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「イケてる女子と地方を売り込め!」ゲスト:のぶゑさん(全4記事)

LGBTの告白をどう受け止める? 30才の悩める男性が両親に宛てた手紙

自由民主党の生放送動画番組『CafeSta』の「イケてる女子と地方を売り込め!」。前回に続いて、九州レインボープライド実行委員会代表ののぶゑ氏をゲストに迎えて、LGBTについて学びます。今回は、のぶゑ氏が初めての同性との交際から周囲へのカミングアウトまでを振り返り、当時の心境を語りました。さらに、現在活動する九州レインボープライドを立ち上げるきっかけとなった、パートナーとの結婚について、一般の人にはなかなか理解が得られない同性婚の問題点を挙げました。

初めての同性との交際で、ナチュラルな自分を発見

のぶゑ氏(以下、のぶゑ):(前回続き、女の子との交際の後)それから数年経って、男性とお付き合いするようになって。

伊藤ようすけ氏(以下、伊藤):それ、いくつの時ですか?

のぶゑ:男性と最初に付き合ったのは25かな?

伊藤:でもまだカミングアウトしてない時?

のぶゑ:してないです。やっと、ゲイの友達とかができるようになって。

伊藤:まあちょっと大人になって、社会に出て、いわゆるゲイ社会みたいなものがいろんな所にあることを知って。そういう場所に足を運ぶようになって、いわゆる、彼氏になるんですよね?

のぶゑ:そうです、彼氏。私たちは彼氏×彼氏の同士。

伊藤:ですよね。最初のお付き合いをして、その時はもう、やっと出会えたって感じですか?

のぶゑ:そうですね。普通に生活していく中で、自分の恋人が同性であることが、自分の中ですごくナチュラルなことであることに気づくんですよね。それがすごく安堵感というか。

一緒にただ単純に寝てるだけとか、本当にソファに一緒に座ってテレビ見てるだけっていう、この空気感が、すごい安心感がそこにあったりするんですよ。女性と一緒にいた時とは全く違う安心感というか(笑)。あぁ、こういう感じなんだろうな、一般の人は! って感じでしたね。

伊藤:一般のマジョリティの方々っていうのは、普通は男性と女性がお付き合いするわけですけど、それはこういう感覚なんだろうな? って?

のぶゑ:そうです。

伊藤:なるほど。ただ一方で、まだ25才の時のお話なので、いわゆるカミングアウトしてないですから、普通の社会に出たら、また自分は違う性を演じなきゃいけなくなるわけじゃないですか? それはやっぱり相当、苦しいですよね?

のぶゑ:やっぱり苦しいですよね。バレないようにしながら仕事をしないといけないので、すごく集中力も分散されますし、それによってパフォーマンスが下がるとまた違うストレスがかかってくるでしょ? 上司からとか。それもすごくきついし。でも、こっちの力を抜くことはできないので、だんだん苦しくなっていくっていうのはよくありましたよね。

悩んだ末のカミングアウト。30才にして再スタートを決意

伊藤:何がきっかけで、もう、言っちゃおうと思うわけですか?

のぶゑ:私の場合は、ですよ?

伊藤:ちょっと、ごめんなさい、質問挙げようかな。(コメントを見て)「お料理とか上手ですか?」って。

のぶゑ:私、お料理はだいぶします(笑)。

伊藤:(笑)。料理うまそうだよなー。はい、ごめんなさい。それで、何が背中を押したんですか?

のぶゑ:私はもう、さすがに自分のこのしゃべり方を隠しながら生きていくってことが、相当ストレスで。ナチュラルに生きていくと、どんだけ楽なんだろうって思ってたことが、ずーっとあったんですよね。

伊藤:ずーっとって、20何年間?

のぶゑ:そうです。特に社会人になってからは隠すことしかしてなかったので、10年間はもう、すごく苦しかったんですよね。生活も荒んでいきますし、メンタルが荒んでいるので……。

きつかったんで、どうやったら、自分が幸せになるのかな? 楽になるのかな? って考えた時に、何も隠さないで生きれたらすごく楽になるのになって思ったんですよね。それで、そうできるんだったら一番いいなって思って、会社も辞めて、全部。

伊藤:辞めた?

のぶゑ:辞めたんです。人間関係も1回整理して、私はここからは隠さずに生きていくって言って、再スタートを切ったのは30才の時です。

伊藤:じゃあ、別にどなたかに相談するとか……? そのパートナーに相談されましたか?

のぶゑ:当時、パートナーはいなかったので。

伊藤:じゃあ、もう自分自身で。

のぶゑ:決めて。

伊藤:その時の周りって、リアクションはどうでした? まず、どこから始めたんですか? 友達ですか?

のぶゑ:一番最初は、やっぱり友達でした。

伊藤:実はさー、と。

のぶゑ:はい。私の場合は本当にありがたいことに、私のことを否定する人が1人もいなかったんですよ。逆に、そっちのほうがいいよってみんな言ってくれて。

「そっちのほうがナチュラルであなたが生きやすいなら、そうやって生きていきな」って言ってくれたんですよね。友達であることには変わりはないからって言ってくれて。それがすごく嬉しくって、ああよかったーって思って。その後に、親に言って。

ついに両親へ告白。受け入れてくれた父母の大きな愛を知る

伊藤:親、どうでした?

のぶゑ:親は、自分が面と向かって言ったわけではなくて……。とてもその勇気は出なくてですね。

伊藤:面と向かってはね……。ご両親、健在だった?

のぶゑ:健在です。なので、たまたま福岡に出てきてくれた時があったので、手紙を書いて渡して、家に帰って読んでねって言って。返事がくる1カ月の間はとても不安でしたけど。

伊藤:1カ月間も返事こなかったんですか?

のぶゑ:そうなんです。うちの母はそういうものをすぐ返す人なんですね、すごいきっちりしてる人なので。なのに、1カ月も返事がないっていうのは相当……、たぶん悩んでるんだろうなって思ったんですよ。

伊藤:いや、そりゃ相当、悩んだでしょう。

のぶゑ:特に私の母は、かなり歳いってからの子供になるので、現在70才なんです。年齢的には、今でも受け入れるのが難しい年代なんですよね。でもすごい1カ月間、たぶん父と2人で炯炯、赫赫……たぶん。

伊藤:やっただろうなー。

のぶゑ:やってると思うんですよね。で、手紙が届いて、やっぱり悩んだよってことは書いてあって。でもその後、一番最後の締めくくりは「それであなたが幸せになるんだったら、お母さんは応援するから頑張りなさい」って書いてあって。

その時に、何か今までの30年間のわだかまりが全部、すとーんって落ちたような感じでしたね。何かもう、ずっと持っていた重たい荷物をやっと下ろせたような気がしました。

伊藤:そうか。お父さん、どうでした?

のぶゑ:うちの父は淡々としているので、たぶんどちらかというと、性格を考えたら、母が「自分が育て方を間違ったんじゃないか?」とか、わーわーってなってる所を、父が慰めて……。でも俺らの子供やろ? って言ったのは、たぶん父じゃないかなって思いますね。

伊藤:そうか。いやーこれ……。こうやって感慨に浸ってる番組じゃないんで。

のぶゑ:(笑)。

伊藤:そうか、うちらの子どもやろって……(絶句)。ちなみにのぶゑさん、ご兄弟はいらっしゃるんですか?

のぶゑ:はい。3兄弟の末っ子です。

伊藤:兄弟の方には?

のぶゑ:私のことは、親戚一同全員知っているので。

伊藤:そのタイミングで同時に?

のぶゑ:まあ、徐々にですね。まず、母と父に知ってもらって。その後、当時私は兄と一緒に仕事をしていたので。兄が飲食店をしているので、そこで兄と2人で話しながら。仕事終わった後にこの話をしたりして、少しずつ広がっていった感じですね。

現在の活動を始めるきっかけとなった、彼への思い

伊藤:のぶゑさん自身は個人的に、周囲の方々にカミングアウトされて。背負ってきたもの、本当に重い荷物を下ろされて、今度は当然のことながら、自分と同じようなことで悩んでらっしゃる方がいるはずだって、なるわけですよね? 今の活動と結びつくためには。

のぶゑ:そうですね。5年間ほどのブランクはありますけど。

それから、私は自分で、アロマテラピストなので、サロンを立ち上げまして。それでお仕事をしながら、福岡ではありがたいことに、テレビでちょっと取り上げていただいたりとか。こういうキャラクターで、アロマテラピストで、って福岡では珍しいので。少し取材を受けたりしまして、認知していただいたりしていたので。

その中で、5年間はこのまま……、たぶん普通に私の生活に支障はなかったんですけど。そこそこお客さまも持たせていただいて、生活は普通にさせていただいていたので。

ただ、今、丸5年お付き合いさせてもらってる彼氏がいるんですけど、彼とこの先ずっと一緒にいるってなった時に、私はこの人と結婚したいなって思ったんですよね。そこが、きっかけで。

伊藤:ご自身の思いがきっかけなんだ。

のぶゑ:そうです。この人と一緒にいるのであれば、いずれ老後が来るわけじゃないですか。その時も2人で暮らすのにあたって、どうやって生活していったらいいんだろう? とかって考えると……。

普通の男女のご夫婦のような、お国からのいろんなものとか制度的なものはないし。保険のことだったりも、パートナーではあるけれども夫婦関係ではないので、生命保険も入れなかったりするわけですよ。そういう所で、自分の大事な人を守ることができない環境が、そこに実際にあるってことに気づいて。

伊藤:逆に、守ってもらうこともできないってことですよね。

目標は同性愛者カップルのウェディング増加!

のぶゑ:そういうことを感じてる人たちって、いっぱいいるんだろうなと思うようになって。いろいろと活動し始めた時に、私は最初ウエディングをしたかったので、ウエディングをするっていう目標が1つ。

最初の思いはですね、数を増やす。結婚式だけでもいいので、数を増やしていくことが1つの運動になるんじゃないかなって思ったんですよ。

伊藤:ごめんなさい、数を増やすってどういう意味ですか?

のぶゑ:結婚、同性婚とかをしたいと思ってる子たちが増えることが、1つの数の運動になるのかなと思って。じゃあ、このウエディングのサポートをしていこうって。

それで、その準備を始めたのが、ちょうど2年前だったんですね。2年経ってやっとこの前、7月ですけど、ウエディングのサポート事業の会社ができ上がって。今、プランナー5人と私とで、一緒に活動している状態ですね。

伊藤:ただ、まだ認められてはいないじゃないですか?

のぶゑ:婚姻って部分では、ですね。

伊藤:そうですよね。婚姻は認められてないっていうことは、周囲に対してということになるんですか? おっしゃってる結婚式っていうのは、周りの方々に、我々2人はパートナーとしてこれから生活をしていきますよって言うための式ということ?

のぶゑ:そうです。

同性婚には問題山積み……。普通の新郎新婦との違い

伊藤:具体的に、いわゆる普通の結婚式のカウンセリングというか、いろいろ段取ってくれる所っていっぱいありますけど、同性婚の場合は何が違うんですか?

のぶゑ:まずですね、これは企業に対してのアプローチで、よくいうのは普段の契約書とか、ああいうのって新郎新婦って書いてあるんですよね。だけど私たちは新郎新婦ではないので、結局そこの表記を変えなきゃいけなかったりするんですよ。

また、その私たち自体がウエディングドレス×タキシードって形での結婚式スタイルではなくて、タキシード×タキシードとか、ウエディングドレス×ウエディングドレスという形の結婚式になるので。その部分の配慮の仕方が、全然違ってくるわけですよ。

また、同性愛者であることにおいて、心の、いわゆる人生の背景が全く違うので、その部分のフォローアップをするにあたって、プランナーさんにそこを分かってていただかないと、私たちもすごく安心できないんですよね。

伊藤:どういうことなんだろう? 心の背景が違う……。まあ確かに、それは違いますよね。

のぶゑ:どう言ったらいいのか……。例えば私と、私のダーリンの2人でカウンターに行きました。

伊藤:カウンターに行きました。何か相談しにね?

のぶゑ:ウエディング相談カウンターに行きました。その時に、横は普通のカップルさんと普通のカップルさんが並んでて、そこに男性2人が並んでるって、おかしくないですか? 絵的に。

伊藤:……確かに。

のぶゑ:(笑)。おかしいですよね? どう考えても。

伊藤:客観的に見たらおかしいですよね。普通のカップルからすると「隣、何やってるのかな?」と思いますよね?

のぶゑ:ですよね? そういう状態がまず1つ。そこをやっぱり解消しなきゃいけないっていうこと、と。こちら側も、やっぱりそこには座りたくないわけですよ。

伊藤:そういうことか。

同性婚の受け入れ態勢を整えて、万全のサポートを提供

のぶゑ:プラス、その担当していただいたプランナーさん自体が知識がなかった場合に、結婚って男女のカップルと同じようなものだと思っていらっしゃると、結局どちらがウエディングドレスを着られるんですか? って話になったりするんですよね。私たちはそういうわけではないので、えっ!? ってなるわけで。

同性婚ってそういうことじゃないんですよね、ってことを知っていただかないといけないってことと、後はやっぱり普通のカップルさんでも、いろんな人生背景があって、ご家族のことがあって、いろんな問題とかトラブルも抱えながら結婚式って望まれると思うんですよ。

だけど、私たちも同じで、そのベースがありつつ、そこにセクシャリティの問題がどんと乗っかってるので、また違う問題が発生したりするんですね。実際に私たちの場合でも、「お父さま、お母さまにこのことを、どういうふうに、どこまで言われてますか?」とか。

来られた時に、「お父さま、お母さまに対して、お2人のことを何とお呼びしたらいいですか?」とか、通常の新郎新婦のご両家って話ではなくなってくるんですね。そういう細かい部分までもやっていかないと、そういう所で本人たちが嫌な思いをしたりとかするので。

なので、そういう部分もきちんと全部、整備して受け入れ態勢を作って、やっていきましょうという形で、サポートさせてもらったりはしています。

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