2024.10.10
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林大介氏(以下、林): 今日、これから実際に、昨年の12月の総選挙をテーマにして「模擬選挙」をやろうと思っています。
衆議院議員選挙なので、小選挙区と比例区っていう2つの種類の選挙があるんですけれども、今回やるのは比例区の政党名だけにしようと思っています。
マニフェストとかをホチキスでまとめた政策集があると思いますので、それを見ていただきながら、ワークシートを使ってグループの中でディスカッションしてもらって、自分たちだったらどの政党を選ぶのかというのを最後に投票してもらおうかなと思っています。
ワークシートを見ていただきたいんですけれども、ワークシートではまず今回の選挙の争点、あなたが重要だと思うもの、あなたが選挙でその時点で大事だなと思うものがどれなのかっていうのを、まずは個人でランキング、順位付けをしてみてください。
それをその下の欄に番号を書いてください。で、ランキングを付けてください。そのあとでグループ内で意見交換をして、また疑問に思ったことなどをまとめて、投票前にいったん全体で共有をして、最後に投票をするという流れで行きたいと思っています。
大事な点をお話ししますので、前見ていただきたいんですが。これからやる模擬選挙には正解はありません。こないだの総選挙をもとにやってますので、もうすでに選挙結果は出てます。
別にそれと、今回ここで模擬選挙をやる24名の結果が異なっていようが何しようが、構わないと思っています。自分の意思で考えて決めるというところがすごく大事なので、そこを重視したいと思っています。
グループでディスカッションをしてもらいますので、他の人の意見に耳を傾けることは大事なんですけれども、でも決めるのはあなた自身です。自分自身で決めてください。
もちろん他の人が言ったことで「それいいな」と思ってその意見になるっていうのももちろんありですけれども、他の人に無理強いしたりっていうことをしないでください。
そして最後、投票してもらいますけれども、自分がどの政党に投票したのかについては、秘密は当然守られますので。いや言いたければ言ってもらってもいいんですよ(笑)。でも、一応秘密は秘密ということですので、他の人にとっても秘密ですので、それはきちんと守るようにしてください。
選挙の原則としては、普通選挙とか平等選挙、直接選挙、自由選挙、秘密投票選挙とありますので、これらを守ってやっていきたいなと思っております。
ちなみに、こちらの壁側に全ての政党のポスターも貼ってあります。ちょっと何か右肩下がりなのであれですけれども(笑)。ポスター、こう見るとどうですかね。全政党のポスターってあんまり見ることってないと思うんですけれども。
一応、右側から自民党、民主党、維新の党、公明党、次世代の党、共産党、そして社民党と生活の党はポスターをもらえなかったので、リーフレットを貼ってますけれども。ああいうポスターがあります。
民主党はご覧のとおり、もうすでに党首、違います。あのときの党首誰だったかな。わかりますか? 昨年の総選挙の時点で。
とかっていうことをちょっと思いながらということと、それぞれポスター、あそこに出ている人たちがどこ見てるのかなと。あのキャッチコピー、どういう意味があるのかなと、ぜひ考えてもらいたいなと思います。
あと、参考までに、全ての政党のマニフェスト、本物も持ってきていますので、全部でそれぞれ2部ずつしかないので、全員にお配りしたり、グループごとにお配りしたりできないんですけれども、興味がある方は前に見に来ていただければなと思います。
では、それぞれのグループで模擬選挙をやっていただきたいと思います。
まずは自分たちで、一人ひとりでランキングをしていただきたいなと思います。3分から4分ぐらいとりますので、ちょっと考えたこと、政策集のところに項目いろいろ書いてありますので、それらを見ながら、これが大事だなと思うものを選んでもらえればなと思います。
では始めてください。
(会場作業)
林:各政党のマニフェストは前にありますので、もし興味がある方、見たいなという方がいたら、ぜひ見に来てください。これはわかる、わかりにくいのも含めて、これだけ全政党のを見られる機会っていうのはそうそうないと思います。
(会場作業)
林:あと1分ぐらいでグループでディスカッションしようと思いますので、全部それぞれの項目について順位付けできなくても構いませんが、とりあえず自分にとってはどれが重要な項目なのかなっていうのを考えていただけるといいなと思います。
(会場作業)
林:それでは、人によって進め方、進んでる、できてない部分、いろいろとあると思いますし、順位付けも人それぞれ異なっていると思いますので、私はこれが重要だと思うよっていうようなことで、それはこういう理由だよっていうことを、グループの中で話し合ってください。
また、きっといろんな難しい言葉とかがいっぱい出てきてると思います。で、ちょっとここわかんないよねっていうのを、あとで全体で共有したいと思いますので、どなたでもいいんですけれども、そのわからないなっていう疑問があったら、それをキーワードで構いませんので書き留めておいていただけるとありがたいです。
では始めてください。
(会場グループで話し合い)
林:さて、いかがでしょう。どんな感じでしたか? それぞれのグループごとで話をしてもらって、ランキングは同じような感じでしたか? 結構バラバラでしたか? まだ盛り上がってますか? いいですか? まず、ランキング、とても重要だと思うものは、どうでした? グループの中で同じだった? 大体同じでした? そちらのグループはみんな同じ? 大体同じ、どんな感じだったんですか? ちょっとそれぞれのグループごとに聞いていきましょうか。
参加者:「憲法」が絶対で、その次に「経済」とか「外交」が入っている。
林:後ろのグループはどうでしょう、ランキング。別にいい悪いじゃない。それぞれの特色聞いてるだけなんで。みなさんどんな関心が。結構バラバラ?
参加者:「お金」か「人」か。
林:こちら窓側のグループは?
参加者:最重要のものは、「安全保障」と「少子化」の2つに分かれました。
林:なるほど。
参加者:全体的にまとめていくと、まず憲法を改正して、国の基礎を固めてきてから、国の中を充実させていければよいのではないかという方向にまとまりました。
林:なるほど。「憲法」をやってから、「安全保障」なのか「子育て」なのか、どう進むのか、そのときによって違うっていうことですね。そちらの奥はどうですか?
参加者:共通なのが「経済」。他は「エネルギー」「震災」「憲法」などが多かったです。
林:こちら手前が。
参加者:「憲法」と「震災」と「社会保障」。
林:はい、ありがとう。
それぞれ最重要だなと思うのいろいろあるんですが、逆にそれほどでもないなというのはどうなんでしょうね。 あんまり興味がないというか、みなさんにとってはそれほど関心度が高くないものっていうのはどうでした?
参加者:「女性の活躍」。
林:他はどうですか? こちらは?
参加者:バラバラですね。
林:はい、いいですよ。そちらはどうですか? 結構バラバラ?
参加者:「雇用」「地方自治」「行財政改革」。
林:ここ真ん中は?
参加者:まとまんない。
林:逆に言えばバラバラだった。そちらはどうですか?
参加者:「女性の活躍」「地方自治」「教育」。
林:人が変われば、それぞれ重要だと思う政策は、本当に多岐にわたります。そういう意味では、それぞれの政党も、それぞれ大事だと思う政策についてはきちんと答えた上で、それについてみなさんが共感してもらえる政策を掲げて、それぞれやっているわけなんですね。
ランキングしてもらってますけれども、グループの中でも、結構バラバラだったり、「どれが大事なの?」っていうことがあると思います。
さらにその主張の中でも、例えば「憲法」についてだって考え方がまたさらに分かれるんですよね。っていうことを考えた上で、じゃあみなさんどうしますかということです。
あと疑問に思ったこと、何か出ましたか? ここ難しいよねとかわかんないよねとか。
参加者:このグループで疑問だったんですけど、次世代の党の原子力発電とエネルギー政策、これがちょっと矛盾してるんじゃないかなと。
林:矛盾してるんじゃないか。鋭いですね。次世代の党の「安全かつ安定的なエネルギー政策」と「世界最先端の原子力技術の維持」というのが矛盾してるんじゃないかということですね。きっとそういうのも出てくると思います。個別に、マニフェストにも書ききれてない部分とかいっぱいあると思うんです。ありがとうございます。
他、どうですか? 疑問に出たこと。わからなかったこととか。そもそも全てわからないよというところもあるかもしれませんけれども。「TPPって何?」みたいな。どうでしょう。
ということで、いろいろと考えてもらいました。では、これから、もう時間が迫っていますので、みなさんには最後、決断をしていただこうと思っております。
今日、これから、みなさんには投票していただきますが、本物の投票箱をこのサイボウズ社本社のある中央区選挙管理委員会からお借りしてきました。実際の選挙で使われている本物です。
(投票箱を取り出し、組み立てる)
今日、時間がないので使いませんが、こういうごつい南京錠が付いてて、ここの2か所、鍵を掛けて、それをまた管理するとか、厳重になっていたりします。
最後、これに投票してもらおうと思いますので、投票用紙をこれから1枚ずつ配ります。本当は投票するときには、記載台といって投票するようにまわりが見られない場所、囲われてる場所でやっていただくんですが、今日、そこまでの用意ができていませんので、周りの人に見えないような形で、声を出さないように、自分だったらどの政党に入れたいのか、入れようと思うのかっていうのを考えて、投票してください。
後ほど集計結果を出したいと思ってますので、考える時間はないんですけれども、選んで、今の時点でみなさんだったらどう考えるのかということを書いてください。
あと、本物の投票用紙にはないんですが、投票した理由を書く欄もありますので、そこに一言二言、なぜその政党に入れたのかというのを書いていただければいいです。もちろん、みなさんの名前は書かないでください。誰が投票したのかわからないようにしたいと思いますので、よろしくお願いします。時間取ります。
(各自記入)
林:言い忘れてましたが、もちろん白票を投じるということも権利としてありますし、投票しないという、いわゆる棄権するということも一般にはあります。若い人は投票に行かないというのは棄権をしている人が多いということなんですが、今日はせっかくですので、100パーセントでいきたいと思っています。
白票を投じるということ自体は、それはもうみなさんの選択ですので、それでも構いません。もう選びようがなかったら、白票でも構いません。でも、どうしてそうなのかっていうのを理由に書いていただきたいなと。
みなさん大体、書きましたでしょうか。あと30秒ほどしてから投票に入りましょう。
(各自記入)
林:では、書けた人から順番に前に出てきていただいて、投票してもらおうと思います。もちろん折って投票していただければなと思います。カメラマン、撮影したい方がいろいろいらっしゃるみたいですので、撮影へのご協力もお願いいたします(笑)。では、どうぞ。
(各自投票)
林:みなさん、投票終わりましたか? されてない方はいらっしゃいませんか。大丈夫ですか。では、ちょっと集計に入りますね。
人数が今日少ないですので、集計結果、あっという間でできるかなと思いますが、先に昨年やった模擬選挙全体の結果だけ見ていただこうかなと思います。これが総選挙のときの模擬選挙のときの結果ですね。
上が、実際の選挙で投票した政党別の投票率の割合です。衆議院はブロック別での比例区もやっているので、きっちりこうなってるわけじゃないんですけれども、全ての得票数を足し合わせて単純に割りました。模擬選挙のときも同じように、政党別で割っています。見ていただいてどうでしょう。
みなさんに今日やっていただきましたけれども、同じように、模擬選挙で投票してもらってるんですが、実際の選挙結果と未来の有権者、そんなに大きな差はないのかなと、私たちは印象を受けています。国政選挙でも模擬選挙についても。
このときも自民党が勝ったときですので、模擬選挙でも自民党が多かったです。民主党は(実際の選挙で)18.3パーセントで(模擬選挙で)22.0パーセントという形でした。
また、この下、学校で今みたいにちょっと勉強したあとに模擬選挙に投票してもらう場合と、街頭、渋谷のハチ公前とかで同じ高校生が高校生に「いま模擬選挙やってるんだけどどこを支持しますか?」と投票することを街頭で呼びかけたりしていた場合と、その両方のパターンを足した場合があるんですけれども、学校で学んでいたときのほうが、いろいろな政党きちんとわかっているので選びやすいのかなと。街頭で突然聞かれてもあんまり政党名とか、今日も突然言われてわかんないと思うんですね。
なので、どうしても知ってる政党に、街頭の場合はなりがちなんだなと感じています。学校できちんと学んでいると、模擬選挙でもほぼ同じような結果になるということです。
ただ、おもしろいのは、公明党さんだけはどうしても模擬選挙ではいつも減ってしまって、組織票がどうしても子供たちの中にはないのかなというところがいろいろと言われています。
でも、結構、地域性も出てて、北海道で模擬選挙やると新党大地さんが票を取っていたりとかしますし、関西圏であると維新の党が強かったりとか、そういうのも出ています。
実際の選挙結果とほぼ同じような感じになっていますので、模擬選挙も見てるとおもしろいかなということで。
集計結果が今出たようです。
参加者:すみません。これ、投票したいです。退出してました。
林:退出してた。でも、投票箱閉め切っちゃったので、それはもう時間切れでした。そういうものですね。そういうことなんです。
参加者:だけど、入れたいんです。……入れてみたいんです。
林:じゃあ、入れてみるのは後ほど(笑)。すみません。
ということで、投票結果、ご覧いただいてるように、民主党が9票、自民党が6票、公明党が4票、そして共産党と維新の党が2票ずつというふうになっています。
すみません、いくつか投票理由をちょっと紹介してもらってもいいですか?
司会:まず、自民党が「子供や若い人に力を入れていて、高齢者より未来を考えているから」。民主党の人が、「女性の活躍でも仕事と育児の両立が良いと思った」。自民党が「一番現実的であって一番自分の考えに近い」。
公明党が「今の憲法を守りつつもこれからも必要なことは変えたりしなければいけないと思ったから。さらに国内の生活の充実を図りたいから」。民主党が「人の安心に焦点を当てているように感じました」。維新の党が「一番現実的な政策、野党としての存在感、同一労働、同一賃金というところ」。
公明党が「教育、税制に共感しました」。自民党が「安全保障。共産党が、憲法改正はしないという考えに共感したから」という感じです。
林:はい、ありがとうございました。ということで、時間になりましたので、今日の6限目はこれで終わりにしようと思いますが、今やってみたことは半年前の2014年の選挙でやっています。さらにそれから今時代が変わって動いています。
その選挙のときも、自民党、このときは「景気回復、この道しかない」と、またポスターでも「まっすぐ景気回復」と、アベノミクスが大きく打ち出されていたんだけれども、今の国会で話されてるのは、アベノミクスではなくてどんなものなのかなとかって考えると、常に先々を見て投票することっていうのが1つは大事なんだろうなというふうに思います。
もちろん、そのとき課題になってることもあれば、その後1年後または3年後、5年後に重要になってくる課題もあります。ぜひ、そういったことをみなさんにも感じながら、政治とこれから向き合っていってもらいたいなと思います。
そして、冒頭に言いましたように、来年の4月からは18歳選挙で、18歳になったら投票権を得ることになってきます。
それは国政だけではなくて地方自治体の選挙でも同じですので、ぜひみなさん、政治が自分たちにとってどれだけ身近になってるのか、またそれを常に考えていくことをしていただきたいなと思っています。
では、6時間目、(投票できなかった参加者に向かって)あ、最後投票していいですよ。してもらって終わりにしたいと思います(笑)。では、どうもありがとうございました。
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