2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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マルゴ・キャリントン氏(以下、キャリントン):それでは、次は藤井宏一郎さんです。
藤井宏一郎氏(以下、藤井):この機会を与えて下さいまして、ありがとうございます。私のプレゼンは、日本のソーシャル・イノベーションのために新たなパブリック・アフェアーズ産業を立ち上げるというものです。
これは、アメリカからすると奇妙に思われるかもしれません。ワシントンにはたくさんのロビイストやアフェアーのスペシャリストがいますから。けれども、日本ではそうではないんです。日本にはパブリック・アフェアーズという言葉すらありません。
また、こういったセクターを代表する産業もありません。ですからイノベーターであれば、非営利団体であれ、営利団体であれ、政府や市民に対して、こういったスペシャリストの助けをどうやって受けることができるかというのが、私たちが解決しようとしている問題です。
これは、私がいま日本でやろうとしていることです。マカイラというのが私の会社の名前です。これは「ギリシャの刀」の意味がありまして、ソーシャル・イノベーションを通じて問題解決をしようということであります。
イノベーションと、そして企業を通じて、問題解決をしようというわけです。パブリック・アフェアーズということがわかっている方にとっては説明は不要かもしれませんけれども、パブリック・リレーションという多くの枠組みがあります。
マーケティングというものもあります。それで、私たちは何をするかといいますと、交渉したり、ソーシャルメディアを使って、ステークホルダーとの連携をするということを私たちはしているわけです。
私たちの使命は、新しいアイデアやテクノロジービジネスが市民の支持を得て、政策形成過程に関与することを促進し、それによって社会を変革するというもの。これが非常に、日本ではやることが難しいわけです。
どのようにして市民のセクターを公共政策に関わらせるか、というのは難しいわけです。なぜこの会社を始めたかということですが、日本は20世紀型のビジネスモデルに凝り固まってしまっていると思います。それは次のスライドで詳しく説明しますが、新しいアイデアを届けていかなければならない。
日本の政策立案者や産業界のリーダー、そして一般社会に新しいアイデアを届けていかなければならないわけです。その取り組みの中で、私たちは助けになろうとしているわけです。これは東北の写真を背景に使っております。
この会社を次のような理由で始めました。日本は伝統的に市民社会が弱いということで、市民社会はもともと基盤が弱かった。日本では新しいアイデアを普及させるための広報やアドボカシーのプロが育っていません。
けれども、私たちには政策とコミュニケーションの専門家が必要です。そこで私たちは、政府や社会との関わりにおいて、このようなコミュニケーションのスペシャリストを用意しております。もう少し詳しく図で説明しましょう。
これが20世紀型の日本です。日本は経済が1990年に減速する前の時代というのが、日本の株式会社とも言われるような大企業が多くの資金を持っていました。そして、大きな圧力団体がおりました。そしてこういった圧力団体が政府に圧力をかけて、政策に影響を及ぼしていました。
これは鉄のトライアングルとも言われていますが、これはメディアも大きいということで、大きな長方形ともいえる形となっています。政府がメディアを支配しており、大手新聞やラジオ、テレビなども非常に企業との資本関係があります。
このような構造の中では、公共コミュニケーションの専門家はいりません。個人でこのようなメディアに近づこうと思っても、なかなかアプローチすることができないわけです。
けれども、21世紀型の日本ではこのような既成のシステムは崩壊していきます。1990年代に市民社会がより力をつけるようになりました。また新しいビジネスも登場しました。インターネット経済です。
日本は製造業中心の工業化社会から、知識集約型の新しいニュー・エコノミーへと変わっていったわけです。でも、このような中で政府の政策に関しては相変わらず古い体制のままでした。インターネット社会においても、なかなか変わろうとしなかったわけです。
日本でいま直面している大きな問題がいくつかあります。この中には日本独自の問題もあるでしょう。経済低迷、少子高齢化、地方の疲弊、これは日本において非常に大きな問題です。欧米では、人々を助ける、アフリカの人々を助けるということがよく言われます。
日本では国内の市民社会において、特に地方の村や町が疲弊しているという状況があります。また、寛容でなくなってきているということ、ヘイト・スピーチなどが見られています。特に、パリでこの週末に起きたテロ事件にも見られるように非寛容になってきています。
企業であるとか、新しいテクノロジー、新しいソーシャルデザイン、そしてコミュニティの再生、コミュニティが関わるということ、若者のエンパワーメントも非常に重要ですし、生き生きとした文化もその解決策となるでしょう。
非寛容な社会には、生き生きとした社会は答えとなるでしょう。そこで私たちは新しいネットワークの世界においてあらゆる声をつなげていこうとしています。もちろん顔と顔を合わせた直接の交渉もありますけれども、それ以外にもさまざまな人たちを結び付けようとしています。
また、資金の提供を通じて、例えば大きなシリコンバレーの会社が日本に来たいということであれば、そして東北で何か良いことをしたいということであれば、私たちはその会社を助けます。そういった、東北の人たちにも資金提供をすることを行います。
このようにさまざまな絆を育んでいく中で、政府の組織であるとか、議員の方たちと人々を結び付けようとしています。彼らは良いことをしようとしているんですけれども、市民とどのように関わっていくのか、どのような絆を育むのかという方法を知らないわけです。
いくつかのプロジェクトの例を紹介したいと思います。シェアリング・エコノミーのための規制緩和、シェアリング・エコノミーというのは今、アメリカでもかなり論議の的となっていますが、日本もやがてこの傾向が及んでくるでしょう。
それから電子政府とシビックテックのプロモーション、例えば地方の活性化のためにインターネット技術を作っていくというようなことも、これに含まれます。私はGoogleにおりましたので、まさに、ICTを地方創生のために使っていくということに関心を持っております。
またICT、コミュニケーション技術を医療のために使うということも非常に重要です。創造的な文化のために著作権制度は柔軟でなくてはなりません。TPPがこのディスカッションの良いきっかけになると思います。
社会的なインパクト投資の普及啓発、デジタル外交の提唱ということも行っております。私たちは他とどのように差別化しているのか、他のPR会社と私たちの会社はどう違うのかと聞かれますが、3つの違いがあります。
1つは、イノベーションに特化しているということです。私たちがプロジェクトを引き受けるときに、現状維持を目的としません。イノベーションを起こすようなプロジェクトに関わります。社会のイノベーションにつながるようなことに注目しております。
そして2つ目は、ソーシャルグッドです。プロジェクトを行うときには、信じて、このような信念があります。信念と言いますといろいろ論議もあるでしょうが、私たちが社会に確実に良いインパクトをもたらすと信じるプロジェクトのみを引き受けております。
私たちが関わるプロジェクトというのは、確かにステーク・ホルダーの中に反対する声も上がるかもしれません。でも、最終的に社会にとって良い効果を持つと私たちが信じるプロジェクトを選んでおります。
そしてこのロビー業界の中において、これも非常に論議の多いところなんですが、レントシーキング禁止、これは、新しい価値を創造することなしに、自分たちに不当に利益を誘導するということです。これを禁止しようとします。
公共政策を立てるときに、ルールを曲げて、社会のルールを曲げて、自分たちの縄張りだけを、あるいは自分たちの企業や業界だけを利するようなことはしないということです。公共政策において、そのような利益誘導を禁止しております。このようなイノベーションを提唱しております。ありがとうございました。
(会場拍手)
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