2024.10.10
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厚切りジェイソンスピーチ(全1記事)
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ジェイソン・ダニエルソン氏:ハロー! ハーイ! 元気ですか? たくさんの叫び声が聞こえますね。
(会場を見渡しながら)あちらのみなさまは大丈夫ですか? カメラの調子もよいでしょうか? 掲げて手が疲れていないでしょうか。
私はジェイソン・ダニエルソンといいます。誰か私をご存知の方はいらっしゃるでしょうか? ジェイソン・ダニエルソンですよ、少しご存知? その男性お一人だけでしょうか? どうもありがとうございます。
時々日本のメディアは私を「厚切りジェイソン」と呼ぶんですが。本日ここ(SLUSH ASIA)でお話しされたほかの方たちと私のバックグラウンドは少し異なるかもしれません。
簡潔に言ってしまいますと、とくにここにいる、素晴らしい偉業を成し遂げられた方と比べると、私はまったくもって特別な人間ではありません。私はただ単に自分の人生を生きてきただけで、自分のやりたいと思ったことに挑戦してきました。
あることはほかのことより上手にできたりして、気付いたらテレビにも出させてもらっていました。まあ、自分のやりたいことをやってきたまでです。
簡単に自己紹介をさせていただきます。私には2つの顔があります。1つは「テラスカイ」という会社に所属しています。クラウドのコンピューターの会社で、セールスフォース・ドットコムと提携して業務を行っております。日本では10年前に始まりました。今までセールスフォースの商品を開発するときに得た知識を利用して、たくさんの業務を行ってきました。それはセールスフォース・ドットコムの仕事を早く簡単にする助けとなってきました。
私の仕事を具体的に言いますと、日本で開発された商品を海外のマーケットに持っていくという仕事です。2012年に、テラスカイ傘下のTerraSky Inc.で、開発された商品をアメリカのマーケットに持っていく仕事が始まりました。それからずっと、私は基本的にテラスカイのそのエリアの海外部門を担当しています。
そしてもう1つの顔は、ちょっとそれとは異なりまして、私はなんと言ったらよいかわかりませんが、自称芸人で、「厚切りジェイソン」として知られております。日本であるコンテストがありまして、ここにいるどれくらいの方がご存知かわかりませんが、「R-1グランプリ」といいます。2015年大会でなんとファイナリストになりました。それからというもの、テレビなどに出させてもらうようになり、2016年度にも再びファイナリストになりました。
これはITとはまったく違う分野です。まったく違う経験です。でもとても楽しいです。あなたもやってみたいでしょう?
これにより多くのことが語れるわけではありませんが、いくつかの違った期待を持てるようになりました。なぜか、テレビに出るようになってから、多くの人がTwitterで私にまじめな質問をしてくるようになりました。メディアにも取り上げられたのですが、人生相談のような類のことです。
テレビに出るようになってから日本の若者たちが聞いてきたことにはこんなこともありました。「厚切りジェイソン、私は自殺したいのですが、どうしたらよいでしょうか?」。
私ははじめこう思いました。「なぜ厚切りジェイソンに聞くんだ?」(笑)。
ちょっとおかしいと思ったのです。しかし突然そのようなまじめな質問が多く寄せられるようになったのです。私にはなぜだかわかりませんでした。しかし、この質問になら答えられると思いました。そのような流れで、いくつかの質問に答えるようになりました。
そして、自分が気付いた頃にはメディアに取り上げられるようなり、どんどん質問が寄せられるようになり、それが集まって本になりました。Twitterにはたったの140字しか打てず、自分の言いたいポイントをうまく伝えることができないかもしれませんが、それを解決するために私は本を出版したのです。ここ(スライド)に映っていますが、『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy?』というタイトルです。
具体的な内容のものもありますが、このコレクションではいくつかのポイントに分けて内容を抽出しました。それは次でお話しいたしますが、芸人をやっていて最高に良かったことのうちの1つです。いろいろな経験をしていろいろなことに触れて、さまざまな機会に恵まれるのです。
それに、さまざまな興味深い人たちに出会うこともできています。普通の人ができないことに挑戦する機会もあります。例えば、気付けばバンジージャンプとか20,000匹の鰻と一緒にタンクで泳ぐといったようなことをしていたりするのです。
ご存知の通り、日本のテレビではそのようなおもしろいことをするのです。もし自分がいろいろなことに挑戦していなければ、このようないろいろな体験もできませんでした。しかしそのなかにはTwitterで日本の若者とコミュニケーションをとることにより経験することになったこともあるのです。
1つ目のポイントですが、これは私が本当に言いたいことです。「自分で考えろ」です。
日本では潜在的に、グループにフィットしていなければならないという意識があります。しかし、あなたの心の平安がそれにより乱されてはなりません。
「空気を読め」という表現がよくされますが、一体どういう意味でしょう? 「空気を読め」ですよ、空気は明らかに読めませんよ。でもこれにより、自分を表現することができなくなっているのです。
いくつか具体例をあげたいと思います。私には娘が2人います。長女は今4歳で、幼稚園に通っています。次女は1歳です。
幼稚園では毎日違った活動をするのですが、数ヶ月前にこんなことがありました。長女が興奮しながら私にこう言いました。「パパ、明日幼稚園で紙飛行機を作るのよ。」「そうか、それは楽しみだね」。紙飛行機を作って飛ばして、どれだけ遠くに飛ぶのか試すのでしょう。それは楽しそうだと思いますよね。「どんな紙飛行機を作るの?」と尋ねると娘はこういったのです。「先生が言った通りのものを作るのよ。そうしないと怒られちゃうから」「ちょっと待ってくれ、君はまだ3歳なんだから、自分で作らせてもらえないものなのか? もしかしたら先生より上手に作れるかもしれないじゃないか」「だめよ、選べるのは色だけ」。
ショックでした。まだ3歳なのにすでに人と違うことに挑戦したいと思わなくなっているのです。私は非常にがっかりし、驚きました。私は彼女が自分でいろいろ試すほうがよっぽどいいと思うのです。
2つ目の例ですが、日本の会社やレストランはサービスが非常にいいことで知られていますよね。それは本当です。しかし、それはルールにのっとったサービスに限られているのです。ルールに沿っていなければなりません。
あなたがお店に入って、彼らが予測できる当たり前のことを行うならば、彼らはどう対応すればよいかわかっていますから、あなたはすばらしいサービスを得ることができるのです。誰がサービスをするかに関わらず、いつもいいレベルのサービスを得られます。しかし、あなたがちょっとでもルールから外れたことをしようものなら、いいサービスを得るのは非常に難しくなるのです。お気付きかどうかわかりませんが。
私が初めて日本に来た6年前、非常に蒸し暑い夏のある日です。私はアイスコーヒーが飲みたいと思いました。リフレッシュしたいと思ったからアイスコーヒーが飲みたかったのです。私はレストランに行って座り、「アイスコーヒーをください」と言うと、「すみません、アイスコーヒーはありません。ホットコーヒーはあります」とのことです。外は40度くらいあるのですよ。ホットコーヒーなど飲みたくありません。アイスコーヒーがいいのです。「ここにあるカップになにが入っていますか?」「氷が入っています」「コーヒーを氷に注げないのですか?」「申し訳ありません。メニューにありませんからそれはできません」。
本気で言っているのか? 私はショックを受けました。チームワークのために平和を乱さず、グループに溶け込むのは時としていいことかもしれませんが、個性を崩壊させているのです。新しい考え方ややり方が入り込めなくなっているのです。
それは新しい時代の仕事の方法などについて考えるときにさらに重要なこととなってくるでしょう。本日みんなが行っていることはプログラミングしたり、機械化したりできないのですから。私がTwitterで受けた質問の多くはこういったものでした。「私はこれがやりたい! でも私がそれをすることによって周りの人が自分をどう思うかが心配だ。どうしたらいいでしょう」「やりたいことがあればやればいいじゃないか? そうでしょう? 自分で考えてやりなさいよ、ほかの人がどう思うかなんて考えないで」こういう会話です。このような会話が非常に多くなされているのは驚くべきことです。
お伝えしたい2つ目のポイントですが、これは私が芸人をやっていて経験したことと関係があります。「どのように新しいことに挑戦できるか」ということです。
私がみなさんにお勧めするのは、「土台を築く」ということです。つまり、なにか基になるものがあれば、新しいことに挑戦する時、それと同時に行えるということです。
私のケースで言うならば、「芸人になりたい! 楽しそうじゃないか! 試してみよう!」と挑戦しました。しかし日本の思考を持っていたら、そうではなく、「芸人になりたいなら、仕事をやめなければならない。芸人として一定のところに到達するまで、自分の人生すべてを捨てなければならない」と考えることでしょう。ですから、私が今ここでやっているようなことをやっている人を見ることがないのです。
会社員で芸人をやっている人がいないので、ニュースになりました。仕事をしている人が芸人だなんてありえない、そんな選択肢はないと思われていたのです。やるなら100パーセントなにかに献身していなければならないという考え方があります。
しかし、私の見方では、IT企業で働いて、週末芸人のクラスに通うということは、さまざまな自由を与えてくれました。基本となることがあるならば、さまざまなことができるのです。リスクがないのですから、夜になにかすればいいじゃないですか? 週末になにかすればいいじゃないですか? 試してみればいいじゃないですか? 失うものはないのですから!
そうでしょう? 基本となるものがある限り、そうなのです。基盤が築けたなら、さまざまなことに挑戦できますよ。自分がやりたいことに挑戦できますし、話したい人と話せばいいですし、自分がやりたいタイプの事柄、特定のレベルに到達するでもいいでしょう、生活の基盤があるならなんだってできるのです。
それが私にとっては、芸人に挑戦するということだったわけです。挑戦のうちの1つだったわけです。
その前にはビジネススクールのクラスに行ったり、ビジネスプランを練って競争したり、さまざまなことをやっていました。時間があるとき、週末を利用したり、電車に乗っている時間を利用したりできますよ! 違ったことに挑戦したらいいじゃないですか? そして自分が好きなことを見つけて、繰り返し挑戦するのです。そして次のまた違うエリアに挑戦するのです。それが私の芸人のネタに表れているともいえるでしょう。
言うのが恥ずかしいというわけではありませんが、私のオリジナルのネタは、ウケませんでした。もしいつかテレビで流れることがあったらちょっと恥ずかしいですが、私はアメリカの伝統的な漫談タイプのネタをやっていて、皮肉をたくさん言って、非常に政治的でした。私は国際秘密法について語っていました。それはまったくダメでした。「アメリカではちょっとおもしろいかもしれないけど、ここではウケないのか!」。
でも試したからわかったわけです。試して、反応を見て、日本のお笑いを見ている人の好みではないことがわかったのです。「ちょっと叫んでみたらどうだろうか。もしかしたら、ましな反応が返ってくるかもしれない」試してみたら叫ぶのは効果があることがわかりました。
では日本の文化に関してのネタはどうだろうか? そんなにウケないか。では漢字ではどうだ? ……そして、ついにウケました! これは芸人を始めた初日にわかったことではありません。「これはパーフェクトだ、これはヒットするぞ!」とようやくわかったのです。
挑戦して、試してみて、反応を見て、気付いたら、みんなじゃなくても、幾人かの人におもしろいと思ってもらえるものができたのです。会社を始めるときにも同じことが言えるかもしれません。最低限の商品を提供してみるのです。これはネタを考えるのとまったく同じです。信じられないかもしれませんが、提供してみるのです。
そうすると、それを見る人たちが「そんなのおもしろくない、クズだ」と言うかもしれません。そうか、それならなにを求めているのだろう。ちょっと変えてもう一度挑戦してみるのです。最小限の商品、最小限のネタ、それをただ人々に提供すればよいのです! 生活の基盤があるのなら、失うものはないのですから、挑戦してみればよいのです。この点には強い共通点があるのです。
そして最後に、一番大事なことですが、これは私が芸人を始めた理由でもあるのですが、「自分の人生を生きる」という点です。世界中には圧力がたくさんあると思いますが、とくに日本には、引かれたレールの上を歩み、あなたが期待されていることを果たしていくという生き方があります。学校へ行き、試験のために一生懸命勉強し、大学に入り、大手の企業に就職し、何年も昇進のために働き続けるという生き方です。
それはあなたが幸せだと思える生き方でしょうか? それは自分が送りたい人生でしょうか? 人々があなたにそうすべきだという生き方かもしれませんが、自分はそうしたいと思っているのでしょうか?
これに関してはシリコンバレーの有名な話があります。もう聞いたことがおありかもしれません。この話は、自分のやりたいことをやろうということで、何年か前に私に大きな影響を与えました。
メキシコの漁師の話です。多くの人がすでに聞いたことがあるでしょう。この男は本当に釣りが好きでした。本当に好きでした。すばらしい生活です。彼は遅くに起きて、たぶん11時くらいでしょうか、もしかしたらある時はお昼かもしれません。ビールを飲んで、家族と大きな食事会をし、子供と遊び、海へ出て、餌を仕掛け、海へ投げます。数時間後いくつかの魚が釣れて、「さあこれは今晩の夕食だ!」と言います。さらに何匹か釣って、それを売ります。生活に必要なだけのお金を得ます。
そしてある日、これにはいくつかのヴァージョンがあるのですが、銀行の投資家かなにかの裕福な人がアメリカからやってきてこのメキシコ人男性が釣りをしているのを見ます。なかなか割のいい釣りです。たった2、3時間でいくつかの魚が釣れ、お金が儲かるのです。
そこで、「なぜもうちょっと頑張って働かないのか?」と聞きます。「11時に起きるのではなくもう少し早く、7時くらいに海に出れば1日10匹釣れるかもしれないじゃないですか?」。するとメキシコ人男性はこう答えます。「別にいいだろう」。
「余分な魚を売ったら、利益が出るじゃないですか」「利益? それでなにをしろというのだ?」「誰かを雇えばいい。そいつともっといろんな魚を釣るのです」「そうか、その多くの魚でどうすればいいのだ」「それを売って利益を上げるのです。そしたらボートが買えるじゃないですか」「そうか」「ボートを手に入れて、産業を始めるのです。そうすればもっと多くの従業員が魚を釣ることができる。成功できるじゃないですか」「成功したらどうするんだ?」「自分の会社ができたら財産を得てリタイアして、なんでも自分の好きなことをしたらいいのさ! 毎日遅くに起きて、子供と時間を過ごし、ビールを飲んで、釣りに行くのだ」。
メキシコ人男性は答えます。「今の自分の人生がまさにそれだ。なぜ余計な苦労をしなければならないのだ?」。
その通りではないでしょうか? 今、自分がやりたいことができていないのなら、それは悲しいことです。ゴールに向かって、いつかそこに到達するかもしれないと努力し続け、もしそこに到達したとしても、その時点では人生は終盤に差し掛かっているかもしれません。ですから、今時間をとって、自分の好きなことをするべきなのです。
この話は私にとって非常に大きなインパクトがありました。自分は一生懸命働いて、会社で出世して尊敬されるようになって高収入を得るということはずっと大学のころから目指してきたのです。博士号を取ってさまざまな会社で働いてきましたが、喜びを得られませんでした。
そのときこの話をきいて、「自分がやりたいことをやってみよう」という気持ちになったわけです。自分の生活の基盤はもうありましたから、止める理由がありません。ですからあなた方にも私はお伝えしたいです。今あなたがやっていることは、なぜやっているのですか? 自分が本当にやりたいことなのだろうか、これで自分が本当に幸せなのだろうか、人々がやるべきだというからやっているだけではないだろうか。または、本当に自分が自分の人生でやりたいことなのかもしれません。
ではこの辺で終わりにしたいと思います。以上!
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