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トークセッション(全5記事)

月3万で人生にゆとりを 家入一真氏が提唱する「人生定額プラン」とは?

貧困や虐待の連鎖を予防する仕組みづくりを行うNPO法人PIECESと株式会社CAMPFIREの提供するクラウドファンディングサービス『GoodMorning』が、孤立した子どもたちに安心できるつながりと居場所を提供することを目的に「子どもをひとりぼっちにしない」プロジェクトを開始。それに伴い、2017年3月30日にキックオフイベントを開催し、「孤立した子どもをどう社会に接続するか」をテーマにトークセッションを開催しました。トークセッションには株式会社CAMPFIRE代表取締役社長の家入一真氏、社会活動家の湯浅誠氏、PIECES代表理事の小澤いぶき氏が登壇。それぞれの立場から感じる社会と子どもたちの関係性について語ります。

Good Morningを作ったきっかけ

小澤いぶき氏(以下、小澤):こういった、それぞれの資源を見つめ直して、子どもがちゃんと自立していくというか、誰もが支え合えるようなちっちゃい支援というか、助けの網みたいなものを作っていくときに、そこにはやっぱりお金も必要だなと思っていて。

いろんな資源を出し合う中の1つにちゃんとお金があって、市民が助け合いの網を作っていくのを、例えば、CAMPFIREのプラットフォーム(で集める)とか、そういういった可能性ってあるのかどうか。

家入一真氏(以下、家入):すごくうまくつなげましたね(笑)。

(会場笑)

湯浅誠氏(以下、湯浅):感心してる場合か(笑)。

家入:そうですね、CAMPFIREというクラウドファンディングをやっていて、もう6年くらいになります。もちろん他社さんとかも含めて、クラウドファンディングが出てきて数年経ったわけなんですけど。

今回Good Morningを作ろうと思ったのは、日本だと、震災とタイミングが同じだったというのもあって、社会貢献とか、社会にいいことを、みたいな文脈があったと思うんですね。クラウドファンディング=社会にいいこと、みたいなかんじでなんとなく来たんだけど、果たして本当にそうか? ということを、僕自身もすごく思ったというか。

例えば、NPOの方がクラウドファンディングをやりました。結果どうだったかと聞いたら、「お金は集まったけど、もう疲れたし2度とやりたくない」みたいなことがあるんです。

もちろん、お金が集まらなかったとかいろんなケースがあって。「結局みんな消耗して終わってるんじゃないの?」となったときに、クラウドファンディングの良さというのは、ある種の手離れの良さみたいなところだと思うんです。3ヶ月とか2ヶ月という短期間で目標金額に達成、「みんなでがんばろう」みたいな。

その一方で、短期間のうちにいろんなことをやらなきゃいけなくて、みんな疲れちゃって終わる。だったら、もうちょっと永続的に支援していける仕組みだったりとか。あとは、NPOの方とかさまざまな方々に対して、僕らができることを最大限にやるべきなんじゃないかというところで、1回考え直そうということで、Good Morningを別で立ち上げたという経緯があります。

「夢を叶えよう」って嘘をつきたくない

僕は、今までインターネットサービスをずっと作ってきて、誰でもショップを作れるBASEっていうサービスとか、CAMPFIREとか、ほかのサービスもいろいろ作ってきたんですけど。インターネットがここまで普及したことの本質って何だろうと考えると、やっぱり、いろんな物事が民主化して、誰しもが声を上げられるようになったということ。それがたとえ小さい声であろうとも、声を上げることができるようになったってことが、本質だと思っています。

クラウドファンディングも、そうやって「自分はこういうことがやりたい」というときに、それが5万円、10万円だったり、場合によっては、数百万とか数千万ということもありますけど、大事なのは声を上げられる社会になってきたということだと思います。

もちろんお金が集まる人もいれば、集まらない人もいて、むしろ、集まらない人のほうが大多数だったりして、僕らとしても、なるべく全部サクセスするようにがんばっていきたんですけど、声をあげられるということが大事だと思っているので、さっきの話じゃないですけど、「クラウドファンディングで夢を叶えよう」っていう嘘はつきたくないんですよ。

言ったって、夢は叶わないことが大半なわけなので、なんだけど、でも自分がやりたいと思ったことは、声を上げられることができるよっていうのは、クラウドファンディングの場だと思っているので、そういった意味でやってるというのはあります。

それで、なんでしたっけ? すみません(笑)。最近、フィンテックという言葉があるんですよ。

湯浅:聞いたことあります。

家入:あれも、要は金融民主化みたいな文脈だと思うんですね。僕は、本来もっと身近にあったはずのものを、個人の手に取り戻すのがテクノロジーの役割だと思っています。もしそうだとすれば 、フィンテックは、金融の民主化であると思っているんですけど。

クラウドファンディングの在り方を変えるべき

家入:フィンテックという言葉と同時に、金融包摂(ほうせつ)みたいな言葉も出てきていています。社会包摂をやろうとしても、「やっぱりなんだかんだお金がかかるよね」みたいな。じゃあ、お金を含めたところで、包摂ってどう作っていくのっていうのを考えたときに、クラウドファンディングだったり、民間ができることっていうのを、僕なりにやっていきたいという思いもあり、やっているというかんじではあるんですけど。

湯浅:金融包摂というのは、お金がある人だけが金融の世界に入れるんじゃなくて、少額から入れるようなっていう意味ですか?

家入:そうですね。フィンテックって、たぶん放っておくと、普通に二極化が進んでいってしまうというか、富裕層はより富む方向にいって、貧しい人は貧しいまま、格差が広がるものになってしまうんじゃないかと思っているんですね。

それをもっと、お金の流動性が高まったりとか、例えば、お金の送金手数料が0円になれば、もしかしたら、持ってる人から持ってない人に(お金が)行きやすくなるかもしれませんよね。あと、個人間の貸し借りみたいなものは今はできないですけど、ネットを通じて、知らない人に知らない人が貸すみたいなものもあり得るかもしれないですし。そういったものも、もっとテクノロジーってできるんじゃないの、と。

湯浅:ブロックチェーンとかそういう話ですよね。

家入:そうですね。そこへつながっていくんですけど、いきなりブロックチェーンの話までいっちゃうと僕もちんぷんかんぷんになっちゃうので。まず、できるところからのほうがいいですね。

湯浅:今の金融包摂の話は、クラウドファンディングの在り方も変えるんですか?

家入:変えていくべきなんだろうなとは思いますね。

湯浅:どう変えていくの?

家入:例えば、クラウドファンディングにも、実はいろんな種類があります。まぁ、使う方からしたら、どれでも一緒って感じだと思うんですけど。

寄付型みたいものであったり、さっき言ったような融資型みたいなものであったり、今は購入型というかたちなので、例えば、1万円出したら、1万円なりの何かを送るというのが一応セットになってるんですよ。日本の法律上、購入して、お金を渡しているというかたちをとっているので。

でも、そうするとみんな疲れちゃうんです。お金も、結局、行ってこいになっちゃうので、なんか100万円集まったけど、80万円分リターンを付けちゃうと20万円しか残りませんでした、とかよくある話ですし。あとは、手数料が高いというのもあったりするし。

だったら、寄付型であったりとか、あとは、融資型ですよね。マイクロファイナンスみたいなのが海外にありますけど、もしかしたら、日本に今一番必要なものになってきてるんじゃないか、みたいな話もありますし。

クラウドファンディングの在り方自体がもっと広がっていって、お金も500円から……。例えば、今、銀行に預けていてもそんなに利子なんてないも同然ですから、だったら、自分の貯金の一部だけでも、100万円出したら、その100万円が1年かけてぐるっといろんなところを回って、最終的に100万円戻って来るみたいなものができたら、もっとお金を出す人が多様になってくるんじゃないかなと。そういうのとか、いろいろ妄想してます。

湯浅:なるほど。

人生にゆとりを生み出す「人生定額プラン」とは

小澤:家入さんのTwitterを、そこ(壇上のスクリーン)で拝見しているんですけど(笑)。

家入:そういうのイジメって言うんですよ(笑)。

小澤:え~(笑)。

(会場笑)

小澤:Twitterに、金融包摂のお話と近いんですが、人生定額プランみたいな話って。

湯浅:人生何プラン!?

家入:人生定額プランっていう。

小澤:湯浅さんのもちゃんと出てます。3人のを出しました。

湯浅:あ、ありがとうございます。

家入:リバ邸とか近いんですけど、BASEとかクラウドファンディング、CAMPFIREとかって、マネタイズをする仕組みを作ってきたつもりなんです。個人とか、中小企業とか、お金を得る手段をサービスとして作ってきたつもりなんですけど。

一方で、それだけだとダメだと思っていて、生活費を下げる方向でなにかしらできないかと。リバ邸がまさにそうなんです。住んでるやつらって、月2万円とかで生活できていて、月2万円とか3万円で生きていけると、けっこう変わるんですよね。

月3万円分だけバイトしてるやつとか、クラウドソーシングで月3万円だけ稼いでるやつとか、まぁ仕送りもらってるやつとかもいると思うんですけど、貯金を取り崩してるやつとか。月3万円で生きていけると、わりとこう、ゆとりを持てるというか。きゅうきゅうにならずに生きることができて、そこから、じゃあ自分どうしようって考えることができるみたいな。

月3万円で、住むところと、洋服と、ご飯と、あと、インターネット代が賄えたら、けっこうよくないですか?

湯浅:うん、すごいけど、東京に月3万円で住んでるの?

家入:月3万円で住んでますね。

湯浅:月3万円で、そのリバ邸の住居費が済むだけじゃなくて?

家入:住居費プラス、ご飯も結局みんなで食べたりしてるので。

湯浅:だって、移動とかめちゃめちゃ金かかるじゃないですか、都心。

家入:みんな基本出ない。

(会場笑)

湯浅:出ないんだ~(笑)。

家入:インターネットでつながっているので、あんま出ないですね。

湯浅:そのときは、ただ、あれですよね。子育て費用と医療費とがかからないという前提ですよね。

家入:たしかにそうですよね。

湯浅:そりゃそうだよね。教育、子育て、住宅。住宅は、それでなんとかなってるのか。

家入:その月3万円をフルで使わない人もいるので、余った分をプールしてるとかじゃないですかね。

湯浅:それを人生定額プランって言ってんだ? すごいっすね。さすが、コピー力がある!

家入:(笑)。いや、はい、そうですね……

(会場笑)

家入:いつもなんか名前から入るので、ものすごく申し訳ない気持ちになったんですけど(笑)。

湯浅:いやいやいや(笑)。私も、仮に非正規でも、夫婦共働きで、年収400万で、子どもが望んでかつ能力があったら大学まで行かせられる、そういう社会を作ろうって言ってるんですけど。これ、今、言ってるだけで100文字くらいんですよ(笑)。

人生定額プランか~、そういうキャッチコピー考えないとな。わかりました。

家入:ありがとうございます(笑)。

小澤:そう考えると、今言ったように、住むだけじゃなくて、教育だったりとか移動するとか、生きていく上でいろんなお金がかかっていくときに、やっぱり、資源の中にちゃんとお金も含めて、コミュニティを作るのを広げていきたいなと、すごく思っています。

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