2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
テーマ「『売れる雑誌』とは?」について(全1記事)
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堀潤氏(以下、堀):続いて、北条さん。続いてテーマの発表をお願いします。
(テーマ「『売れる雑誌』とは?」について)
脊山麻理子氏(以下、脊山):昨年の書籍と雑誌を合わせた紙の出版物の推定販売金額が、前年比5.3パーセント減の1兆5220億円であったことが出版科学研究所の調査でわかりました。これは統計が始まった1950年以降で最大の落ち込み額とのことです。
堀:雑誌離れが止まらないということで。
出版物の販売金額のピークは1996年の2兆6564億円。こんなにあったんですね。以降、市場規模は19年間で6割弱まで縮小。
雑誌離れ顕著。雑誌は前年比8.4パーセント減、7801億円。返品率は書籍は37.2パーセント、雑誌は41.8パーセントで、需給バランスが崩れていることも改めて明らかになったということです。
僕も雑誌で言うと、『Tarzan』、『anan』、子供向けの『ジュニアエラ』というところで連載を持っているんですけど、ちょっと死活問題です。やっぱり多くの人に聞いてもらいたいなという思いはあるので。
北条:先ほどの出版科学研究所の統計には、Amazonで買っている金額は載っていないんですよ。
堀:なるほど。でも、雑誌をAmazonで買う?
北条:なかなか買わないと思うんですよ。特に週刊誌。文春をAmazonで買うかっていうと……。
網屋信介氏(以下、網屋):久しぶりに買ったな、この前(笑)。
堀:思わず手に取りますもんね。
北条:ですので、出版科学研究所は、データとしてはそれなりに信頼できるかなという感じなんですけれども。
雑誌というよりも、週刊誌の落ち込みが……。13パーセントも落ち込んでいて。雑誌全体では8パーセントぐらい。
堀:そうですね。それだけに、文春も非常に売れるネタを。
北条:だと思います。
堀:強化しているわけじゃないですか。「スクープ!」って言って。
北条:AKBさんとか、そういう芸能関係にも突っ込むし、政治関係にも突っ込むところで。
ただ、雑誌が売れなくなっているというのは、「若い人はネットでいい」とか、「若者の活字離れ」とか言われていますけど。
実際は、文化庁の調査だと、「本を読みません」とか、「雑誌を含めて読みません」という人は、むしろ60代とか70代で高いんですよ。
堀:けっこうみんな読んではいるんですよね。でも、何を使って読んでいるのって話。
北条:そうなんですよね。
堀:文字数でいったら、相当見ているんじゃないですか。
北条:ネットでデジタルの記事を読んでいるかもしれない。いろいろあるんですけれども。
雑誌、とりわけ週刊誌は、とにかく減っているというのは確実だろうなというところがあって。そんな時代に、売れている雑誌がまだあるんですけれども。3誌ほどピックアップしてみました。
堀:きました、『VERY』!
北条:『Mart』と『VERY』と『LARME』という雑誌なんですけれども。
『VERY』と『Mart』は読者層が似ていて、専業主婦。パートも含めての専業主婦さんを対象にしていて。それぞれ20〜30万部は売れているんですね。
堀:すごいですよ。僕も『VERY』で連載持っていたんですけど、広告がどんどん入るから『VERY』自身が分厚い。辞書みたいな感じで売ってるくらい。でも、売れるからということで、みなさん広告を『VERY』に出すという。
北条:そうなんですよ。
一方の『LARME』というものは、10代から20代前半の女の子を対象にした雑誌で。
堀:脊山さん知ってます? 有名?
脊山:女の子たちからすごく人気なんですよね。
堀:『LARME』?
北条:モデルは、読者モデルからAKB系列の子もいるんですけど。
堀:もう、『CanCam』とかそういう時代じゃないんですか。
北条:そうなんです。ヘタしたら『CanCam』より、ディープなファンがいるかもしれません。見ていただくと。こちら。
脊山:個性的。お洋服ブランド作られたり。
北条:そうなんです。もともと『小悪魔ageha』の編集部にいた、私と同じ歳(86年生まれ)の編集長が今やっている雑誌なんですけど。
堀:ギャルだった。
北条:そうなんですよ。元ギャルの人が、今こういう「双子コーデ」とかを特集して人気を博している。双子コーデって、若い子たちの間で流行っているんですけど。
堀:双子コーデ?
脊山:女の子が2人同じ格好をして歩くというのが双子コーデ。
北条:それを、ストリートから。
網屋:ペアルックみたいな感じ?
北条:「女の子同士」というのが流行っていて。
堀:片方のスマホでLINEを見てたら、片方のスマホで同じLINEが見えるという。
北条:ペアルック!(笑)。
堀:それは別の問題でしたね!(笑)。
北条:はい、そうですね。
堀:はい、すみません!
北条:こういった雑誌に共通しているのは何かと言うと、付録を付けていないんです。
堀:あ! そうなんですか!
さっきTwitterでも、「雑誌は付録やオマケだからなぁ」というのがあったんですけど。そうじゃない! 付録付けない!
北条:Martはたまに付くんですけど。最近ほとんどなくて。
堀:なんで?
北条:付録付けなくても、雑誌の中の写真自体がかわいいんです。あとは、徹底して読者に調査をしまくるんですよね。
堀:確かに、こういっちゃなんですけど、付録付いていると一瞬うれしいけど、「そんなに長く使うようなものじゃないだろうな」というような。
北条:あれは、原価100円以下で作るというのが業界の中ではルールなので。
堀:安易なもの釣りをしないという。中身で勝負ということにしていると。
北条:そうです。まさに中身で勝負をしている雑誌が今生き残っているというのが現実です。雑誌でしか提供できない価値観を売りにしている。例えば、手元に残しておきたいと思うような写真とかですね。ネットだったら消えちゃうようなもの。
あとは、特集も「キッチンを大調査」とか言って、とにかく読者にアンケートとか聞き取りを対面で行って、今主婦の間で本当に流行っているものをお知らせする。
堀:インタラクティブがある。
北条:そうなんですよ。それを読む読者の方というのも、「今これを買えば、ちょっと気分が上がるんだな」ということがわかるんですよね。だからテンションが上がって、その雑誌を買う。
堀:なるほど。みなさんの意識調査の結果を見てみましょう。
みなさんは、雑誌を購入していますか? 「毎週欠かさず購入している雑誌はありますか?」いかがでしょうか。せーの、どん!
わ〜、やっぱり! 「購入なし」が1038票ということで。ニュースを裏付けるような数字ですね。確かに、みなさん買います?
大木隆太郎氏:僕もなくなっちゃったんですよね。
堀:なくなっちゃった!
大木:おもしろいなと思った記事が載っている雑誌をランダムに買うという状況になったんですよね。
堀:なるほど。網屋さんも?
網屋:なりましたね。2〜3年前は、週刊誌とか必ず買っていたのありましたけどね。大木さんもおっしゃったように、最近は「これ読みたいな」というのしか。あと、(タブレット持ちながら)読めちゃう。
堀:読めちゃう。そうですね。
網屋:昔は中吊り広告で「これおもしろいな」って。でも買ってみたら、けっこう大したことなかったりするんですよね(笑)。
堀:見出しが躍ってね。
ということはやはり、かやさんのメッセージとしては中身で。
北条:雑誌でしかできないことをあえて追求して、頑張っていただきたいなと思っているんですよね。
堀:なるほど。
網屋:連載物の漫画ってどうなの? 売れているの?
北条:電子コミックの販売は伸びているんですよ。
堀:ありがとうございました。
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