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山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:デービット・アトキンソンさん(全4記事)

日本はまだ本気出してないだけ? 右肩下がりのGDPに英国人経営者が「悔しくないのか!」

自民党のトーク番組「CafeSta」内で公開されている、山本一太参議院議員による「山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta」シリーズ。今回のゲストはイギリス人経営者のデービット・アトキンソン氏です。26年間、日本で経営し続けているアトキンソン氏が「客観的に見た日本」について語ります。

日本人は有能、ただ、やるべきことをやっていない

デービッド・アトキンソン氏(以下、アトキンソン):一番ポイントなのは、どうやって経営者を動かせるか。

山本一太氏(以下、山本):その通り。今のところ、これが一番聞きたい。つまり政府は、できることは限られてるから。民間の社長に「あなたたち、時価総額を増やしなさい」と言ったところで動かないと思うんですけども。これはどうすればいいんですかね。

アトキンソン:まあ、一番簡単なのはですね、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がありますよね。国民年金だとか、日銀が大株主になったでしょ。あとはですね、やっぱりいろんな年金機関投資家だとかですね。

観光戦略もそうだったんですけども、一番大きいのは意識の問題ですよ。「やりましょうよ」っていうこと言ってですね、経団連を中心とした経営者はわかってないはずはないんですよ。

ぬるま湯につかってるだけで、自分たちの問題じゃないと。自分さえ良ければいいっていう考え方で、実際には政府を中心にいろんな金融機関だとかに「いやあれはなんかそのぐらいのものじゃダメでしょ」って言ってですね、「バレた」と思うだけ。悪く言えば、今までは日本的経営だとか日本型資本主義だっていろんなことを言って。

極論を言えば、そうやって日本政府を騙すことができた。私としてはですね、「いやもうこれ以上騙されませんよ」「別にアメリカみたいに極端に7.3倍まで株上げる必要もないんだけども、1.67倍もないでしょ」っていうことで、「3倍でもいいし4倍でも、なにが悪いんですか」って。

一番ポイントは、国の借金が1,000兆円ありますよね。あれはGDPの2.2倍だということで、世界最悪だって言われます。言うまでもなく、その比率が悪いから言われてますけども。

ポイントは、比率が高いって言うことは分子が大きいか、分母が小さいかっていうことなんですよね。

借金の1,000兆円ていうのは、たしかに多いんです。ただ、1人当たりで見るとそんなに大した多さじゃない。なにが低いかって言うとですね、1人当たりのGDPです。それはそのGDPが異常に少ない。

本来あるべき姿に戻すことによって、借金の問題が消えます。おそらくですね、日本の政府も今の赤字からあっという間に黒字化していって、福祉の問題とかすべて霞のように消えると思いますよ。それをやるのかやらないのかとか、それは経営者が動けばそんなに難しいものじゃないし。

私としてはですね、日本人で今の生産性は、無能なのかやるべきことをやってないのか、どっちかなんですよ。無能だってことは認められない、事実はなにもない、根拠のない話なので。では、有能と証明されている以上は、やるべきことやってないだけ。ということは、やるべきことやればいいんですよ。

日本は希望と絶望の国

山本:なるほど、いや非常におもしろい。まだまだお聞きしたいこともあるんですが、もうあっと言う間に時間になっちゃってね。

最後に、今日はアトキンソンさんがけっこう冷静な目で見た日本の状況、つまりもっとやり方を変えれば日本はできるじゃないかと。もうちょっと頑張んないの、悔しくないのみたいな叱咤激励のトーンだったんだけども。

まあそれはそれとしてね、1つ、個人的に聞きたいのはアトキンソンさん日本学っていうことでオックスフォードで日本を選んだ。中国でもなく韓国でもなくインドネシアでもなかった。そのアトキンソンさんを惹きつけた魅力。これは、なんとなくちょっと褒められるのが好きなユーザーにもね、言ってほしいんですよ(笑)。

いろんなことがあって、どんな国にもやっぱり欠点や長所があるんですけども。アトキンソンさんから見て、日本の文化とか、日本人の立ち振舞とか、中国、韓国、他のアジアと違うとか。そんなところはありますかね?

アトキンソン:自分としてはですね、最初に日本の文化と歴史だとかですね、あとは日本人と個人的に接すると、非常になんていうんですかね、親しみやすいっていいますか。素晴らしい昔の不器用的なのかなんなのかわからないんですけども。

ああいうのがイギリスにない、温かい接し方ってあるじゃないですか、友達に。それは今の観光立国もそうなんですけども、ものすごいきれいな景色があったりとかいろんなところがある。自分としてはインフラが素晴らしい、それで惹かれてきたんですけども。

この国はですね、残念ながら希望と絶望の国だと思うんですよね。

山本:希望と絶望の国(笑)。はい。

アトキンソン:だから個人的に付き合ってですね、もうこんなに素晴らしい国はない。だけど、僕はもともと銀行にいました。けれど、銀行の頭取たちに会って、もう絶望するあまりですね。

山本:(笑)。

アトキンソン:「なんでこういうふうになるの」「なんでこういうことを言うだけなのか、やるべきことやりゃいいじゃないの」と。だって、社員がかわいそうじゃないですか。たった10年前で日本人1人当たりの生産性が高いのは、アジアでダントツでトップ、ということはですね、給料もダントツでトップなんですよ。

今、シンガポールの平均給与が日本人の1.8倍なんです。このままでいきますと、来年か再来年ぐらいで韓国より下にいって、5番目になっちゃうんですよね。

山本:なるほど。

アトキンソン:そうすると、あんなに一生懸命に働いている、あんなに学校ですごく勉強してきた。そして人間関係が抜群に素晴らしい人間関係の国なのに。なんで、この程度のことで悔しくないの? と、いつも思いますよ。そういう意味で、そこの部分はなくなっちゃえばですね、この国はもう天国だと思いますよ。

日本にはポテンシャルがある

山本:最後にすごく良い言葉をいただきました。それだけのポテンシャルはある。ただ、今日の話の中でアトキンソンさんが数百年の歴史を持つ小西美術、超絶職人もいると思うんですよ。でも描きながら消していくって、やっぱりすげえなって思ったの(笑)。

アトキンソン:(笑)。

山本:あとねアトキンソンさん、私、草津温泉生まれなんだけど。子供のころ、いつも家が温泉を引いてたんですね、草津温泉で。湯元があったから。そこで壊れると、必ず来て直してくれる大工さんがいて。この大工の親方がすごくて、うちの母親がお茶を出してタバコを吸ってるうちに、頭の中で図面を書いて。

アトキンソン:ああ、そうですね。

山本:それでなんかね、図面ないんですよ。こんな、なんかこうただの、なんていうのかな2枚ぐらいの図面で、ほとんどぴったり頭の中で考えてくっつけるって、こういう器用さもけっこう、たしかにもしかしたらデータがあるのかよくわかんないけど。

いやなんか、石井さんていう人だったんですけど大工の、なに考えてんのかなって思ったら「あそここうやればいいんじゃないか」っていうと、ピッタリ!

アトキンソン:そう。

山本:これはなかなかすごいなと思いますよね。

アトキンソン:うちの小西美術もね、自分も。自分社長になったっていうのもあれなんですけども(笑)。

山本:(笑)。

アトキンソン:最初、なんかもうどうなってるのは、けっこうすごかったんです。ただですね、自分が社長になっていてですね、自分云々ていう話じゃないんですけども、そういうこと言ったって、やるべきこときちんとやんなさいよって言ってですね。残念ながら非正規にされてる人も全員こうやって正社員に戻したりとかですね。

山本:素晴らしい。

アトキンソン氏「きちんとやれば、この国はとんでもない力を発揮します」

アトキンソン:自分はなんか厳しく忠告して、終わってないのにすでに剥がれてきてるとかこういうものけっこうあったんですよ。そういうのはもうすべて無償で直しなさい、と。それは誰にも見えないんだからどうでもいいんじゃないとか、手抜きしてるとかあったんですよ。

「いや、神様のためにやってる仕事だから」「人間に見える見えないとかどうでもいいんだ、全部やれ」って言って。

そうするとですね、やはりかなり危険な状態だった会社、だからこそ外国人の社長なんでしょうけども。危険的なところあったにも関わらず、たった4〜5年ぐらいで「やることきちっとやれ」って言うだけでころっと変わってですね。入れ替えなきゃいけないのかなと思っていたんですけど、きちんとした形でやってもらうことになったことによって、あっという間に全部戻ったんですよ。

今もうこう(下降)だったのがこう(上昇)なっていて。

忘れられないんですけども、新年会に行ってですね、お葬式に参加してるようなもんだったんですよ。その全社員の新年会でしたが。

そこで、次から次へ若い人いっぱい入れてみんなとにかくいい仕事していきましょうって言って、お客さんの方から信頼が戻ってきて売上が増え出して、全員、毎年少しずつその給料上げていくような形になってったら、日光で新年会やるとですね、「もう来年は来なくて良い」って(笑)。盛り上がりすぎて。

山本:ああ、そう!(笑)。

アトキンソン:あまりにも明るくて(笑)。だからそういうものはですね、こう(下降)なってるものは、考え方と目標を変えることによってこう(上昇)なるもんだってのは、自分としては会社でも実感してます。

そういうことに関しては、かつての不良債権問題、今現在の観光立国でもですね。たった3年間で800万から2,400万。これは奇跡的な伸びなんですよ。

だからやれば。

山本:すごいですよね、2,400万人ですからね、もうね。

アトキンソン:すごいですよ。だからね、きちんとやればこの国はとんでもない力を発揮します。ぜひとも、言うのあれですけど、安倍政権で「あっち行け、こっち来い」みたいな感じでですね、パーッと方向を示して、それでみんな頑張ってやりましょうと。観光戦略の次として経済全体を同じように、ある意味で復活だと思いますけども。

すべて再生していけば、そりゃもう、人口がそんなに増えない中で生産性をあんなに高くしたんだから、もう成長は難しいんですよ。だけど、日本はあんな低いんだからね、みんな伸びない中で。

アトキンソン氏の、日本への愛

山本:逆に言うと生産性だけで伸びしろがそれだけあるってことですね。

アトキンソン:もうすごいんですよ。世界で「え、あの国って終わったんじゃないの」「衰退していくだけじゃないの」「人口が減っているのに、いきなりにGDPが毎年増えていって!」と、もう1回、80年代みたいに世界をびっくりさせるような実績を示していけば素晴らしいなと思います。

山本:いやー、最後にアトキンソンさんの言葉、日本に対する愛を感じましたですね。

とにかくアトキンソンさんの会社、日本にたった1つかない、きっと世界に1つしかないクールジャパンなんでぜひこれですね。がんばって続けていただければと思います。あちこち引っ張りだこだと思いますけども、ぜひまた来ていただいて。この次の本が出る頃に、また。

アトキンソン:よろしくお願いします。

山本:ちょっとゆるい番組だったんですけども。今日はですね、デービッド・アトキンソンさんに来ていただいて、1時間以上に渡って日本再興戦略、秘訣についていろいろ語っていただきました。

本当に今日はありがとうございました。

アトキンソン:ありがとうございます。

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