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2016年6月1日 東京都議会 舛添要一知事所信表明(全1記事)
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舛添要一氏(以下、舛添):平成28年第2回都議会定例会の開会にあたりまして、都政運営に対する所信の一端を申し述べ、都議会のみなさまと都民のみなさまのご理解ご協力を得たいと思います。
去る3月6日、名誉都民である多湖輝(たごあきら)さんが逝去されました。ここに慎んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
このたび、海外出張経費、公用車利用、そして政治資金などの問題につきまして、都民のみなさま、都議会のみなさまに多大なるご迷惑をおかけしておりますことを、心から深くお詫び申し上げたいと思います。
今回、都民のみなさま方から多くのご批判をいただきましたことは、すべて私の不徳のいたすところであります。ご批判の内容を真摯に受け止め、改めてまいります。
海外出張につきましては、航空機のファーストクラス、宿泊施設のいわゆるスイートルームは使用しないこととし、全体の経費について厳しく見直しを行ってまいります。
随行職員も役割をしっかりと見極め、最小限の体制といたします。公用車の利用につきましては、厳格な運用を徹底して、都民のみなさまの疑惑を招くことのないようにしてまいります。
また、ご指摘をいただいています、知事就任前の政治資金の使途に関わる問題につきましては、現在政治資金規制法に精通した元検事の弁護士により、支出内容を厳しく調査していただいております。この結果は本議会での審議に間に合うよう公表し、ご説明申し上げたいと思います。
ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
今回、お寄せいただきましたご批判はしっかりと心に刻んでまいります。心から深く反省し、まずは早急に十分な説明を申し上げられるように努めてまいります。このたびはたいへん申し訳ございませんでした。
4月、熊本地方を震源とします激しい地震が発生し、大きな被害をもたらしました。亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災されたみなさまに心よりお見舞いを申し上げます。
都はこれまで警視庁東京消防庁の各部隊の派遣をはじめ、医療救護班やインフラ復旧支援隊の派遣、毛布・簡易トイレの搬送など、現地が必要とする支援を着実に展開してまいりました。引き続き復興をしっかりと支えてまいります。
今回の地震では、前震、本震と非常に強い揺れが相次ぎ、その後も異例の頻度で余震が続きました。こうしたきわめて活発な地震活動は、被災状況をさらに厳しいものとしております。
都におきましても、都民・国民、そして東京を訪れる人々の安全・安心を守るため、不断の取り組みを進め、災害への備えをさらにかためてまいります。
先月、福島県を訪問し、浪江町など、被災地の現状をこの目で見てまいりました。内堀(雅雄)知事との会談では、都として復興に引き続き協力していく旨、あらためてお伝えいたしました。
福島県では、再生可能エネルギーを復興の柱の1つと位置づけております。そこで今回、福島の再生可能エネルギーを活用しましたCO2フリー水素の製造・利用を目指し、共同で調査研究を進める協定を締結いたしました。
新たな技術開発や関連産業の振興など、被災地のニーズをふまえた取り組みを進めてまいります。
先週には、九都県市首脳会議で再び福島を訪れ、復興・創生に向けた共同宣言を採択いたしました。今後も九都県市で連携し、国の取り組みをいっそう加速するよう働きかけながら力強く支援してまいります。
さて、リオデジャネイロオリンピック、パラリンピックまであと2ヶ月となりました。アスリートが極限にまで高めた肉体と精神の躍動が、世界に感動を与えてくれることを期待しております。そして、被災地の方々を勇気づける大会となることを、心から願いたいと思います。
東京でもリオ大会の機運を高めるべく、開催100日前には都庁舎と駒沢公園オリンピック記念塔を、ブラジルのナショナルカラーであります、緑と黄色でライトアップいたしまして、大会期間中はライブサイトを区部・多摩に加え、東北の被災3県に設置し、大会を応援してまいります。
大会の熱気あふれるリオの地では、次回開催都市東京をアピールし、2020年大会の期待につなげてまいります。ジャパンハウスの設置や日本の文化を堪能できるイベントの開催など、さまざまな工夫で世界と日本の出会いを演出いたします。
リオ大会旗を受け継ぐハンドオーバーセレモニーにおいても、東京を強く印象づけてまいります。
2020年大会が多くのお客様を迎えるなかで成功を収めるため、この機を捉え、東京と日本の魅力を世界に広めてまいります。
先般、2020年大会のエンブレムが決定いたしました。市松模様をアレンジした日本の伝統が光る藍色のデザインには、大会に向け日本人の心を束ねる力があると思います。
また、今回開催する2019年ラグビーワールドカップのテストマッチでは、全国の開催都市のPRブースを設置するなど、2019年大会の成功に向けた連携を強めてまいります。2つの世界的なイベントを成功させるため、オールジャパンで着実に歩んでまいります。
そして、2020年大会の成功の先に東京の明るい未来を築き上げる。これは後の世代の人々に対して私たちが負っている大きな責任であります。この責任を果たすため、ゆとりある成熟社会を未来に残していきたいと思います。
誰もが生き生きと活躍し、常に活力に満ちながら、富とゆとりを生み出す社会、そこでは暮らしの中のゆとりが生活の質を向上させ、また、新たな活力につながってまいります。そうした好循環が支える成熟社会を2020年大会を跳躍台として実現してまいります。
リオから受け継ぐ大会旗は、まさに大会の成功と、その先の未来に負う大きな責任の象徴であります。強い決意と覚悟で東京の発展につくしてまいります。心に豊かな成熟社会を実現するため、大会成功への道筋を確かに歩み、東京をさらなる高みへと飛躍させてまいります。
選手村につきましては、建設予定地において、道路などの都市基盤の整備に着手し、完成に向けた第1歩を踏み出しました。来月には住宅等などを整備する民間事業者を選定いたします。
また、大会後を見据え、水素エネルギーや次世代型燃料電池など、最新の環境技術を駆使した町づくりの検討も進めます。官民が一体となった強固な推進体制を構築し、着実に取り組んでまいります。
競技会場につきましても、後利用に関する計画の中間のまとめを発表いたしました。アスリートが最高のパフォーマンスが発揮できる環境を整えることはもとより、都民に長く愛され活用されるようなレガシーとしていくために、さらに計画を練りあげてまいります。
2020年大会を文化の祭典としても成功させるため、文化都市東京の魅力を磨き上げてまいります。リオ大会後にスタートする文化プログラムでは、伝統芸能から現代美術まで、東京の奥深い芸術文化を活かしたパフォーマンスなどを展開してまいります。プログラムへの関心を高めるための助成事業も開始いたします。
また、今回国立西洋美術館を含むル・コルビュジエの建築作品の世界遺産登録が勧告され、都内初の世界文化遺産の誕生も目前であります。ますます高まる東京の文化の魅力を国内外に広く発信してまいります。
ホール・劇場の不足への懸念につきましては、先日緊急の取り組みを発表いたしました。今後は新たなに調査部隊を設け、ホール・劇場の長期的なあり方も検討してまいります。
パラリンピックを控えた今こそ障がい者理解を進め、新の共生社会を進めてまいります。先月、銀座中央通りでパラリンピック競技の迫力を体感できるイベント、「NO LIMITS SPECIAL (GINZA & TOKYO)」を開催し、トップアスリートが魅せる力強い技の数々が2万人を超える観衆を魅了いたしました。
今年度からは都内のすべての公立学校でオリンピック、パラリンピック教育を開始しており、体験活動を重視した取り組みやボランティアマインドや多様性を認め合う心を育んでまいります。
今日午前には都内の小学校におきまして、ロンドン・パラリンピックの統合ディレクターを務められましたクリス・ホームズ卿から、パラリンピックの感動を子どもたちにじかに伝えていただきました。学び、体験し、そして関心を高めてもらうことを通じて、パラリンピック大会成功への機運を醸成し、障がい者理解の促進を図ってまいります。
誰もが意欲と能力を存分に発揮し、生産性を向上させ、ワークライフバランスをしっかりと実践する。そこから生まれる活力とゆとりこそが東京をさらに進化させていきます。そうした認識の下、すべての都民が安心して活躍できる社会を作りあげてまいります。
先月政府が示しました、日本一億総活躍プランにおきましては、待機児童対策として、保育の受け皿整備や保育所の処遇改善など、現在、都が進めている施策は盛り込まれました。引き続き国や区市町村と連携しながら取り組みを進めてまいります。
また副知事をトップとした検討チームを設け、保育サービスの整備目標の引き上げや、さらなる施策の充実も検討してまいります。加えて、国家戦略特区の活用により、公園への保育所設置では、今後の計画も含めますと、約1,000人の定員を確保することになります。こうした取り組みをさらに拡大してまいります。
高齢化社会への対応では、先般地域包括ケアシステムのあり方について、最終報告が取りまとめられました。介護サービス基盤の整備をはじめ、認知症対策、介護人材の確保・定着支援など、幅広い施策を展開し、高齢期を迎えても住み慣れた地域で安心して生活できる体制を整えてまいります。
それは将来の不安を取り除き、都民一人ひとりが生き生きとした活躍を引き出すことにもなると思います。高齢化社会の課題に正面から取り組み、成熟社会における持続的な活力を生み出してまいります。
女性の活躍もさまざまな観点から進めてまいります。昨年度公表しました、自治体初の「(東京都)女性活躍推進白書」ではすべての女性が輝く社会を目指した取り組みの方向性を提言いたしました。
これを実現していくため、先週シンポジウムを開催し、私もパネリストとして、議論に参加したところであります。
今年度末には、女性活躍推進計画を策定し、具体的な施策を打ち出します。すぐに着手できるものは計画策定を待つことなく、リーディングプロジェクトとして先行実施いたします。
また、家事の負担を軽減することは、女性の活躍を推進する1つの有効な手段であります。家事支援サービスの担い手の拡大に向け、主婦や高齢者が持つ経験とスキルを活かしてまります。
さらに、特区による外国人の人材の活用につきましても、先行する神奈川県や大阪市の事例を参考にしながら検討していきたいと思います。
貧困の連鎖や格差の拡大も食い止めなければなりません。非正規雇用対策では、都は昨年度目標を超えます5,161人の正規雇用化を実現いたしました。今年度からは社内での正規雇用転換を後押しする助成制度を大幅に拡充しております。
こうした支援サービスをワンストップで企業へ提供するための窓口も国と連携して開設いたしました。企業の取り組みを加速し、さらなる正規雇用化を目指してまいります。
望まぬ非正規雇用へとつながりかねない不登校・中途退学にも対処してまいります。これらの背景には、学校での状況や家庭環境など、さまざまな課題があげられ、教育・福祉・労働といった幅広い分野における対応が求められます。
そこでソーシャルワーカー等からなるチームを設置し、関係機関と連携した支援を展開してまいります。
さらに、不登校の児童・生徒を支援する教育支援センターの機能強化につきまして、新たに有識者会議を立ち上げ、検討を開始しております。これらを通じて、学校への復帰や将来の社会的自立に向けた支援を強化してまいります。
続きまして、都民の安全・安心の確保について申し上げます。昨年度末、都の災害対策の土台となります「首都直下地震等対処要領」、耐震改修促進計画、防災都市づくり推進計画を改定いたしました。
被害軽減のポイントとなる初動対応の強化を図るほか、災害に強い町づくりをより迅速に進めてまいります。防災ブック「東京防災」の活用や年4回の防災訓練などを通じて、自助共助の力を確実に高め、ハード・ソフトの両面から東京の災害対応力を向上させてまいります。
テロ対策も引き続き強化してまいります。昨年のパリ、今年のジャカルタやブリュッセルなど、首都を狙う卑劣なテロが相次いでおり、東京においても予断を許しません。
先般、羽田空港で視察した警視庁のテロ対策部隊は24時間体制で警備にあたりました。銃器対策や爆発物処理など、実践的な訓練も重ねております。
先日の伊勢志摩サミットの際は、都内でも警戒態勢を強化いたしました。警戒活動や訓練を通じて得られた知見を活かし、テロの抑止力を高めてまいります。
サイバー空間の安全も確保しなければなりません。警視庁の設置したサイバーセキュリティ対策本部では、サイバー攻撃等の最新手口の分析や人材育成などにより対応力を強化しております。
また、官民一体で立ち上げた「東京中小企業サイバーセキュリティ支援ネットワーク」による取り組みを通じて、人材や資金面での制約から対策が不十分になりがちな中小企業への支援も着実に進めてまいります。
感染症につきましては、ジカ熱への不安が高まっております。蚊の病原体保有調査ではデング熱などに加え、ジカ熱のウイルスも対象といたしました。暑い熱を控え、対策を万全に講じてまいります。
日本の未来を牽引する、常に活気あふれる都市であり続けるため、持続的な経済成長に向けた施策も充実させてまいります。
昨年、東京は1,189万人の外国人旅行者をお迎えいたしました。さらなる誘致に向け、世界中の注目が集まるリオデジャネイロにおきまして、「&TOKYO」を活用した東京ブランドのPRを展開いたします。
世界中からランナーが参加する東京マラソンも、神田・日本橋・両国を駆け抜け、東京駅をバックにフィニッシュする、歴史と文化をよりアピールできるコースに変更いたしました。さまざまな機会を捉えて、観光都市としての魅力を強く印象づけてまいります。
「(東京都)観光産業振興アクションプログラム2017」については、先日素案を公表いたしました。今後の取り組みの方向性として、水辺の賑わい創出や多摩・島しょ地域の自然の活用などを例示しております。
先週には、区部唯一の蔵元であり、その立地の特性を活かして、地元の観光振興に取り組む酒造会社を視察いたしました。こうした地域の活動も参考にしながら、有識者とさらに議論を重ね、11月を目途に公表する中間のまとめにおいて、素案の内容を具体化してまいります。
舟運の活性化も進めてまいります。ロンドンやニューヨークの例を見ましても、舟運で都市の活力を高めるには人々を惹きつける工夫や利便性の向上が不可欠であります。
昨日決定しました「舟運活性化パートナー」が持つ民間のノウハウを発表し、多くの人に親しんでもらえる環境整備を図ってまいります。
舟運は、通勤通学の足や災害時の救出・救助・物資運搬の手段としても活用が可能であります。国の事業とも連携して互いの取り組みを進化させながら、水の都東京にふさわしい観光交通手段として定着させてまいります。
伝統の技から最先端のテクノロジーまで、東京が誇る優れた技術は大いなる可能性を秘めております。
東京の伝統工芸の新たな価値の創造を目指す「東京手仕事」プロジェクトでは、職人の歴史ある技とデザインへの感性が融合した商品が数多く生まれております。こうした商品を通じて卓越した技術を世界広く発信し、新たな市場を切り開いてまいります。
先端技術につきましては、先般、中小企業のロボット開発の支援拠点となります「東京ロボット産業支援プラザ」を開設いたしました。現地の視察では、相手の動くペースに合わせて案内を行うロボットの高い性能にふれました。この分野の将来性を確信いたしました。
また、都心と臨海部を結ぶBRTには滑らかな加速・減速や、停留所への隙間のない停車など、安全で快適な運転をサポートする自動走行技術の導入を目指してまいります。その実現に向けて相互協力に関する覚書を内閣府や民間事業者と締結いたしました。
ロボットや自動運転といった最新の技術は、介護現場の負担軽減や買い物弱者対策など、少子高齢化が直面する課題のも幅広く応用が可能であります。明るい未来を支える技術の開発をしっかりと後押ししてまいります。
東京を国際ビジネスの拠点としてさらに活性化させてまいります。先月、国家戦略特区の区域会議で、都が提案しました6つの都市再生プロジェクトは了承されました。
国際金融センター構想の中核となります、大手町から兜町にかけて、今後金融機能のさらなる集積が図られます。さらに外国の金融系企業をサポートする「金融コンシェルジュ」サービスを展開するほか、12月を目途に国際的な金融会議を開催する準備も進めております。
監査監督機関国際フォーラムの常設事務局が東京に設置されることも決まりました。高度な人材や情報を海外から呼び込み、金融分野における東京のプレゼンスを向上させてまいります。
今回の区域会議により、トップを活用した都内の都市再生プロジェクトは合計で28となり、その経済効果は10兆円を超えると見込まれております。今後も拡大し、民間事業者、地元の人々の知恵と工夫も活かした、機能的かつ魅力的な町づくりを進めてまいります。
また、医療分野におきましても、都内の3つの病院における革新的医療機器の早期開発に向けた計画が了承されました。ライフサイエンス産業のさらなる発展につなげていきたいと思います。
そして、金融機関やライフサイエンス関連企業が集まる、東京駅周辺エリアを国際ビジネスの最前線「東京グローバル・ビジネス・フロント」と位置づけ、世界で一番ビジネスのしやすいショーケースに進化させてまいります。
東京の成長を支える都市づくりにおいて、羽田空港の機能強化はきわめて重要であります。発着枠の拡大を目指した飛行経路の見直しについて、国は夏までに環境影響に配慮した方策を策定することとしております。
都は引き続き、地元が懸念する騒音、安全性について十分対応することを要請するとともに、機能強化に向けた競技が円滑に進むよう、積極的に協力してまいります。
4月には、2030年頃を念頭においた東京圏の都市鉄道のあり方について、国の指針が公表されました。整備を優先的に検討すべきとして、都が提案しました5つの路線はすべて国際競争力の強化、あるいは地域の鉄道網の充実に質するプロジェクトとして、位置づけられております。
今後、この内容をふまえ、国や区市町村、鉄道事業者など関係者と連携し、鉄道ネットワークの充実に取り組んでまいりたいと思います。
都市づくりに必要なのは、時代の大きな流れを捉え、20年先、30年先を見つめる目を持つことであります。
先月には、2040年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋について、都市計画審議会の調査特別委員会から中間のまとめが公表されました。秋に予定されております答申を待ち、ブランドデザインを反映していくことで、明るい未来への展望を示してまいります。
持続可能な発展に向け、地球環境に配慮した組織経営は今や世界の大都市に課せられた責務であります。昨年度末に策定した新たな環境基本計画では、温室ガスの排出量削減や再生可能エネルギーの利用割合について、国を上回る高い目標を掲げました。
達成のための1つの鍵となるのは水素エネルギーであります。燃料電池自動車の普及や水素ステーションの整備を強力に後押ししてまいります。
来月には水素への理解を深める情報発信施設「東京スイソミル」もオープンいたします。大会用の選手村に導入する家庭用燃料電池など、活用の機会も広げながら、水素を都民の身近なエネルギーとして定着させていきたいと思います。
地球規模の環境問題の解決は国際的な連携なくしては実現できません。都はC40、ICLEI、コンパクト・オブ・メイヤーズなど環境問題にともに挑む国際的ネットワークに参加しております。先月にイクレイ(持続可能性をめざす自治体協議会)が創設した大気汚染に取り組む東アジアクリーンエアシティにも加盟いたしました。
C40は低炭素都市の実現のモデルとなる開発を認証するプログラムを実施しており、JRの品川車両基地跡地開発が、日本で初めてこれに参加しております。今後とも技術的な協力を行ってまいります。
また、気候変動対策と国際金融の関係に着目した、新たな取り組みにつきましても、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏と意見交換を行ってまいりました。国際的なつながりのなかで互いの経験やノウハウを共有し先駆的な施策を展開することで、環境問題の解決に向けてリーダーシップを発揮してまいります。
東京が将来に渡り世界と伍して発展を続けるためには時代を担う若者の国際化も喫緊(きっきん)の課題であります。先般、ミュリエル・バウザーワシントンD.C.市長と相互の学生交流を進めることで意見が一致いたしました。
本定例会に提案しております、公立大学法人首都大学東京にかかる中期目標でも、グローバル人材の育成を柱の1つに掲げております。国際感覚や幅広い教養を備え、変化の激しい時代を柔軟に生き抜くことができる力を育ててまいります。
また、今月開催します総合教育会議では、2040年代を見据えてた教育のあり方について、教育委員会と意見交換を行います。未来の東京を支え、牽引する人材の育成に向けて、さまざまな観点から議論を深めていきたいと思います。
これまで明るい未来に向かって東京を飛躍させるための施策につきまして、申し述べてまいりました。
私の使命は、これらの一つひとつを結実させ、都民のみなさまに「東京に暮らしてよかった」と実感していただくことであります。生き生きとした暮らしの中から生まれる活力を原動力に、子や孫の世代においても発展を続ける東京を実現したいと思います。
最後にあらためまして、私のこのたびの問題につきまして、深くお詫びを申し上げます。都政を託していただいた都民のみなさまとともに、都政を担う都議会のみなさまの信頼を損なうこととなりましたことは、誠に慙愧(ざんき)の念に耐えません。
真摯に反省し、問題にしっかりと対応してまいります。信頼の回復は一朝一夕にできるものではないことは十分承知しておりますが、一歩一歩地道に都政の発展に努力し、都民のみなさまにお応えしていきたいと思います。
多大なるご迷惑をおかけいたしましたことを重ねて心からお詫びを申し上げます。このたびは誠に申し訳ございませんでした。
なお、本定例会には、これまで申し上げたものも含め、条例案9件、契約案11件など合わせて25件の議案を提案しております。よろしくご審議をお願いいたします。以上を持ちまして、私の所信表明を終わります。
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