからないですけど、アマチュアのみなさんがする演奏って、ちょっと魅力がないように感じられるじゃないですか。そこがですね、全員参加するとなると、「全員」で楽しめるんですよね(笑)。そんな様々な議論があると思います。多くの人たちが参加してくることも、それは、その地域でまた価値になってくるというようなことが、これからますますできてくるといいなと。
それプラス、ここに書いてある新しい音楽の価値というものを見つけていきたいなと。今回のエンターテインメントもなかなかいろいろしんどい局面になってきていて。
この業界のみなさん、どんどん地方でいろんな取り組みをされる時代になってくる中で、我々としては……これもね、横文字で。日本語が見つからないので申し訳ない(笑)。ブランドの問題も含めて挑んでいるものがあるんですよね。「コミュニティ」の中で音楽が成立するようなことも、一生懸命できたらいいなというふうに。
村多:これは素敵ですね。コミュニティですよね。エリアとかコミュニティの中だけでっていうのは素晴らしいですね。
佐藤:マネタイズっていうかね。そこのところで、どう産業にしていくかというところまでいろんな企業が一緒になってできたら、楽しい、おもしろい日本がまた生まれてくるのかなと思いますね。
高橋:おとまち自体はできて、もうどれくらいになられますか?
佐藤:2006年、2007年くらいからスタートしてますので、10年くらいになるんですね。最初は、こういうのってどこに市場があるのかよくわからなかったんですけども。最近は、本当にいろんなところからお声がけを頂戴したり、いろんなご相談を頂戴するようになってきて。
たぶんね、音楽が、フェスとか音楽祭みたいなものの盛り上がりと同時に、やっぱり自分たちもどんどんやりたいというふうになってきているんだろうなと思いますね。機運が本当に高まっているのかなと思いますし。
高橋:なるほど、機運が高まっていると。
村多:本当、山の中でやっても、ふだん人いないところでも、ちゃんとしたフェスやったら来ますからね。人。やっぱり求めて来ますもんね。
高橋:フェスっていう言葉聞いただけでね、みんな参加したいと。
村多:不便なところ行くんだ、みたいな。でもそこで人の流れができて、繰り返してると点は線になっていくと思うんですよね。
高橋:なるほど。なるほど。
佐藤:高橋さんとよく行くと、必ず海パン持って来たりするじゃないですか。
高橋:はい、そうですね(笑)。
村多:出張で行ってるんですよね?
高橋:出張ですよ。僕いつも海パン持って行ってますね。隙あらば、海に入るということで(笑)。
佐藤:たぶん、長靴を履いたあとに、そこに行くのに楽しめる格好をしていくということが当たり前になってきてますよね。帽子だってそうでしょうし。
高橋:そこからもう楽しむっていう。まあでも、そこは音楽というものが軸となってね。
佐藤:もう1つだけ言えば、従来は音楽を楽しむのって、子どもをなかなか連れて行きづらかった。でも最近は、ファミリーで音楽を楽しみに行く風潮がすごく高まっているので、キャンプ道具一式と子どもも積んで?(笑)。子どもも連れて。ワンボックスカーで出かけていく。
そこで、我々的に言えば、音楽をすごく楽しんで帰ってくるというライフスタイルが、ぼちぼちいい感じになってきてるんじゃないでしょうかね。
高橋:そうですね。そこらへんはどうですかね?
村多:本当に思います。フェス自体が、敷居がすごく低くなってますよね。夜遅くまでやらなくなってますからね。そういう意味で言うと、マネタイズもそこになにかあると思いますし、まだまだやりようはあるかなと思います。
高橋:村多さんも、今そういう部署を立ち上げられて取り組まれていますけど。ちょっとそのさわりの、盛り上げるためのエンターテインメントの役割みたいなものをどのように?
村多:それなりにネームバリューのある人でもない人でも、ちゃんとその地に所縁がある人たちと一緒に協業してイベントをやったりすると、やっぱりいろんな人の流れが生まれますよね。そこは我々も積極的にやっていきたいですね。
それを気づかせるために、それはPR動画なのか、イベントなのか、アニメーションも、とかいろいろあると思いますけど、そういうきっかけを作って、かつ、さっき言った場所も作ってね。
そこに本当、ヤマハさんと地域ブランディング協会さん、そこに紐付く理事の方、いろんな方に来ていただいて、クリエイティブなことを創出していきたいなと思いますね。すごく。ともかく、囲うんじゃなくて共有するということだと思います。
高橋:なるほど、なるほど。世の中的に、そういう囲うというより、やっぱりみんなで共有して、価値を共有していくみたいな世の中になっている感じはしますよね。
村多:一方で、エリアごとでコミュニティがありますからね。そこをに、どううまく信用してもらえるかとか、そのへんもあると思います。
高橋:まあでも、そうなんです。信用がやっぱり重要ですよね。村多さんが先ほど、きっかけと言われてましたけど、やっぱり村多さんもきっかけなんですかね? わりとクリエイターの方を、クリエイターというか音楽のアーティストを入れていって、なにか物を作るとかされてますけれども。
村多:いや、もう、きっかけですよね。あと、やっぱ気になったところにどんどん自分から行きますし、それは高橋さんもそうですし、佐藤さんもそうだと思いますね。ともかく自分が動くということが大切だなと思います。
ここには、たぶん、地域で起業されている方もいらっしゃると思うし、みんなここに来てる人は、たぶん前に出てる人なので、今日を境にもっともっとそれを強めていってもらえたらいいかなあと思って。偉そうに言っちゃってすみません。
高橋:いえいえ(笑)。
村多:サポートしたいです。
高橋:本当そうですよね。その地域に行って、協業と言われてましたけれども、しっかり地元を巻き込んでいって、あとは地元の人たちで盛り上がって自走していくとか。そういうことが、おそらく理想なのかなというふうに思います。
村多:本当そうです。ともかく地元の方とうまくリンクをして、そこを知っているのはその人たちなので。僕らはあくまでもきっかけを作る。
または、僕らでしかできないこともありますから、そこはノウハウとリソースを供給して、あとは自走していってくださいっていう環境が創出できれば一番いいですね。
佐藤:ブランディング協会さんの取り組みの中に、クリエイターのみなさんと一緒にやってるのがあるじゃないですか。従来、わりとプロモーションの領域のところでのクリエイターの活躍というのが少し多かったのかなと思うですけど。
そこから本当は、今後の理論としてもう1歩深めて、地域になにか産業を興したり、音楽分野で言えば、地域から音楽を生み出していくみたいなところにクリエイターが活躍をしていくとかですね。
そこに音楽のクリエイターもいれば、アート系のクリエイターもいて、新しい地域なりのものを生み出していくみたいなことを、今後ステップをもう1つ踏み出せると。
始まってるところもたくさんあると思うんですけど、その議論が多くの人たちとできると、よりおもしろいのかなとは思いますね。
高橋:そうですね。本当おっしゃる通りで。クリエイターの方々に協力してもらって、そういうものづくりであったりとか、場づくりのアドバイス的なことをやっているんですけど。
やっぱり時間がけっこうかかるかなと思ってまして。たぶん(お2人も)肌身に感じられていると思うんですけど、僕らも地域をなんとか盛り上げたいという思いで入っていくんですけど。
やっぱり最低5年だったりとか、10年とか、たぶんそういう単位で取り組まないと、取り組む気持ちがないと本物にはなっていかないんだろうなとは思いますが。どうでしょう?
村多:いやもう、その通りだと思いますね。点を線にするというのは、やっぱり時間がかかることで。そこは丁寧にやるべきですよね。
佐藤:決してやっぱり東京から行って簡単にできるものではないので、地域から生まれて来るようなものを、どうお手伝いできるかとか。それがどう持続的に回って行くかみたいなものを、決して、東京にたくさんのクリエイティブなアイデアがあるから簡単にいくかというと、そうじゃないですよね。
地域の中になにかいいものがあって、そこにどうお手伝いできるかというところを本当に考えて見つけ出そうとしないと、見つからないですよね。でも、そこを極めるのはすごく楽しい作業だし、今日いらっしゃっているみなさん、たぶんそういうアイデアをお持ちでいらっしゃっていると思うので。
村多:地元だけだと、やっぱり主観視してしまうところがあるので、我々は逆に言うと客観視できると思うんですね。そこは非常に重要ですよね。
佐藤:大事です。大事だと思いますよ。逆に、地域だけで考えてると、本当狭くなりがちなところをグッと引いて、こんな見方もあるよねっていうのは、「それは目から鱗だよね」っていう話になることが本当に多いので。そこはバランスですよね。本当にそう思います。
今日、後ろに模造紙が貼ってあってですね。もちろんいろんなご質問を頂戴したいんですけど、あそこにみなさんの想いを、休憩時間などもありますので、ぜひ貼り付けていただければ。
高橋:そうですね、付箋をご用意してますので。思うところを。シビックプライドだったり、エンターテインメントについて、思うところを貼っていただくと。懇親会のときに、それをみんなで見ながら話題にしたいなあと思ったりしています。
ちょっと時間もあれなんですけども。先ほど村多さんも言われていました、客観視できる。我々も本当そうなんですよね。客観的に、外目線で見ることによって、地元の人たちが気づいてないことってたくさんあるので、それを「これすごいですよ!」って言うんですね。
言うと、要するに、褒めることになるんです。褒めると、地元の人たちは「え、こんなものでいいの?」と。「いいんですよ!」っていう話になると、途端に地元の人たちもすごく自信を持っていただいたりとかするんですよね。
そうなっていくと、自信を持つと声を発するようになっていって、それは結局、先ほど僕が言った自慢話。シビックプライドにつながっていくのかなというふうには思います。
なので、最初のきっかけとしてね、エンターテインメント。みんなが楽しいとか、喜ぶというところから入っていくと、けっこう地域の機運を醸成するのに非常に役立つのではないのかなと思っております。
このあとはもうちょっと深掘りして、第2部のトークセッションではみなさんそれぞれの立場でもっと事例を出しながらお話したいと思いますので。オープニングのトークとしましては、このへんで切らせていただきたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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