2024.10.10
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脇貴志氏(以下、脇):さて次に、各事業体での対策としては、漏洩することを前提として人的対策を中心にしなければ意味がありません。これは先ほどから何度も何度も言っていることです。
いいですか? 要は皆さんのところの法人としても、園独自としても、まず漏洩することを前提としてください。「うちの園からは漏洩します」ということを前提としてください。それを漏洩しないためにはどうしなければいけないのか。漏洩するという事故からの逆算は、すごく重要なんですね。これは皆さん覚えて帰ってください。
危機管理は、すべて事故からの逆算なんです。これは釈迦に説法ですけども、皆さんの業界で、園内に預けている間に一番多く死亡する可能性がある年次っていうのは、0歳ですよね。
ということは、0歳児の教室では、死亡事故が起きることを前提として、0歳児の担任の方々にどういうことを教えて、どういう仕組みを作っていかなければいけないのかを考えていかなければいけないんです。
つまり、「うちの園では死亡事故は起きない」と思った瞬間から、死亡事故が起きる可能性が生じているということなんです。もう1回言います。すべては事故からの逆算じゃなければいけないです。いいですか?
私はこれまでに、保育園や幼稚園で命を落とした子供たちの事故を100以上対応しています。いいですか? 100以上対応しています。
その時に、園長先生にお会いしますし、担当している保育士さんにも、幼稚園の教師にもお会いします。時には警察関係の方々にお会いすることもあります。そこでいろんな話を聞きます。そして、その園長先生たちは、だいたいこう言います。
「私の園では安全管理をちゃんとしていたんですよ。ちゃんとしていたのにもかかわらず、こういうふうなことが起こってしまったのは、不思議で仕方がありません」って。あるいは「いつもいつも職員の方々にはきちっと教えていたにもかかわらず、今日に限ってやっていなかったんですかね」みたいな感じで言う人もいます。
そこに関して、私は一定の反論があります。「うちの園では危機管理をきちっとやっていた」という話なんですけども、「じゃあ、きちっとやっていた根拠は何ですか?」と聞きたいんです。
「あんたが勝手にきちっとと思っているだけじゃないの?」「それって専門家のちゃんとした根拠があるんですか?」って話です。専門家の根拠とは何なのかというと、事故のデータが反映されているかどうか。科学的に確かめられているかってことです。
あなたたちがやりたいことを、やりたい順番で、やりたいようにやっているだけなんじゃないですか? それは自己満足の危機管理ですよね。そんなことで事故が防げるわけないじゃないですか。へそが茶を沸かしますよ。ナンセンス。いいですか? 要するに、なぜ事故からの逆算でなければいけないのかというと、事故というのは、事実なんですよ。起こっている事実なんです。
だから、皆さんが食中毒の事故を予防したいと思うのであれば、食中毒事例を山ほど集めてきて、それがどうして起こったのかを分析して、「うちの園では、こういうふうなことが起こりうるな」ということを考えて、対策を打つ。これが根拠がある対策だって話なんです。
安全管理マニュアルとかいうのを見せていただくこともありますけど、見せていただくと、「これって、こういうふうに決めている根拠は何なんだろう?」と思うんです。私がそう思うのは、書いてある決めごとから想像できる事故が、私の頭の中に浮かばないからです。
これはちょっと恐縮しちゃう話なんですが、日本で保育園内、幼稚園内の事故事例が最も頭の中に入っている人間は私ですからね。だから私に事故事例が浮かばなかったら、この日本で浮かぶ人間はいないんですよ。
ということは、起こる可能性がないのにもかかわらず対策をしているわけですよね。だったら、それって何のためにやっているんすか? そんなの無駄なんですよ。起きないことを前提にする対策なんて有得ない話で。
漏洩するんだということを前提として、じゃあどういうふうにしていかなければいけないんだ、持ち出すなと言っても持ち出すんだ、ということを前提として対応していかなければいけないんです、という話なんです。
いいですか? 「提出物は火曜までに出せ」っつっても出さないでしょ?
(会場笑)
提出物ごときを火曜日までに出せない人間が、「個人情報を持ち出すな」と言っても、持ち出さないわけがないでしょう。そういうことなんですよ。つまり、人的な安全対策とは何なのかというと、基本的な人間の躾なんです。「1回駄目と言われたことはやらないで下さい」という話なんです。
でも、ここで重要なのが、「やるな」と言ってもやるからね。そして先ほどの話に戻しますが、100を超える園長先生方の中で、死亡事故を起こした園の園長先生方が、共通したことを私に1つだけ言ってる。
すべての死亡事故を起こした園の園長先生は、必ずこう言うっていうのが私の中にあるんです。それは、「いやあ、こういうのってうちの園じゃ初めてなんですよね」って言うんです。
いや、「そらそうだろ」と思うんですよ。「いやあ、死亡事故って2年ぶり7回目です」みたいな、仙台育英高校みたいな話にならないですよ。「それだったらあんたんところ潰れてますよ」って話なんです。そら初めてでしょ。
じゃあ、どうして「初めてなんですよね」と驚いたかというと、それはあなたの想像力の無さなんですよ。他の園で死亡事故が起こっているにもかかわらず、あなたの園で死亡事故が起こらない科学的根拠は何ですかって話です。
そんな科学的根拠は、ないんです。なぜかと言うと、人間は必ず死ぬんです。それが早いか遅いか、寿命か事故かは別として。つまり、預かっている園児は死ぬ可能性があるということを前提として、すべての事故対応の準備をしていかないといけない。
「うちの園では事故が起きない」と思うのであれば、何もしなくてもいいんじゃないですか? ノーガードでどうぞ。毎日毎朝祈っていてください。それで終わりですよ。でも絶対、それでは事故は避けられませんから。なぜかというと事故は科学だからです。必ず、現象には原因があるんです。これは、私は福山雅治より前に言ってた。
(会場笑)
必ず、現象には原因があるんです。まさか、福山さんと同じ人を好きだと思ってなかったですよね。同じことを言うなあ、という感じです。
(会場笑)
つまり、すべてのことは事故が起こることを前提としてやる。マイナンバーとか個人情報に関しては、漏洩することを前提とした目で見ることが重要なんですね。そして私の会社は、保育園内で何か事故が起きたり、トラブルが起きた時に相談を受けて、相談に関してその対応をアドバイスするのが仕事なんですね。
だから先ほどの死亡事故だったら、「マスコミ対応はこうしましょう」とか、あるいは「マスコミが来た時のステートメントはこういうふうに発表しましょう」とか、「保護者会はこういうふうに進めていきましょう」「被害者のご自宅には、こういうふうな物を、どのタイミングで持って行きましょう」「お参りは何人で行きましょう」「保護者会の時に締めるネクタイは何色にしましょう」といったものをアドバイスするのが、私の仕事なんですね。
そして、この個人情報漏洩に関しては、私13年間やってるんですが、その中で断トツ1位の漏洩方法があるんですね。要は、園から漏洩するのは、もうこの方法でしかない、というくらいのものなんです。
先ほど言ったように、何かの帳簿を持ち出して、それが漏れるなんて、ごくごく僅かなんですよ。断トツ1位は何なのかというと、なぜか知りませんが、写真の現像なんです。これはとってつけたような話じゃなくて、そうなんです。
なぜ写真の現像なのかというと、昔はフィルムでしたけれども、今はメモリーカードだったりメモリースティックだったりしますよね。そういう電子媒体なわけです。
それを袋と一緒にどこかに置き忘れたというのが、すごく多いんです。中には、デジカメごと無くしたというとこもあるんです。園内にデジカメが5台なければいけないのに、4台しかなかった、みたいなね。
そういうことが結構あるんです。なぜか知らないですけども。
そういった意味では、写真を撮るということは成長の記録だから、園とは切っても切れないものです。保育園や幼稚園にいる間は、人間が最も変化する時ですよね。
0歳児さんに対しては、非常に申しわけない表現になるんですが、寝たきりの状態から立ち上がって走り出すようになるわけでしょ? これ、相当な変化率ですよね。
だから、幼稚園とか保育園の時が一番写真の撮りがいがあるというか。変化率もわかるし。ですから皆さんの業務とも、切っても切れない話になっていく。
だから現像の時に漏洩してしまうことが結構あるんです。でも皆さん、混同しないでくださいね。これはマイナンバーの話じゃないんですよ。写真が漏洩する、写真データが漏洩するっていうのは、個人情報の話なんですね。
先ほどから申し上げていておわかりになると思うんですが、マイナンバーが始まった1月1日以降から、写真の漏洩に関しても、かなり厳しく見られますよ。
そして今のところ、事故の最先端で働いている私どものところにある統計では、個人情報が一番漏洩するのが写真なんです。だから写真をどう管理していくのかは、結構な重要な要素になってくると思うんですね。
そういうふうなことも考えて、「こういうふうなトラブルがありますよ」「ああいうふうなトラブルがありますよ」ということをみなさんにお伝えしてしています。
「だから皆さん、気をつけてね」で終わりだったら、私の専門家としての意味がない。じゃあ、どういうふうに対処していけばいいのか、ということのヒントを差し上げます。
まず、ヘッジできる漏洩リスクはできるだけヘッジしておくということです。「ヘッジ」という言葉は「リスクヘッジ」みたいな感じで使われるんですが、リスクヘッジというのは、「危機回避」という意味ですよ。
要は、「為替リスクをヘッジしておきたい」というのは、為替が上がったり下がったりすることによって、輸入業とかだったら売り上げが大きく変わりますから、為替が動いてもリスクが無いようにしておくことを「ヘッジ」と言うんですね。
でも、「ヘッジ」のそもそもの意味、語源はどこにあるのかというと、「削る」という意味なんですよ。だから「危機に関するリスクをヘッジしろ」といったら、「何かをしたらリスクがヘッジできて一発OK」みたいな感じがします。
危機回避って、そんな感じがしますよね? 「こういうふうにやれば、皆さんには災いは来ません」みたいな話になるんですが、「ヘッジ」は「削る」が語源なんです。
だから、リスクというのは、もう、ちまちま削っていくしかないんですよ。「危機管理」って、すごく派手で格好良い仕事みたいなイメージがある人もいるみたいですが、まあ地味ですよ。
もう、ちまちま、ちまちま。「こうやっていきましょうか」「ああやっていきましょうか」と、ちまちましていって、リスクをヘッジしていくんです。
ここからが、「じゃあどうやってヘッジしていくんですか?」って話なんですが、なぜ写真が外に漏洩するのか、なぜ個人の名簿が外へ漏洩するのかというと、幼稚園さんとか保育園さんとかでは、「ハッキングされて漏洩した」とか「メールから漏洩した」ということは、あまりないんですよ。
必ずと言っていいくらい、アナログなんです。ということは、持ち出すからなんですね。つまり個人情報漏洩のヘッジは、持ち出さない仕組みをどれだけ園内に持ち込むのかが重要なんです。
だから、いいですか? 私がこれから言うことは、万能の話ではありません。一部の話として参考にしていただきたいと思うんですが、写真データを持ち出して漏洩するのが一番多いんだったら、持ち出さなくても園内で買える仕組みを作ったほうが良いんじゃないんですか、という話なんです。
そこで皆さん、ようやくわかるわけです。「ああ、だからこれがあるの」って。
(会場笑)
だからこれがあるのね。だから今日タダなのね
(会場笑)
もう、本当に日本列島に衝撃が走ったわけですね。「脇がタダで話すなんて」みたいな。アイギスのセミナーは高いというイメージがあるけど、それがタダなんて、みたいな。
もう一度言います。これは万能じゃないんです。いいですか? どちらかというと1対1対応で、例えば「こういうふうなシステムを園内に導入したら、写真を現像の時に外に漏れ出すリスクは減るでしょうねえ」という話なんです。
でも帳簿に関してはどうなんですか? そのリスクは残るんですよ。そして何より、なぜ私はこの写真販売システムでうるるさんと業務提携したのかというと、1つは直接的には、写真で個人情報が漏洩するリスクをヘッジしたいから。
そして、そのヘッジができる商品をきちっと提案したいけれど、私どもの会社ではそんな商品開発能力はないから、そういことをやってるところはないのかなと探しをしたら、お近くにいらっしゃったから、「ぜひやりませんか」という話になった。
それと、いいですか? もう1つ、この写真販売システムを使うことによって、かなりの業務が効率化されます。効率化されると時間ができます。
保育士さん、あるいは幼稚園の先生に関して、今保育士の資格を持っているけど保育園で働きたくない人に、「なぜ保育園を選ばないんですか?」というアンケートをとった結果の第2位は、「好きな時に休めない」ということなんですよ。
第1位は、当然お金の問題なんですけども。第2位は「好きな時に休めない」あるいは「忙しすぎる」みたいな話があるんです。ということは、その時間を使って、「今日、あなた帰ってもいいよ」と言えば、プライベートに時間ができるかもしれないし、あるいはその時間を使って研修をしたら、保育士さんの質も上がりますよね。
つまり、保育園で働らきたくない理由の第2位をこのシステムでヘッジすることによって、保育園とか幼稚園で働く方々を確保できる可能性が広がるんじゃないのか、定着率を上げることもできるんじゃないかと思ったんです。
だって今、保育業界の一番の問題は、待機児童がいることじゃないじゃないですか。それよりも現場で働く方々が確保できないことのほうが大きいですよね。
つまり、そういうシステムを使って、IT技術で使えるものがあったら使って、業務の効率化をしていくことによって、保育の質を上げる。あるいは離職率を下げる。そういうことができる可能性があるんじゃないのかなと、私は考えたんです。
ここ、誤解しないでね。このシステムを買ったら離職率が下がりますよと言っているわけじゃないですよ? いい? そこはきちっと聞いてくださいね。
それは皆さんの工夫次第なんですよ。システムの使い方しだいでそういう話になるから、前向きにやっていくべきなんじゃないのかと思います。でないと、話はスタートに戻りますが、人口減少によって、保育園も幼稚園も、次のステージは経営危機です。つまり、経営危機ということは、保育士さんではなくて、今度は園児さんが確保できないという話になります。
じゃあ、園児さんを確保するためにはどうすればいいのかは、簡単ですよ。さっき言ったみたいに、良い人材を確保することです。保育というのは、人で決まりますから。良い人材を確保するためには、やはり労働環境の改善。これは絶対に必要不可欠です。
それをすればすべてが解決するという話じゃないですよ? これも、気が遠くなるようなヘッジの1つなんです。そういったときに、こういったものをご利用いただいてもよろしいんじゃないかなと思います。
それから、職員数水増しなどの不正受給は、すぐにバレます。だって番号がないから。実は今年も会計不正が花盛りだったわけなんですよ。幼稚園も保育園も、不正会計って一杯やっているわけです。
あれを見たら、現場の先生方はなんて思うんですかね。自分たちは決して高くない給料で働いてるのに、ふたを開けてみたら法人は5千万貯めこんでいたとか。「だったらそれ、一気にボーナスで払ってよ」って話になってくる。
こういったことも、マイナンバーでバレるようになりますね。それから、個人情報保護もマイナンバーレベルまで引き上げておくことが重要なんじゃないかと思っています。
つまり、マイナンバーだけ考えるんじゃなくて、個人情報の保護も考えておきましょうということです。それから、「対策は人に始まり人に終わる」ということです。すべては人作りなんです。ここがすごく大切な話だと思います。
さて、今日はこのスライドで終わります。最後は、今日残された問題点です。いいですか? 「園内規定はどのようなものを、どのレベル用意すればいいんですか」というのが残されています。私、今日はこれに関しては具体的にしゃべってませんから。
「園内の帳票は、どのような物を、どういうふうに用意すればいいんですか?」これも言っていません。そして、「園内教育は、どのようなことを実施すればいいですか?」。例えば研修内容であるとか、そういうことに関しても触れてません。
あるいは「特定個人情報漏洩事故が発生した場合の、どういう対応をすればいいんですか?」ということも触れておりません。そして「どのようなシステムが必要なんですか?」ということもお話していません。
皆さんは、こういう問題が残されていることを、まず頭の中に入れておいてください。つまり、要は問題発見なわけですよ。これだけ残っているということは、解かなければいけないということですね。
今日は時間があと2分しかないので、もう答えは差し上げられないので、その代わりに解き方を教えます。
どういうふうにして解けばいいのかというと、大きな解きかたは2つ。1つは、特定個人情報保護委員会のホームページがあります。そこに全部のガイドラインが載っています。「事業者用ガイドライン」というのがありますから、それを全部プリントアウトして、それらを参考に構築していけばよろしいんではないかと思います。それが1つ目のやり方。
2つ目のやり方は、このすべての答えは、11月30日の講習会で私が言います。
(会場笑)
そしてさらに、皆さんのお手元にある資料に驚愕なことが書いてあるのですが、今日これからうるるの小林さんがお話しする「園ナビフォト」さんに登録していただければ、登録料無料なんですが、講習会の参加費3万5千500円も無料になります。ぜひ答えを聞きに来ていただきたいと思います。
私は本気で11月30日……今日本気じゃないって話じゃないんだよ。
(会場笑)
今、自分の言葉が出てびっくりしちゃった。次も本気でお話をします。次の会場は東京国際フォーラムです。そういった意味では、東京駅のあっち行ったりこっち行ったりするんですけども、ぜひ来ていただければなと思います。
お弁当も用意します。落語家も用意します。要は実態的な準備をして、日ごろの憂さを笑って晴らしていただければ、よろしいのではないのかなと思います。
では、私の時間はこれまでですので、ここからは小林さんにシステムの説明をしていただきたいと思います。
どうも皆さん、今日はありがとうございました。
(会場拍手)
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