2024.10.01
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テーマ「難民問題 ドイツ人の本音とは?」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):春香さん、テーマの発表をお願いします。
春香クリスティーン氏(以下、春香):私はこちらです。
(テーマ「難民問題 ドイツ人の本音とは?」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):ドイツ西部ケルンで昨年12月31日に起きた集団暴行事件を受け、難民に寛容な政策を取ってきたメルケル首相が苦しい立場に追い込まれています。
堀:ケルン中央駅で複数のグループが女性を取り囲み、胸や下半身を触ったり、携帯電話や財布を奪ったりして、一部が性的暴行に発展したということです。
もともとドイツ・メルケル首相は難民の受け入れには前向きで、そういったなかで、こうした事件があったということで、一気に世論が悪化していきました。
ちなみに、難民に対するドイツ国内の世論。これについて、実際に市民のみなさんはどういう思いなのか。春香さんがドイツで聞いてきてくれたんですよね。
春香:この件が発覚する少し前なんです。今年の頭に、ミュンヘンに話を聞きに行ったんです。
年末31日にテロの予告というか、危険性があるということで、ミュンヘン駅が閉鎖された翌日、翌々日に聞きに行ったので、その状態のなかで聞いた街の声です。
堀:ちょっと聞いてみましょう。どうぞ。
(VTR開始)
男性1:(難民は)誰もこれほどの数に上るとは思わなかったし、うまく整理できていないように思います。問題と言っていいでしょう。始めからもっときちんとチェックすべきだったんじゃないかな。シリアからの難民ばかりじゃないからね。
春香:確かにそうですね。ドイツ人は外国から来た人々とうまくやっていけると思いますか?
男性1:もちろんです。トルコ人が押し寄せた70年代を生き延びられたのですから。彼らは街の一角を占めて、人口が数十万にまで膨れ上がったほどでした。だから、なんとかなりますよ。
春香:ミュンヘンで大晦日にテロ警報が出されましたが、怖くありませんでしたか?
女性1:家で年越しを祝っているところでした。確かに少し驚いたわ。子供が巻き込まれないかと心配しました。テロの恐怖から解放されるのは無理かもしれません。テロの恐怖と隣り合わせの生活に甘んじるしかないのでしょう。でも、難民が引き金になったわけではありませんから。
春香:もちろんです。
女性1:危機的なのはISILで、難民のせいではありませんから。
男性2:どんどん新しい人が来れば、いずれ問題になるでしょう。どのような人が来るかはっきりとはわかりませんが、アフリカ人もいずれドイツに向かってくると思います。
アフリカ人が難民に加われば、最終的にどれくらいになるかわかりません。これを止めるには、その国々の生活状況を改善することしかありません。短期的には望みがあるようには思えません。
女性2:もうすぐ家の向かいに幼い難民が引っ越してくる予定です。
春香:家の向かいに?
女性2:ええそうです。ウエルカムパーティを開くことにしているんです。
春香:あなたはいかがですか?
女性3:難民が来てくれてうれしいです。祖国が悲惨なことになって、ここまで来るのも苦労の連続だったでしょうから、助けてあげなければいけないと思います。
女性4:難民に対してオープンであることはすばらしいと思います。残念なのは、ここに来たことで彼らが非難されることです。
春香:誰が非難するのですか?
女性4:例えば、年を取った人は外国人が押し寄せることに慣れていなくて、新しい住民が外国から来るのが嫌なようです。
春香:あなたはどう思いますか?
女性5:私自身、生粋のドイツ人ではありません。コソボの出身です。
春香:コソボ出身ですか?
女性5:はい。私の国からもたくさんの人がドイツに来ています。私は問題ないと思っていますが、それでもしばしば非難の対象になっています。
それは、自分たち独自の文化をドイツに持ち込むからです。ここに持ち込んではならないものを持ち込む人もいますから。戦闘地域からの難民はOKです。私自身も難民のために手を差し伸べてきましたから。
(VTR終了)
堀:コソボ出身の14歳の女性も、しっかりされていますね。
春香:この方に限らずですけど、街中で聞くと若い人も非常に身近に感じていて。具体的に、「家のすぐそばに来る」とか、「実際に自分の親のところで働いている人もいる」とか。どんどん出てきたのが印象的でした。
堀:一方、日本で海外ニュースを観ていると、どうしても「ヨーロッパ難民受け入れ拒否 世論高まる」「デンマーク 財産没収議会通過」「アメリカ 共和党が難民受け入れ禁止法案提出可決」とか。そういうネガティブな話が先行してしまいますけど。
実際に街で聞いてみると……。
春香:当然、そういう声もあるんです。地域差もけっこうあるんです。ミュンヘンは南のほうですけど、わりと街中で何人も聞いたんですけど、こういう意見が本当に多くて。なかなか「これは絶対ダメ」というのは、このタイミングでは。
今はちょっと変わっているかもしれないんですけど、そのタイミングではそういう声が本当に。私もびっくりしたんですけど出てこなくて。
ただ、例えば地域を変えて、ドレスデンなどに行くと、そういう声もより増える。旧東ドイツ、旧西ドイツというところにも差が出てくる。地域差もあるのかなという感じがします。
堀:旧東ドイツのほうが、わりと移民・難民の問題については厳しい? ゆるやか?
春香:ドレスデンのほうが厳しいですね。ミュンヘンのほうが寛容な印象は受けました。あとは、ドイツ以外の国も、国によって寛容さの差があるのかなという感じはすごくしました。
堀:カナダの注目すべき若きトルドー首相は、今年の12月までに2万5千人のシリア難民を積極的に受け入れる。議会もそれで合意できていると。国によってもばらつきがありますね。
若新雄純氏:僕がすごいなと思ったのは、これってまさに白黒つかない問題じゃないですか。さっき堀さんが言ったように、社会的な総論みたいなのが生まれるじゃないですか。総論みたいなものがあるにも関わらず、10代の若い人は、それに関わらず「私はこう」ということをあれだけ言うというのは。
たぶん僕らは言えないと思うんですよね。国全体の雰囲気ができたら、なかなかそれとは違う意見を言うのって、「ものすごい反対派だ!」と言うことはできても、当たり前のように。国とか社会とか超えていますけど、「私はこうです」という。これは、見習っていきたいなと思いました。
堀:そうですね。Twitterでも、「ドイツの若い人たち、素晴らしい!」「基本的に難民問題について冷静だね。悪いのはISILだってきちんと理解している」と。
春香:ミュンヘンでテロ警報があったのにも関わらず、意外とみなさんが冷静だったのが、私としてはびっくりしましたね。
堀:やっぱりドイツのみなさん、僕も留学しているときに抑制的な印象を思ったんですけど。わりと内省的というか、自分はどうするのかというのをみなさん冷静に考える方が多いのかなと思いました。
春香:あとは、テロの脅威が日常化してしまって、表現が正しいのかわからないですけど、日本で言うと地震がいつ起きてもおかしくないというのと少し近いような感覚はあるのかなという感じはしました。
堀:ありがとうございました。
ちなみに、難民の問題はISだけではないですね。シリア政府と反政府の内戦によって多くの方々が犠牲になり、家を追われていますからね。いろいろな問題があります。ありがとうございました。
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