2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
リンクをコピー
記事をブックマーク
1つ、先ほどのフェイクニュースの話にもありましたが、私は新聞社のほうに勤めておりまして。先ほどの古田さんのお話にもあったんですけれども、誰もが情報を発信できる時代になって。そういう意味では、個人の情報発信も、それから組織ジャーナリズムとしての情報発信というのも、並列する時代になっていってるのは誰もが認めるところかなと思っています。
とくにフェイクニュース、日本はまだそれほどでもないというところではあると思うんですが、フェイクニュースのうんぬんが出てきたというところでいくと、誰が情報に対して責任を負うのかというところが今、問題になってるんじゃないかなと考えています。
組織ジャーナリズムの場合は、会社の看板とかがある意味そこを守ってくれたり、そういうところもあると思うんですけれども、そういった責任の所在というのを、いわゆる文責といいますか、どう取っていくべきなのか。
そして情報発信をする立場として、ファクトチェックですとかオピニオンですとか、そういったものに対してどういうふうに責任の所在を、あるいは責任を取るためにどういうふうにチェックしていくべきなのか。そういったところに関して、みなさんのお考えといったものがあれば、ぜひ聞かせていただければと思います。
ヨッピー氏(以下、ヨッピー):責任かぁ、なんだろうな。僕は勝手に……これ、いまのところそういう事例はありませんけど、僕がもしなにか紹介した商品とかでなにかしらの被害が出たとか、なんかその被害者にお金を全部払おうと思ってますけど。
徳力基彦氏(以下、徳力):あれですよね。ペニーオークション詐欺的なもの。
(会場笑)
ヨッピー:でも、そうですね。
徳力:当然、あれは見ればわかるんだけど、筋が悪いのかどうかわからないものの片棒をかついでしまうリスクをどう回避するかとか。
古田大輔氏(以下、古田):責任の所在って、すごくクリアだと思うんです。それは今、まさにヨッピーさんが言ってたように、発信者が悪いんです。間違いなく。読者の責任じゃないですよ。
その嘘を発信してるやつが悪いに決まってるんですけど、問題は、フェイクニュースを発信してる人の多くは確信犯だから。「いや、いいよ。金稼げれば」って思ってるわけですよ。だから、その人たちに「責任があるだろう!」って言っても仕方ないんですよね。そうではなくて「こいつはフェイクニュースだ!」とハッキリと示すしかないと思います。
あと、フェイクニュースを出す人って、いくつかパターンがあると思うんです。お金を稼ぎたいとか、それによって自分が政治的な利益を得たいとか。例えば、対立候補を陥れるとかですね。あと3つ目は、もう本当に信じちゃってる。「これは正しいに決まってるんだ!」と。その3パターンがあると思うんですね。
どれも責任はその人にあるんだけれども、もう1つ責任があるところがあるんですよ。なにかと言ったら、それの流通経路になってしまったところ。ウィーンで話題の中心になっていたのは、FacebookとGoogleの責任でした。
さっき世界のほうが状況が圧倒的にひどかったって言ったじゃないですか。一番クリアな理由は、Facebookなんですよね。日本は、Facebookのパワーが諸外国に比べてそこまで強くないんです。シェアの数が違う。
ユーザーの数はけっこう多いですけれども、諸外国の人みたいにあんまり政治的なニュースをシェアしないじゃないですか。でも、諸外国の人はけっこうするんですよね。それによってめちゃくちゃ蔓延してるという状況があると。
そうしたら、「ちょっと、Facebookがんばってよ」という話になりますよね。今、実際にFacebookもがんばろうとしているわけで。
まあ、その発信者と媒介者がなんとか やらないといけない。今、媒介者はそれをがんばろうとしてるけれど、発信者は確信犯だからやろうとしない。なら、やっぱり他のメディアがやるしかないですよね。
それはヨッピーさん が戦ったりしたり、僕らもふだん検証、僕らはデバンキングと呼んでいるんですけれど、情報を検証して、これは嘘だと認定されたら「ここはダメですよ」と。「少なくともこのニュースは絶対ダメですよ」というのを認定していく。というのを、やっぱり地道にやっていかないとなと思っています。
僕、ウィーンのあとフランスに行ってきたんですけれども、フランスの大統領選があったじゃないですか。アメリカの大統領選であれだけフェイクニュースがバズったから、フランスの人たち、すごく気合が入っていたんですよね。もう「俺たちがやってやるわ。フェイクニュースと戦ってやるわ」と。
フランスでは「CrossCheck」というサイトが立ち上がったんですよ。そのCrossCheckというサイトは、もともと運営元はFirst Draft Newsというところなんですけど、そのFirst Draft Newsというのはアメリカで生まれた連合体で、中心となっているのはGoogle Newsなんです。
Googleも、やっぱり戦わないといかんと思ったから、CNNとかニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストとか、あとBuzzFeedとかと組んで、First Draft Newsを作ったんですよ。
その人たちが世界中に呼びかけて、「戦おうぜ」って言って。フランスでは、First Draft Newsに入ってるのが確か5〜7社ぐらいあったと思うんですけれども、でも5〜7社じゃまだまだ足りないということで、世界のメディアに呼びかけて、CrossCheckというサイトを立ち上げて。確か、最終的に47社がそこに集って。
一般人から、「フェイクっぽい情報があったら教えてくれ」と。それを投稿させて、それを47社がよってたかって検証するというのをやって。それによって、かなりの情報が検証されたんですね。だからフランスでは、そこまでアメリカほどフェイクニュースがバズらなかった、と言われています。
ここで、さっき日本は状況はそれほどひどくないって言いましたけれども、日本が諸外国に比べて遅れていることが1つあります。それはこういう動きなんですよね。
さっき言ったFirst Draft News、もともとフランスだけで確か5社ぐらい入っていたんですよ。イギリスで、確か今14〜15社ぐらい入っています。アメリカだったら、もう30何社とか入っています。日本は何社入っていると思います? First Draft Newsに。
答えは1社なんですよね。どこかわかります? 答えは、たぶん今言ったらびっくりする人いると思うんですけど、ヤフージャパンさんなんです。知ってました? ヤフージャパンのみなさん。けっこう知らない人が多いんですけれど(笑)。
徳力:ヤフーの人のほうが知らないんじゃないかみたいな(笑)。
古田:でも、これってすごくないですか。新聞社とテレビ局が1社も入っていないんですよ。
これって危機的な状況です。今はまだ大丈夫でも、フェイクニュースがバズり始めたら、本気で確信犯の連中が「よっしゃ、金儲けしたろ」とか「よっしゃ、政治的に対立する陣営を貶めたる」と思って始めたら、これはバズりますよ。戦う人たちがいないから。
だから、やっぱりそういうときに、そういうことに関心がある人たちが、早くFirst Draft NewsとかCrossCheckみたいな動きを、日本でもやらないといけないと僕は思っています。
徳力:いい質問をありがとうございます。最後にもう1個だけ、個人的に議論したかったのは、今の話ですね。
たぶん日本においては、結局WELQ騒動的な、お金儲けのためにがさつなサイトを作ってしまったというパターンや、ステマのようなお金を儲けるためにこっそり悪いことをしているもののほうが、どちらかというと中心なので、議論の中心がそっちにいきがちです。でも、実は確信犯で悪いことをやるやつというのが、フェイクニュースで一番むずかしい。
さっき、ちょっと記事を出したんですけど。あれ、年始でしたっけ? BuzzFeedさんの1周年記念……年末か。1周年記念パーティで、古田さんが「今年、我々はフェイクニュースと戦います」って宣言されていて。
さっそく、日本人が運営してるフェイクニュースの裏取りにいってたんですよね。実際取材したら、別にその人も「そんなに儲からないからもうやめます」って、「見つかっちゃったからやめます」って。だから、実は見つけにいったら終わったという。
そういう意味では、警察行為をBuzzFeedだけがやっている状況のバランスがいいとは思わないですけど、ちゃんと何かしら健全化の動きをすれば少しはよくなるよねと。
少なくともそれで1つ、ある意味有害なサイトが消えたんですよね。若い人が儲かると思って信じてやっちゃったら、あんまり儲からなかったから、やめどきを見つけられてよかったという話かもしれないですけど、そういうことはもっといろいろあるんじゃないかなと。
関連タグ:
ヨッピー氏×BuzzFeed古田氏×徳力氏と考える、WELQ騒動以降のWEBメディア事情
BuzzFeedのルールは「クソ野郎になるな」古田氏とヨッピー氏、著作権侵害するコンテンツの是非を問う
MERYとWELQ、何がダメだったのか?BuzzFeed古田氏×ヨッピー氏×徳力氏が語るメディアの存在意義
ヨッピー氏「見てる人にとって良いものだったらいい」PCデポ、BuzzNewsを追及した当時の強い信条
日本の記者は「ネット上を歩かないといけない」BuzzFeed古田氏とヨッピー氏、新聞社のSNS対策に警鐘
ヨッピー氏×BuzzFeed古田氏「ステマという読者を騙す悪人がいる」記事広告のPR表記問題で欠かせない論点
読者を裏切らない記事広告ってなんですか? 徳力氏×BuzzFeed古田氏×ヨッピー氏と考える、おもしろいネイティブアドの作り方
メディアにとってSNSは敵か、味方か? TwitterやFacebookが情報流通で担う役割
フェイクニュースが広まったのはFacebookとGoogleの責任? ウソが出回るネット世界で私たちがすべきこと
ヨッピー氏×BuzzFeed古田氏が語る、悪質なメディアへの対処法「痛い目に遭ってもらわないと困る」
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.12
自分の人生にプラスに働く「イライラ」は才能 自分の強みや才能につながる“良いイライラ”を見分けるポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.11
気づいたら借金、倒産して身ぐるみを剥がされる経営者 起業に「立派な動機」を求められる恐ろしさ
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.12
先週まで元気だったのに、突然辞める「びっくり退職」 退職代行サービスの影響も?上司と部下の“すれ違い”が起きる原因
2024.11.14
よってたかってハイリスクのビジネスモデルに仕立て上げるステークホルダー 「社会的理由」が求められる時代の起業戦略