2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
YOSHIKI×John Roos(全1記事)
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YOSHIKI氏(以下、YOSHIKI):こんにちは、YOSHIKIです。なんて言ったらいいんだろう、今日はこのようなイベントに招待していただいて非常に嬉しく思っております。親愛なる三木谷さんに感謝申し上げます。
アメリカが長いもので英語のほうが楽になっちゃいました(笑)。せっかくピアノもあるので、今日は1曲、ルースさんと対談する前に弾いてみようと思います。
先ほどもちょっとビデオで流れましたが、天皇陛下が御在位10周年を記念して作曲させていただいたピアノ奉祝曲です。ピアノ・コンチェルト、カルテットの四重奏の皆さんと、ちょっとアレンジを変えて演奏してみたいと思います。ちょっと服を脱ぎます。
裸になったりはしませんから(笑)。
(会場笑)
ドラムを叩くとき上半身裸なのは、アレ別に身体を見せたいわけじゃなくて、結構服が邪魔なんですよね。チューニングします。では「anniversary」という曲を演奏します。
(演奏終了)
カルテットの皆さんどうもありがとうございました。気合い入りすぎてサングラス落ちちゃった(笑)。そうですね、何喋ろう……。
司会:今日はすばらしいゲストに来ていただいております。彼もまた私の大切な友人です。アメリカからはるばる駆けつけてくれました。実は彼は東京に住んでいたこともあります。それでは紹介しましょう、スペシャルゲスト、アメリカ大使のジョン・ルースさんです。
(会場拍手)
YOSHIKI:お越しいただきありがとうございます。
ジョン・ルース氏(以下、ルース):参加できて誠に光栄です。
YOSHIKI:初対面ではないですよね、X Japanのライブに来て下さってましたよね。
ルース:はい。大使時代に日本で最も充実した時間を過ごせたのですが、そのときにちょうど横浜まで見に行きました。初めてX Jappan のコンサートを見ましたが、7万人位いましたね。
YOSHIKI:Xジャンプもしてくれましたしね。
ルース:Xジャンプしましたよ(笑)。大使を辞めてから、サンフランシスコであなたのクラシックのパフォーマンスをみる機会がありましたが、今日のはそのとき弾いていた曲ですよね。
YOSHIKI:そうです。あの時はありがとうございました。実は去年、クラシックのピアニストと10カ国ツアーでまわったんです。それでサンフランシスコのデービス・シンフォニーホールでやらせていただいたんです。マークさんと来てましたよね。
ルース:そうそう、なかなか優秀な事業家で私達の共通の友人です。
ルース:このへんでそろそろYOSHIKIに質問させてもらいましょう。このイベントもそうですが、今や多くの事業家がテクノロジーのトレンドや技術が産業を変革させていくといったことを話しています。健康医療、交通、教育、農業、フィナンシャルなどなど。
そして音楽業界をも変えてますよね。テクノロジーによるあなたの業界への影響についてどうお考えですか?
YOSHIKI:そうですね、ご存知かもしれませんが、音楽業界はそんなになんですね。私はクラシック音楽のバックグラウンドがあるので20年ほど遡りますが、当時はCDとかありませんでした。過去50~60年で、レコードからCD、ダウンロードという流れで、今は皆ストリーミングをしています。Spotify, Google PlayとかBeats Musicといった会社がありますね。
将来はストリーミングがスタンダードになるでしょう。しかしそれは今までの物流のためにしてきたことを犠牲にもしています。ストリーミングで得られた収入が音楽業界に十分に分配されているわけではないのです。あなたが最初にそれを指摘してたので、おもしろかったです。
私のアイデアとしては、インターネットサービスプロバイダーが一度回収したお金を新たに貸し出して、コンテンツホルダーに配分する必要があると思います。コンンテンツホルダーとは音楽業界の人間だけでなく、映像業界の人やあらゆる人を指します。
税とかとは違い、将来の投資のようなものです。人々の貢献無しには音楽は生き残れませんから。私達はただビジネスをしてるだけではありません、もちろんビジネスなのですが、それだけでなく私達は文化そのものや芸術を作っているのです。なのでこういったことが必要なんだと思います。
ルース:あなたはミュージシャン、作曲家、プロデューサーでもありますが、事業家でもありますよね。今のコメントをふまえると、どんな風に自分の戦略を適応させていこうと考えていますか?
YOSHIKI:私にとって最も重要なのはいつも音楽そのものでした。しかし自分のブランドを作ることが必要になりました。今はなんとか生き残ってますが、というか繁盛してますが(笑)。 YOSHIKIというキャラクターもそうですし、YOSHIKIモデルのハローキティとかもそういったのも、YOSHIKIブランドを助けてくれてます。
ルース:それがほんとうにインターナショナルなブランドになってますよね。先ほども言われたみたいに「ヨシキティ」のハローキティとか、自分モデルのクレジットカードやレーシングカーもありますよね。ブランディングに関して本当に幅広く仕事をしてる。
ここにいる企業や事業家の皆さんだって国際的センセーショナルを起こすのに奮起してる。あなたがそうできる秘訣は何でしょうか?
YOSHIKI:基本的に、ブランディングは他業界と同じくらい音楽業界にとっても大事です。「小銭に賢く、大金に愚か」みたいなことに注意してます。私はいつも全体像を把握するようにしていて、少し先のことを考えるようにしています。現段階で赤字だったとしでも1、2年のスパンでとらえるようにしています。
私はそんなかんじでブランディングやビシネスをしてます。ただ、ブランディングはブランディングにすぎないので、本物の商品がないといけないと考えています。音楽業界なら音楽、コンピュータ業界ならコンピュータ。とにかく本物の商品。それがまず第一ですね。
ルース:YOSHIKIブランドやX Japanブランドの成長に関して、専門家のアドバイスを受けたりしましたか?
YOSHIKI:輸出とかの?
ルース:そうです。
YOSHIKI:なんとかやっているって感じですね。ロサンゼルスにかれこれ20年以上住んでいますが、最近では「アニメーション」とか「日本料理」とかをよく聞きます。本格的な日本料理のレストランも今では世界中にありますよね。ハローキティも世界中に広がっている。このあたりに学ぶことはあると思います。
ルース:この会議での主なトピックに「グローバルになる」というのがありますよね、そんなにじっくり見たわけではありませんが、あなたのキャリアにも興味があります。20年間アメリカに住んだと言ってましたね。
あなたは日本のロックスターでスーパースター。日本のボノとか、X Japanは日本のビートルズというようなことも聞きました。多くのエンターテイナー、また事業家でさえもが安全牌でいこうとします。そうしておけば、母国でスーパースターでいられます。
でも、アメリカのABCニュースでのあなたのインタビューを見た時、「なぜアメリカ進出をするのか?」という問いに対して「なぜしないの?」と答えていた。私はそんな感じでどんどんやってほしいのです。「なぜしないの?」と答えられる人はなかなかいませんから。
YOSHIKI:たしかにそうでした。ほんとにタフでないといけないし、心から熱望しないといけない。20年前アメリカへ行った時、私は自分を試していました。「ここでサバイブできるか」「音楽で彼らより劣ってないと証明できるか」というふうなことです。
劣ってるとは思わなかったし「いける」と自分に言い聞かせてましたね。強いYOSHIKIを自ら作り上げていました。
私は日本人ですが、前と比べると今ではアメリカで生きることは楽になってきています。当時はキツかった。それに加えて私は英語が話せなかったので。20歳の時でしたが大変でした。まず英語を勉強しないといけなかった。というか年齢バレちゃいますね(笑)。
(会場笑)
ルース:初めて海外に行った時、何に苦労しましたか?
YOSHIKI:何でしょうね……。
ルース:英語?
YOSHIKI:そうですね、多分、英語が一番の課題だったと思います。というか文法って10時間、20時間、もしくは1週間やっても何も達成できないかもしれないけれど、何かしら学ぶっていうのは、10時間なら10時間前よりはうまくはなりますね。
ルース:海外に行くと、音楽そのもの以前の困難がありますよね、ここにいる実業家やオーディエンスの方々にも共通の課題ですが、あなたが海外進出の際にはそれぞれ違ったアプローチをしますか? 現地に適応するのでしょうか? もしそうならどういった方法でしょうか?
YOSHIKI:いい質問ですね。イエス、ノー、両方です。日本のアーティストが欧米進出した際、アメリカならアメリカ、ヨーロッパならヨーロッパのアーティストになろうとします。現地の文化を学ぶのは大切ですが、自分を変える必要は無いと思います。
私はアメリカ、そして世界に日本人として進出しました。それと同時に現地の文化も学びます。聖書も読みましたしね。あなたの文化も学びましたし、中国に行ったときは中国の文化も学びました。今でも学び続けています。だからといって自分を変える必要はありません。
ルース:あなたの判断では英語学習はどれくらい重要だったでしょうか? そしてこの会場にいる実業家たちについてはどうでしょうか? このセッションは英語ですし、楽天の三木谷さんは会社の公用語を英語にしましたね。
好き嫌いに関わらず、英語は国際語とほぼ同意です。でも自国文化の美的感覚も失いたくない。ここの会場の人達が英語にフォーカスすることはどれほど重要だとお考えですか?
YOSHIKI:初めてアメリカに行った時のことです。ピアノの楽曲のレコーディングをしていて、自分で最高だと思えるくらいの曲でいいテープができました。けれど私の英語力不足によって、エンジニアが削除してしまったのです。その時は本当に英語勉強しなきゃと思いましたね。
でも英語を学ぶのはそんなに難しくありません。音楽制作とか他にも色々難しいことって世の中にいくらでもあります。英語なんて、2~3年頑張ったらもうできますから。
ルース:そんなに簡単じゃないでしょう(笑)。4年は日本語を勉強しましたけど、まだ難しいですよ。あなたが英語で喋ってくれて助かってます。
ルース:もう一度聞きますが、このイベントの若き実業家達へのメッセージは、あなたのやったように「グローバルになる」です。
リスクを恐れないこと。リスクにつきまとうものは失敗のリスクですが、私を含め多くの人がこの場で強調しているのが「失敗はOK」だということです。あなたはスーパースターで、失敗したことがあるかはわかりませんが、誰しも困難を経験していると思います。
失敗にどう立ち向かいますか? またどのように乗り越えますか?
YOSHIKI:失敗……。興味深い言葉ですね。それって見方によると思います。皆、失敗はしてると思いますが、失敗の定義って何でしょうか? 自分で失敗と思ってなければ、まだ失敗じゃないと思います。チャンスは人生終わるまであります、最期の瞬間まで。
なので失敗は失敗ではないと思います。やる気になる新たなチャンスかもしれませんし。もちろん世界の終わりかと思ったことも何度かあります。でも私はそういう風にとらえず今も突き進んでます。
「ローマは1日にして成らず」みたいなことなんです。なので今もやりつづけています。正直、自分が過大評価されてると思っていますし、世界規模でいうと私は普通ですから、これからもやっていかないといけません。
ルース:いままで挑戦したことのないことに音楽でさらに取り組んでいこうと思っている?
YOSHIKI:そうですね。テクノロジーでも何でも学んでいます。おもしろいことがあって、ストリーミングか何かで見たのですが、「IoT: Internet of Things」について話す人がとても多い。30年後の2045年にはIoTがスタンダードになっていると言う人もいます。
なのでそのころにはAIの作曲家と競わないといけないですね。音楽は数字ですからね、数学です。勝つつもりですが(笑)。
(会場笑)
ルース:たしかにそうですね。音楽の進化は興味深い。ランチで三木谷さんと話してましたが、彼は、あなた自身がロボットに取って代わられると思うかに興味を持っていました。
YOSHIKI:昨日の夜、三木谷さんとワイン飲んでて、ロボットがどうのこうのと……。三木谷さんこの会場にいます? 一緒に喋りません(笑)?
(三木谷浩史登場)
YOSHIKI:二日酔い?(笑)
三木谷浩史氏(以下、三木谷):もう復活しました(笑)。
ルース:YOSHIKIと三木谷さんが歌っているの見たい人いますか(笑)?
三木谷浩史氏(以下、三木谷):マジですか、それはまた今度(笑)。
(会場拍手)
YOSHIKI:(X Japanのポーズを掲げながら)三木谷さんコレできますよね?
三木谷:これは慣れてます。得意ですよ。
YOSHIKI:何日か前に一緒に写真撮った時、三木谷さんがXポーズやってましたしね。「飛びます?」とか言ってたし(笑)。
三木谷:でもYOSHIKIは本当にすごい。本物のグローバルですよね。
ルース:グローバルなだけじゃないですしね。日本に住んでいた4年間、私は「エンターテイナーやスポーツ選手を評価するように実業家も評価する必要がある」と言ってました。そして実業家の2人に1は三木谷さんを評価してました。
今こうやって、YOSHIKIと三木谷さんという2人のスーパースターの間に立たせてもらってますが、これは2人の間に立つのはあなたかもしれないというメッセージでもあります。前に進み続け彼らのように夢を追う。リスクを負い、失敗も学び、グローバルになるのです。
彼らの人生を通したメッセージでもあります。そんなお二人を本当に尊敬しております。
YOSHIKI:三木谷さんはすごい人です。本当によく働く(笑)。
(会場笑)
YOSHIKI:この何週間か三木谷さんとお仕事させていただいてますが「どうやって生きてるの?」という感じ。だいぶ遅くまで飲んでても、朝9時のミーティングにはちゃんと顔を出す。本当に「どうやってるの?」って感じです。
三木谷:秘密をバラしちゃだめですよ(笑)。
(会場笑)
YOSHIKI:わかってます(笑)。多くのロックスターも世界中を飛び回ります。彼らは本当にタフ。私が南アメリカに行ったときは、毎日、町を移動するのですが、日本と違って移動時間が6~7時間とかです。それでコンサートやってホテルにも戻らずに直接、次の町に移動。本当にタフじゃないとできない。考えられない。
YOSHIKI:そういえばテイラー・スウィフトのバックステージでルースさんに会ったんですが、2人しか呼ばれないのでお互い隣同士で座ってました。まだ私のことを知らなくて「あなた誰?」って聞きましたよね(笑)。
ルース:いやいや、まず、ハッキリ言っておきますが「あなた誰」とは言ってないですよ(笑)。グローバルに活躍する日本のスーパースターだとちゃんと紹介されてましたから。
テイラー・スウィフトもそうですが、当時グローバルになっていました。彼女もキャリアにリスクを背負い、今は明らかに成功してますね。
YOSHIKI:(テイラー・スウィフトに)メール送っちゃいましょう(笑)。
ルース:2人ともありがとうございました。参加できて光栄です。一緒にステージにたてて本当に良かった。YOSHIKIも三木谷さんも一緒に出て下さってありがとうございました。
YOSHIKI:こちらこそ光栄です。ジョン・ルースさんとお招きいただきありがとうございました。
三木谷:来ていただいてありがとうございました。特別な機会となりました。ありがとうございます。
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