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「日本・ノルウェーのオフィスワーカーの働き方を考える」セミナー(全7記事)

“働きがいのある会社”には政府から「自由すぎる」と警告も–日本×ノルウェー働き方を考える討論会

2016年6月8日、株式会社ワークスアプリケーションズ主催「日本・ノルウェーのオフィスワーカーの働き方を考える」セミナーが開催されました。「日本・ノルウェーの働き方の調査」の解説に続き、在日ノルウェー商工会議所のベルグ氏、リクルートホールディングスの林氏、ワークスアプリケーションズの牧野氏、3名が登壇し、日本生産性本部の北浦氏の進行のもと、パネルディスカッションを行いました。本パートでは、自己紹介を兼ねて、3名の登壇者がそれぞれ自社の取り組みなどを紹介します。

日本とノルウェーの比較から幸せな働き方を考える

司会者:北浦様、どうもありがとうございました。続きまして、パネルディスカッションに移らせていただきます。

まず簡単に、パネリストのみなさまをご紹介させていただきます。

お一人目は、在日ノルウェー商工会議所専務理事、ミカール・ルイス・ベルグ様です。ベルグ様はオーレスン・ユニバーシティ・カレッジをご卒業後、2009年より駐日ノルウェー王国大使館にて働かれ、2010年より在日ノルウェー商工会議所専務理事としてご活躍されています。マガジン『StyleNORWAY』の編集長を務めるなど、ノルウェーと日本の友好関係の構築に尽力されています。

お二人目は、株式会社リクルートホールディングス働き方変革推進室室長、林宏昌様です。林様は2005年に新卒で株式会社リクルートに入社され、2012年には株式会社リクルートホールディングスにて経営企画室室長として、中長期のグループ成長立案などを担当。2016年4月からは、現職の働き方変革推進室室長として、多様な働き方の選択肢を増やし、従業員一人ひとりの能力を最大限発揮できる環境づくりを推進されています。

3人目は弊社代表取締役最高経営責任者の牧野正幸です。

モデレーターは日本生産性本部の北浦氏

なお、モデレーターは先ほど調査結果を解説いただきました、北浦様にお務めいただきます。それでは、ここからの進行はモデレーターの北浦様にお願いいたします。北浦様、よろしくお願いいたします。

北浦正行氏(以下、北浦):みなさま、改めまして、北浦でございます。座って、お話をさせていただきます。

これからはディスカッションということで、約1時間、この調査結果を元にいたしまして、いろんな角度から議論していただきたいと思います。

最初に、ご出席の方々から自己紹介をいただいて、その上で、いくつかの論点について、パネラーの方々のご意見を頂戴したいと思います。その上で、最後15分くらい時間がとれると思いますが、今日ご出席のみなさま方からご質問をいただきたいと思っております。では、そのような段取りで進めてまいります。

それでは、それぞれのご出席の方々から、順序といたしましては、ベルグさん、林さん、牧野さんの順序でお願いしたいと思います。それぞれご発表いただく、そもそも自己紹介も含めてでございますが、労働生産性の考え方なども含めて、少しお考えになっていることがあれば交えて、1人5分程度ということで、よろしくお願い申し上げたいと思います。それでは、ベルグさんからお願いいたします。

2国のビジネス、働き方の違いに触れて

ミカール・ルイス・ベルグ氏(以下、ベルグ):よろしくお願いします。在日ノルウェー商工会議所のベルグと申します。片言の日本語で失礼いたします。

私どものノルウェー商工会議所には現在49社が所属しておりまして、私は日々、多くの日本の市場におけるノルウェー関連企業と接しています。そのノルウェーと日本の間で、日々コミュニケーションなり取引なりにつきまして、この2つの国の間のビジネス、働き方の違いがいろいろあります。そこの観点から、私もコメントさせていただきたいと思います。

経験をシェアすることでスマートな働き方を探る

私の商工会議所は、いろんな面でノルウェー関連の企業をサポートさせていただいておりまして、主に企業の間、日本の市場に進出して営業活動をしているうえで経験を積んだところ、お互いにその経験をシェアするというところで、スマートな働き方を探る。そういうマネジメントフォーラムが頻繁に行われまして、それがすごく企業のためになっているというリポートがあります。このような経験をシェアすることで、スマートな働き方にたどり着くことが、非常に、今後とも必要になると思います。

それで、私、こちらのノルウェーを対象とした調査があるということを知りまして、非常に興味深く拝見させていただきました。我々のノルウェーをそういう対象にしていただけるのは非常に光栄であります。このパネルディスカッションのなかでなにか参考になることがあればと思います。

ノルウェーは、先ほど紹介があったなかで、生産性が高い国という数字が出たんですけども。私の役割としては、その数字とは具体的になにかということについてコメントをしていければと思います。特徴などは、後ほど解説させていただければと思います。よろしくお願いします。

「Follow Your Heart」に込める思い

北浦:ありがとうございました。それでは林さん、よろしくお願いいたします。

林宏昌氏(以下、林):リクルートホールディングスの林と申します。昨年の4月から、「働き方変革プロジェクト」というものを立ち上げまして、1年経ったこの4月から働き方変革推進室ということで正式な組織になり、進めてきています。

簡単にご紹介させていただきたいのは、一民間企業として働き方をどのように変えていくのかということを、簡単にお話できたらと思っています。ここの前に書いてあるスライドですね。去年の10月にオフィスを変えたんですけれども、ここに「Follow Your Heart」と書いてあります。

我々の会社が掲げている世界観というところで、一人ひとりが実現したい人生を実現できるようにサポートしていくことができる会社であろうということを言っています。玄関を入ったところにこれを掲げたのは、働き方も同じような状況でありたいと。次の働き方というのを経営が、あるいは僕が決めて、こういう働き方をしてほしいと言うのではなくて、一人ひとりが考える。どんな人生を送りたいのか、どんな働き方をしたいのかということを描いてもらって、それそのものを実現できる会社でありたいということで、「Follow Your Heart」というのを掲げさせていただいております。

働き方革命の目的はイノベーション

次のスライドを見ていただきまして、我々が働き方変革を目指す目的なんですけれども、当然、生産性ということもありますが、最終的にはイノベーションを起こすために働き方変革をしていこうということで、掲げています。

(スライド図を指して)一番内側は、これまでリクルートは性別とか年齢とか、あるいは学歴とか、そういうことにとらわれずに、活躍できる人たちをたくさん生み出してきたし、時間というものに対しても、フレックスというものをかなり早い段階から取り入れてきました。

けれども、改めて今回、働く場所を解放しようというのが1つの挑戦の大きなテーマ。もう1つは、先ほどからの話にも出ていますけれど、ICTを活用しながら、対面で同じ場所でやっている仕事を代替できるのかという、ここに挑戦をしていきたいと思っております。

それで、従業員の満足度が高まっていくということが働き方を変えていくことの一番内側にあって。リクルートの人たちが、よりモチベーションが高まり、エネルギーが高まっている状態で、我々の顧客のみなさんと接する。そのなかで生産性を高め、働き方を僕らが変えることで顧客のみなさんがよかったと価値を感じていただくことが、次のフェーズだろうと。

そういう多様な人たちが、コラボレーションとかコミュニケーションを遠隔でもいつでもどこでも誰とでもいかにやっていけるのかという、そういう考え方のなかで、イノベーションを起こしていこうじゃないかと考えています。そういう目的とステップで進めていけたらいいなと思い、今1年を進めています。

リモートワークの際に重要なセキュリティ対策

まだまだ1年でございますので、具体的にこの1年でどう進んだのかということをお話できればと思います。グループ3万人を超えていますけれど、そのヘッドクォーターの700人から変えていこうということで、設定しています。

先ほど申し上げましたように、4月に働き方変革プロジェクトというものを立ち上げまして、そこでこのあとリモートワークを活用していこうというときに、大事なのはセキュリティのポリシーをしっかり分けないといけないということでした。当然、個人情報みたいなものはしっかりネットワークも分けて、分担した上で、外に持ちだしていい情報というのを切り出して。それを決めたのが5月。

6月からは持ち出せるようになったりました。そのときの持ち出せる条件というのが、ログがとれるとか、誰がいつどこでどういう情報に触っているのかというのを、これはもうITですけれども、それがないと結局、漏洩するなど、なにかがあったときに対処できないという話になってくるので、そういう前提で持ち出しを認めています。

実際に、手挙げ制でリモートワークというのをフィジビリティでやったんですけれど、1つこだわったのは、「週に3日か4日は会社に来ないで仕事をしてほしい」ということで始めたことがポイントです。

「週に1回、金曜日に在宅してみたらどうか」というやり方でもよかったんですけれども、リモートワークそのものというよりは仕事のやり方そのものを変えないといけない。対面で同じ場所でこれまでと同じプロセスでやるということから変えないといけないと思ったので、「週に3日か4日は家でやってほしい。あるいはカフェでもいいんですけれど、会社以外でやってください」と。

全従業員が対象のリモートワーク規定を導入

そういうことをやりながら、実際に10月にはレイアウトを変えて、よりたくさんの人とコラボレーションしようということで、フリーアドレス制に変え、リモートワークをやってみて9割の人が満足度が非常に高いと。

半分以上の方が、「生産性が非常に高まった」と回答してくれていたので、これはやっぱり進むべき方向としては正しいということを判断し、12月に人事規定をを変更して、在宅勤務規定というのを撤廃し、リモートワーク規定というのを導入して、全従業員が上限なくリモートワークをできるという制度にしました。

そのときに、派遣社員も含めて、基本的にこれは人の欲求とかに任せて、期待して、場所とか時間とかやり方とかも任せるというやり方に進んでいくということで成果が高まると思ったので、派遣社員も含めて全員OKしようと進んできたのがここ1年くらいです。

ただ1年くらいの取り組みですので、スピード感を上げてよい成果を出していけたらいいなと思っています。

今日はディスカッション楽しみにしています。よろしくお願いします。

フルフレックスに取り組むワークスアプリケーションズの事例

北浦:ありがとうございます。それでは牧野さん、お願いします。

牧野正幸氏(以下、牧野):当社はもともとエンジニアを大量に抱えている研究開発型の会社です。現在は社員の3分の1が海外にいるということもあって、リクルートさんもそうですが、先端的にやっている会社さんの事例を受けながらも、我々もけっこうリモートで仕事をせざるを得ない。時差もありますし、そのタイムラグのなかでどうやってコラボレーションしていくのかということで、今、非常にいろいろやっています。

もともと、私どももかなり早くからフルフレックスの裁量労働で、フル自由勤務にしていたんですけれど。この間、フル自由勤務にすると、社員の満足度は高まるんですけれど、労基法の方から、政府から干渉が入ってきて、「自由に働かせるな」という、けっこう厳しいお達しがありました。「ちゃんと管理・監督して、何時まで働いていたのかとか、全部管理しないといけません」というご指導をいただいたりもしました。

「タイムレコーダーを設置してください」政府からの要請

そうすると、私どもの会社の事例で言うと、タイムレコーダーというのはうちの会社にはもともとなかったんです。出勤簿もないと。基本的には出勤しているとみなして、やっていたんですけれども。意外とこれも、ちゃんとタイムレコーダー置かないとダメだなんていう指定もあったりして。「タイムレコーダー置きたくない」と社員からも嘆願書を出して、時間管理なんてされている覚えはないなんてことをやっていたんですけど、行政機関から「それは困るんですよ」と。ちゃんと労働衛生管理上、何時から何時まで働いたか監督してくださいみたいなことがあった。

しょうがないので、今は、ICカードで入退室のログだけは取れるので、なにかあったらこれで、オーバーワークしている人間はいないかとピックアップしますと。個々の人間の働き方とか給料をこれでは判断しません、というやり方を取ったりしているんですけど、働き方については我々もこれから一生懸命考えていかなくちゃいけないなと思います。

今のところ、従業員の満足度は、働きがいのある会社ナンバーワンに選ばれたこともあるように、従業員が思うようにしてきたので。今後はリクルートさんのようなリモートワークの最先端の事例があるので、私も少しリモートワークの方に踏み込みたいと思っています。以上です。

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