2024.10.10
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林大介氏(以下、林):では6時間目。今まで5時間授業をみなさんやってきましたけれども、『卒業したら政治参加!? 私たちの身近になる「選挙」』ということで、6時間目は政治をテーマに授業をしたいと思います。
6時間目を担当するのは、東洋大学で教えています林といいます。よろしくお願いします。
みなさん、未来の有権者ですよね?
私たちは「模擬選挙」といって、実際の選挙のときに未来の有権者に、学校とか街頭とかで実際の選挙のときに投票してもらうという活動を、もう10年ぐらいずっとやってきています。今日は、それをテーマにやりたいなと思っています。
見てもらうとわかるように、今若い人の投票率が低いということがずっと言われているんですね。この赤いラインが20代の投票率です。
これが昨年12月総選挙のときの投票率なんですが、若い人、32.58パーセントしか投票に行っていません。逆に高いのが60歳代ですね。68.28パーセント。また、50歳代が60.07パーセントで、70歳代が59.46パーセント、あと緑のラインが30歳代ですから、「若い人、全然政治に行かないよ、興味がないよ」というふうにずっといわれています。
これが年代別の有権者と投票者の割合ですね。
今、少子高齢化と言われているのをご存じだと思います。また、シルバーデモクラシーといって、先ほど見てもらったように、若い人よりも高齢者のほうが、投票率は高いんですね。
60代とか50代が高くて、30代や20代が低いというところで、実際の人口の割合がこういう左側の棒グラフになるんですけれども(「全人口の割合」のグラフを指す)、そのときの有権者そのものの割合、20歳未満の人を除いた割合はこういう形になります(「有権者の割合」のグラフを指す)。
5年前の2010年の参院選のときのデータで、ちょっと古いんですけれども、さらに実際そのとき投票に行った人の割合(「投票者の割合」のグラフを指す)。20代30代の投票率が非常に低いのに対して、さらに人口を掛け合わせると、実際には20代30代は有権者としては3割近くいるんだけれども、投票に行ってる人数は低いので、21パーセントにしかならない。
でも、60代以上の有権者の割合は39パーセントなんだけれども、投票に行った人の割合の中では45.6パーセントで5割近い人が投票に行ってますよというふうに、実際にデータとしては出ているわけですね。
これがさらに、少子高齢化が進んでいきますよというなかで、選挙に行っても、結局は高齢者の声ばかり届くんじゃないのかなと。そこでシルバーデモクラシーといったりしています。
そういうなかで、みなさん、6月に参議院で、ある選挙に関する法律が通ったんですけれども。知っている方いますか。
(会場挙手)
はい、どうぞ。
参加者:18歳以上の選挙権。
林:はい、そうです。正解です。おめでとうございます。18歳から選挙で投票ができるようになりました。今まで、選挙で投票できるのは何歳からですか?
参加者:20歳。
林:はい、20歳。20歳からしか投票できなかったのが18歳から投票できるようになったということで、18歳と19歳が新たに投票できるようになりました。
早くて来年の4月に参院選が行われる予定ですので、そこから18歳、19歳が投票できるということなんです。つまり、来年の4月の時点で18歳になっていればいい。今、17歳の方いますか?
(会場挙手)
林:もう来年から有権者です。投票に行けるんです。という形ですね。他にいますか? 今17歳の方。17歳。え、今17歳?
参加者:今、17歳です。
林:うん。(別の参加者に)今何歳?
(会場笑)
参加者:今18です。
林:じゃあ、もう来年投票に行けるんですね。17歳と18歳。行けるんですね。今までは20歳にならないと行けなかった。
新たに240万人、18歳19歳が有権者になるのですが、少子高齢化とかいわれてるなかで、そんなに大きな数ではないのは事実なんですけれど。
でも、公職選挙法で選挙権が拡大するのは70年ぶりといわれてます。戦後になって女性が初めて参政権を得た。それまで戦前は、投票に行けなかった、女性は。でも戦後になって女性が行けるようになったと。
で、今回初めて年齢が下がって、さらに選挙権が拡大したというところのなかでは、若い人に対するこれからの期待というものが見えてくるんだろうなと言われています。
ただ、「若い人全然投票に行かないよね」という話があるなかでは、「若い人って政治や選挙に関心がないから選挙に行かない」といわれていたり、または「子どもに政治のことを話しても分からないよね」といわれたりしています。
でも、政治に興味がないとか関心がないっていうのは、それは子どもや若者に問題があるのかなというところが、私自身すごくずっと疑問に思っていることなんです。
みなさんちなみに、政治や選挙に関心がある方?
(会場挙手)
あ、いますね。1人、2人。しっかり手を挙げていただけると。ありがとうございます。逆にあんまり興味ないなっていう方はどのくらいいますか?
(会場挙手)
はい、ありがとうございます。半々ぐらいですかね。でも関心がないわけじゃない。きっと、みなさんの身の周りでも、いろいろと政治に関わることというのはいっぱいあるんです。
政治に関心があるって答えた方に特に聞きたいんですけれども、普段、学校の友達と、政治について話したりすることってあります? ある? どんなことを話します?
参加者:集団的自衛権とかTPPの問題。
林:それは、どういう友達との、学校、クラスの友達? それは結構白熱する?
参加者:白熱する。
林:それ何人ぐらい?
参加者:多くても3人ぐらい。
林:多くて3人ぐらいとよく話をすると。あと、家族とも話すんだ。ありがとう。他、どうです? よく政治について話すよって方。先ほど政治に興味があるって答えてくれた子。友達と話す? 全然話さない。家族とは話します? 家族とも話さない? あんまり話さないのかな。ありがとうございます。
何で話さないのかな。話せる友達とは話せる?
参加者:自分は話せる。
林:他のクラスの子見ててどうですか? 政治のこととかみんなついてくる?
参加者:あんまり質問したことがないからわからない。
林:なるほど。ちなみに学校の友達と、みなさんどんなことをよく話すんですか? 教室では? テレビとか。あとは? アイドル。はいはい。他、どうですか?
文化祭のこと。これから文化祭? シーズンもう終わったの? もうちょっとで文化祭? はい。他、どうですか。どんなことを話しますか? 友達と話すとき。
恋バナとか話さないの? あんまりそういうのはしない? しないですか、はい。すみません(笑)。
でも、政治のことって、きっと彼はよくそうやって話せる人なんだろうなと思うんですけれども、あんまり話さない。話しにくかったりしませんか?
興味がある、話しやすいという人もいれば、私が高校生だったのは20年前なんで、そういうとき話せる友達とよく話したんですけれども、でも、話すと変なやつとか、今の言葉で言うと、意識高い系? 「あいつ意識高いよね」みたいに、やっぱり言われるじゃないですか。言わない?
政治のことを熱く、「消費税上がっちゃったけどどうする」とか、「郵政民営化とか憲法改正とか安保法案とかどう思う」って、そんなに友達と話さない。でも、そういう言葉は知ってる? 聞いてたりする? そういうのは何かネットでニュースで見たりとかっていうのをしてる人はどのくらいいるんですか?
(会場挙手)
結構いる。そういうことについて関心あることは、自分のものだけにしてるの? 誰とたまに話す? 友達と話す。そのとき友達ってどういう反応をするんですか?
参加者:知らない子は知らない。
林:それは、話に友達は乗ってくる?
参加者:乗らない子もいれば、乗る子もいる。
林:話せる友達がいれば、話せるのかなって感じですね。
じゃあ、実際みなさんにとって、政治ってどんな存在? 政治って何ですか?
参加者:生活のもと。
林:例えば?
参加者:例えば、学校とかだと、特に公立は国が決めたマップにしたがってやってるから、その基盤になっているのかなと。
林:そうです。学校教育制度って、確かに政治ですよね。昔、政治のテーマで公立高校の無償化っていうものも1つ話題になりました。
また、学校制度とか、今度新しい科目が始まりますよとか、外国語、英語を小学校で導入しようとか。いろいろと教育制度っていうのは話題になりますね。他、どうですか。みなさんにとって、政治って身近ですか?
参加者:身近ではない。
林:身近ではない。だけど、身近なところに政治って、いっぱいあると思うんだけれども、どうですか?
参加者:消費税とか自分たちの周りで変わってることはあるけど、自分たちで考えたものがそのままだと変わるわけでもないし、勝手に変わってるなって。
林:勝手に変わってるという。誰が勝手に変えてるのか。政治で決めてるの誰ですか?
参加者:国民。
林:国民が全部決めてる?
参加者:それを政治家の人たちとかが話し合ったり、無理やりなっているっていうか。
林:そうですね。選挙によって私たちは国民、自分たちの代表者を選んで決めているっていうところがあるんですけれども。
例えば今日、朝起きてここに来るまでのことを考えてもらってもいいと思うんですけれども。朝起きて蛇口をひねって顔を洗う。で、水が出てくる。水道っていうものをどうやって全国に普及していったらいいのかなというのだって、政治の仕事になりますし。
ここに来るまでの間、みなさん、何で来たんですか? 電車で来たっていう場合はその路線をどうしようかなとか、どういう路線で走らせたら、みんなにとって効率的なのかなとか、いろんなところで政治っていうのは関わってきているんですね。もちろん、政治で決めたことに対して、最後、行政機関が図面に落としたりっていうことはやってるんだけれども。いろんなところで政治っていうのは関わってきていますね。
でも、専門的になり過ぎるとわかりにくいので、だから私たちは専門的に決める人を選挙で選んで、その人に託すっていう間接民主制というものでやっているということになるわけですね。
そこで先ほど冒頭で紹介しましたように、私がずっとやっているのが、実際の選挙に合わせて、未来の有権者に投票してもらうという模擬選挙です。
一番上が、2008年のアメリカの大統領選挙のときなんですけれども、このときは大統領選挙、全米で700万人の未来の有権者が投票してくれました。
小学校3年生、4年生が投票箱にこうやって投票していたり、電子投票みたいな形でやってる学校もありました。
真ん中がスウェ―デンです。昨年、総選挙あったんですけど、スウェ―デンは42万人が模擬選挙という形で、学校で投票をしています。街頭で結構インタビューしたりとかいうことも、中学生ではよくやっていると聞いています。
日本は、昨年、急な解散だったので、あんまり模擬選挙をやれる学校がなく、中3とか高3は受験シーズン前でちょっとやれませんとかお断りされたんですが、それでも8,343人の未来の有権者が全国で投票してくれました。
自分たちもいずれは有権者になる。今回18歳に選挙権年齢が下がりましたけれども、18歳になってから考えるのではなくて、16歳だったら16歳なりに、17歳だったら17歳なりに、自分だったらこういう視点で考えていったらいいんじゃないのかなということをトレーニングする、練習しておくことが、実際に有権者になったときに大事になるな、と思っています。
それが他の国でもシティズンシップ教育という形で今やられていて、さらに言えば、これから日本で18歳選挙権に向けて、この秋、そして来年の4月に向けて、全国の高校でこういう模擬選挙を含めた選挙教育、政治教育っていうものが取り組まれる予定になっています。
そういうことなので、今日はそのお試しということをやってもらおうかなと思っています。
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