世界が称賛した気候変動活動家のポエトリーリーディング「Tell Them」

「Tell Them」全文

キャシー・ジェトニル＝キジナー氏：伝えてよ

アメリカに住むともだちのために

小包を作った

まず-- --大きな耳飾り、半月型に編まれたパンダヌスの葉

固く巻かれた台風みたいな渦の中で

黒真珠が目のように光ってる

それから-- --バスケット

丈夫な、これも材料は葉っぱ

茶色い子安貝の貝殻がきらめく

複雑なマンダラ模様

胼胝のできた手が編んだ籠

私はメッセージを入れる

この耳飾りをつけて行ってね

パーティーにも学校にも集会にも

角のお店、毎日の買物にも

バスに乗るときも

そしてバスケットは

装身具とか、お香とか、銅貨とか

こんな丸まった手紙なんかを入れるのに使って

そして誰かに

これどうしたのと聞かれたら

教えてあげて

マーシャル諸島から来たのよ

それがどこなのか地図で教えてあげて

かれらに伝えて、私たちは胸をはって生きる人々だと

トーストしたみたいな焦茶色の肌は

ごつごつした樹の幹の色

伝えてよ、私たちは

世界でいちばん

腕のいい航海士たちの子孫だと

伝えてよ、私たちの島々は

巨人が運ぶバスケットから

落っこちたものだと

伝えてよ、私たちは風のように速い

丸木舟のくり抜かれた胴

しずかな海をすべるように進んでいく

私たちは木の削りくず

乾いてゆくパンダヌスの葉

そしてケメム（赤ちゃんの1歳のお誕生日）でふるまわれる

べたべたするブウィロ（パンの実の発酵食品）

伝えてよ、私たちは甘いハーモニー

祖母たち母たちオバたち、そして姉妹の-- --

夜更けまで歌われる歌

伝えてよ、私たちは祈りのささやき

神さまの息

海の泡のように白いメアリーおばさんの

髪を飾るフクシアの花の冠

伝えてよ、私たちは赤いクールエイドを入れた発泡スチロールのカップ

辛抱強くイロミッジ（弔問客）を待っている

私たちはパパイヤの金色の夕陽

血を流しながらきらめく沖合に沈んでいく

私たちはひろびろとした空

見わたすかぎりの壮麗な風景

私たちは海

恐ろしく、比類なく力強い

伝えてよ、私たちはコンクリートの戸口から

盗まれた埃まみれのゴム製のスリッパ

タクシーの破れた座席と

壊れたドア・ハンドル

暑さの中で汗まみれの手と握手をかわす

もうひとつの汗まみれの手

伝えてよ、私たちは

あなたが想像できるどこよりも暑い昼と夜

私たちは雨の中でショッピング・カートを押している

お下げ髪の小さな女の子たち

私たちは細かい白い砂の中に埋もれた

割れたビール瓶のかけら

ガタゴト音を立てて走る車がゆきかう道路に

張られたゴム紐で

元気に遊ぶ子供たち

伝えてよ

島には道路は一本しかないんだって

そしてこうしたすべての後で

伝えてよ、海のことを-- --海面がどんなに上昇し

私たちの墓地を水にしずめ

防波堤を激しく乗り越えて

家にぶつかってきたか

伝えてよ、いったいどんな風に見えるかを

海の全体が陸地とおなじ高さになるときには

伝えてよ

私たちは怯えています

伝えてよ、私たちは知らない

政治も

科学も

でも伝えてよ、私たちはじっと見ている

家の裏庭で起きていることを

伝えてよ、私たちのある者は

老いた漁師で、神さまとの約束を

信じている

伝えてよ、私たちのある者は

そこまで信じる気にはなれない

でもいちばん大切なこと。こう伝えてよ

私たちは島を去りたくない

去りたいと思ったことなんて一度もない

だって私たちは

何者でもなくなってしまうでしょう

私たちの島々がなくなるとき