2024.10.10
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マニー・パッキャオ氏 記者会見 日本外国特派員協会(全1記事)
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マニー・パッキャオ氏(以下、パッキャオ):主催者のみなさま、日本のみなさま、政府関係者のみなさん、そして海外メディア、国内メディアのみなさん、前回、この日出国(ひいずるくに)に来日してから1年余りたちましたが、またここへ戻ってくることができて大変うれしく思います。
昨年は毎年恒例となっているフィリピン関係のフェスティバルへのお招きによる来日でした。しかし今回はフィリピン以外、海外初となる「パッキャオジム・トーキョージャパン」の設立記念で来日いたしました。
ここで1人ご紹介したいのですが、縣祥浩さんというアントレプレナーの方で、彼がここ日本の東京でボクシングジムを開設してくださいました。
今回、日本とフィリピンという国同士の強い絆を感じることができましたが、それ以上にフィリピン人と日本人とがいかに近しいかを実感しているところです。
日本では、野球とサッカーに人気があると聞いています。しかしこの度パッキャオジムを開設しましたので、これをきっかけにプロボクシングも人気の高いスポーツになって欲しいと思いますし、ボクシングへの情熱をもった日本人が増えることを心より祈っています。
なぜ私が日本のみなさんにもプロボクシングをおすすめしているかというと、まずフィリピン人と日本人は体格が似ている。体の構造がほとんど同じだと思うからです。もしかして次のマニー・パッキャオは日本から誕生するかもしれません。これは本当に可能です。
実は、ボクシングというのは私のような中肉中背の体格の人間にぴったりのスポーツだったりします。その結果、私自身も8階級制覇をすることができましたから。もちろん1つの階級のなかで大きな体格の相手と対峙するかもしれません。だけどもこちらもより強く、より素早く攻撃を仕掛けられるよう鍛えていくことによって勝つことは可能であります。カギは準備期間中に規律正しく鍛え上げるということです。
振り返りますと、1952年に後楽園球場で白井義男さんが、ハワイのダド・マリノに対して判定勝ちしました。これを45,000人に近いファンのみなさんが見届けていたわけで、白井義男さんは日本で初めてプロボクサーとして世界フライ級の王者になりました。そしてこの後に続いた日本人ボクサーもたくさんいらっしゃいますよね。
日本とフィリピンを比べますと、テクノロジーなどの分野で日本は最先端を走っていらっしゃいますが、ボクシングにおいても日本はフィリピンより先進的です。日本ボクシングコミッションが設立されたのは1952年。そしてまた日本初のボクシングジム「メリケン練習場」ができたのは更に1896年までさかのぼります。
これはフィリピンがスペイン植民地から独立を果たす2年前にあたる大昔なのですが、それにもかかわらず、まだ日本からマニー・パッキャオは生まれていないのです。
(会場笑)
母国フィリピンにおいて、私はフィリピンのボクシングコミッションを設立すべくそのための法律を今スポンサーしているところです。これによって、フィリピンで一番人気のバスケットボールに続いてボクシングにも注目が行くように願っています。
ただ、みんなが情熱を注いでいる国民的スポーツバスケットボールに対して、ボクシングは2位なんですよね。ですから私は、このフィリピンボクシングコミッションを設立することによって、もっと多くのマニー・パッキャオを生み出し、最終的にはオリンピックにおいて母国に金メダルをもたらしたいと思っています。
そして日本では「パッキャオジム・トーキョージャパン」を開設しましたので、これをきっかけにますます日本とフィリピンの強いパートナーシップを促進してまいりたいと思っています。とくにボクシングを中心として、そして私自身日本のボクサーのみなさんのトレーニングと開発をお手伝いしたいと考えています。
日本のみなさんは非常に規律正しくてとても一生懸命トレーニングを積まれます。なので日本版マニー・パッキャオの誕生はさほど難しいことではないと思っています。
正直な感想を申しますと、この日本という国の美しさ穏やかさそして清潔感がとても好きです。しかしなによりも私が憧れるのは、日本人のみなさんの礼儀正しさ、そして親切なところ、相手を敬うところや品の良さであります。フィリピンのリーダーたちも、ぜひ日本人の美徳を学び真似て自分のものにしてほしいなと願うばかりです。
(日本語で)アリガトゴザマシタ。
(会場拍手)
記者1:パッキャオさん、北京ダックはおしかったですか?
パッキャオ:大好物です!(笑)。
(会場笑)
記者1:大統領について3つ質問させていただきます。1つ目は、ドゥテルテ大統領に対する評価を上院議員としての立場として伺いたい。
パッキャオ:私はドゥテルテ大統領を施策も含めとても尊敬しております。なぜかというと、フィリピンの歴代の大統領のなかで、彼は初めて麻薬撲滅のために徹底的に戦うと表明したからです。これによってクリーンで調和のとれた平和なフィリピンが訪れることを願っています。
記者1:2つ目は、アメリカのドナルド・トランプ氏に対する上院議員としての評価を伺いたい。
パッキャオ:アメリカ国民のみなさまの選挙による意思決定を尊重いたします。個人的にはとくにコメントはございません。
記者1:3つ目は、将来ご自身が大統領になるというような夢はお持ちでしょうか。
パッキャオ:私自身が大統領になるということは一切考えておりません。現在の上院議員としての私は、ドゥテルテ大統領と緊密に連携をとって、麻薬撲滅運動を徹底的に行うということを含め、大統領の施策をしっかりとそばで支えていきたいです。
記者2:パッキャオ氏自身の麻薬撲滅への関与や経験はいかがですか。
パッキャオ:若いときに友人が麻薬を使っていて、私にも「試してみないか」というような声はかかりました。そして試しましたが、それはよくない、好きではないということを痛切に感じたのが15歳16歳の時でした。個人的に好きではありませんし、必ず撲滅するべきものだと考えています。だから今の私の仕事のなかでも強くそう感じています。
記者3:ピープルズ・チャンプ・ムーブメント(以下 PCM)に関して、パッキャオ氏は自分のルーツから離れずルーツに忠実に生きてゆく必要があるというお話を聞いたことがありますが、貧困から脱するという幼少期からの体験を含めその後キャリアを花咲かせました。そのことから始められたPCMについて具体的にお聞かせください。
パッキャオ:私は今政府で働いています。公僕として上院議員に任命される前からPCMという活動を通じて人々を助けようとしてまいりました。
例えばお金がなくて家を建てられない家庭には住宅ローンを授けたり、奨学金を子供たち授けることによって学校に行けるようにしたり、ヘルスケアで病院の支払ができない方がたのための資金を、といった活動を展開してまいりました。
記者4:YouTubeのクリップのなかで、パッキャオ氏がガソリンスタンドで給油しようとするだけで人だかりができていましたが、プライバシーを確保したいと思ったことはありませんか?
パッキャオ:はい、確かに1人になりたいときはあります。家族と一緒にプライバシー侵害をされることなく過ごしたいと感じるときはありますが、母国フィリピンでは非常に難しいことで、どこへ行っても人に「マニーだ!」と言われてしまいます。もう誰も私のことを知らない国に行きたいなと思うぐらいです。
記者5:気晴らしや余暇はどのように過ごされていますか?
パッキャオ:そういった時間は残念ながらないですね、朝早く起きて上院議員として議会のヒアリングに行き、15時からセッション参加、それからジムへトレーニングをしに行って体を鍛える、といった生活を繰り返しています。
私にはボクシングに対する情熱がありますし、ボクシング人生という旅路をこれからも続けてゆくつもりであります。
プロボクサーとしてこれを追求するとともに、上院議員としての仕事もあり、これらを両立させることは容易ではありません。難しいですがそれを楽しんでやっています。
この2つの使命を担うことがハッピーだと感じております。あとはこれを規律正しくフォーカスを続けてゆくことだと思います。
記者6:キャリアも終盤に近付いてきているボクサーとして、もしくは政治活動について、どのようなかたちで人々の記憶に残りたいですか?
パッキャオ:どちらでもありません。私は神に仕える人としてインスピレーションを神よりいただきました。それによって今日までの活動ができました。活動というのはボクシングであり人々への手助けであります。
ボクサーとしてなにを制覇したかとか、政治家としてなにを行ったかといった具体的なことではなく、マニー・パッキャオはインスピレーショナルな人である、そしてそれは神のおかげであるというふうに覚えておいていただきたいなと思います。
記者7:信仰心のあついパッキャオ氏として、ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅の戦い方についてしっくり来ていないなど思うところはあったりしますか?
パッキャオ:いえ、ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争のなかで強く戦っていくというこの活動をしっかりと支えてゆくつもりです。
みなさんが想像している以上にフィリピンにおける麻薬の問題は非常に劣悪な状態でありまして、そんなに簡単に一掃できるようなものではありません。確かに大胆な手法はとっていますけど、私は必要であると考えます。
というのも、選任された政治家や公務員のなかにも麻薬組織になんらかの関係がある人物もいるくらいですから。
記者7:華やかな復帰戦でカムバックされたわけですが、いつ〆をなさるおつもりですか?
パッキャオ:わかりません。今は、昨年の引退以降非常にさみしい思いをした中で「まだやれるか?」と自問自答した結果「イエス!」とカムバックしたばかりです。だからこの先いつ終わるのかということはわかりませんし、今は考えてもいません。
記者8:最後に、フロイド・メイウェザーとの再戦はありますか?
パッキャオ:引退した彼のカムバックの可能性はなにも聞いていません。それどころか私の次の戦いが、いつどこで誰とになるのかも決まっていないので、ひたすら上院議員として忙しい毎日を過ごしている次第です。
みなさんありがとうございました。
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