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東京・渋谷の街から考える エンターテインメント×地方創生(全11記事)

地元の人々の自慢話が日本を救う? 地域活性化×エンタメの融合がもたらす明るい未来

2017年6月28日、地域ブランディング協会が主催となったセミナー「東京・渋谷の街から考える エンターテインメント×地方創生」が行われました。同会にはエンターテインメント、音楽業界を牽引し、地域活性化にも積極的なヤマハとポニーキャニオンの事業者も登場。地域活性化のキーワードである「シビック・プライド」について議論を交わしました。エンタメと地域活性化の融合はどんな化学反応を起こすでしょうか。

地域協業がテーマ

高橋俊宏氏(以下、高橋):それでは最初にオープニングトークセッションというところで、我々3者でちょっとお話を。まず、今回のテーマについて、さわりのところをお話できたらなと思っております。

最初なのでね、自己紹介をちょっと簡単に。このあとトークセッションでやられていることをガッツリお話する機会はあるんですけど、ここはちょっとさわりのところを、ヤマハの佐藤さんからお願いしようと思います。

佐藤雅樹氏(以下、佐藤):座ったままでよろしいですか?

高橋:はい、大丈夫です。

佐藤:ヤマハの、今ヤマハミュージックジャパンという会社になります。そちらで「おとまち」ということで。わりとヤマハというと、ピアノメーカーとか音楽教室とかありますけども。

コミュニケーションのところを音楽でお手伝いしたいなあということで、「おとまち」ということでやっています。今日このあとたくさん出てきますけど。よろしくお願いいたします。

高橋:では、村多さんお願いいたします。

村多正俊氏(以下、村多):すごい緊張感で(笑)。ちょっと和ませていただければ。

ポニーキャニオンの村多と申します。よろしくお願いいたします。エリアアライアンス部という新しく立ち上がった地域協業に特化した部署を取りまとめております。

どうしてもポニーキャニオンを申しますと、エンターテイメントのコンテンツを扱っている会社というふうに思われるかもしれないんですけれども、もともと事業領域が非常に広くて、音楽ばかりではなくて、映像、アニメーション。それから、書籍、イベントの制作等、いろいろとやってます。

その新規事業の一環として、地域のみなさんと一緒にエンターテイメントでまちを盛り上げていこうと。日本を元気にしようと。そんな事業を2年前から始めまして、今年の6月に部署になりました。

また弊社には部署を横断する、地域共業ワーキング・チームというのもございまして、これにより、日本全国をカバーしているというような状況です。どうぞよろしくお願いいたします。

高橋:ありがとうございます。

(会場拍手)

Discover Japanと地域ブランディング協会の両立

高橋:先ほどお話しました、僕は『Discover Japan』という雑誌をやりながら、そういったところから地域ブランディング協会を、今やらせていただいてるというような状況です。

実はですね、ヤマハの佐藤さんとは、いわゆる佐藤さんの行われているおとまちというプロジェクトを雑誌の紙面で紹介したり。けっこう創刊近いくらいですね?

佐藤:創刊くらいですね。

高橋:約7、8年くらい前からのお付き合いをさせていただいておりまして。村多さんもね?

村多:そうですねぇ(笑)。あの出会いの話はしないんですか?

高橋:ちょっとしましょうか。実はですね、村多さんとの出会いは、まったくこれとは違う出会いだったんですね。

私たち、雑誌で、宿とかホテルとかそういうことをよく特集するんですけど、そのときに監修になっていただいている柏井壽(かしわいひさし)さんという作家の先生がいらっしゃるんですね。京都の方なんですけども。

その方に、実は、「ポニーキャニオンにな、古唐津(骨董)が趣味のおもしろい男がいるから、ぜひ会うといいよ」っていうことでですね(笑)。一席設けていただいて。そのとき村多さんと出会ったという。そのときまだ地域のことなんてやっては……?

村多:やってないですね。あのころはデジタルの部署の責任者をやっていて、でしたね。だから逆に、Discover Japanさんと組んで、「iTunesとかで販売するデジタル・アルバムをなにか作りませんか?」みたいな話をしてましたもんね。

高橋:そうですね。当時、そのとき地域で言うと、柏井壽さんが京都Jazzでしたっけ? 京都をテーマにしてジャズを選曲して、それを村多さんのところでCDを出されたりとかされたと。

村多:すごく売れたんです。iTunesのジャズ・チャートでずっと1位だったり(笑)。

高橋:本当ですか! 僕もいただいて、よく家で聞いているんですけども。ちょっと京都気分が味わえるというような。そういった意味で言うと、村多さんも今の部署になる前から、地域というものに着目しながらお仕事をなにかしらされようと思っていたということですね。

村多:はい。素地はあったと思います。

シビック・プライドとは?

ところで、今日みなさんも思われてるんですけど、「シビック・プライド」という言葉をちゃんとパッと説明できる方が、この中にどれだけいるかということなんですが…

高橋:ちょっと待ってくださいね。じゃあ次、映してみましょうかね。

村多:(スライドに)シビック・プライドとエンターテイメントと書いてありますけどね。こんなもんじゃないんですよね。たぶん。どうなんですか? さっき嫌いだって言ってましたよね、この言葉。

高橋:あ、言っちゃいます?(笑)。そうなんです。実は、今日ね、シビック・プライドっていうテーマ、こちら主催側として名前を使わせてもらってるんですけど。たぶんね、シビック・プライドって言葉って、出て来たのが、3年とか4年くらい前じゃないですかね? 

僕も、Discover Japanという本をやってるから、ちょっとカタカナアレルギー? あ、でもDiscover Japan、カタカナでした。ごめんなさい(笑)。日本のことをやってるからってこともあるんですけど。

どうもね、今なんでもかんでもカタカナで。オープンイノベーションとかね。カタカナが来た! みたいなね。ちょうどシビックプライドっていう言葉を、僕初めて聞いたときも、あ~またカタカナが出て来たなぁ~と思ってまして。

けっこうこういう言葉って、最先端のように思わせる効果が、実は逆効果になってると思ってて。日本語にしろよって、実は心の中では思ってて(笑)。

逆に、僕たちが雑誌だったりで特集するときは、なるべく噛み砕いて日本語にしているような状況ですかね。

村多:これヤマハさん的に言うと、シビック・プライドってなんて訳するんですか? 高橋さん風で言うと?

佐藤:なかなかやっぱり、カタカナ多いですね。最近ね。

高橋:多いですね。

佐藤:改めてインターネットでGoogleで調べないと、なんだっけみたいなのが多いですよね。今回ここの中で言う、「地域の誇り」みたいなことなわけでしょ? これ?

高橋:そうですね。

佐藤:おとまちの場合、音楽を使って地域でみんなが参加して楽しむというようなことをやってるんですけど、その先にはやっぱりね、やっていけばいくほど地域のことをすごく好きになっていくとか。

逆に自分も地域を代表してなにか周りの人たちに、「うちの街いいわよ」っていうようなことをおっしゃっているという光景をたくさん見ますね。

それを見ると、本当にこういうときに、やっていてよかったと思う感じですね。やっぱり、誇りを持っていく。結果的にここにつながっていくということがすごく大事なことなんだろうなと思いますけどね。

高橋:そうですね。地元の誇りをどう盛り返していくか。見つけていくかというところだと思うんですけど。

地元自慢が一番近いイメージ

村多:高橋さん、雑誌やられてると、ヤマハさんはヤマハさんでいろいろある、全国行かれるわけですよね。その中で、地域の誇りとかを感じるエリアってあると思うんですよ。逆に感じないところもあると思うんですけど。一番感じたところってどこなんですか?

高橋:いい質問ですね。僕がもう攻められる立場になってるんですけども(笑)。そうですね、地元の誇り。僕の中でのシビックプライドって、自慢だと思うんですね。

地元自慢。地元の人の自慢の話を、自慢って悪い意味に思っちゃうかもしれないですけど、外からあるエリアに行くときに、地元の人たちの自慢を聞きたいんですよ。だいたい。

うちのこういうものが美味しいよとか。こういういい場所あるからって、聞きたい。そういうことを耳にしたいんですよね。そういうことを言われると、「ん? そんなにいいの?」みたいな。じゃあそこに行ってみようかとか、知りたいなというふうになるんですけども。

先ほどの村多さんのお話に戻りますとですね。例えば、具体的に、城崎というところがあるんですね。兵庫の豊岡市。そこが今非常に盛り上がっておりまして、とくに城崎温泉のエリアがですね。

温泉で、関西から言うと、非常に、城崎ってすぐ行け……すぐというか、高級温泉街というか、なにかあったときに特別なときに行く温泉街なんですけど。そこの温泉街の若旦那衆、30代40代ちょうど世代交代して、若旦那衆がすごく今元気がいいんです。

元気がよくて、元気がよすぎて、東京からクリエイターをいっぱいこう……ブックディレクターの幅さんだったりとか、あとバイヤーの山田遊さんだったり。その道の一線で活躍してる方たちをどんどん巻き込んでいって、街づくりをおもしろくしてるんですよね。

そこは非常に、行ってもうれしくなるのが自慢なんですよ。「うちの外湯入って! 」「うち来たらドレスコード浴衣だから」みたいな。着いたらすぐ温泉に入れられるんです(笑)。浴衣に着替えさせてもらってみたいな。

その人たちとみなさんで、おもてなしを受けるんですけれども、今なにがうまい、これがうまいって、自慢するんですけど。自慢するっていうことは、自分の土地をよく知ってることなんですよね。「いや~このお酒がね~」とかね。

例えば、11月になるとすぐ電話かかってきて、「カニが出るよ~11月6日解禁!」みたいな感じで電話かかって来たりすると、ちょっと行ってみようかなと。こういうところですかね。

そういうところがシビックプライドというか、そういうふうなことが言える地域がどんどん出てきたらいいなぁというふうに思いますけれども。

逆に村多さんはどうですか? 村多さんも今あちこち行かれていますね?

東京の商店街がおもしろい

村多:行ってますね。行ってるんですけど、僕最近1番好きなのは、やっぱり都内の商店街です。僕は東京で生まれて、東京で育ちました。ほかのエリアへ行ってすごく刺激を受けるけれども、やっぱり一番足元を見てなかったということに最近気づいています。

なので、例えば、品川区の商店街とか。あと、私は三軒茶屋に住んでますから、三軒茶屋の商店街とかもすごくおもしろい。あとは、世田谷だと松陰神社。あそこが今おもしろい。

高橋:聞きますね。僕も耳にはしてるんですけど、なかなか行ったことなくて。

村多:私、マンションの理事をやってるんですけど、そこに不動産屋さんがいて、「松陰神社が今どんどん上がってるんだ。なんでか知らないけど上がってるんだ」って(笑)。

そこで、自分がこの街元気になってるっていう感覚と、実際にいろんな意味での需要と供給、いろんなものが動いてるんだなあというのは思いましたね。なので、本当に今、気になるのは、東京の中の商店街ですね。

まだ郊外型のショッピングセンターがなくて、既存の商店街が元気で、街の人たちがちゃんと声を出せるような、そういうようなところに今1番興味がありますね。

高橋:なるほど。やっぱり街が盛り上がる機運の1つとして、今日のテーマになっているエンターテイメント。村多さんいわく、エンターテイメント、今芸能のほうで起きるという言葉に置き換えるといいというふうに言っていましたけれども。

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